久々の爆発するようなゴールの歓喜。
王者を追いつめたという手応え。
すり抜けた勝ち点への悔い。
その全てが「開幕したなぁ」って気持ちにさせてくれる。
-----------------------
2011 J.League Division1 第1節
グランパス 1-1 Fマリノス @ 豊田スタジアム「手応えと悔いの開幕戦」
F.Marinos:63'兵藤慎剛!!! Grampus:90'+5'pジョシュア・ケネディ
Fマリノススタメン:GK飯倉大樹"その悔しさは次に"、DF小林祐三"試される適応力"、栗原勇蔵"すがすがしき敗戦"、中澤佑二"滑り込み!"、波戸康広"悔恨の決定機逸"、MF長谷川アーリアジャスール"開花の予感"(→71'森谷賢太郎"debut!!!")、小椋祥平"止まらない進化"、谷口博之"縦横無尽・一騎当千"、兵藤慎剛"懸ける思いはひしひしと"、FW大黒将志"大黒様"(→68'小野裕二"新No.10")、渡邉千真"ストライカーとして"
グランパススタメン:GK楢崎正剛、DF田中隼磨"当たり前に感じる成長"、田中マルクス闘莉王、増川隆洋、阿部翔平、MF中村直志(75'三都主アレサンドロ)、藤本淳吾(82'吉村圭司)、小川佳純、FW金崎夢生(66'永井謙佑"異次元")、ジョシュア・ケネディ、玉田圭司
《review》
コンパクトな4-4ゾーンからの激しく、そして速い収縮によるボール奪取、名古屋のアプローチをいなす少ないタッチでの速いボールムーブで主導権を奪った序盤。スペースが空けばアーリアが自らボールを運ぶ、ロングフィードに2トップが抜け出す、クロスから大黒が頭で合わせるなど、フィニッシュシーンも作るが名古屋のゴールは割れず。
コンパクトかつ激しい横浜の守備に手を焼いていた名古屋だったが、小川が幅広く動いて攻撃に絡む事できっかけを掴むと、沈黙していた3トップも徐々に特徴を発揮し始めてゴールに迫る。横浜としては押し込まれ、中盤がディフェンスラインに吸収され、何とか凌いでも攻撃に移行出来ず苦しい状況。しかし、水際での必死の抵抗もあり、苦しい時間帯を無失点で切り抜けた。拮抗した前半はスコアレス。
後半に入っても拮抗した展開は継続、波を捉えたのは横浜。良いボールの奪い方から相手のアプローチをいなしながら外→中→外とボールが動いて最後は千真のグラウンダーのクロスに中央スルーが絡んで大外フリーの波戸に繋がる大きな決定機、ここは枠を捉えることが出来ず。この決定機は活かせなかったが、次のビッグチャンスでゴールが生まれる。
中盤に生まれたスペースを使ってアーリアがボールを運び、中央大黒へ。ここは増川のカットに合うが、このこぼれを兵藤がピックアップ。兵藤は間髪入れず中央に切れ込むと闘莉王のタックルをかわし、左足で低い弾道のシュート!名手楢崎正剛も及ばず右のサイドネットを揺すった!
しかし、このまま王者も黙ってはいない。スーパールーキー永井謙佑投入でで反転攻勢。永井の異次元の加速性能は次々と横浜の歴戦の猛者を「ちぎる」。ダイヤゴナルランで小林祐三を振り切り、混戦の中でこぼれたボールに反応すると中澤佑二を置き去りに、セットプレーのこぼれ球を思い切りよくボレーで狙う……飯倉のファインセーブで事なきを得たが、永井謙佑の脅威はとてつもないものだった。
ケネディ・闘莉王の高さを生かしたパワープレーと永井の異次元のスピード、二つの脅威に息も絶え絶え、それでもチーム一丸で水際で身体を張り逃げきったと思われたラストプレー、永井の脅威が再び横浜を襲う。又しても混戦の中でスペースにボールが流れると永井が突き抜けるようにラインの裏に抜け出す、勇蔵が必死に抵抗し身体を寄せるが引き倒す格好となって、このプレーが痛恨のPK判定。このPKをケネディがきっちりと決め、ここでホイッスル。「勝ち点3」は、異次元のスピードによって「勝ち点1」にすり替えられる結果となった。
《impression》
/positive/
・王者への敬意か、選手達の危機感か、そのきっかけは何にせよ、これまで準備してきたプレッシングに見切りを付け、コンパクトな4-4ゾーンディフェンスに切り替えたことは英断。ある程度前から追うことはあるにしても、基本はまずオリジナルポジションに戻る。入ってきたらアプローチ、周囲が反応し収縮。選手達の中にははっきりとした「奪う」イメージが共有され、軸足が定まったことでチームとして一本芯が通った。
・そのゾーンディフェンスを機能させる上でコンパクトな陣形を保つための強気のライン設定が非常に良かった。中盤との距離が詰まったことで、バイタルが圧縮することが出来た。圧縮の効果で名古屋の主要パターンであるの一つであるケネディのポストからの展開をある程度封じることが出来たし、相手の実効力伴う攻撃の頻度を落とせたことを考えても非常に意義のある形だった。
・玉際でも戦えたし、水際で粘った。ゴールライン手前でのクリア数回はそれだけ危ういと言うことを考えれば決して褒められるものではないけど、それだけ最後まで抵抗出来ていたと言うこと。谷口の出来の良さは特筆すべきところだし、その谷口とコンビを組んだ小椋もバランスを考えながらマネジメントし、局面ではしっかりと戦った。佑二・勇蔵は二人とも致命的なミスがあったとはいえ、サイドから漏れてくるところをシャットアウト。ケネディへの対応も屈することなく。小林祐三の危機察知とカバーリングもこういうシビアな試合では頼りになる。その他の選手に関しても守備に対しての意識は高く、よく戦ってくれた。
・良い奪い方が出来れば、良い攻撃に繋がる。前向きにボールを奪えれば、スムーズに攻撃に移行出来ていた。相対的な要素として、名古屋のバイタル管理が元々甘い(+驚異的な進退能力を持って広くカバーするダニルソンの不在も大きいか)というのはあるにしても、奪いに来たところを小気味良いリズムのワンタッチ・ツータッチパスでいなしたり、アンカー脇に空くスペースを使ってアーリアがボールを運ぶ事でバイタルに入っていけたし、裏を狙う2トップに「飛ばす」ことで深みも作れた。TMでは少し頭でっかちになってた感があったけど、頭が柔軟に良く動いていたのかな。
/negative/
・緊急避難で詰め切れていないというエクスキューズは付くとは言え、飛び出しに対する受け渡しやサイドでの数的不利におけるスライドと言った組織で守る上での応用力に欠けたことは否めず。特に小川・淳吾を見きれずに彼らの動きによって揺さぶられることが非常に多かった。この辺は改善の余地有り。
・押し込まれた後の攻撃構築に関しても不安を残した。押し込まれ、何とか凌ぐも中盤まで最終ライン近くに押し下げられているため、ボールの出し所が2トップしかない。しかし、そこで収まらず奪われ二次攻撃を喰らうことも散見。いかにしてリスクを回避しつつ、攻撃に移行していくのか。切り替えの意識を高めてロングカウンターに発展させることであったり、時間を作りつつ次の出し所を作る努力をするなど、チーム全体で考えなきゃいけない問題。トップに当てるならサポートもっと早く、だしね。
・崩しの部分は少し迫力不足・工夫不足、かな。いい形でボールを運べてはいたけど最終ラインを攻略するには至らず。この辺はTMでは森谷・健太がいたときはうまくいってたわけだし、イメージを共有し連動する形でチャレンジしていって欲しいな。千真のシュートセレクトはストライカーとして頼もしさは感じるけど、遠すぎる嫌いはあったかな。
/extra/
・謙佑のスピードは異次元。トップスピードも速けりゃ、トップスピードになるまでも速い、てか、最初からトップスピード。後方から来てもぶち抜いていくわけだから、ヨーイドンでも完全にアウト。先読みして先にコースに入るしか術はないし、あのPK献上に関しても、ぶっちゃけしゃーないレベル……。大学の時より速く感じたのは恐らくスピードって武器を前面に押し出してプレーしてるからかな……。斜めに入ってきて、とか、前にこぼれたら、みたいな感じでとにかく突き抜けるようなプレーをしてた感。ボレーも凄かった……。
・ゼロックスと立て続けに見て、隼磨本当に良くなってる。このゲームそんなに良かったか、って言われると平均点ぐらいだと思うけど、サイドバックとして当たり前のことを当たり前のように出来るということがどれほど尊いことなのか。ポジショニングの良さ、流れを読む力、低い位置で攻撃構築を担いつつ機を見て「長い距離」を走り抜ける形で攻撃参加する抑揚。案外出来ていないからこそ、当たり前にすべきことを出来る隼磨に関しては感銘を受けた。隼磨帰っておいで。
-----------------------
《gallery》
2011/3/5 J.League Division1 第1節 グランパス vs Fマリノス @ 豊田スタジアム(picasa/me)
-----------------------
(´-`).o0いよいよ始まりましたね!今年も気ままにやっていきますのでお付き合いよろしくお願いします。
(´-`).o0今週はホーム開幕戦、なんかチケット売れ行きイマイチみたいだけど、みんなでこぞって日産スタジアムへ!プリクラだのコインだのクラブも頑張ってるみたいだし、僕もhamatraPaperで頑張ってコラム書きました( *`ω´)是非是非スタジアムで受け取って読んでくださいね(宣伝)