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February 19, 2010

東アジア選手権を終えて。

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東アジアのライバル達に突きつけられた「完全否定」。

その否定は、日本を喧噪で包みこむ。

そんな東アジア選手権で感じたこと。

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【機能性と実効力】

日本が世界に勝つ為に、岡田武史が見出した2つのディティール。

・近距離でのハイテンポなパスコンビネーションを軸にサイドを突き崩し、エンドライン際からのグラウンダークロスのターゲットはニアへ、特性でもある敏捷性・瞬発力を活かしマーカーを出し抜きゴールを陥れる「獲るためのディティール」

・攻撃時の選手間距離の近さを利用し、ロスト後の素早い切り替えで密集陣形のままボールホルダーに間髪入れずに複数人でアプローチを掛けることですぐさま奪い返し、高い位置でのボール奪取をする「奪うためのディティール」

その他、ポストプレーヤーを置かずに流動的に動きながらダイレクトや2タッチを頻度高く用いるパスムーブを核にした攻撃構築、個人能力の差を補うための数的優位を作り出す接近した距離関係なども上げられるが、この2つのディティールを軸に、岡田武史の日本代表は世界へ挑戦する。

しかし、長期に渡り主力メンバーを固定することで追求してきたにも関わらず、昨シーズンの夏から秋に比べると機能性にも実効性に陰りが見られた。このテーマに置いて注目するのは守備面。

「奪う為のディティール」、本来奪われた瞬間に襲いかからんばかりのトランジッションスピードで一気に複数人が寄せ、周囲のパスレシーバーの選択肢を消すアグレッシブなプレッシングは「90分間の継続性」という課題を残したモノの大きなインパクトを残した。しかし、あの鋭さはどこへやら。このコンペティションでは、切り替えの鋭さもシビアなアプローチも影を潜め、寄せきれずに次の展開を許して、チームとして狙っていたロスト後の狭い局面を利用したボール奪取というシーンは非常に少なかった。はっきり書けば、「普通」のプレッシングに過ぎなかった。

そして、何より気になったのが実効力の部分。ベネズエラ戦や中国戦、そして象徴的だった韓国戦のトドメとなる3失点目……局面的に数的優位を作りながら、その優位な状況でも奪いきれずに局面打開を許してしまう。足先で奪うような軽いボール奪取アクションを否定するかのようにボールホルダーのエネルギーに屈する形で強引にこじ開けられてしまうシーンが何度も見られた。

フィジカル含めた個人能力、コンディショニング、失敗体験による疑念、メンバーの違い、選手個々が持っている覚悟、理由はいくらでも挙げられる。しかし、この東アジアで表現されたクオリティは「不十分」なモノだったと言わざるを得ない。

(´-`).o0今や常識となりつつあるプレス戦術、だけど、それがどこか日常化し、形骸化している側面があるのではないかと思う今日この頃。プレッシングというのはピッチの一カ所に複数の選手が収縮する訳だけど、それは逆説的にプレスポイントの他にはスペースが生まれているということになる。そのスペースは当然使われたら危険な状況に追い込まれる。それだけリスクのあるタクティクスであると言うことを改めて認識するべきじゃないのかな。行ったからには相手の足を削ってでも奪う、抜かれそうになったら引っかけてでもプレーを止める、それぐらいの執着があっていい。囲い込みながらぶち抜かれるシーンを見て、ね。

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【ワールドカップの切符とコンセプトへの従属】

子供の頃からの夢、1人の選手としての到達点、限られたサッカープレーヤーだけが立てる栄光の舞台、それがワールドカップ。

そんな舞台への切符を持つ人間の言葉となれば、伝わり方は普段にも増して強く伝わってしまうのかも知れない。

それが表れたのがもう一つのディティールである。

「ゴールを奪う為のディティール」。世界で戦い、勝つ為の逆算として、エンドライン際からの高速グラウンダーを俊敏性を活かして先に触る形でゴールを奪うというアプローチは、決して間違ってはいないと思っている。しかし、コンセプトに固執し、なぞるように同じ攻撃を繰り返す事が本当に正しいのか。

結果が雄弁に物語る。事実、コンセプトとして定めている形からこのコンペティションで獲れたゴールはひとつもない。

手の内が分かっていれば相手はいくらでも対応出来る。だからこそ、フットボールは騙し合いであり、いくら戦術が進化しようと、研鑽されようと、アイデアや技術のある選手は淘汰されずに価値を保っている。そして、このコンペティションでピッチに立った選手達も普段ならそういうプレーが表現出来る選手のはず。しかし、このコンペティションではコンセプトに縛られ、従属した。局面的にアイデアやエスプリは魅せたが、そのプレーはエンドラインにゲインするためのモノでしかなく、コンセプトを具現化する為のモノが多かった。そのプレー自体を否定するわけではないが、それでは相手の目を欺くには充分ではなかった。サイドを使う為の事前準備としての中央の見せ方、パターンとして突き詰めていた斜めの速いアーリークロスやダイヤゴナルランに呼応してボックス角から流し込む斜めの楔でポイント作って連動してフィニッシュに持ち込む形、時には強引な突破やフィニッシュといった個人としての「意欲」や「積極性」の表現、出来ることはあったはず。

岡田武史という監督が勝ちに行くとき、徹底的にディティールを追求していく。恐らく3週間のキャンプの中でも繰り返し選手に伝えていたのだと思う。しかし、そのメッセージが伝わりすぎて、選手の思考を支配してしまったのではないだろうか。このチームに入る=ワールドカップに出る、ってことに繋がる、その一本の糸とも言うべき自らの言葉の重みを捉えきれなかった監督のマネジメントミスの結果がこの硬直を生んでしまったような気がしてならない。しかし、何よりその批判を受けるのは選手達、ピッチに立ちプレーするのは選手だからこそ、プレーヤーとしての「自我」を持って欲しかった。

(´-`).o0シーズン開幕前、オフ明けのこの時期のハイパフォーマンスを期待するのは酷なことかも知れない。ただ、彼らが日本サッカー界の選ばれた精鋭であることは変わらない。にも関わらず、自らパスコースを作るためのアングル付けもしない、少しでも条件を良くする為のボール運びもしない、パスも簡単に浮かせる、イージーなパスでさえファーストタッチが雑で自らのプレーサークルを外す、下らない事プレーが多すぎる。憲剛とか、すげーがっくりした。俺の知ってる憲剛はもっと質の高い選手なのに、とかね。まあ憲剛だけじゃなくて、他の大半の選手もそう。戦術と同じで、ひとつひとつのプレーディティールを大事にすることも又凄い大事な要素であると思うし、プレーのクオリティを左右すると思う。それは選手の責任だと思うし、その責任は1人1人が重く受け止めて欲しいと思う。コンディションの問題、だけで済まさずに意識をより高く持つって意味で。

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【激震の中で思うこと……】

3週間の事前合宿を経てのコンペティションで、この内容と結果では逆風が吹くのは当然の摂理であることは間違いない。韓国戦の敗戦の過程は余りにお粗末で、自分自身もショックを受けた。

速く厳しいプレッシャーの前に生命線とも言えるテンポの良いパスムーブを核にした攻撃構築が封じられロングボールで逃げるばかり。とっておきの好機も精度を保てず、せっかく数的優位を持って囲い込みながらも突破され、ひとつひとつの玉際でも相手の気迫に競り負けるように後手を踏む。苦しい展開の中で選手は自我の発露も自助努力も工夫もアイデアもなくコンセプトをなぞるだけ、監督も自らの定めたコンセプトに縛られ打開策を打てない。アクシデントが絡んだとはいえ、(特にライバル相手に11vs11の時に)何も表現出来ないまま蹂躙された事実は果てしなく重く、やってはいけないゲームをしてしまったと言う思いは拭えない。

しかし、このチームのパフォーマンスがあの程度なのかというとどうしても「そうじゃない」という気持ちがもたげてくる。実際自分のこの眼で見たゲームのその多くはこんな落胆するようなパフォーマンスではなかったし、欧州遠征のパフォーマンスは現実に打ちのめされた側面はあるとはいえ、このチームの最高到達点を示したゲームであった。

だとすれば、やるべきことはただひとつ。オランダ戦のように結果を恐れず、ガーナ戦のように吹っ切って、意志を発するようなパフォーマンスを取り戻す。このチームには戻る場所がある。立ち返る場所があるのだから。

そして僕が尊重したいこと。岡田監督が世界と戦う為に導き出し築き上げようとしているフットボールが、実力的には1枚も2枚も上手と目される相手を前に、日本人であることから逃げず、その現状を真摯に捉えた上で築き上げられたフットボールであるということ。相対的な側面に置いて長所と短所を見極め、狙い所を絞り、精度と速度を高めることで世界に打って出ようとしている。日本が世界と戦う為の術を日本人のほとんどが見いだせていない(いや、考えていない、丸投げしている、と言った方が正しいか)現状に置いて、その姿勢は決して軽んじられるモノじゃない。その答えを導き出し追求している姿勢は間違いなく尊いモノだと断言出来る。

それでも世界には届かないのかも知れない。現状ではその公算が高い。オランダ戦では事実、2/3までしか届かず、崩壊し、辛酸を舐めた。しかし、今日本人が出来る最善策を携えて、挑む事で見えてくるモノが必ずある。それを正確に、そして深く、正面から向き合うことでもどかしきトップレベルへの「踊り場」からの脱却のヒントが見つかるかも知れない。

逃げないこと、ぶれないこと、そしてやりぬくこと、未来を切り開く為に必要な過程だと僕は信じてる。

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少し遅れてしまいましたが、皆様は何を思われましたか?どんな意見でもイイ、その考える過程が何より尊いと思ってたりします。

僕は代表戦を見るとき、いつもオシム爺ちゃんの「日本人の日本化は皆さんにも考え欲しい」と言う言葉が胸に残っていて、常にそれを頭の隅に置きながら試合を見てます。何が足りないのか、何が基準に達しているのか、何なら勝てるのか、世界の水準であるかの正解を探しながら見ています。そんな自分なりの答えを描いて欲しいなと。何をするにしても、ね。

ということでここまで!

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East Asian Football Championship 2010 JAPAN

Match1/Japan 0-0 China PR @ AjinomotoStadium,TOKYO

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Match4/Japan 3-0 Hongkong @ NationalStadium,TOKYO
Japan:41'&82'K.Tamada 65'M.T.Tanaka

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Match6/Japan 1-3 Korea Rep. @ NationalStadium,TOKYO
Japan:23'pY.Endo
KoreaRep.:33'pLee.D.G 39'Lee.S.Y 70'Kim.J.S

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