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April 26, 2011

Perfect ReOpenning!@2011 J.League Division1 第7節 アントラーズ vs Fマリノス

フットボールのある幸せ、そしてフットボールがくれる幸せ。

二つの幸せを噛みしめて。

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2011 J.League Divison1 第7節

アントラーズ 0-3 Fマリノス @ 国立競技場「Perfect ReOpenning!」
F.Marinos:3'小椋祥平!!! 76'栗原勇蔵!!! 90'+4'OwnGoal!!!

Fマリノススタメン:GK飯倉大樹"慎重に、大胆に"、DF小林祐三"タイミングの妙"、栗原勇蔵"全力!"、中澤佑二"正視の末に定めたバランス"、波戸康広"派手さはなくとも"、MF小椋祥平"大仕事!"、谷口博之"本番の勝負勘"、中村俊輔"チームの1ピースとして"、兵藤慎剛"貢献する男"、FW小野裕二"大きい大きい存在意義"(→87'長谷川アーリアジャスール"体現したチーム一丸")、渡邉千真"奮闘"(→60'金根煥"見つけた居場所")

アントラーズスタメン:GK曽ヶ端準、DF新井場徹(→80'小谷野顕治)、岩政大樹、中田浩二、アレックス、MF青木剛、小笠原満男"まず、プレーヤーとしてすべきこと"、野沢拓也、遠藤康(→46'大迫勇也)、FWカルロン(→46'本山雅志)、興梠慎三

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《review》

試合は早々に動く。鹿島陣内深くに飛ばされたロングボール、岩政が頭で弾きそのセカンドボールをアレックスがアウトサイドで繋ごうとしたところ、狙いを定めていた小椋が全速力でコースに入りインターセプト!千真のリカバリを許さないスクリーンプレーの援護を受けてそのままボックス内に進入すると、右足振り抜く!これがブロックに入った中田浩二を掠めてコースが変わりそのままゴール!開始3分での先制点!

このアドバンテージでゲームの方向性が定まる。名古屋戦同様コンパクトな4-4ゾーンを形成、2トップも攻撃構築を制御するアプローチを見せ、ソリッドな堅陣を築きつつ、攻撃でも手数を掛けずに高い位置にボールを動かしていくことでショートカウンターを回避。この狙いが功を奏し、鹿島のお家芸とも言える鋭い切り替えからのカウンターも、バイタルを使われて崩されるようなシーンもほぼ皆無(前半の鹿島の決定機はセットプレーの流れからの小笠原のミドルシュート1本のみ)チーム全体が意識統一し、常勝・鹿島を封じ込めた。

攻めあぐねた鹿島は、後半開始のタイミングで本山雅志・大迫勇也を投入し、4-2-3-1にシフトチェンジ。サイドハーフが作り出す幅、縦関係となった本山と興梠で作り出すギャップで揺さぶりに掛かる。しかし、本山の中央での出入りにも小椋・谷口は中央をお留守にすることなくきっちりと管理、大きなサイドチェンジにはサイドハーフとサイドバックが粘り強く対応することで局面打開を許さず。

我慢することで流れが来るのは摂理か、クンファン投入で更にカウンターに特化したFマリノスは、裕二とクンファンが高さとスピードで圧力を掛け続ける。そして、岩政から「もらった」右からのCK、少し離れた位置にふわっと上げられた俊輔のボールをクンファンが競り落とすと、内側に入り込んだ谷口が青木と競る。充分なクリアとならなかったボールに反応したのは勇蔵!目の前に落ちてきたボールを強烈に叩き、曽ヶ端の手を弾いてゴールネットを揺すった!欲しかった追加点を相手のミスから得たセットプレーで取る。勝つチームの流れ。

鹿島は2点ビハインドとなり新井場を下げて小谷野を投入し攻勢を強めるが、この交代も反撃の呼び水とはならず。逆に大きなスペースを得たFマリノスのカウンターが決まる。裕二のエンドライン際からの鋭い突破、小林祐三の素晴らしいオーバーラップ、時には佑二がインターセプトしたままドリブルで攻め上がるなど、スペースのある状態でゴール迫るシーンが増え、そしてラストタイムに更なるゴールが。3枚が飛び出し、ボールが左のクンファン→右のアーリア→中央の勇蔵と動く。最後は勇蔵のフィニッシュ……!阻もうと懸命に戻った野沢がオウンゴール。だめ押しとなる3点目!Fマリノスが鹿島撃破プランを完遂し、今シーズン初の勝ち点3を得た。

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《impression》

/positive/

・昨シーズン完全に「ちゃぶられた」鹿島に対して現状の力関係を正視し、現実的なプランを携え、ゲームに臨んだことに尽きる。とはいえ、先制点に繋がったプロセスを考えると、立ち上がりは統一し切れていない部分もあったのかもしれない。ロングボールに対する押し上げとはいえ、小椋がインターセプト可能な位置までポジションを上げていたことは結構不自然。プランニングとして理解はしていても、前から追う、捕まえるという意識が選手の中に残っていたのかも知れない。結果として、このプレーがきっかけとなり先制点が生まれ、先制点で得たアドバンテージがプランニングの意思統一をより強固にし、徹底した守備へと繋がっていく。そして、その徹底した守備が鹿島を封じ込め、勝利に繋がっていく。この先制点が全てを変えた。大きな意義あるゴールだった。

・名古屋相手に機能した4-4ゾーンディフェンスはより整備された印象。コンパクトな陣形によるバイタル圧縮、シビアなアプローチと素早い収縮、これに加え2トップの精力的なアプローチによりパスコース制御が加わり、前半に限れば鹿島にほとんどバイタルの進入を許さなかった。特に勇蔵・佑二・小椋・谷口で形成した中央のスクエアは非常に堅牢。1人1人が強く、ボールを奪う力も非常に高いため、安心してみていられるぐらい頼もしい守備を披露した。

・ただ、中央の4枚だけじゃなく11人全てが1人1人に課されたタスクを完遂したからこそ、完封劇に繋がった。裏を突こうとする興梠の動向に目を光らせつつ、スリッピーなピッチにもミスなく安定したセービングをした飯倉。サイドハーフと連携しつつバランスを意識して蓋をした小林祐三・波戸。素早い帰陣とサイドバックのオーバーラップに対し粘り強く対応する責任を果たした俊輔・兵藤。そして、前述の通り精力的にアプローチをかけてパスコースを切り、時には自陣深くまで戻って守備を助けた裕二・千真。全ての選手がそれぞれに役割を全うしたからこそ、この無失点がある。このチームのタスクに対する強い責任感、全員が賞賛されるべきプレーだったと思う。

・リスク管理、という面でも非常に意識が徹底されていた。最も危険なのは奪った後にすぐにロストしてカウンターを浴びること、それこそ先制点のシーンのように。それを意識してか谷口・小椋は細かい繋ぎで相手をいなすのではなく、ダイレクトもしくは2タッチぐらいの速いタイミングで2トップに対して楔を入れていく意識が非常に高かった。濡れたピッチの影響か著しく精度を欠いたり、イメージやタイミングのズレもあってか繋がることは少なかったが、狭い中盤でのプレーを避けてロストによるカウンターを未然に回避するという意味で非常にいいプレーセレクトだった。素早い攻撃移行(カウンターの第一歩)、テンポを作り出すと言う意味でも意義のあるプレー。チャレンジを続けて欲しい。

・ボールを奪う位置が低くなる傾向の中で、2トップの奮闘が目立った。シュートチャンス少なく、アタッカーとしては不本意なゲームだったのかも知れないが、チームへの貢献度は非常に大きかった。前述の献身的な守備に加え、空中戦で身体を張り、スペースへのボールを全力で追うことでマイボールにするなど、満足なフォローがない中で攻撃の時間を作り、守備陣を間接的に援護した。特に裕二の出来は出色。負傷で出場が危ぶまれていたとは思えないほど走り回っては深い位置で起点を作り、時折鋭い突破でエンドライン際をすり抜けるなど、脅威となった。千真・クンファン・アーリア含め、良い仕事をしてくれた。

/suggestion/

名古屋、そして鹿島。最も険しいと思われるアウェイの連戦で勝ち点4と言う結果は、最良に近い結果であり、満足出来る結果だった。

内容的にも、チームとしてしっかりと守り、機を見て攻めるという形を持って、Jトップと言っていい相手とも充分に渡り合えた。これに関しては、プレシーズンでフラフラしていたチームにとって大きな自信となるファクターである。

しかし、この2試合で求められた要素は、あくまでもFマリノスが持つ「強い」一面が表に出たに過ぎない。求められる要素が変わったときに何が出来るか。これが今後のテーマになっていくのではないだろうか。

サッカーに同じ試合はない。相手が変わり、展開が変わり、状況が変わったときには違う一面が求められることになるだろう。

相対的にポゼッションを握る(握らされる)展開になったときにどうするか。より能動的にボールを動かせるか、ダイナミズムを生み出せるか、その上で攻め落とせるか、攻撃に人数を裂きすぎる悪癖を抑制してマネジメント出来るか。

先制される展開になったときにどうするか。時間帯によっては精神的な余裕を保ちつつ普通にゲームをしていくことも求められる。時間がなければなりふり構わず、より効果的な攻撃が求められる。当然その中で失点は避けなければならない。

より気温が上がり、運動量を上げれない状況の時にどうするか。練習では、自由にポジションを変えポゼッションする攻撃と奪われたら激しいプレスを掛ける守備を組み合わせたサッカーを標榜してる雰囲気のある状況において、効率の悪いサッカーで戦えるのか、戦いきれるのか。柔軟にサッカーを切り替えられるのか。

まだまだ沢山やるべきこと、やらなきゃいけないことがある。そのためにもひとつひとつの練習をより意義深く、積み重ねていくひとつひとつの試合で生まれる課題を放置せず修正していって欲しい。

せっかく掴んだ良い流れだからこそ、イイ準備をする。この流れを切らないために。さあ、次節はホーム開幕。

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《gallery》



2011/4/23 J.League Division1 第7節 アントラーズ vs Fマリノス @ 国立競技場(picasa/me)

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(´-`).o0本当に素晴らしい再開になりました。前日のそわそわ感から始まって、スタジアムへの道中で感じるワクワク感、試合前の緊張感、試合の中で感じる恐怖感や焦燥感、そしてゴールの瞬間の歓喜、そして勝利の充実感……色々な感情を味わえて、あぁ、開幕したなぁと思いました。サッカーって素晴らしい。

(´-`).o0スタジアムで嬉しかったことと言えば、試合後に色々な方と笑いあったり、握手したり、ハイタッチしたり、キャッキャと飛び跳ねてみたりと、喜びを分かち合えたこと。みんな笑顔で嬉しそうで、まあ僕もずーっと(≧∀≦)な顔してましたが、こういうのもまた、ひとつの醍醐味だよね。次もこういうのが出来ると良いなぁ……。

(´-`).o0これだけでも充分幸せなのに、次の日に更なる幸せな出来事があったわけですが、それは……次の更新で(できるのかはさておきw)

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