January 16, 2007

虚無感に包まれて。

Photo_22

チームをタイトルに導いた選手が次々とクラブを去っていく、大ちゃん、虎、エースケ、達也……。そして、又一人、エースがFマリノスと道を分かつ。資金難であったり、フロントへの不信感であったり、クラブを取り巻く状況を恨めしく思いながら、僕は又、喪失による虚無感に包まれる。

クボゴール、クボゴール、クボゴールタァツヒコー、クボゴー、クボゴー……………

J1:横浜マの久保、退団決まる…「環境を変えたい」と(MSN毎日インタラクティブ)

久保が横浜M退団…移籍は決定的(スポナビ)

久保マリノス退団、横浜C決定的(報知)

大幅な年俸ダウン、起用法への不満、度重なる盟友の退団……様々な要因が折り重なった上での決断なんだと思う。連日報道されるニュースの中でも匂いはぷんぷんしていたし、さして驚いてはいない。

感情を抜きにすれば、別に構わないという気持ちも正直ある。なかなか一皮剥けない坂田にしても、ストライカーとしての感覚を忘れてしまったオーシにしても、「久保がいない」という要素は大きな刺激になるに違いない。自分がやらなければならないという自覚にも繋がるだろうし、「ようやく俺の時代が来た」という野心も出てくるかも知れない。この刺激が燻っていた二つの才能を開花に導く可能性もあると思う。そして、未来あるマイクや陽介の出場機会の可能性も大幅に出てくるのも、歓迎すべき事。試合に出れば、様々な課題が出てくる、自信を得ることもある、全てが彼らにとっては栄養となり、糧となるはず。次世代のエース候補がエースになるためには絶対必要な機会のはずだから。又、チームに必要だったコンスタントにゴールを積み重ねられる絶対的なストライカーの再捜索の必要性が出てきて、フロントの重い腰を上げさせるきっかけにもなる。佑二や功治がチームのことを考えて危惧している部分を解消することで、何の心の曇りもなく、ちょっとでもプレーしやすい環境を整えられるかも知れない。

総じて言えば、トップフォームに戻るかどうか分からない「過去の亡霊」はいなくてもいいよ。「久保から脱却」は、大きな転換の一つなんじゃないかな、うん。

って、思わなきゃやってられん。


……………………

最もワクワクさせてくれる選手だった。何かを起こしてくれる、凄いことをしてくれる、僕をゴールの絶頂に導いてくれる、そんな期待を抱かせてくれる希有な選手だった。もちろん、裏切られることも多かった、特にここ数年。それでも尚、出てくれば期待してしまう、そんな選手だった。

スタジアムに集う人たちも、同じような感情を抱く人が多いんじゃないかな。出てきた瞬間のどよめき、ゴールを期待するチャント、鮮烈な記憶……予測を超えるような驚愕プレーはもちろんのこと、彼がマリノスを応援する人の夢を叶えた、栄光への道を切り開いたストライカーだからこそ、彼への期待は潰えなかった。だからこそ、どんなに裏切られても、「久保竜彦」への期待も愛も潰えなかったんじゃないかな。

でも、そんな久保はもうトリコロールのシャツを着ない。それはとてもとても大きな喪失感。きっと、僕は坂田やオーシやまだ見ぬ外国人FWに期待すると思う。でも、多分久保に向けていたような「期待」とは違うモノになると思う。彼への期待は「特別」だった。

改めて、こういう寂しい別れを経ていくということが、チームは新しい道に進むと言うことを感じさせる。栄光の記憶に別れを告げて、険しい道に再び進まなきゃいけない。だから、前を向かなきゃいけない、感傷的になってる暇なんてない。でも、今でもなお、こんな気持ちが出てきてしまう。

「もう一度、トリコロールのスタンドを熱狂させる"トップフォーム"の久保竜彦が見たかった」

とにかく、お疲れ様。活躍を願えないようなチームに行くみたいだけど、一つだけ願うとしたら、何の不安もなく思い切りプレー出来る日が来るように。気持ちよくピッチに立てるように、うん。

はぁ………、なんだかなぁ。ということで、今日は久保を思って飲む。おしまい。

-----------------------

あー、未来ってこんなに暗かったっけ(遠い目)やさぐれるなぁ、やさぐれちゃうよ。

*一つだけ、連~絡。ココログのメンテ、今日じゃなくて明日だった。間違えちゃった、てへ←反省してない

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 23, 2006

掟通りの決着@J1 第14節 フロンターレ vs レッズ

やっぱり上位は良いよ、緊張感や高揚感が違う。中位で安穏としてちゃ魅力がスポイルされちゃうんだね。早く戻ってこういうゲームを味わいたいね。って、ゲームと全く関係ないことを……。見に行けて良かった。

2006 J.League Division1 第14節

フロンターレ 0-2 レッズ @ 等々力球技場「掟通りの決着」
Reds:30'田中達也 76'永井雄一郎

Super Soccer

ふろん太スタメン:GK相澤貴士、DF箕輪義信、米山篤志、伊藤宏樹、MF谷口博之、中村憲剛、長橋康弘(→50'黒津勝)、マルコン、マギヌン(→60'松下裕樹)、FWジュニーニョ、我那覇和樹(→67'鄭大世)

レッズスタメン:GK山岸範宏、DF堀之内聖、田中マルクス闘莉王、坪井慶介、MF鈴木啓太、長谷部誠(→67'内舘秀樹)、平川忠亮(→73'相馬崇人"こんな使われ方するなら……")、三都主アレサンドロ、山田暢久(34'黄×2=赤)、小野伸二、FW田中達也"復活弾"(→75'永井雄一郎)

「修羅場3」と銘打たれたフロンターレの再開後強豪3連戦の2戦目。等々力はほぼ満員、ホーム側は水色のフロンターレカラーに染め分けられた。前節の出来は対照的、マルクスを失うことになりながら、後半一気の3得点で鹿島を撃墜し一つ目の山を越えたフロンターレに対し、田中達也がようやく復帰したものの、ワシントン、ポンテを怪我で欠いたことが響いてアルビに苦杯を舐めさせられたレッズ。勢い的には少々差があるか。

その中でフロンターレは森を出場停止、寺田を怪我で欠く中で、ディフェンスセンターに米山、右サイドに長橋を据える普段通りの3-4-1-2、レッズの方は長谷部が出場停止から戻ったものの、ポンテ、ワシントンは戻れず。田中達也をトップにその下に山田暢久と伸二を据える3-4-2-1。

前半

両チームの勢いが表れたのか、ふろん太ペースで始まった前半、アウトサイドに起点を作りながら、同じサイドのスペースを突き、ボールロストの後も前から素早く、そして激しくアプローチを掛けて攻撃の芽を摘みと、攻守に充実した立ち上がり。ファーストシュートは谷口の素晴らしいカットから生まれたショートカウンターで獲ったセンターよりのFKをマルコンが狙ったもの(良いシュートだったが枠上)

レッズの方は、田中達也が孤立しがちでなかなか良い形になる数は少なかったが、個々の技術の高さで散発的ながらチャンスになりそうな形を作り出す。レッズのファーストチャンスはトゥーリオのアーリークロスから伸二が遠い距離ながらヘッドで狙った(良い弾道を描いてゴールに飛んだがバー)

フロンターレの切り替えの速さが目立つ中で、新加入のマギヌンが両サイドのスペースに流れたり、カウンターからチャンスを作ったりと押し気味ながら、レッズも両サイドからチャンスを作ったりと、攻め合いの様相。しかし、流れのスムーズさ、ボールの回りなどはフロンターレの方に質を感じる展開。ボールを大事にしながら、良く展開を見てボールを動かして、フリーの選手を作り出して質の高い攻撃を繰り出していたかな。

時間と共にゲームが落ち着くと、個々の技量の上回るレッズが攻める回数が増え、相変わらず両サイドから攻め立てる。山田、小野がサイドに流れたり、引いたりと動くことで浮いてきたり、少し空間を作ることで田中達也がワンタッチで前を向いたりという形で高い位置に起点が生まれ、そこから攻めていく形でリズムを引き寄せた。そしてそのリズムの中でレッズに先制点が生まれる。

左サイド、トゥーリオのインターセプトから、伸二がセカンドを拾って奪った後にポジションを上げていたトゥーリオへ。トゥーリオはダイレクトで田中達也へ通すと、田中達也ドリブル発進。細かく、そして加速のいい「らしい」ドリブルでマーカーを剥がし、そのまま素早く左足を振り抜く。低く抑えられた強烈なシュートはニアに向かい、相澤の対応を許さず、そのまま突き刺さった。まあ素晴らしいドリブルシュート、細かいステップでギュギュっと加速して相手との距離を作ってそのままシュートと、自らが作り出し、自らが決めたという彼の能力が最大限生きたゴールだった。ふろん太としては序盤伊藤が楔に対してかなり厳しく行っていたけど、時間と共にアプローチが少し緩くなっていたかな(ボランチが結構前に上がるから、バイタルが開いてくることも影響しているのだろうけど)前を向かせて、ドリブルできる余裕を与えてしまったことが痛かった。とにもかくにも長期離脱後初ゴール、おめでとう。

これでレッズに完全に流れがいくかと思われたが、サッカーの神様はそんなことを求めていなかったようでゲームは荒れ模様に。CKの小競り合いで山田がカードを受け(異議?)、その後すぐさま空中戦の競り合いで肘が出たのか、立て続けに2枚目。久々にジョージ劇場開幕。山田は退場、レッズは前半の内に数的不利を負うことに。

これで又流れはフロンターレに戻り、フロンターレが攻める時間が増えたが、レッズも水際で凌ぐ展開に。終了間際には8人ぐらいが攻撃に出て厚みのある攻撃を仕掛けたがこれも実らず。結局前半は0-1で折り返す。

後半

守備に重きを置きながら、伸二や田中達也の卓越した技術で少ない人数ながら攻撃を成立させていくレッズが良い立ち上がりを見せる。その中で田中達也が独力で一枚こじ開けたところで引き倒され、PK?と思われるシーンや(笛は鳴らず)、細かいパス回しから2列目から飛び出した平川が伸二の股抜きスルーパスを受けて1vs1のチャンスを作ったりと(相澤が何とか足でナイスセーブ)、タレントの質の高さを証明するようにチャンスを作る。

数的優位がありながら、なかなか良い形が作れないフロンターレは、早い時間帯から動く。右サイドの長橋に代え、黒津を投入。それに伴って前に人数を増やし、4バック(米山が右、マルコンが左)にする。この修正もあって両サイドがフリーで上がれるようになって、攻め込むシーンが増えたが、ボックス中央にしっかりと人数を保ち、フィニッシュの所では危機察知の早いレッズの守りの前になかなかシュートチャンスを作れない。逆にレッズのカウンターに脅かされたりと、なかなか思い通りのゲーム展開になっていかない(平川のオーバーラップで右サイドを破りクロス、谷口の素晴らしいクリアだったものの、そのこぼれを伸二が拾って狙ったが相澤セーブ)

攻めども破れずというもどかしい流れの中で、関塚監督はマギヌンに代えて松下を投入し、中盤は松下・谷口・中村の構成に。その松下が強烈なミドル(ポスト直撃)を放ったりと効果はそれなりにあるものの、やはり最後の所はレッズのディフェンス陣が強く破れない。残り25分という早いタイミングでもう関塚監督は3枚目、前節振り向きざまの素晴らしいシュートでJ初ゴールを上げたチョン・テセを我那覇に代えて投入、ブッフバルト監督も長谷部に代えて内舘を投入し、更に後ろに厚みを加える。

時間が経つと共に、さすがに攻めに出る回数が減り始めたレッズ(平川→相馬、田中達也→永井という交代も施した)、ボールをキープしながら大きくボールを動かしてサイド、ボールを出し入れしてスルーパスなど、人数を掛けて揺さぶろうとするフロンターレという展開は変わらず(更にはっきりしていたかな)しかし、リトリートされてスペースがなく、閉塞感を打開できない。

すると、センターサークル付近で松下がボールロストすると、3vs2のカウンターに発展。ボールを奪ったアレックスがそのままボールを運び裏に出た永井へスルーパス、オフサイドはなくGKとの1vs1を永井が制し、流し込んでレッズに追加点が生まれた。うーん、もったいないけど、人数少ない中でアプローチに行き、訪れたチャンスをしっかりと決めきったレッズを褒めるべきかな。これで決着。

2点目の後、レッズはラインを押し上げてコンパクトなゾーンを作ろうとした中でフロンターレがうまくバイタルを使うシーンも出たが、水際で坪井の良いカバー、山岸の良いセービングで最後まで破綻せず。結局2-0でレッズが快進撃をしてきたフロンターレに3節以来の土を付けた。


同じリアクション型のチーム同士の対戦と言うこともあって、先制点というファクター、そして持ち味を出せた方が勝つという典型的なゲームになりました。レポートの中でも書いた通り、両チームの熟成度、完成度という点では差はなかったと思うけど(というか、ふろん太の方に分があったかな)、ゲームの状況、個々の質、局面における対応力と言う部分ではレッズの方が一枚上手だったのかなぁと。

まあ引かれて現実的に運ばれた後の展開は置いておいても、ワンプレーをものに出来たレッズと最後の部分でレッズの最終ラインを崩しきれなかったフロンターレという部分では差があったし、逆説的に少しの厳しさが足りずに失点に繋がってしまったフロンターレと最後の部分で踏ん張れたレッズという面でも少々差があった。まあ展開が違う方向に流れていれば、又ゲームも違う方向に流れていったとは思うけどね。様々な要因が今日はレッズに優位に働いたゲームといえるのかなと。

しかし、負けたとはいえフロンターレのサッカーは勝ち点をここまでしっかりと積み上げてるだけの質を備えている様に見えました。切り替えの速さ、攻撃構築など、特に攻撃面では非常に良い部分が沢山見え、リアクション型のチームとはいえしっかりとチームとして主導権を握らされた後でもしっかりとサッカーを出来るチームになっていると感じました。

この日は、最大の強みであるジュニーニョの局面打開力が封じられていて(前を向いても加速できる場所がない、突破に掛かれない。昨シーズンの対戦は、スピードに乗って突っかければかなり高確率で抜いていただけに、それが出せなかったのは痛かったかな)、迫力を欠いた部分はありましたが、個々の選手が相手のアプローチをいなしてフリーマンを使う攻撃構築には感心しきり。ボランチが非常にアグレッシブでリスクマネージメントという部分では少々危うい部分はあったにしても、中身の伴っているサッカーをしていて、上位に来ていることが決して勢いだけじゃないことを改めて感じた一戦でありました。

*問題は守備かなぁ。自分たちから仕掛ける守備に関しては問題がないのだけど、後手に陥ったときは少々ばらけてしまう感じ。まあレッズの選手の質の高さを差し引いても、ラインの駆け引きとか、アプローチの厳しさという部分でカバーできないと、今売り出し中のボランチコンビの攻撃力は諸刃の剣になる可能性もあるかなぁと。まあ余計なお節介かも知れないけど。

で、レッズは数的不利でよりはっきりとしたゲームプランを設定できて、結果的に堅実なゲームが出来たのかなと。人数が揃って組織がしっかり出来ていればレッズのディフェンスの堅さは証明されているしね。その実力がしっかりと反映された形だったかなと。で、攻撃面では田中達也がやったねぇ。復帰2戦目とは思えないプレーの質で、ゴールまで獲ってと改めて特別な選手だなぁと感じた。他の選手も局面に置いて各々が持っているものを存分に発揮して、スター軍団の強みというのが出ていたゲームだった。

実際、ワシントンがいても、ポンテがいてもオープンな展開を得意するチームであることには疑いはないところ(もちろんポゼッションも良い。構成力という点では確実に進歩している)オープンになれば技術の差がはっきり出やすい展開になり、個々のタレントも活きてくる。まあゲームごとに波があるのでどうなるかは分からないけど、先制点を獲ると強いレッズは顕在といった感じですかねぇ。ちっ。

まあ正直どっちに勝って欲しかったというのはないんですけど(レッズが勝ったことは良かったのかなぁ?長期的な視野ではレッズが勝ち点を伸ばすのはよろしくない気もするし……でもふろん太が勝つと差が開いちゃうし……)、やはり現在上位にいるチーム同士、とても充実した内容のサッカーが展開されていたのかなと。谷口も頑張ってたし。まあ見に行けて良かったなと。水曜も行くけど。12日も行くけど。どんだけフロンターレに金を落とせば_| ̄|○

ということでここまでかな。田中達也、もう一度おめ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 16, 2006

祭りのあと@FIFA WORLDCUP Germany2006 総括

もうJ1が再開してるってのに、なかなか筆が進まないいたです、こんばんわ。たまった宿題とか洗い物をするのが嫌いなんですよ、えぇ。まあまあやりますけど、ただどうも締まりが悪いというか書けば書くほどとっちらかって。

で、今日はワールドカップ全体の総括などを。全ての出場国がほぼ同等の条件の元に臨んだ今大会は、前回大会よりもプレーコンテンツの充実が目立ち、そしてその中でも欧州開催のメリットを存分に感じさせる欧州列強の強さが目立った大会でした。ということで、今大会の中で気になったテーマ、そしてベストイレブンとかを書いちゃおうかなと。日本代表の方を先にやるべきだ?だから、上に書いたじゃん、言い訳、書けないの(苦笑)

じゃ、いきます。

・精錬される守備 -より高度に、より柔軟に-

優勝したイタリアが7試合で失点2(1つがオウンゴール、1つがPK)、準優勝のフランスが失点3(1つがPK、1つがセットプレー)と、守備の充実が成績に直接繋がっていく傾向の強い大会だったと思います。

実際、2002日韓大会のドイツやアメリカ、EURO2004のギリシャなど、守備的に強み、安定性を持ったチームがトーナメントを駆け上がる傾向は強く、既にトレンドを超え「掟」となりつつあるのかも知れません。まあ時代は常にそれを突き破るスペクタクルな攻撃やファンタスティックなクラックを求めるわけですが、今大会はその願いも虚しく「掟」が勝った大会と言えるのかも知れません。

そのディティールを見てみると、プレッシング志向の強かった4年前に比べ、よりラインは低く設定され、ゾーンを堅牢に築き上げることでスペースを消して、効果的な攻撃をさせないという傾向が強かったように思えました。まあオフサイドのルールが変わったこと(そのルールをかいくぐる攻撃手法の芽生え、それによる高いラインコントロールにおけるリスクの向上)、代表チームの更なる時間的な問題など、様々なことが影響しているのだと思いますが、失点を削るための最善の手法として、こういう傾向が生まれたと言えるのかも知れません。

ただ、これはプレスよりゾーンということを言っているのではなく、あくまでも今大会有効に作用してトレンドとなっていただけの話。より優秀なチームは相手の状況、ゲームの流れなどを鑑みながら状況に応じた策(プレスとゾーン)を運用し、効率的な形を表現していた訳で、そういう部分が差になっていたのではないでしょうか。

フランスを例に取れば、決勝戦後半、ラインを高く設定し、前からプレッシングを掛け、積極的に奪いに掛かっていました。本来一つのタスクに「固執」していたら、あくまでも低い位置でのゾーン形成を主にするわけですから、このプレッシングはタスクから逸脱する訳なんですが、何故そういう事が出来たのか。それは、相手(イタリア)の攻め手がほぼ潰えていて、前から行ってもリスクが高くないという状況を感じ取り、より効率的なプレーとして前からプレスに行くことだ、という選択があったからです。こんな感じでフランスはゲームの中で戦術を「運用」していたわけですね。

一つのタスクを熟成させ、精錬させることは決してネガティブではないけれど(一つのタスクの熟成度、完成度を見たら、イングランド(ゾーン)、スイス(プレッシング)、アメリカ(プレッシング)なども、イタリアやフランスにも劣らない高いレベルにあったと思う)、一試合の中で状況は変化し続け、それだけ効果的な形、状況に即した形というのもどんどん変わっていく。相手のあるスポーツだから当たり前のことでもあるのだけど、それに対応していくことが理想であり、その理想をトーナメントの頂点に駆け上がった2チームは表現していた。この辺に今大会の守備手法の進化、いや精錬というのを見た気がします。世界は更に歩を進めている、ということかも知れませんね。

*もちろんこういうことをするために必要な要素は多岐に渡ります。グループとしての熟成度、完成度はもちろん、個々の高い戦術理解+実効力、流れを読む力、判断力、そして局面に置ける対応力や守備力、そういうモノがあって初めて成立し得るモノ。自由と組織が水と油ではないのと同様に組織と個人も又水と油ではないということですね。質の高い個人も組織として形成されていなければ機能しないし、同義のように質の高い個人がなければ質の高い組織にはなりづらいというのも分かってもらえるといいかな。二元論じゃないと語っている人が、二元論を語ってるのが滑稽。組織を形成するのが個人と言うことをもう少し重要視されても良いかなぁと。

*04~05、05~06シーズンのUCLでも一つのテーマとなった「戦術的柔軟性」。このテーマはワールドカップではより守備面に置いてその傾向が出てたのかなぁと感じました。

*UCLに関しては攻撃面に掛かっていた部分が大きかった。リアクション型のチームがビハインドを負ったときにポゼッションして主体的に攻撃を求められると、仕掛ける事が出来ない事が多く、その部分でリアクションとポゼッションの戦術的柔軟性の重要性がクローズアップされていた。ユーヴェとかリバポとかね。それと少々趣がずれるが、2年連続で対戦したバルセロナ-チェルシーに置いて、ポリシーを持つチームに置ける戦術的柔軟性という部分でも非常に興味深いテーマだったかな。

*今大会、攻撃面でミドルシュートというのが目立った訳ですが、もちろんモルテン製の新しいボールの効果もあるだろうけど、何よりも「低いラインにはミドル」という「格言」というのが、意識として反映されていたからこそ、素晴らしいシュートが多かったのではないでしょうか。組織レベルが精錬されればされるほど、ミドルシュートなどの守備組織を壊す力というのが改めてクローズアップされていくかも知れませんね。

なーんか、嫌味っぽい?まま僕の性格的に、皮肉っぽくなっちゃうけど。うーん、性格悪っ(まあ懸命な読者の方にはばれてるかも知れないけど←そんなものいるのか?)まあそんなダークサイドは置いておいて、素敵な大会のベストイレブンを。

FIFA WORLDCUP Germany2006 Best Eleven
1st Team(Coach:M.Lippi)
     Podlski  Klose
        Zidane
    Vieira    Gattuso
Grosso    Pirlo    Miguel
   Cannavaro  Thuram
        Buffon

2nd Team(Coach:J.Klinsmann)
    Henry   Toni
    Riquelme     Figo
Zambrotta Makelele Maniche 
   Gallas Terry Marquez
       Lermann

FW:F.Torres、D.Villa、C.Ronaldo、J.Saviola、H.Crespo
FW:C.Tevez、A.Robben、C.Tenorio、A.Gyan

MF:S.Perrotta、F.Ribery、M.Ballack、T.Frings
MF:J.Mascherano、M.Rodriguez、D.Beckham、O.Hargreaves
MF:Z.Robert、A.Tymoschuk、T.Barnetta、A.Pardo、T.Cahill

DF:W.Sangol、P.Lahm、Lucio、R.Ferdinando、As.Cole
DF:R.Ayala、G.Heinze、C.Sarcido、R.Osorio、P.Senderos、P.Muller

GK:Ricardo、O.Shovkovskyi

まあこんな感じですかね。グループリーグでさよならした国は全部外したので、これを加えたら又変わってくるかも知れないけど、まあ上位進出国を中心にね。それにしても、攻撃面で目立ったタレントがいないいない。この辺を見ても、守備の目立った大会といえるのかも知れませんね(僕の選んだ選手も守備において活躍した選手が多いし)

まあ1stチームだけは短評を。

ジャン・ルイジ・ブッフォン(イタリア/ユヴェントス)

神セーブでイタリアの総失点2に最大限貢献した事を見ても文句なし。質の高いポジショニング、速い反応、広いセーブエリア、全てがパーフェクト、「世界最高のGK」という看板に偽りなし。ちなみに当然のように「レフ・ヤシン賞」獲得です。次点としてはレーマン、そしてリカルドかな。PKが目立った。レーマンがネタプレーのキレがイマイチだったのが不満。

ファビオ・カンナバーロ(イタリア/ユヴェントス)
リリアン・テュラム(フランス/ユヴェントス)

カンナバーロがMVPにならなかったことに未だに納得いってないわけですが、今大会のプレーは本当に神と言って申し分ない出来。危機察知の速さ、読み、フィジカル的な強さ、全てが研ぎ澄まされていた。サイズのなさを語られることが多いけど、これは早々真似できない。センスも経験も持っている選手だからね。

テュラムに関しては迷った。ギャラスでも良いかなと思ったし、マルケスの危機察知の速さも素敵、アジャラ大先生の安定感と経験も捨てがたい。でも、テュラムのゾーンの中で存在感はやはり抜けていたかな。対人の強さ、マークに対する集中力、MFの連動など、この辺はさすがといったところ。ブッフォン、カンナ、テュラムとユーヴェのトライアングルですな。贔屓とは言わせない。

次点としては、沢山書いた通り。みんな良い選手。僕が好きなのは読みとか危機察知に優れている選手。アジャラ大先生残って下さい、黄色いところとか行かないで。

ミゲウ(ポルトガル/バレンシア)

迷ったけど、オランダ戦でロッベンを抑えた功績、そして攻撃参加による効果的なプレーを評価して。正直バレンシアのプレーを見ている限り、パウロ・フェレイラで行った方が良いんじゃないかと思ってましたよ。ごめんなミゲウ。ただ、攻撃参加に置けるアグレッシブさ、思わぬ守備の強さなど、ミゲウここにアリというのは示していたと思う。正直びっくりした、何故これをバレンシry)

ザンブロッタに関しては正直1stチームに入れるべきだったかも。クオリティ高く、そして特性である左右上下どこでも変わらずにプレーして、結果も残してと文句の付けようがない。結構心配してたんだけどね、大会前は怪我があったし。まあ、どっちでも良かったけど、アズーリ多いかなと思ってさ。フランスのサニョルも良かった。

ファビオ・グロッソ(イタリア/パレルモ→インテル)

アズーリのラッキーボーイとしてかなりインパクトの強いプレーを見せ、その他普段のプレーでも1vs1の強さ、積極的なオーバーラップ(それに準ずる細かなテクニックによる局面打開力)など、ハイブリッドなプレーヤーであることを証明した。未だにアメリカ戦でグロッソではなくザッカルドを使ったのか、なぁリッピ?休ませようとしたのかねぇ。

次点はラーム、そしてヌーノ・バレンテと言うところか。ラームに関しては今大会No.1の破壊力を持つサイドバックだったね。突破力、シュート、クロスの精度と全てを持ち合わせており、攻撃面でのインパクトは非常に強かった。守備は……という部分もなきにしもあらずだけどね。ヌーノ・バレンテも良い選手だね、相変わらず。

ジェンナーロ・ガットゥーゾ(イタリア/ACミラン)

リッピに嬉しいのか憎しみなのか、クビ締めちゃうガッツさんサイコー。豊富な運動量と粘り強い対応で相手の勢いを殺し、エースキラーとしても機能、両サイドの挟み込みにもよく行っていたし、非常に実効性が高かった。ピルロが守備に置いても望外の出来を示していたとはいえ、やはりその存在感は余りに大きかった。素敵すぎて外すわけにはいかないね。バイタルの番犬というのがぴったりだった。正直マケレレと迷ったのは内緒だ。

アンドレア・ピルロ(イタリア/ACミラン)

トッティやデル・ピエーロといったイタリアを救うべき選手に波があった中で、低い位置でゲームをリズムを生みだし、守備にも体を張り、そしてアシストもゴールもしてと、獅子奮迅の活躍。アーティスティックだけど少々ひ弱なイメージを持っていたけど、今回のワールドカップに置いては、守備はもちろん、攻撃に置いても長い距離を走ってトッティのサポートに入ったり、前線に顔を出したりと、非常に精力的にプレーしており(てゆうかハードワーカーと見まごうほど)、プレーの実効性という部分でも抜群だった。セットも絶品。トッティやカモに蹴るなと言いたくなるぐらいね。

それと付け足しとして、普段はカカと縦のラインを形成しているけど、そのコンビがトッティに変わることで、自分のプレーも変えていたかな。速いドリブルで局面打開を仕掛けるカカに関しては前にスペースがある状態、前を向ける状態でボールを預ける志向を持ってプレーしている印象だけど、トッティはダイレクトプレーが多いのでなるべく距離感や角度を考えながらも精力的にサポートしようと言う意識が見えた。この辺は素晴らしい。彼の明晰な頭脳に感服。こういう選手がいたら良かったのにな……。

パトリック・ヴィエラ(フランス/ユヴェントス)

ユーヴェに来て「???」という評価をされたけど、3戦目のトーゴとの試合から、らしいダイナミズムが復活。攻守にダイナミックなプレーが戻って、世界最高峰のセントラルだった頃の凄みがあった。守備に置いても、マケレレ、ギャラス、テュラムとの意思疎通、役割分担は非常に統制が獲れており、ゾーンの番人としてしっかりと堅陣の一翼を担っていた。スペイン戦のスルーパスは絶品だったねぇ。何とか残ってくれないか?

ジネディーヌ・ジダン(フランス/レアル・マドリード)

まあ最後はあれだったけど、あれで価値が減るわけでもなく、最後までフランスの偉大なるコンダクターだった。本当にコンディションが良く、全般的にアグレッシブだったし、その中でもやっぱり神の域とも言える崇高なるテクニックによる周囲を活かすプレーは、光の見えなかったフランスを明るく照らした。あれが最後というのは返す返す残念だけど、伝説のプレーヤーの輝かしいキャリアを見てこれたことは今更ながらに幸せなことだった。一度で良いから生で見てみたかったな、糞高いチケットだったけど見に行けば良かった、集金ツアー。

これはちょっとずれるけど、フランスのこれからというのは大変だね。一時代の終わりとはいえ、ジダン、テュラム、マケレレといった名手を失う喪失感は本当に大きいと思う。今大会を見ても、もし彼らがいなかったら、ここまではこれなかっただろうし。もちろんアンリやリベリーといった今大会活躍した選手はこれからも代表を背負うだろうし、他にもクレール・フォンテーヌを代表とした育成期間から輩出された優秀な若駒も沢山いるから、全てが無に帰してしまうわけではないけれど、この名手なしのチーム形成に置いては一度失敗しているし、答えはまだ見つかっていないはず。そういう意味でこれからのフランス代表の行方はどうなるのか気になるかな。美しく強いらしいチームになって欲しいけど、ドメネクじゃなぁ……(まだ懐疑的なの、彼の手腕には)ジダン・シンドロームとフランス、興味深いテーマだね。

ミロスラフ・クローゼ(ドイツ/ヴェルダー・ブレーメン)
ルーカス・ポドルスキ(ドイツ/1FCケルン→バイエルン・ミュンヘン)

まあ1トップでクローゼ、というのが一般的かも知れないけど、二人のコンビネーションの良さに敬意を表して(てゆうか仲が悪いというのがネタだと思えるぐらい)てゆうか、ドイツ嫌いなんだけど、彼ら二人のパフォーマンスはドイツの印象を少し変えてくれた気がする。

クローゼは今大会得点王として当然の選出、今大会No.1FW。前回大会ではヘディングの印象が非常に強かったけど、今大会はストライカーとして全てを兼ね備えているオールマイティな所を見せてくれた。得点感覚、周囲を活かすセンス、フィニッシャーとしての精神力、技術、体の使い方に至るまで、本当に素晴らしかった。何よりもゴールを逆算してプレーできること、ゴールへの意識を常に持っていることが素晴らしい、狩人だね。アルゼンチン戦のゴールはまじ震えた(バラッククロス→ボロウスキヘッド流し→クローゼダイビングヘッド!)本当は嫌いなんだけどね、チーム共々(ドイツも、ブレーメンも)、でも認めないわけにいかない、素晴らしいプレーだった。

ポドルスキは、ポテンシャルというのを存分に見せてくれた。「プリンス・ポルディ」という冠に負けてないぐらいのインパクト。グループリーグでは消化不良気味だったけど、一度はじけてからはクローゼとのコンビネーション、強い得点への欲求、シュート力、そして技術レベルの高さ、そういうモノがポジティブに反映されてた。ブレイクと言っていいのかな。個人的にルーニーと似たようなイメージを抱いていたのだけど(DQNなところも)、パワーは負けても才能レベルでは大きくは見劣りしないと思う。結構好きなタイプよ、才能がある故の強気、そして結果を出す。天才と○○は紙一重と言うし。左利きだし。バイエルンでキャリアアップを果たした来期も注目だね。

ということで迷ったけど、こんな感じです。2ndチーム、又候補選手も入れておきましたけど、もっといたような気もするし、もう少し絞っても良かったかなぁ。ただ、これを見てもヨーロッパの選手が多い。この辺も又大会の特性というのを表しているのかも。てゆうか長いな…、すいません。とにもかくにも、ワールドカップはこれでおしまい。後は日本の事ね。頑張ります。ということで又4年後ですな、いや2年後のユーロ、いや来年のアジアカップか、サッカーはまだまだ続くってことで。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 13, 2006

Beautiful Defense to glitter@FIFA WORLDCUP Germany2006 Final Italy vs France

ココログのメンテのことをすっかり忘れておりまして、いつの間にかメンテに突入して更新できませんでした。まあ早めの夏休みということで。とりあえず本日、13:30にメンテは終わったそうです。もっとチャントアナウンスすべきでした、訪れていただいた方には申し訳ないっす

当日朝はどうも微妙な気分でしたが、ようやくぐっと来ましたよ。凄いことだよね、本当に。世界チャンピオンだよ、改めて、泣けるよ。

だから言ったでしょ、アズーリが優勝するって←予想でも何でもなく、単なる願望だったけどね。裏付けなんて何もなし、愛だよ、愛。

FIFA WORLDCUP GERMANY2006 Day25

The Final
Italy 1(1-1/Ex 0-0/PK 5-3)1 France @ Berlin
ITA:19'M.Materazzi FRA:7'pZ.Zidane

FIFA MatchReport

イタリアスタメン:GKブッフォン"やっぱり神です"、DFザンブロッタ、ファビオ・カンナバーロ"泣けるよ、キャプテン"、マテラッツィ"憎まれっ子、世にはばかる"、グロッソ"ゴールデンボーイ"、MFペロッタ(→61'イアクインタ)ガットゥーゾ"白ブリーフ"、ピルロ"信頼に応える優男"、カモラネージ"優勝断髪式"(→86'デル・ピエーロ)、トッティ(→61'デ・ロッシ"復帰しました")、FWトニ

フランススタメン:GKバルテズ、DFサニョル、テュラム"悔し涙"、ギャラス、アビダル、MFマケレレ、ヴィエラ"不運"(→56'ディアラ)、リベリー"ライジング"(→100'トレゼゲ"気にすんな、運命だ")、ジダン"何があなたをそうさせた?"(110'赤)、マルダ"キレキレ"、FWアンリ(→107'ヴィルトール)

一ヶ月に渡って行われてきた祭典もこの試合で最後、決勝。そしてその舞台に立つは欧州列強2カ国、イタリアとフランス。サン・ドニ、ロッテルダムのリベンジか、返り討ちでラストダンスに華を添えるのか。

プレビューにも書いた通りのスタメン。コンディション(準決勝で延長を戦ったイタリア、試合の間隔が一日短いフランス)なども気になるところだが、奇をてらうのではなくどちらも今大会の流れを汲み、信頼度の高い選手を11人を選択したといえる。まあここまで来たらモチベーション的には最大限まで高まっているだろうし、後はどちらが強いのかというのを比べるだけ。幻想的な作りであるオリンピアシュタディオンが青に染まる中、運命の決戦。

前半

開始早々、両チームとも非常に厳しい囲い込みで時間を与えず、その中で激しいコンタクトが続く。アンリがカンナバーロと接触して倒れて数分ピッチを離れ、ザンブロッタがヴィエラに勢い余って激しくぶっ倒し、激しい展開になる予感、その中でいきなりゲームが動き出す。そのザンブロッタのファールで始まったリスタート、バルテズのロングボールが左サイドに飛び、アンリが外に流れてヘッドで落とす。そしてアンリとポジションを入れ替えていたマルダが隙間の空いたイタリアディフェンスの虚を突く形でつっこむ。すると、カンナバーロ、マテラッツィがはさみに行ったところでマテラッツィの足がマルダに掛かって、このプレーにこの日の審判オラシオ・エリソンドはPKの判定。そして、このPKをこの日が正真正銘のラストマッチとなるジネディーヌ・ジダンが心憎いばかりのチップキックでゴールに沈め、開始6分でキーとなると思われた先制点がフランスに生まれた。アズーリとしては、ゲームに入りきらず集中しきれない所を突かれたといえるが、今大会素晴らしいパフォーマンスを示していたカンナバーロが初めてと言っていいぐらいわかりやすいミスを犯したことが痛かった(まあマテがうまく対応できなかったっていうのもあるんだけどね。ただ、読みのミスだね、アンリのパスをサイドと決めつけて切る方向を間違えた)ブッフォンの無失点記録もあっさりとここで終了、偉大なるディノ・ゾフには届かず。

これで、フランスはある程度はっきりした形でゲームを考え、逆にアズーリとしてはスペイン、ブラジル、ポルトガルが苦しみ、そして崩しきれなかったフランスのゾーンを崩す事を求められることに。失点の余波かどうもばたばたしたプレーが続いたが、ダイレクトプレーを絡めながらサイドから攻めに出る。そしてその流れの中で、ピルロの右足がイタリアを救う。右サイドでもらったFK、最初の狙いはニア(テュラムが何とかCKに逃げる)、次のCKはスタンダードにセンターへこれもあっさりクリア)、そしてカモが右を走って獲った3本目の右からのセット、ピルロのCKは高い弾道から鋭く曲がり落ちるボールでファーへピンポイント、そのボールにマテラッツィが高い打点でヘッド!バルテズをすり抜け、同点!同点!12分後の同点弾、ビハインドの時間が長ければ長いほど、嫌な雰囲気が漂う事も充分考えられただけにセットで、失点を消せたのは非常に大きかった。今大会カモやトッティがCKを蹴ることが多かったけど、これを変更したのが是と出たね。マテ公は高かったねぇ、迫力あったねぇ。PK献上の失態をこのゴールで打ち消した。

これで、フランスは又前からのプレスの意識を高め、巻き直す。イタリアはビハインド時と変わらないバランスでゲームを進める。どちらもそれを受け止めあう守備があって、拮抗。ようやくゲームが落ち着いた。しかし、落ち着いた中でもアンリの突破からリベリーが右を抜け出したり(マテが中への折り返しを近い位置で遮断。素晴らしい感覚)、CKから同点弾同様の形でピルロ→マテでゴールを襲ったりと、両チームとも攻撃面でも見せ場を作る。

互角、拮抗、という雰囲気はあったが、時間帯によって交互に流れが行き来する。まずアズーリ、徐々に中盤でフランスの攻撃を遮断するようになり、インターセプトも見え始める守備、そしてその守備で生まれる流れに乗って、チャンスメイク。この日目立つ右サイドからの組み立てからガットゥーゾの攻撃参加がアクセントとなって、細かいパスワークから最後はガットゥーゾ→トニ、最後はトニがスペースに走り込んで流し込むが、これはフランスディフェンスがカバー。これで得たCK、又も右サイドからのピルロのキックはピンポイントで今度はトニへ、完全に合わせたがこれはバー。イタリアの攻撃を凌ぎきったところで今度はフランス、左を起点にマルダやアンリが縦に走ったりと、押し返す。しかし、結局スコアは動かず、前半は1-1で折り返すことに。

後半

開始早々、ガットゥーゾ、カンナバーロを抜き去り、ともの凄いスピードでアズーリの守備を切り裂いたアンリがシュートを打つ。これも又後半のフランスの勢いを表すモノだったのかも知れない。事実、フランスは前半よりもより積極的な姿勢が強くなり、この90分で決めるという意志に溢れたプレーが展開された。そんなフランスに対してアズーリは序盤こそ対等に渡り合ったモノの、トニがテュラムとギャラスにほとんど仕事をさせてもらえず、トッティは消えたまま。なかなか攻撃の起点が作れず、なかなかフランスのディフェンスラインを攻略するに至らない。

そんな中で、アンリのキレは更に上がる。ジダン、ヴィエラと繋がって中盤のエリアでボールを受けると、相手との間を伺いながら独力打開。体を寄せられながらも粘ってDFの合間を縫ってすり抜け、エンドライン際まで持ち込み、中に折り返す(これはマルダが反応しきれず。アンリは「ニアに来いよ!」とキレる)その後も左サイドをマルダとアビダルで局面打開してアンリへフィニッシュに繋げられそうなシーンだったり(これはアンリが逡巡し、最後はカンナの粘りある対応)、アンリの落としから今度は右サイドリベリーがスピード活かして突破、ジダンを経由して、最後は左からダイヤゴナルに走り込んだマルダが倒されたようなシーンを作るなど(結局笛は鳴らず、アレは確実にPK)フランスの勢いは一気に加速する。しかしその中で、アクシデント。ヴィエラがボールを扱ったところで左太ももを痛めてしまい、交代せざるを得なくなってしまう(肉離れかな)代わりにディアラが入るが、フランスにとっては大きなダメージのあるアクシデントとなった。

完全にフランスにリズムを明け渡し、苦しい立ち上がりとなっていたのを見てか、リッピは早々に動く。イアクインタ、デ・ロッシを投入、下がるのはペロッタ、そしてトッティという選択。英断。そしてリッピ神采配!と思わされるような出来事が。その交代選手が入ってすぐ、左サイドからFKからゲームが再開すると、そのFKは又もピルロから(何度目だ)CKなどと違って角度のあるキックだったが、遠隔操作のような鋭いカーブの掛かったピンポイントのボールはニアサイドのトニへ!少々距離があったがコントロールされたヘッドはバルテズのセーブを許さずゴール!リッピ神、リッピ神!と思ったけど、これはオフサイド。この交代策で少し流れが代わり、審判の裁定も手伝って少し流れを押し返した。

しかし、この交代の効果も持続せず、少し時間が立つと又フランスに流れが戻る。フランスが切り替えて高い位置から一気にプレッシャーを掛け、そして勢いを持って攻めきられる形が続出し、アズーリとしては精神的に腰が引けたのかなぁと思っていたのだけど、前で収まらないこと、ピルロが高い位置に出たことでこの日不安定だったビルドアップが顕在化してしまったことなど、総じて攻撃の準備段階で芽が潰えていった感じだった。そういうこともあって、アズーリの攻撃はあっさりと絡め取られ、フランスの攻める時間が増えていったが、そこは守備に文化を持つ国。息の付けない苦しい展開ながら、水際で耐えるカテナチオモードに突入。最後の牙城は崩させない。

アンリやマルダの突破に悩まされながらも、何とか凌いでいたが、劣勢と言うことには代わりはなく、リッピは残り数分と言うところでカモラネージに代えて、アレックスを投入。リッピは彼のファンタジーに全てを託す形に。アレックスは左サイドを主にプレー、その中でワンチャンス。ピルロがハーフライン付近から柔らかいフィードをディフェンスの裏に落とし、そこにイアクインタが走り込む。しかし、最後はギャラスとテュラムが戻った。結局、勝ち越し点はどちらにも生まれず、延長に突入することに(ちょっと喜んでました。30分余計に見れるんだってことで)

延長戦

延長に入っても、フランスが流れを握り攻めていく回数が多い。この試合通じてキレを見せるマルダの局面打開を突破口にするシーンが多く、疲れもあって振り回されるシーンが散見。最後の部分では何とかなっていたモノの、攻撃は相変わらず形にならず、流れを引き寄せられない。そして、その流れに準ずる形で決定機が続けてフランスに訪れる。

中盤でボールを繋ぎ、左サイドアタッキングゾーンに入るところでボールを持ったのはポジションを変えていたリベリー、リベリーに渡ったところでターゲットになろうと走り込んだマルダを使うと、カンナバーロが素早く反応しタックルで凌ぐ。しかし、ワンツーで受けるつもりで走り込んでいたリベリーの元へボールがこぼれ、そのままラインを抜けていってグラウンダーのシュート。ブッフォンも触れず、顔を覆いたくなったが、わずかに枠を逸れた。リベリーはこのプレーがラストプレー、ドメネクはトレゼゲを投入。久々のアンリ・トレゼゲコンビ。

中盤で、ボールを受けたのはジダン、アプローチをいなしながらキープし、右サイドで上がってきたサニョルへ、ボールを流すと一気にペナにつっこむジダン、そこへサニョルはピンポイントクロス!ジダンを誰も捕まえられずドフリー、ジダンドンピシャヘッド、枠を捉える、ブッフォンスーパーセーブ!参った。この時間になっても、力を発揮すべき所では発揮してキレのある動きをする。素晴らしいプレーだった(メヒコ-イラン戦のシーニャのゴールみたいだった)ただ、立ちはだかったブッフォン、良く止めてくれた。コースが甘かったことに助けられた感はあったが、あれを止めるのは簡単じゃない……神だ……

フランスペースの延長も折り返し、残り10分と言うところで大事件が起きる。クロスが入ったところ、マテラッツィがジダンをマークし、結局クロスはクリア。その後、戻りながらマテラッツィとジダンが言葉を交わしたところで、ジダンは戻っていたところを踵を返し、マテラッツィに何と頭突き。プレーが止まったところで、イタリアの選手が線審などにアピールし、エリソンドは協議の結果、ジダンにレッドカード。場内騒然、見ている側も何がどうなったのか状況が把握できないまま、ジダンはジュール・リメ杯を横目にロッカーに下がっていった。

数的優位を握ったアズーリですが、相変わらず攻撃はうまくいかず、その優位性を活かせない。フランスが攻めるシーンが多くなるが、それも実らず。余りに衝撃的な出来事を前に、ゲームは騒然としたままホイッスル。勝負はPKに委ねられることに。

そしてPK。ブッフォン、バルテズが立ちはだかるゴールの前でキッカー達はこれ以上ないぐらいの大きなプレッシャーの中で11mの距離の攻防戦。9人のキッカーの内、イタリアで沢山のゴールを積み上げ、2000年にはイタリアを悲劇に追い込んだダビド・トレゼゲが唯一失敗、これで勝負は決まった。イタリアが世界一、24年ぶりの世界一、12年前と6年前と8年前のリベンジを果たし世界一の座に着いた。

ゲームの中で勝負が付かず、PKに結果を委ねる形となった訳ですが、それが必然だったのか、偶然だったのか、それは人それぞれかも知れません。ゲーム中多くの時間主導権を握ったのはフランスであり、フランスが負けたことが理不尽だと感じる人もいるだろうし、自分たちのアイデンティティを守り抜いたアズーリの勝利は当然だと思う人もいるでしょう。どちらも間違いではないと思うし、正解などない。やはりPKは運の側面が強く、今回はたまたま勝利の女神がアズーリに微笑んでくれた。きっと勝負の綾は勝利の女神がどちらに微笑んでくれたかという、気まぐれな要素でしかないと思います。

PKというのは本当に無軌道なモノで、ゲームの流れは基本的に関係ない(どっちもどっちだよね)その中で運を司るサッカーの神様が、イタリアを勝たせた。それを分析する必要はないでしょう。今回はイタリアが勝った、それだけです。まあこういう結果となった事に思いを巡らせば、両チームの守備が固く、拮抗していたと言えるのかも。

この決勝自体が守備の優れた2チームの戦いだったわけで、それはこの舞台でも十分発揮されていました。今大会一番優秀な守備陣といえるフランスのゾーンブロックに関しては、どれだけ優秀なアタッカーがいようと、柔軟にゾーンを収縮して呼吸することを許さず、手を押さえ込んでしまう非常に機能性の高い守備組織になっていたなぁと。成熟したタスクはもちろん、個人能力(対応力や判断含む)、経験、全て揃ったフランスの守備は非常に質が高く、ここまで押し上げてきた原動力といえる。

もちろんアズーリの守備も言うまでもなく素晴らしかった。戦術の理解、約束事の徹底という当たり前のことを完璧にやり、そこに一つ一つの局面に置ける粘り、そして読みと危機察知。守備のプロフェッショナル達が見せたプレーは芸術でさえあった。バランスが少し攻撃的になった中でも、守備の堅さを維持できたということにアズーリの成功の秘訣だったのは間違いないところでしょう。

どちらにしても、組織、個人共に揃っているチームだけがなし得る質の高い守備、派手でスペクタクルではないけれど、世界最高峰の大会の決勝に相応しい質を兼ね備えていると言えるのではないでしょうか。そして、それを突き破る術がなかったからこそ、PK戦となった。そういうことかな。だからこそ、MVPがジダンなんて納得いかないんだけどね。ジダンは素晴らしいし、美しくて、大好きだけど、MVPはカンナかガッツかブッフォンにすべきだった。フランス側だったらヴィエラ、マケレレ、テュラム、ギャラスだと思う。

まあとにもかくにも痺れるぐらい良いゲームでした。って、触れないわけにはいきませんね。ジダンの退場のこと。

ジダン「後悔してはいない」(sportsnavi)

ワイドショーやニュース番組までがこの行為の顛末に注目し、大きな騒ぎとなった訳ですが、昨日ジダンがCanal+の生放送に出演して、様々なことを語った事が出ています。彼自身、マテラッツィの言葉に深く傷つき、許し難いがために行ったと言うことでした(その言葉は結局明かされず、家族に対しての事だそうだ)

まあ僕はこないだ書いた通り、ジダンのあの蛮行に対してとても残念、そして悲しいと思っていました。そして、美しい形で彼を送れなかった事が後悔として残っている。ただ、アズーリのファンとしても一つの感情がある。

ジダンにとって最後のゲーム、非常に特別なゲームだった。しかし、ほとんどの選手がこの決勝戦は特別で、ジダンのためだけの舞台ではないということ。WC決勝は限られたチームの限られた選手しか立てない特別な舞台、次に立てるという保証はどこにもない。年齢的に今回の大会が最後という選手達も沢山いる。そういうことを考えたとき、ジダンの行為も又、素晴らしい一ページを汚し、他の選手達を侮辱したような行為だったと思う。

確かに糾弾されるべきはマテなのだけど、ジダンも又正しくない事をした、フットボーラーとしてね(人間としては正しかったけれど)まあ全ては終わったことで、こういう行為が日常化していると言うことを日の目にさらしたということだけなのかも知れないけどね(こういうのは沢山ある。リーガはファン含めて一番酷く、セリエでも横行している。アフリカ系の選手が沢山いるリーグアンでもある)サッカーにとってはとにもかくにもマイナスのイメージを残したと思う。

あー暗くなっちゃった。とにかくアズーリViva!何度悔しい思いをしたと思ってるんだ、でもその悔しい思いも格別のスパイス。じわじわと、喜びが溢れてきてますよ。ペソットも喜んでくれたみたいだし、とにもかくにも一件落着って感じ。後はさらっと振り返ってワールドカップは終わりですな。ありがとう、ワールドカップ。多分僕が見てきた中では一番面白かった。ということでここまでかな。

*終わっちゃうと、何となく喪失感。そして日常。寂しいね。でも、もう日常は動き出してる。J1も再開ですよ。日本は負けちゃったけど、ワールドカップでサッカーに少しでも興味を持った人、スタジアムに行きませんか?少々レベルは低いけれど、日常に色をもたらすよ、赤、黄、緑、青赤、オレンジ、サックス、紫、紺、そしてトリコロール。きっと楽しいよ。

*組織云々という話が喧しいけど(具体的なものがなくて、結局一つの概念しか持たないモノの丸投げっぽい議論だけど)、もう少しフラットな視線で見て欲しいと思う。Jで出来てないものが代表で出来るわけないと思うのだけど、その辺は無視してない?それこそJを軽視している証拠だと思う。

*昨日の試合を見て何を感じるの?どう思ったの?Jは組織的じゃなくても良いって事ですか?そういうことを必要だと強く思うのなら、Jも又同じ視点で見て、評価していくべきなんじゃないかな。そんなことを昨日の試合を見て感じた。ゲームとしては面白かった、技術的にも非常にレベルが高かったし。ジュビロの選手もガンバの選手もやっぱりうまい。レポート書いてあるよ。今日の夜にでも

*てゆうか総括書いてます。なかなか進まなくて、精神衛生上とても良くないけれど。少々お待ちを

| | Comments (227) | TrackBack (1)

July 10, 2006

Azzurri!Campion!Azzurri!No.1!

Azzurri!Campioni del mondo!
Azzurri!Azzurri!Azzurri!
Bravo!Bravo!Bravo!

あれだけ悩まされてきたPKの呪縛。'90、'94、'98、全てPKで散ってきた。でも、ついに神は微笑んでくれた。24年ぶりのワールドカップ制覇!4度目の戴冠!

みんな浮かれまくって、お茶目過ぎるぐらいふざけて、イタリアっぽいね。もらう前にフライングでキスをしたくなっちゃうのが分かっちゃう。正直ここまで長かった……。

とにかくバモス!アズーリ!アズーリがカンピオーネだ。世界一だ。

しかしPKは心臓に悪い……、あのCSのPK並にドッキドキで、気持ち悪くなっちゃったよ。でも良いんだ、勝ったんだから。そうだ、勝ったんだ……。改めて泣ける……。

Campeon

*これだけは書いておこうかな、ジダンの退場に関して。本当に心の中にしこりが残った。何があったのか、彼の中に何が起きたのか、その真実が明かされることがあるかどうかは分からないけど、せっかくのファイナル、そして偉大なカンピオーネであるジダンのキャリアの最後が汚点となった事が残念でならない。僕はジダンのいるフランスに勝ちたかった。最後にアレとジダンがシャツを交換する姿を見たかった。

血が昇っちゃうとセルフコントロールを失うことがあるから、こういう事が起きても不思議ではないのだけど、本当に何があったのかな。イタリア寄りの笛、我が手に勝利を引き寄せておきながら決めきれない苛立ち、マテ公のラフプレーと挑発、こういうことが考えられるけど、本当に悲しい。だから何となく自分の中ですっきりしない部分がある。これが最後なのか……。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

In Berlin that all was blue, and was dyed@FIFA WORLDCUP Germany2006 Final Preview

と言うことで、大会も残り一試合を残すだけ。決勝です。僕はこのカードが見たかった。ここ最近の国際大会では最も充実、最もハイレベルだったEURO2000の決勝の再現。今からwktkですよ。と言うことで簡単にですけどプレビューなんかを。

FIFA WORLDCUP Germany2006 Day25

The Final
Jul 9 20:00KickOff/Italy vs France @ Berlin
Referee:Horacio Elizondo

Italy/4-4-1-1                 France/4-2-3-1
        Toni                       Henry
        Totti                Malouda  Zidane  Ribery
Perrotta Pirlo Gattuso Camoranesi       Vieira  Makelele
Grosso            Zambrotta    Abidal          Sagnol
   Materazzi  Cannavaro             Gallas  Thuram
        Buffon                     Barthez

まずはこの試合に向けての状態やエクスキューズなんかを。

細かく見ていくと、まずアズーリ。ネガティブな点としては、守備に置ける2枚看板の一人、アレッサンドロ・ネスタが3戦目で怪我を負ってから復帰に尽力してきたモノの、結局間に合わず。しかし、ここまでネスタの欠場分をマテラッツィ、バルザーリが何とか埋めてきたこと、そしてカンナバーロ、ブッフォン、ガットゥーゾの奮闘もあって問題の顕在化はしていない感がある。又グループリーグ第2戦にひじ打ちで退場となり、4試合の出場停止を受けたマヌエレ・デ・ロッシが復帰。中盤で攻守にダイナミックな仕事が出来る駒の復帰は、ベンチ采配に置いて選択肢が一つ増えるという意味ではポジティブか。

フランスの方は準決勝で途中出場したルイ・サハが警告を受け、通算二枚目でこの決勝には出場停止。ドメネクがトレゼゲではなくサハを重用していた部分を鑑みると、打つ手が狭まって少々痛手か。ただ、準決勝で多くの選手が一枚もらっていた事を考えれば、レギュラーとして戦ってきていた選手が出場停止にならなかったことは不幸中の幸いといえる。その他として怪我人などは見あたらず。

どちらも、出れない選手が一人ずつ、しかしこの大会を通じて考えれば、余り大きな影響を与えるモノではないかなと(まあ本当は痛いのだけどね、ネスタの怪我は。ただ埋まってるってだけで)この試合に向けてのコンディションに関するエクスキューズを鑑みると、準決勝が延長にもつれて30分余計に戦っているアズーリ、試合に向けての間隔が位置に短いフランス、どちらもネガティブなポイントを持っているが、相殺と考えればそんなに大きな差ではないかも。まあどちらも良い状態でこの決勝を向かえると言うことかも知れませんね。

では簡単にポイントなんかを、展開を占いながら。

・活きるか、殺すか。キーマンを巡る攻防。

今大会の失点数がイタリアは1(オウンゴール)、フランスは2(1点はPK)と、どちらも堅牢な守備ブロックを持っているというのが数字からも分かるだけに、ポイントとなるのは先制点というのは間違いないと思います。まあゲームプランとして両監督がどのような選択肢を選ぶのか気になるところですが(序盤から先制点を積極的に奪いに行くのか、それとも様子を伺いなら隙が出来るのを待つのか)、どのような展開になろうとこのゲームの鍵を握るのは、両チームのキーマンの働きぶり。イタリアはトッティ、フランスはジダン、彼らが数多くボールに触って良いプレーをされてしまうと、守る側としては本当に難しいことになってしまう。そういう意味では、守る側が彼らをどのように彼らを抑えに行くのかを含めて、非常に大きなポイントになるのかなと。

まずジダンを巡る攻防から。ジダンは今大会守備負担がある程度免除されており、基本的に非常に高いポジショニングでプレーすることが多くなっています。もちろん流れの中で受けに下がったりしているモノの、意識的にもかなり前に向いている傾向が見えるので、自ずと低い位置での対応と言うことになるでしょう。一番避けたいのはバイタル中央でボールキープされて、そこからアクションを起こされること(ラストパスやフィニッシュ、ということだね)それを避けるためにはやはりある程度彼を支配下に置いておきたいところ。ただ、ボールサイド中心に結構幅広く動くので、マンマークにすると組織破綻の遠因になることもあると思うので、ゾーンで見ることになると思います(ガットゥーゾも彼だけを見ているわけにはいかないと言う話をしているしね。まだ分からないけど。底を3枚にして、ペロッタとガットゥーゾでエリアを分けて……ないか)

まあ切れているとはっきり言って小さな隙からでも卓越したテクニックで穴を広げるようにその機会を作ってしまうけど、それでも基本はガットゥーゾ、ピルロがいかに彼にボールを持たせないように時間を与えないように出来るかと言うことになると思います。実際、現状のフランスはジダンがボールに絡む攻撃と絡まない攻撃では大きくクオリティに差があり、何を考えようとジダン中心と言うことは動かざる事実であるのは間違いない。まあここが一つ目のポイント。

で、二つ目。持たれた時。ジダンへのアプローチは当たり前なんだけど、共にアンリ、リベリー、マルダ、時にはヴィエラ、サニョル、アビダルと言ったレシーバーのアクションをいかに察知し、捕まえられるかと言うことになると思います。まあ守備の達人達であるアズーリの選手達に逆に学ばせてもらおうと思ってるぐらいですが、アプローチがいかにプレーを制限させ(奪えなくても、展開する方向を制限することで次に向けてのポジショニングの修正をする)、突破に掛かる水際の所で対応できるような組織を作らなきゃいけない。一番良くないのはエアポケットのようにジダンをフリーにすること。何でも出来るようになってしまうと本当に難しい対応を迫られるだけに、やはりジダンを潰したいところですな。

逆にフランスとしては、リベリーやマルダ、ヴィエラがいかに相手のボランチを引きつけられるか。アズーリの守備の約束事として(あくまでも整っているとき)、サイドに開くとセンターバックがヘルプに行くより、ボールサイドのボランチがヘルプに行く傾向が見え(まあガットゥーゾもピルロもサイズがないからね)、そうなるとバイタルが薄くなる。もちろん、そこを察知してもう一枚がポジションをズラしたり、カンナバーロが高速でそこを埋めてくるので、大きな穴ではないモノの、小さな穴を空けることでバランスを崩し、そのタイミングでジダンにボールを持たせたい所かな。まあどちらにしても人数が少ないことが多いと思うので、一人一人が複数人を引きつけるというのはポイントになるのかなと思います。

じゃあ、逆。トッティを巡る攻防。トッティも基本は守備はFWのようにディフェンスラインとボランチにある程度のアプローチを掛けるぐらいで、その分高い位置にポジションを獲ることが多い。彼の場合は基本中央で待ちかまえ、ボールを欲しそうにするという感じ。積極的にオフ・ザ・ボールの動きを続けると言うより、パサーとの意思疎通からボールに入ってダイレクトで何かをするという傾向が強い。フランスとして避けたいのは後追いになってそれをダイレクトではたかれてゾーンに穴を空けられることと言うことになると思う。

ただ、どんな選手であろうと影のようにつきまとわない限り、90分捕まえておくのは難しい。実際、トッティに対してそんなことをしても余りチームにとっては良いことではないと思う(トッティは普通に消えるけど、それを意にかえしてない。一瞬で仕事をすると言う姿勢があるからだろうけど)まあ基本4-4のゾーンブロックのフランスがマンマークをするというのは正直考えにくいしね。その中でポイントとなりそうなのは、いかに彼の静と動のタイミングを掴むのかと言うところ。まあ基本はマケレレ、ヴィエラが見ることが多くなると思うけど、チーム全体が彼の傾向を掴んで、何度か入りそうだなと言うところでチャレンジに行って潰せれば、それなりにプレーのリズムを狂わせられる。それが出来ればイタリアのアタッキングエリアでの質は低下させられるかな。

アズーリとしてはそんなに気にする必要はないと思う。基本隙を突くためにやっているわけだし、ダイレクトで速くボールを回していけば、嫌がおうにズレは出てくる。そこでタイミングが合えばトッティはいつでも活きたパスが出せると思うからね(プレーのリズムが悪くなったときは心配だけど)まあトッティに頼るだけがアズーリではないので(フランスにもそれは言えるけど)、トニのポストやペロッタの飛び出し、カモ&ザンブロッタ&グロッソのサイドアタックなど、ピルロの手綱捌きに期待。ピルロはアンリが警戒しに来るのかなぁ……

まあどちらにしても、今大会非常に影響力の高いボランチが目立っているだけに、その大会を象徴するように彼らの働きぶりが逆説的に大きなポイントを握っているのは間違いないと思います。特にガットゥーゾとマケレレ。彼らに託される役割は非常に多いですが、彼らの出来がゲームに大きく影響を与えるかなと。そしてそんな強い警戒の中でファンタジスタは何をするのか、全てを可能にする卓越の技術による魔法か、一瞬の隙を突く閃光のような魔法か。やっぱり楽しみだ。

・リスクマネジメントと采配の相互関係

まあ特に後半とかゲームが差し迫ったときに出てきそうなポイント。今大会の傾向として、終盤にゴールを生まれる傾向が強く、交代選手の得点も多かったりして、このゲームも多分に漏れず終盤にゲームのクライマックスがあるのは間違いない。それだけに、采配、そしてその中でのチームバランス、リスクという部分が大きなポイントになるのかなと。

アズーリの得点に交代選手が非常に多く、逆にフランスはスターティングメンバーによるプレーでウイニングポイントを奪っている。代えるも八卦代えないも八卦と言う感じだけど、気になるのはフランスがリスクを冒すときのバランス、この3試合ほとんど4-2-3-1は崩していない。もちろんこの形が機能していて、バランスを崩す必要性を迫られていないこともあるのだけど、もしビハインドになった時1トップの継続では迫力不足は否めない(実際セットでのゴールが多いしね)で、トップに枚数を増やせば、整理されていた役割分担が曖昧になり、獲れていたバランスも崩れる。その時にいかにチームのバランスを取っていくのか。まあチームの重心を司る選手が非常に経験豊富なので、その不安をかき消せる可能性もあるけれど、それがうまく行かないときに、フランスは本当に厳しい状態に陥るかも知れない。

もちろんフランスだけじゃなくアズーリにも不安要素はある。ずばずば交代策が当たって、点は獲れているけれど、一歩間違ったら一気におかしくなる可能性も秘めている。前戦のアタッカーを3枚並べ、しかも+トッティ&ピルロという恐ろしくリスクの高い選択をしたけど、あれは下手すりゃ逆に転んでいてもおかしくなかった。別にリスクを冒すなとは言わない、行けると思ったら存分に腕を振るって欲しい。ただ、状況判断。局面を見誤れば一気に地獄。リッピの腕も目も信用しているけど、この大舞台、大きなプレッシャーも掛かっているだろうし彼の頭脳に悪い影響があってもおかしくないからね。

まあ僅差な試合になることが予想されるだけに、そうなると自ずと勝負に監督の采配の比重が大きくなるのは間違いない。神と崇め立てられるのか、戦犯として嫌と言うほど叩かれるのか、その差は紙一重。どちらがピッチの状況を的確に把握し、うまくチームをコントロールして効果的な采配が出来るのか、世界最高峰の戦いを采配でも見せて欲しいなと。

これほど楽しみな決勝戦はない。両チームともハイレベルな組織と個を有していること、コンディション・モチベーション共に良い状態、ジダンのラストダンス(アレックスとの邂逅も!)もそうだし、ユーヴェの選手(在籍してた選手も含めて)が沢山いるのも僕にとっては愉しみ。見所は数え切れないほど。てゆうか両チームとも見続けてきたチームだから、それがこの舞台で見れるのが本当に嬉しいんよ。とにかく、歴史を彩った勝者のメンタリティが活きるのか、冷や水を浴び続けた敗者のリベンジか、世界最高峰の戦い、最後の一滴まで味わいたいですな。ということでとりあえずここまで。

*とりあえず中立でやったけど、僕の心はアズーリと共にあるよ。ここで勝てなかったら本当にタイトルから遠ざかる。ここで取らなくていつ取るんだ。積年のリベンジは青く染まったベルリンで。

Forza!Azzurri!!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 09, 2006

最後の大舞台、最後の邂逅@FIFA WORLDCUP Germany2006 SemiFinal Portugal vs France

心奪われたり、忙しかったりと、色々なことがあって更新間が空いちゃいました。で、まだやっていなかった準決勝の2試合目、ポルトガルとフランスを。

FIFA WORLDCUP Germany2006 Day23

Portugal 0-1 France @ Munich
FRA:33'pZ.Zidane

FIFA MatchReport

ポルトガルスタメン:GKリカルド"神、降りてこず"、DFミゲウ(→62'パウロ・フェレイラ)、フェルナンド・メイラ、リカルド・カルバーリョ"足技の落とし穴"、ヌーノ・バレンテ、MFコスティーニャ(→75'エウデル・ポスティガ)、マニシェ、フィーゴ、デコ、クリスティアーノ・ロナウド、FWパウレタ(→68'シモン・サブローサ)

フランススタメン:GKバルテズ、DFサニョル、テュラム、ギャラス、アビダル、MFマケレレ、ジダン、リベリー(→72'ゴヴ)、ジダン、マルダ(→69'ヴィルトール)、FWアンリ(→85'サハ)

美しく、強かった01/02のレアル・マドリードを覚えているだろうか。そう、記録的な金額でジダンがイタリアからスペインに渡った年だ。ジダンの加わったチームにはフィーゴがいた。二人はレアルの攻撃を牽引し、彩り、チームを欧州一に導いた。そんな二人の最後の邂逅。それがこの大舞台。正直ぐっと来た、始まる前から。

そんなノスタルジックな感慨は置いておいて、ゲーム前の状況を。ポルトガルは数的優位な状況を得ながら、イングランドの固いゾーンを崩しきれず、PK戦まで「粘られた」という感じだった準々決勝。しかし、一つのエクスキューズとして、デコとコスティーニャの出場停止という部分もあって、その二人がこの試合では復帰。この二人にマニシェを加えたポルト・トライアングルの再形成で、再びポルトガルらしいサッカーの復活に期待を掛ける。対するフランスは、非常に質の高い守備ブロックで調子は上がらなかったとはいえ世界最強のタレント軍団を沈黙させ、復活を印象づけた。ジダンを中心とした攻撃陣もポテンシャルを最大限活かしているとはまでは言えないモノの、落としどころを見つけた感があり、チーム全体を見れば総じて上り調子といえる。スタメンの変更はなし。

どちらもこの試合では累積警告の不安を抱えている選手が多いこと、連戦の疲労という心配はあるが、特性を出し合うようなゲームを期待。

前半

開始40秒、いきなり得ていた手応えを表現するフランス。テュラムのロングフィードから、アンリを囮にマルダが裏のスペースを突いてシュートに繋げる(シュートは枠外)対するポルトガルはストロングポイントを前面に押し出し、それをアクセントに攻めに出る。デコのパスを受けて前はオープン、ブーイングの中クリスティアーノ・ロナウドが発進。スピードアップして中に切れ込み、サニョル、マケレレを引きつけて、走り込んだデコのシュートを引き出す(横パスを受けたデコが右への展開を伺いながら逆の体勢からグラウンダーのシュートもバルテズセーブ)同じように左サイドから中に切れ込み、強い警戒感を逆手にとってヒールパスからマニシェのシュートを引き出す(彼がボールを持って中に来た瞬間、マケレレとヴィエラがもの凄い警戒して距離を詰め、潰そうとした。しかしそれを逆手に取られてマニシェに対して誰も警戒できず)どちらも自分たちの良さを出そうという気概が伺える立ち上がり。こういうビッグゲームには珍しい展開かな。

どちらも前からプレスを掛け、奪いに行こうという意志を感じたモノの、両チームのボールを繋ぐ技術がその守備を凌駕する。それにより、守備よりも攻撃が目立つ展開になった。そんな展開で可能性を感じたのはポルトガルの方。ショートパスとミドルパスを使い分けながらサイドアタッカーが力を発揮できる状況を整え、そこを突破口に良いチャンスを作る。序盤は左サイドでのプレーが目立ったロナウドの中に切れ込むプレーはもちろん、アビダル-フィーゴというマッチアップが多かった右サイドもフィーゴがアドバンテージを持ちチャンスを作る。最後の所では迫力不足もかいま見えたが、ポルトガルのクオリティというのが表れていた感を受けた。

しかし、フランスも一方的に押されていたわけでもなく、細かくボールを繋ぎながら相手の隙を伺い、前の4枚の絡みで相手を崩しに掛かっていた。ジダンがボールを触れば、攻撃にアクセントが付いてそれなりに形になり、改めてジダンの空間コントロールの凄さは出ていた。が、コスティーニャに多くの時間マークに付かれていたこともあって、時間を作ってシュートを導き出したり、自らシュートを打つようなシーンは作れず。どちらも中盤での攻防では質を備えていたモノの、アタッキングエリアではその質を発揮することが出来ず、余り得点の匂いは感じなかった。

アクティブながら静かな展開でゲームが進んでいくと、一つのプレーディティールがゲームを動かす。前半32分、リベリーのパスを受けてマルダが斜めに切れ込んで相手ディフェンスを引きつけると、ボックスすれすれの所でポジションを獲っていたアンリへ。アンリは斜めの方向でボールに入るとアウトサイドで軽くファーストタッチ、そして続けざまに速いタイミング(タッ、ターンって感じ)のアウトサイドで中へ切り返す。すると、対応に入っていたリカルド・カルバーリョは読みを外され(体の方向のコースを切っていた)、2タッチ目の切り返しに対応しきれず苦し紛れのスライディング、これがアンリの足に掛かってしまう。これに主審は躊躇なくPKの判定。このPKをジダンが決めて、フランス先制(リカルドは又読んでいて、触れそうだったけどね。ジダンの神通力か)アンリのアイデアとボールコントロール、これが局面に置いての差を生んだ、かな。

これでゲームも動き出す。ビハインドを負ったポルトガルは一気に前に出て、そのビハインドをはね返しに掛かり、フランスは一時それを受けてしまうと言う展開に。序盤から目立っていた右サイドでの優位性を活かしてチャンスを作り、その流れからセットのチャンスも得る。しかし、最後の所ではマークが外れておらず、迫力不足は否めず。速い攻撃もフィニッシュシーンではズレを生み出すことは出来ず。結局前半のうちにビハインドを返すことは出来なかった。0-1で折り返す。

後半

フランスは先制したこともあり、前半とは守り方を変える。トップにジダンとアンリを置いて彼らがある程度のアプローチを掛けてパスコースを制限。そして4-4のゾーンを敷いてスペースを消して、入ってくる所を対応すると言う形にシフトさせる(もちろんそれだけをやるのではなく、前から行くときもある。ただその度合いの問題)ポルトガルとしては、イングランド戦でも弱点として露呈したゾーンの切り崩しを強いられて、なかなか攻め手が掴めなくなってしまう。それを表すように後半のファーストチャンスはポゼッションを持っていたポルトガルではなく、慎重にバランスを考えながらプレーするフランスに生まれる。バックパスのミスを拾ったアンリが一人で敵陣深くまで持ち込み、フォローが来たモノのそのまま縦に突破して角度はないながらもグラウンダーのシュートでリカルドを脅かす(が、リカルドがセーブ、CKに逃れた。こぼれ球が脇下を抜け、危うかったね)

この後も守備が後手になりがちで危険なシーンを作られたりと厳しい立ち上がりとなったポルトガルは、フランスの攻勢が一段落したところで後半最初のチャンスが。攻撃に移る最初の段階でパスが繋がらず、攻撃に移ろうしていたためゾーンが崩れる。これによりフィーゴがバイタルでフリーとなり、そのフィーゴからボックス内のパウレタへ楔、パウレタはテュラムを背負いながら反転してシュート。鋭いシュートだったが枠に収めることは出来ず。CFWが初めてシュートらしいシュートを打ったシーンだった。しかし、このプレーも好転のきっかけにはならず。偶発的なミスがなければ穴を作り出さないフランスのゾーンの攻略法を見いだしたわけではないからね。前半ほどウインガーのボールタッチが触れなくなり、ボールを持っても中を切られて縦に行かざるを得ないドリブルワークは相手の守備に与えるインパクトは少ない。デコはプレッシャーのきつい地域でほとんどプレーさせてもらえず。

そんな中でポルトガルに更に厳しいアクシデント。攻撃面で魅力を持つミゲウが足を痛めて出場続行不能に。リスクを冒す事も考えられたが、フェリポンここはスタンダードに同じポジションの入れ替えを選択、パウロ・フェレイラが入る。これで交代カードを一枚失う結果に。この交代では当然劇的な改善をもたらすこともなく、相変わらずフランス守備に対しての攻略法を見いだせない。それでも手をこまねいている余裕のないフェリポンは2枚目のカード、シモンを投入。この交代がパウレタ、イングランド戦でもあったクリスティアーノ・ロナウドを1トップに据える形に。しかし、前戦同様大きな効果はもたらせず、逆に唯一打開の可能性を秘めたロナウドのドリブル突破を失ってしまう。フェリポンはそれを見てかすぐさまエウデル・ポスティガをコスティーニャに代えて投入し、初めてバランスを崩して攻め手を強める交代策となった。

フランスは、マルダに代えヴィルトール、リベリーに代えゴヴと運動量を求められるサイドのポジションをフレッシュにするという形に。もちろんバランスは変わらない。ゾーンを打破するキーは見つかっておらず状況は変わらなかったが、サイドバックが高い位置に出て、前に掛かる人数も増えたポルトガルに救いの点が差し伸べられる。左より20m付近で得たFK。クリスティアーノ・ロナウドの放ったシュートは壁を越えて一気に落ちていくナックルシュート。威力を備えながら急激に変化するボールにコースに入っていてもバルデスはキャッチしきれない。上にはじかれたボールに反応したポスティガ、フィーゴが詰め、最後はフィーゴがジャンピングヘッド!フリーでのヘッドだったが、ミートポイントが高すぎたのか枠の上……。大きなチャンスを逃してしまった。

時間が少なくなって、長いボールでの攻撃構築に最後の可能性を託したポルトガル、前線に上がったフェルナンド・メイラの所に2つのチャンスが来たがそのチャンスを生かすことは出来ず(一つはパワープレーのセカンドを拾ってのシュートだけど枠を捉えきれず、そしてもう一つはバックパスをさらったところで前オープンにおけるスルーパスもオフサイド)、結局フランスの堅陣を攻め落とす事が出来なかった。結局アンリの細かなテクニックが勝負を分ける形でフランスが決勝戦に駒を進めた。

正直、寂しいゲームだった。第3者の感想なんだけど、もっとハラハラワクワクドキドキしたかったなぁと。フランスの1プレーでゲームの趨勢が作られ、そしてそのまま決まってしまう。フランスとしてはすべき事をしているだけで、決勝への道が「開けた」という感じに見えました。もちろん、勝ったフランスにしても、負けたポルトガルにも、非難も批判もするつもりはないけれど、4年に1度の大会のセミ・ファイナル、もっと魅力あるゲームになって欲しかったというのが素直な思いですね。

ゲームの綾としては、色々あったのでとりあえず羅列。

・先制点

まあ上記の通り。あのPKで一気にゲームの流れがはっきりした。後半に入った時点でフランスは4-4のゾーンを組んで、前半よりも更に守備にかなり意識を裂くようになった。これでポルトガルの苦手な閉塞した状況から切り崩すと言うことを求められ、結局その課題を打破することが出来ず、フランスの思惑通りに静か二ゲームが終わってしまったという感じだった。

そこに関わる部分ではやはりアンリの存在。なかなかアンリらしさというのがこの大会通じても見れていないし、あのPK奪取に繋がった一連のプレーも彼の特徴とは少々趣の違うプレーだったと思う。ただ、その中で一瞬のひらめきとそれを具現化できる技術力が活きた。逆に先制点を獲れなかったポルトガルは、1トップのパウレタの存在感が本当になかった。ボックスストライカーとして優秀な選手だと思うけど、それでも前戦同様、優秀なセンターバックの前ではあっさりと消されてしまった。

まあこの差は正直大きかったかな。何かパウレタに対しては酷評になってしまった。良い選手だとは思うけど、あくまでもフィニッシャーだから、獲れないと批判されてしまうのは仕方ない。まあそれがFWと言う職業ですな。

残酷だけど、トップの差。両チームの差を分ける一つの要因だった。

・厳格で優秀な審判と狡猾なポルトガルの相性

この試合通じて非常によく見られたのだけど、ポルトガルの選手はファールを「もらいにいく」プレーが多かった。しかし、主審のラリオンダはその演技じみたプレーを明らかに切り捨てていた感じがあって、そのほとんどを獲ってもらえなかった。

で、その繰り返しの中でポルトガルは自ら崩れていった感がありました。メンタル的な側面でも判定に対して非常に過敏になってバランスを失っていたように見えたし、倒れては見たけど笛は鳴らず、奪われて攻撃が切れてしまう。リズムなき淡泊な攻撃の一端になっていたのかなと。

・フランスの堅陣と崩せないポルトガル

で、メインファクターかな。イングランド戦では「デコがいないから……」なんて思ってましたが、引くことしかしないイングランドとは違い、フランスのゾーンは収縮しながらプレーのスペースを消してくる、フランスのゾーンによって前戦にもましてポルトガルは苦しんだ。まあ細かくは書かないけど(上に書いたし、前回も書いてる)フランスのゾーンの機能性の高さがポルトガルの攻撃構築能力を飲み込んだという形かな。スペイン、ブラジル、そしてポルトガルが餌食、これがこの守備のクオリティを表していると思う。

まあこればっかりは仕方ない。引かれたら崩せないよ。しかもその組織を構成している選手一人一人を見てもしっかりしている。唯一の打開の可能性のあったロナウドやフィーゴも収縮されて常に2枚で見られるような形で対応されてはなかなか厳しい。そして期待のデコもプレッシャーの強い地域でプレーできず、ボールは裁けてもアクセントを付けることは出来なかった(バルサの時はやってるんだけど、やっぱり役割が違うこともあるのかな。ロナウドのキープにうまく反応する形でフリーになって……とか見たかったけど)

まあ予想通りっちゃあ予想通り、本質的な部分でポルトガルの脆さが露呈したということなのかなと。まあこんな感じかな。

まあ試合内容はあれだったけど、ジダンとフィーゴが最後はシャツを交換して抱き合ってるシーンは、やっぱりぐっと来た。だから、まあそういうシーンを見れただけでも幸せだったかも知れない。で、ジダンのラストダンスの舞台はWC決勝、整いすぎです。まあそれだけ偉大だから、神様も気を遣ったんだろう。最高の花道が整えられ、後は最高のヒールであるアズーリを蹴散らして、ジダンがジュール・リメ杯を掲げて、めでたしめでたし……っておい!まあ正義の味方より悪役が似合うのは間違いないにしても、こんなシナリオ通りに進んで良いはずがない。だってサッカーの神様は気まぐれ、じゃなきゃここまでサッカーは面白くなってないんだから。まあどっちにしても良いゲームになって欲しいなと。と言うことでここまで。今からご飯食べて、ふろ入ったらプレビュー書きます。さらっとね。

*ちなみにイタリア-フランスは、イタリアが青、フランスが白だそうな。'98、'00と青い方が勝ってる(フランスだけど)

*ココログ凄い重いです。もうごめんなさい、本当にごめんなさい。メンテやるそうです。スケジュールは、11日14:00~14日14:00の48時間だそうな。延長もあるかも。死ねばいいのに。その間、更新できないらしいっす。基本的に僕はこの期間で総括をやろうと思ってたのですが、もしかしてずれ込むかも。本当ご迷惑おかけします

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 05, 2006

ベルリンへの道、通ず@FIFA WORLDCUP Germany2006 Semi Final Germany vs Italy

朝っぱらから発狂しちゃいましたよ。

Viva!Pirlo!
Viva!Grosso!
Viva!Gila!
Viva!Buffon!
Viva!Canna!
Viva!Gattuso!

Viva!Aleeeeeeeeeeeeeeeeeeeex!

ついに決勝、ベルリンへの道通ず!最高だ、最高だ。

FIFA WORLDCUP Germany2006 Day22

Semi Final
Germany 0(0-0/Ex 0-2)2 Italy @ Dortmund
ITA:119'F.Grosso 120'+1'A.DelPiero

FIFA MatchReport

ドイツスタメン:GKレーマン、DFフリードリッヒ、メルテザッカー、メッツェルダー、ラーム、MFケール、シュナイダー(←83'オドンコール)、ボロウスキ(→73'シュバインシュタイガー)、バラック、FWクローゼ(→111'ノイビル)、ポドルスキ"not his day"

イタリアスタメン:GKブッフォン"神と呼ばずして何と呼ぶ"、DFザンブロッタ、ファビオ・カンナバーロ"抱いて下さい"、マテラッツィ"何もないのが良い知らせ"、グロッソ"ラッキーボーイ"、MFカモラネージ(→91'イアクインタ)、ピルロ"ミドルの布石、ノールックのエロさ"、ガットゥーゾ"めでたいカードなし"、ペロッタ(→104'デル・ピエーロ"トドメ!"、トッティ、FWトニ(→74'ジラルディーノ"ナイスアシスト")

もう準決勝となったら、前置きは余り必要ないかも知れませんね。どちらも、非常に充実し、各所に「らしさ」をちりばめたサッカーを展開して勝ち上がってきた、3度の優勝経験を持つ伝統国同士の対戦。若いチームらしい大会中の成長と熟成、期待に応えられるスピアヘッド、自国開催の勢いなど、全てのポジティブな空気を纏えれるだけ纏ったドイツと、毛色が変わったと思いきや、芸術的な守備と息を飲む美しきカウンター、そして流れを読む老練さで、粛々と勝ち上がってきたイタリア。派手でワクワクするようなゲームにはならないとしても、実力伯仲の真剣勝負は魅力たっぷり。

ドイツの方はこの試合の前日、準々決勝試合後のアルゼンチン選手との小競り合いの中での暴力行為がビデオにより発覚したため(そのビデオはイタリアの放送局の提供だとか?)、ドイツの中盤の秩序を担ってきたトルステン・フリングスが2試合(一応1試合+1という形になるらしい。決勝進出の場合は執行猶予となる様子)の出場停止処分を受け、このゲームには出られず。そして疲労が貯まっているということを考慮してか、今大会左サイドの中盤としてスタメンで出続けていたバスティアン・シュバインシュタイガーをスタメンから外し、アンカーにセバスチャン・ケール、左サイドにティム・ボロウスキを据える。対するアズーリはウクライナ戦とほぼ同じコンセプトの4-4-1-1(4-3-2-1?)で臨む。サスペンションを消化したマルコ・マテラッツィが復帰したこともあり、アンドレア・バルザーリが唯一の変更点。相変わらずアレッサンドロ・ネスタの怪我の具合は良くなっていない様子、又ダニエレ・デ・ロッシの出場停止処分はこの試合まで。

前半

どちらも慎重な姿勢を保ちながら進めるかと思われたが、どちらも高い位置から守備を始め、激しいコンタクトと早い切り替えを伴う中盤での攻防で幕を開ける。その中で最初にチャンスを作ったのはアズーリ。その激しいコンタクトで得たFKを、距離はあったがトッティが強烈なシュートで狙う。DFに当たっても勢いの落ちないシュートだったが、レーマンは落ち着いてキャッチした。

激しい展開の中で、リズムを握ったかに見えたアズーリは狙いである裏のスペースを狙う。その狙いを具現化し、トッティのスルーパスから、ダイヤゴナルに走り込んだペロッタが使ってレーマンとの1vs1となるチャンスを作ったが、ファーストタッチのミス、そしてレーマンの速い飛び出しもありゴールに繋げられず。そのチャンスを逃した後、時間と共にサポーターに後押しされるドイツの攻勢が目立ち始める。サイドからの斜めの楔が良く入り、そこから細かいパスコンビネーションでセンターを崩しに掛かったり、外→中→外といった形で展開してクロスに繋げていき、イタリアの守備陣を脅かす。

しかし、そんな攻勢に晒されながらもガットゥーゾを中心とした中盤の広範囲で非常に効果の高い守備貢献、カンナバーロのカバーリングなどが光って、水際で耐える。が、それでも一度肝を冷やすシーンが。高い位置でポドルスキがボールを奪われショートカウンターを受け、最後はクローゼからシュナイダーに繋がり、フリーでのシュートを許してしまう。シュナイダーのシュートは力が入りすぎたのか、抑えきれなかったが(ブッフォンは指先で触ったんじゃないかな、ゴールキックだったけど)この前半最大の決定機だった。

アズーリの攻撃は展開と共に減退したシーンこそあったモノの、ペロッタの飛び出しやサイドバックの攻撃参加などは衰えず、その中で多く得たセットプレーからチャンスをうかがった。しかし、ドイツの高く屈強な守備陣の前にはね返されてしまい、結局先制点は奪えず。前半通じて、両チームの高い守備意識と激しいコンタクトを伴う激しい局面の攻防はスコアを生むことはなかった。

後半

前半のハイペースなプレッシャーの掛け合いが少しずつ遅れ始め、スペースが生まれ始めた感じの後半、開始数分で両チームに決定機が。まずドイツ、中盤での速いテンポのパス交換から左サイドに開いたクローゼへ、クローゼは中に切れ込んで強引ながら巧みにカンナバーロとガットゥーゾの合間を縫うようなドリブルで突破、しかしその危機を素早く察知したブッフォンの勇気ある飛び出しで難を逃れる。その返す刀でトッティ→ピルロ→グロッソでドイツのラインを突破、そのままペナに入っていったが、レーマンの飛び出しに潰されてしまう。潰し合い、消し合いの展開が少しずつ変質し始める。

すると、ドイツが押し込み、イタリアがそれを凌ぎながらカウンターを狙うという展開に推移。両サイドバックがかなり高い位置を取り、バラックやケールも積極的に押し上げて攻撃に加わることで攻撃に厚みを加えたことで、イタリアを押し込んでいた。しかし、アズーリの守備陣は相変わらずの水際での守備能力の高さを見せる。危うい状況でのピンチを向かえてもカンナバーロがブロックに入ったり、コースを消し、ブッフォンがファインセーブを見せと、ドイツに先制点を許さず。

そんな展開で時計が進むと、激しいゲームを証明する様に徐々に選手の消耗も大きくなる。そうなると、より大きなファクターを握るのは両監督の交代含めた采配。スコアレスで、拮抗しているゲームなだけに動きにくいが、先に動いてきたのはクリンスマン。スペースが出てきただけにスピードやテクニックという個に依る局面打開を期待して、ボロウスキに代えシュバインシュタイガー、シュナイダーに代えオドンコールを投入。より攻撃的な選手でリスクはあるが、この大会通じて目立つ、積極的な交代策で拮抗した状況の打開を狙う。リッピもこれを見てか重い腰を上げ、一人前線で体を張り続け、ルーズボールを追い続けたトニに代えてジラルディーノを投入。バランスなどの変更点はなし。
この時点で、僕は少々リッピは後手に陥ったかなぁと思っていた。中盤の運動量が落ちて、切り替えという面では緩慢になっていたから、両サイドバックは彼ら(オドンコール、シュバ坊)を警戒せざるを得ない。オーバーラップの数が減っていた中で更に貼り付けられちゃうかなと。枚数が少なく、なかなかアタッカー達がボールが収まらないから攻撃が形取れず、更にサイドバックが貼り付けられちゃうというのは痛い。そういう意味で、維持を最優先にといった形のトップの入れ替えは消極的に写った。この時点での僕の願いとしては完全にスタミナ切れでミスが目立つどころか、ファールしてセットのピンチを作っていたカモを下げて、2トップにしてほしかったかな

しかし、両監督の采配もこの時点では展開を動かすだけの効果はなかった。時折得点の匂いがしたが、ペナアーク付近のバラックのFKは枠に収まりきらず、この日再三走っては裏に飛び出し続けていたペロッタのラインを抜けたプレーはレーマンのフライングパンチング後エルボーに阻まれ、スコアは動かない。運動量が減り、スペースは生んでも、それだけ両チームの守備の強さや質の高さ、集中力が非常に素晴らしかった。後半もスコアレス、延長戦へ。

延長戦

延長戦というタイミングで、リッピは2枚目のカードを切る。カモラネージに代えてイアクインタを入れ、彼を右サイドに張らせる変則的な2トップに。その交代がメッセージになったのか、アズーリは後半の沈黙を破って積極的になり、チャンスを生み出す。右サイドで競り合いを制したジラルディーノは右エンドライン際を局面打開、カバーに来たバラックを切り返しでいなして素早く打ったシュートは緩やかながらレーマンの反応を許さずゴールに向かったが、ポスト。チャンスは続く、CKのセカンドボールをザンブロッタが拾い、強烈なミドルでレーマンを襲ったがこれはバー直撃。2つの決定機を逃してしまう。

体力的に厳しい中で完全にオープンな展開となり、ドイツはオドンコールが右を突いて再三クロスを上げ、イタリアはイアクインタが右サイドを駆け上がり、どちらにもチャンスが訪れる展開。どちらが先に点を獲るのか、それともこのまま終わるのか、張りつめた中でリッピが再び動く。アレックス投入、下がるのは動き続けたペロッタ。アレックスはプレーエリアを左サイドの高い位置に取り、3トップの様な形に。その中盤を支えるのはピルロ、トッティ、ガットゥーゾ。打って出るという姿勢が見える反面、とてもリスクフルな形に変化させる。
これもびっくりした。まあペロッタがもの凄い動き続けていたというのはあるにしても、守備がしっかり出来る選手をこれ以上下げても良いモノか、あれだけ腐心しようとしていたバランスを失ってしまうんではないかとびくびくものだった。個人的にアタッカーを入れるならなら、トッティ下げても……という感じはあった。しかし、リッピはトッティもピルロも残したまま、アレックスを入れた。20分ぐらいならディフェンスは耐えてくれるという信頼感故からか、獲れると確信していたのか、勝負師らしい賭けの要素を伴う采配だったと思う

しかし、先ほど逃した決定機の報いか、ドイツに決定機が訪れる。延長前半終了間際、カウンター気味の形からオドンコールが右サイドからクロスを上げると、イタリアのディフェンスのマーキングがずれたところを突いて、ポドルスキが走り込みながらフリーでヘッド。しかし、枠に収めきれず。それでも、もう一度ポドルスキにチャンスが訪れる。アレックスがゴール前に飛び出して向かえたビッグチャンスを生かし切れなかった後、アズーリの中盤は戻りきれず、数的有利のカウンターとなり、右から左にボールが流れ、最後はケールからのパスを受けたポドルスキが左足で強烈に狙う。しかし、カンナバーロの高速の寄せ(ファーのコースをある程度切る効果)、そしてブッフォンのセーブがアズーリを救う。

冷や汗をかかされたアズーリでしたが、リスクフルな布陣は、そのリスクに見合うチャンスも作る。ボックス間際でトッティのループパスに反応したイアクインタがヒールで中へ流し、それをしっかりと予測していたかジラルディーノがうけに入って落とし、そしてこのお膳立てをアレックスがフリーでシュート。しかし、狙い通りのシュートを飛ばすことが出来ず枠を大きく逸れてしまう(アウトサイドでの巻いてファーサイドネット狙いだったと思うけど)

どちらも攻め合うがゴールは奪えず、勝敗はPKへと思われた残り1分、ラストチャンスがアズーリに。ピルロのミドルシュートから得た右サイドからのCK、アレックスのキックはクリアされるが、セカンドボールを拾ったのはそのワンプレー前にミドルを放っていたピルロ。ピルロは外に流れながら、CK後も右サイドに開いていたアレックスへ戻すようなそぶりを見せる。しかし、選択したプレーは緩やかなノールックパス。これがドイツディフェンス陣の虚を突き、完全にフリーとなっていたグロッソは緩やかなグラウンダーのパスをダイレクトで巻き込むようなコントロールシュート!これがレーマンの対応を凌ぐ素晴らしいコースに飛んでゴール!ピルロの119分ハードワークして残り1分という状況での、あの落ち着き、あのアイデア、そしてグロッソが落ち着いて必要とされる最高のシュートをしっかりと飛ばした。うーん、最高。

残りはロスタイム、わずかな望みを託して長身のメルテザッカーを上げて総攻撃に出ようとしたドイツ。しかし、そのリスクは実らず、逆にイタリアのカウンター発動。カンナバーロが鋭い飛び出しでインターセプトすると、そのまま持ち上がり、トッティに預けるとトッティは前を走るジラルディーノへロングフィード、これをしっかりと収めたジラはペナ手前左よりでメッツェルダーと1vs1、メッツェルダーをかわし右足シュート!というタイミングでショートパスを左に流し、走り込んできたのはアレックス。レーマンとの1vs1を開き気味に体制から、右上へと沈めて、トドメ!前掛かりになったドイツディフェンスの隙を逃さない、美しく実効的な「らしい」カウンター。カンナバーロのインターセプト、トッティのフィード、ジラの溜めとラストパス、そしてアレックスの長いランニングと落ち着いたフィニッシュ。采配含めて全てが綺麗に繋がって、この勝利に華を添えるゴールになった。このゴールと同時にタイムアップ。延長戦にまで縺れ込んだ激闘はイタリアに凱歌が上がった。

アズーリにとって今大会一番厳しいゲームで、小さなのきっかけ一つでどちらに転がってもおかしくない非常に難解なゲームだった。前評判(テストマッチではホームとはいえ4-1虐殺だったし、タレントの質、チームの積み上げてきた実績を見ても差はあった)、相性(本大会でドイツに負けたことがなかったらしい[2勝2分け])という面ではアズーリ有利というのは分かっていても、ゲーム中では両チームの差異となる部分が生まれてこず、強いメンタリティを持つという要素が悪い予感を呼んでしょうがなかった。それだけドイツに脅威を感じていたと言うことなのかも知れませんね。

勝負の綾としては、やはりリッピの采配かな。クリンスマン云々ではなく、リッピが賭けに勝った。僕は上に書いた通り、試合中は消極的なんじゃないかとか、リスク掛け過ぎとかと思ったけど、結果として相変わらず思慮遠望の効いた、非常に効果的な采配だった。

リッピは流れを読んだ中で、端からリスクを増やしていくのではなく、チャンスが来そうな流れを見て圧力を強めていった。100分以上プレーして体力的には限界に近く、完全にオープンな展開となるのはある程度読めていたのかも知れない(まあ冷静になれば当たり前のことだけど)そうなれば、ゴール前での攻防という部分に試合の趨勢が掛かってくるのは間違いなく、リスクを恐れるより、自国が誇る素晴らしいクオリティを備える選手達をピッチに数多く立たせておくというのは理に適っている。そして結果として、そのクオリティの差がドイツとの差になった。一つのミスが命取りとなる拮抗したゲームで、冷静な判断力を維持し、効果的な采配を振るえるリッピの眼には本当に尊敬以外の何者でもない。

もちろん、そんな采配を可能にするのも信頼を寄せられる堅い守備。オープンな状態でも何とかDF陣は耐えてくれる(もっと書いちゃえばカンナバーロが何とかしてくれる、ブッフォンが何とかしてくれる、ってことかも)という信頼感が、リッピに勇気を与えているのかなと。神な二人はもう書くことがなくなるぐらい高いパフォーマンスを示しているし、マテラッツィもこの日は切れることなく非常にタフなディフェンスを見せた。ザンブロッタもグロッソもバランス良くディフェンスをした。中盤の選手の守備に対する意識、運動量、技術も素晴らしかった。特にピルロの守備貢献は目を見張るモノがあり、攻守両面に置いて存在感を発揮し続けた。まあ采配面を大きく取り上げたけど、様々な状況に対応できるだけの選手を揃え、チームバランスも良く、個々のパフォーマンスもばらつきこそあれどそれなりに高い。決勝進出も充分妥当なモノだと思います。

で、これだけは書いておきたい!アレックスのトドメとなる追加点の価値。まず個人として、こういう場面で勝負を決めきれなかったアレックスが勝負を決定づけるゴールを決めた事。EURO2000の決勝戦、後半に1点先制(トッティのヒール→ビリンデッリの低いクロス→デルベッキオ)した後、交代出場で入っていたアレックスにはカウンターから多くのチャンスが来ていた。でも、その再三のチャンスを活かせず、ロスタイムにパワープレーから信じられない失点を喫してしまっい、結局延長で沈められてタイトルを逃した過去がある。まあそれ以外にも沢山あるけど、勝負弱さみたいなイメージは正直言ってかなり強く付いてしまった。実際、強く残るロビーの幻影にアレックスにしてもトッティにしてもプレッシャーを受け続けてきて、それを打破できないから、結果も出せなかった側面はあると思う。でも、こういう大事なゲームでワンチャンスをモノに出来たというのはその苦々しいイメージから脱却しつつあるんじゃないかなと。トッティも同様。まあロビーが引退したというのもあるんだろうけど、ね。で、チームとしても、引きこもって、時間稼ぎして、逃げ切るのではなく、もう一点獲りに行ったということにチームとしてのメンタリティの変化を感じました。このゴールはチームが変貌してきている証明となるような価値のあるゴールだったんじゃないかなと。

とにかく良かった。あっ、ドイツね。ドイツは3決でやるよ、多分。このゲームが白熱したのはドイツが頑張ってくれたおかげ、まあ列強開催国の最低限のノルマである最後まで大会に居続けるということは果たしたと思うし、素晴らしいと思いますよ。結局この試合でざるラインディフェンスの傾向は余り見えなかったし、大会通じて成長していることを改めて感じれました。とにかく重責を果たしたクリンスマンはお疲れさんだね。

ということでベルリンベルリンベルリン!嬉しくてたまらんですよ。でも、何も成し遂げていないというのはその通り。タイトルを取って死ぬほど喜びたいと思います。どっちが良いって?そりゃフランスでしょ。6年前の悔しさは忘れてないよ。それにジダンの正真正銘のラストダンスが余り関連のないドイツより、長くプレーしたイタリアの方がドラマティックでしょ?まあいいや、ということで長いっすけど。それにしても、嬉しいなぁ……

*ココログの調子が悪いそうです。僕もこの更新するのに30分以上掛かってます。コメントしたのに反映されてないよーという方、ストレス貯まると思うので、その際はもしよろしかったらメールを。お返事しまっす。少し遅くなるかも知れませんが。

itaruru0612☆gmail.com

*↑横にも一応乗せてあるんですが、メルアドです。☆は@に変えて下さいな。ココログさいてー

| | Comments (0) | TrackBack (1)

駆け足レビュー@FIFA WORLDCUP Germany2006 Q.Final Brazil vs France/England vs Portugal

色々あって、書けてなかった準々決勝の2試合を激遅ですが、駆け足で。まあプレビュー代わりにでもなればいいなぁと。

FIFA WORLDCUP Germany2006 Day21

Quarter Final
Brazil 0-1 France @ Frankfurt
FRA:57'T.Henry

FIFA MatchReport

ブラジルスタメン:GKジダ、DFカフー(→76'シシーニョ)、ルシオ、フアン、ロベルト・カルロス、MFジウベルト・シウバ、ゼ・ロベルト、ジュニーニョ・ペルナンブカーノ(→63'アドリアーノ)、カカ(→79'ロビーニョ)、FWロナウジーニョ、ロナウド

フランススタメン:GKバルテズ、DFサニョル、テュラム、ギャラス、アビダル、MFマケレレ、ヴィエラ、リベリー(→77'ゴヴ)、ジダン、マルダ(→81'ヴィルトール)、FWアンリ(→86'サハ)

フランスとブラジルの対戦で、アップセットという言葉が相応しいのかどうかは分からない。でも、世界最高峰のタレントを揃え、アルゼンチンでさえ大差で勝ってしまうほどのポテンシャルを備える今や絶対王者と言っていいブラジル、世代交代に失敗し、"過去"の英雄にすがってようやくこの舞台に立つことが出来てフランス、といった感じの大会前の評判を考えれば、「アップセット」という言葉を使っても、そうおかしいモノではないかな。ただ、中身はアップセットという言葉は使えない。フランスの復活を改めて強く印象づけるゲームだった。ブラジルを抑えきるのはどこも難しいからこそね。

何がゲームの綾だったのかと考えると、フランスの守備が素晴らしく、ブラジルの攻撃は美しいリズムを刻まなかったことになるのかな。もちろんその中には様々な要因が影響していたのだけど、全てをひっくるめて、点を獲れなかったという事に収束していくのだと思う。

この日のブラジルは、エメルソンが怪我、結果を残していたとはいえ本格稼働とはなっていないカルテット・マジコなどの側面から、システム・スタメンを弄ってきた。ワントップ気味にロナウド、セカンドトップ気味にロナウジーニョを据え、ジュニーニョ・ペルナンブカーノ、カカ、ゼ・ロベルト、ジウベルト・シウバがそれを支えるような形(最初は4-2-3-1のような感じに見えたのだけど)に見えたのだけど、これがうまく回らなかった。

本来であれば、テンポが良く、リズムを感じさせるパス&ムーブで相手を困惑させ、その混乱に乗じる形でフリーマンを作り出して、世界最高峰の技術力をフルに発揮できる状況を作り出す、って感じなんだけど、前半は選手間の距離も開いていてほとんど相手の守備ブロックを揺さぶるような形が出てこなかったし、トップはほとんど動かず、完全にテュラムとギャラスの所で存在が消え、ロナウジーニョも厳しく警戒されていたため、ボールが入っていかなかった。後半の途中で慣れた4-2-2-2に戻して、ある程度パスの回りが良くなって、ロナウジーニョがボールを触る機会も増えたのだけど、それでも一度狂った歯車を立て直すことは出来なかった。刺激を与える意味でのロビーニョ、シシーニョの投入も起爆剤にはならず、結局やりこめられたというのが正しいのかな。

確かにフランスの守備ブロックは素晴らしかった。特にブラジルが使いたいバイタルを完全にテュラム、ギャラス、ヴィエラ、マケレレで封鎖したのは素晴らしかったし、サイドに開いたりしてもポジションをズラしながら局面での数的優位を保って、穴という穴を作らなかった。これに関しては仕方ないという側面もあるのかも知れない。実際、この日のフランスの守備のクオリティはブラジルの攻撃の出来を上回っていて、どうにもならなかったという側面が強いのかなぁと。

ただ、本当のブラジルというのが見れなかったのがしこりのように残る。失点後の采配としてリスクを取るという采配も見られなかったし、選手達も何かを変えて相手の守備を崩す工夫をしようとかも見えなかった。まあそれだけ信頼に値するタレント群だったとも思うけど、そのタレントを活かす術としては持っていなかったと言うことなのかな。

まあ個人的にパレイラの志向性としてはカウンター型のチームだったと思うので、ポゼッションにおいて相手を崩すというのは選手の才能に任せていたとも言える。まあそういう意味では当然の帰結だったのかな、寂しいけどね。てゆうか、ブラジルらしさを見せたのは日本戦だけだったのか、出させてしまったとも言えるのだけど。

まあブラジルの出来は置いておいても、フランスはスペイン戦同様非常に整理された形でゲームに臨み、しっかりとゲームプラン通りに進めたことでブラジルを上回った。守備に関しては、上記の通り非常に硬く、ベテランの経験値の高さを表すような読みの鋭さも相まって穴を作らないチームに変貌している。

で、特に良くなったのがジダンの使い方。ジダンにMFとしてではなく、FWの様な役回りを与えることで彼に負担を余り掛けず(彼が自主的にやっている側面は感じるし、その辺は非常に体が切れているのかなぁと感じる)、しっかりと4-4のブロックを作って守る。で、前に出て行くときにジダンをボールステーションとしてボールを預け、そこからダイナミズムを付随させて相手を崩していく。リベリーやマルダはもちろん、グループリーグの第3戦で復活を遂げたヴィエラとのコンビネーションも目立つ。この試合でもジダンの警戒度は低かったとはいえ、彼が非常に多くボールに絡み、チャンスを生み出していたこと考えたら、とても良く機能するようになっていると感じました

ある程度まとまってきただけに、後はいかにゴールを獲るかという事に掛かってくると思う。セットでのゴールが目立つけれど、アンリ-ジダンとか、アンリ-ヴィエラという本線が繋がってくるか、オプションとしてのトレゼゲだったり、サハということなのかな。スタイルが変わると、チームの特性も変質して機能性、負担度などが変わってくるから、難しいところだけど、今の良い流れからすれば、冒険もしやすいんじゃないかな。星占いはしないにしても、ね。

とにかく、フランスの復活を非常に強く感じるゲームでした。ジダンのラストダンスの残数が残り"2"になったこと。これがとてもめでたいと思った。

Quarter Final
England 0(0-0/Ex 0-0/PK 1-3)0 Portugal @ Gelsenkirchen

FIFA MatchReport

ベッカムの負傷退場、ルーニーの退場など相変わらず負けるときにエクスキューズが付くイングランドらしい敗戦。ポルトガルもここまでのポジティブなパフォーマンスがイングランドの引きの姿勢に消されてしまった。全体的にはちょっと残念なゲームだった。

実際、勝敗はPKに委ねられ、そのPKで又リカルドが躍動しまくりで、ジェラード・ランパードをストップするというもの凄いことをやりのけたことでポルトガルが勝利したわけだけど、あれに何かが表れている気がした。あれだけもの凄いキック力を持つジェラードもランパードも思い切り蹴らずにコースを狙ったキックをした。あの距離で思いっきり蹴れば、読んでもそうストップモノではないと思うけれど、彼らはコースを狙ったキックをした。そこに今大会のイングランドの姿勢が表れていたかなぁと。選手間がバランスを取ることに腐心し、慎重な姿勢にならざるを得ないことを象徴してたのじゃないかな。まあたまたまなんだろうけどね。

で、この後ゲームのあるポルトガルだけ。この日はイングランドに引っ張られる形で良いパフォーマンスを表現できず、その中でフェリポンもおかしな事をしてたけど、ここまでのパフォーマンスを考えれば、フランスとも対等に渡り合うとは思う。守備は組織として熟練されており、攻撃に置いても中盤の高い構成力に加えて、神出鬼没なマニシェのダイナミズム、クリスティアーノ・ロナウドの突破力、フィーゴの老練なプレーなど、チームのストロングポイントをうまく内包しているとてもバランスの良いチームだと思う。てゆうか、デコ、コスティーニャ、マニシェが揃えば、普通にクオリティは上回るかも知れない。それくらいクオリティは高いと思う。課題としてはスコアに繋げる部分。

まあとにかくフランス相手にどんな試合をするのか、あの固い守備ブロックはスペインやブラジルといったこの大会の攻撃的な象徴だったチームを抑え込んだだけに、ポルトガルが崩せるかどうかは本当に興味深い。だから、ゴールを獲れるかどうかは別だけど。

そういえばウォルコットは使われませんでしたね。レノンは頑張ってたのに下げちゃうなら、そこで思い切っちゃえば良かったのに、と思ったのは内緒だ。

ということで全然まとめる気もなくやっつけですよ。たまには良いでしょ。てゆうか更新できなくて、その合間に書いただけだから。一応決勝トーナメントは全部カバー(笑)ということでここまでっす。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 04, 2006

偉大なる選手の引退に思う。

2006年7月3日、中田英寿がピッチに別れを告げるという旨のニュース速報が流れた。

素直な思いとして。

驚いた。青いシャツから離れることは予測できたが、現役引退とは。強烈なインパクトを伴うプレーで数々驚かせてもらったけれど、最後まで驚いた。

惜しい。彼の持っている力、経験が惜しい。プレーヤーとして、若いときから考えれば変化を必要とした時期だったかも知れないが、聡明な頭脳、戦う意志、逞しさ、そういう要素を兼ね備えているフットボーラーのプレーがこれで終わりだというのは惜しい。そして、彼の積んだ尊く、又厳しい、貴重な経験が、後進、特にこれからの日本を支える世代に直接伝わらなかった事が、惜しい。

らしい。常に孤高な存在として、期待や責任の重さを背負い続けながら、道を切り開いてきた強さがあるからこそ、あるであろう様々な後悔や未練、あるいは愛着を振り切って、新しいステップに進めるのだろう。そして、そこには日本人的なウェットな感情を絡めず、クールにスタイリッシュに締めてしまうことも、らしい。

寂しい。日本サッカーの急速な発展は彼と共にあった。彼が道を切り開き、彼が引っ張り続けた。そしてそれを僕は見続けてきた、日本が強くなる課程と共に。そんな一時代が去るという時の流れと共に、そして彼を見れなくなるという事が、寂しい。

とにかく残念だ。そしてこれからの日本代表を考えても又、ポジティブな感慨は浮かんでこない。

一時代を築くような偉大な選手を失うことは大きな喪失感を伴う。これからディエゴ・マラドーナを失ったアルゼンチンやロベルト・バッジョを失ったイタリアのように、日本も又偉大な選手の喪失感による「ヒデ・シンドローム」に悩まされるかも知れない。それは後進の選手には重荷となり、可能性のある選手を潰す可能性もある大きな重しだ。それでも尚、いてくれて良かったと思う。それだけ偉大な選手が日本にいたという証明でもある。

とにかく、こちらこそありがとう

これは僕の未練として。フットボール界の喧噪と情熱を懐かしく思ったら、いつでも戻ってきて欲しい。それが、どのような形でも。出来ればそれがJだったら、望ましい。それを僕は待っている。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧