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December 02, 2009

我慢の末のハッピーエンド@2009 J.LeagueDivision1 第33節 Fマリノス vs エスパルス

切れず、折れず、屈さず。

身体を張り、制空権を譲らず、集中力を保ち、耐え続けたからこそ、幸運が訪れたと信じて疑わない。

我慢の末のハッピーエンド、決して悪い終わりじゃない。

2009 J.League Division1 第33節

Fマリノス 2-0 エスパルス @ 日産スタジアム「我慢の末のハッピーエンド」
F.Marinos:75'小椋祥平!!! 90'+2'栗原勇蔵!!!

J's GOAL

Fマリノススタメン:GK榎本哲也"一歩ずつ取り戻す信頼"、DF田中裕介"87分間の我慢"、栗原勇蔵"守備◎攻撃◎!"、中澤佑二"1億円プレーヤーは伊達じゃない"、小宮山尊信"我慢、我慢"、MF松田直樹"ディティールに見えた経験"、河合竜二"疲労が奪い去る精度"(→71'小椋祥平"祝・J1初ゴール!")、清水範久"信頼の証"(→58'坂田大輔"深みを作る意義")、兵藤慎剛"もっと、もっと"、FW山瀬功治"戻るキレ"、渡邉千真"チームの為のエアバトル"(→79'金根煥"たなぼたセンターバック")

エスパルススタメン:GK西部洋平、DF市川大祐、岩下敬輔、児玉新、太田宏介、MF兵働昭弘、本田拓也、山本真希(→80'原一樹)、藤本淳吾(→74'枝村匠馬)、FW岡崎慎司、長沢駿(→63'フローデ・ヨンセン)

「戦蹴楽」と銘打たれたホーム最終戦、毎年恒例小学生以下のトリコロールメンバーズ無料招待に加え、過去のスクール生を招待するなど、日産スタジアムには30000人の観衆が集い、今シーズン最後の青いシャツのFマリノスの選手達の勇姿を見守った。

迎えるはエスパルス、一時は首位に立ちながらもその後急失速で4連敗、優勝の可能性が潰えた中で唯一残されたタイトル天皇杯に向けて、何とかこの苦境を脱すべくもがいている最中と言ったところか。そんなゲームのスタメン、Fマリノスはインフルエンザで離脱した健太に代わって兵藤が、GKが飯倉に代わって哲也が入る形。対するエスパルスはコンディション不良のヨンセンがベンチスタートで若き長身アタッカー長沢駿を抜擢、又中盤の構成も対ガンバ用の3-1から普段通りのフラットな形に。

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試合展開

執拗なトップからのチェイシングに連動する形で奪い所と見るや速い収縮を見せるプレッシング、バランス良くコンパクトに整えられたゾーン、エスパルスらしい統制の獲れた守備組織を前に、なかなか攻撃構築がままならないFマリノス。千真を狙うロングボールは次々と跳ね返され、入れ所が無く後ろで動かしていてもプレスの脅威に屈する形で低い位置でロストするなど、攻撃の取っかかりを見いだせず、守備に置いてもレシーブアクションが豊富でボールがテンポ良く動くパスムーブを捉えきれず、特徴であるサイドアタックの形をスムーズに作り出されるなど、チームとしての力の差を思い知らされる非常に厳しい展開の前半。

それでも数多く与えたセットプレー含めて佑二・勇蔵を中心に集中力高く凌ぎ続け、0-0のスコアを保つ。攻撃面では相変わらずエスパのゾーンを崩す術は見いだせなかったが、ハイサイドに起点が生まれるとそれなりに形となり、千真が外に流れてクロスを入れたり、功治が仕掛けて局面打開したシーンもちらほら。しかし、決定機までには至らず。ほとんどゴールの匂いのしないまま前半を折り返すこととなる。

巻き返したいFマリノスだったが、チームとしてのクオリティの差はいかんともしがたく、後半もエスパルスペースのまま。エスパルスは更に圧力を強め、ボールホルダーを追い越して次々と選択肢を作る形でテンポを上げてFマリノス守備陣を崩しに掛かる。しかし、ここでもDF陣は非常に高い集中力で数多く入るクロスボールをことごとく跳ね返し、時折撃たれるミドルに対しても哲也が冷静に裁くことでゴールに鍵を掛け、失点を許さず。その我慢が徐々に劣勢の展開を動かしていく。

攻め疲れの影響か苦しめられていた中盤のプレッシャーが緩くなったこと。そして、途中交代でトップに入った坂田が裏を狙う意識をちらつかせたことでエスパのディフェンスラインを押し下げたこと。これらの効果により、徐々に攻撃の形を見出せるようになると、右サイドからのクロスを千真がニアで合わせたり、佑二のオーバーラップを活かすアーリークロスのこぼれを兵藤が押し込もうとしたりと、少しずつゴールに近づく。疲労から精度と判断の質が落ちたボランチコンビのミスを突かれて、ショートカウンターを浴びることあったが、その状況を見てベンチも機敏な反応。ミスの続いた河合を下げて小椋を投入。すると、その小椋が大きな仕事をやってのける。

右サイドに流れた千真が楔を引き出すと、兵藤のブロックに助けられる形でフォローに入った功治へ繋ぎ、功治は相手DFの隙間を縫うようにダイレクトパスで中央フリーでバイタルに入り込んできた小椋へ、小椋は意表を突いたロングループシュートを選択!そしてこれがブロックに入った相手を掠めながら……西部の頭上を越え……決まった!衝撃!小椋J1初ゴール!全くの予想外、小椋ですよ?あの小椋があの位置からループシュートですよ?こんなの予測しろというの方が難しい。西部が予測は出来ないのもうなずける。しかし、その弾道は余りに美しく、けちの付けようのない素晴らしいゴール。本当におめでとう!

アドバンテージを奪ったFマリノスではあったが、エスパルスもこのまま黙ってはいない。スコアが動いた直後、交代で入っていた枝村が右サイドからのクロスをヘッド、CKのこぼれ球をドロップを掛けるような変化の伴うミドルシュートで立て続けに脅かし、それでも追いつけないとなるとスピードある原一樹を投入して、ヨンセン・岡崎との3トップ気味の布陣に移行。しかし、その脅威にも屈さず。

最終局面、クンファンを千真に代えて投入、当初は前線での起用が目されたが足を攣っていた勇蔵を最前線に残し、万全のクンファンを最終ラインに据える形で最後まで凌ごうとする。ディフェンスラインの人員変更はともすればリスクにも繋がるが、集中は揺るがず、クンファンも持ち前の身体能力でヨンセンとのエアバトルで存在感発揮。そして、ロスタイム。思わぬサプライズ!ハイボールをうまく兵藤がフリックで後ろに流すと残っていた勇蔵に繋がる。前掛かりになっていたエスパ守備陣は岩下が残るのみ、しかし足の状態が思わしくなかったこともあって選択したのは30mを越えるような距離からのミドルシュート!これがとんでもないコースに飛んで、またも西部の頭上を抜いて突き刺さったー!もう笑っちゃうぐらい凄いミドルシュート!無回転?なんか落ちた感じはあったけど、とにもかくにもあそこで撃っちゃて入っちゃうとかもう笑うしかないよね。しかも足痛くて走れないからという理由が……笑っちゃう。このゴールで決まり!2-0!苦しいシーズンだったが、最後のホームゲームを素晴らしい形で飾り、2009年を幸せな形で締めくくった。

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*いやー、良く勝ちました!チームとしての力の差をまざまざと見せつけられて、後半途中までほとんどやらせてもらえない展開を思えば、こんな結果で終われたこと自体信じられないし、とても幸運なこと。しかも、その勝利を決定づけた2つのゴールが佑二さん曰く「一年にあるかどうか」という奇跡的なゴール。これも又幸運としか言いようがないよね。ただ、その幸運を呼びこんだのは、ラッキーだけじゃなくて、劣勢を耐え、凌ぎ、タイスコアでその時を待てたから、だと思う。それは間違いなくFマリノスの力であり、伝統でもある。決して、幸運だけじゃない。

*ただ、正直言ってチームとしての差を感じざるを得なかった。組織としての質(4-4-2ポジショニング、ゾーンディフェンスにおけるバランス)、選手個々の意識の違い(ボールホルダーを追い越すようなアクティブなレシーブアクション、帰陣に代表される切り替え)、こういった要素がゲームの内容に反映されていたからこそ、あれだけ劣勢の展開になったのかなと。例えば、守備。劣勢の展開の中で失点せずに踏ん張ったことは評価されて然るべきだけど、それは個としての能力の高さや集中力あってのこと。何度もサイドを崩されてはフリーマンを作られ、何度もクロスを入れられる、それはチームとしてのディフェンスが機能していなかったというのを示してる。一時期取り組んでいたゾーンも結局根付かなかったし、プレッシングに関しても連動性は低く、こうやって奪う!っていう目的意識も感じられない。攻撃。相手のゾーンを前にしてほとんど有効な攻撃構築が出来なかった事に関しても、チームとしてどのように攻撃構築をしていくのかというディティールが整えられず、個々の意識も依然として改善が見られなかったというのを改めて証明してしまった結果。状態が良いとき、イメージングがうまく共有出来るときはうまく回るけど、閉塞したときにこそ、そのチームの地が出る。勝ったけど、こういう部分には目を背けず、真摯に受け止めるべきかなぁと。

*現状のチームに対してかなり厳しく書きましたが、今シーズンは戦力の底上げを行いながら個のチームに色々とトライ&エラーを繰り返しながら適応しやすいタクティクスの選別を行い、その結果を元に来期に本格的なチーム作りを……なんていうことを見据えていたのかも知れない。複数年契約だったからこそ、そういうビジョンがあったとしても不思議じゃない。まあコーキチさんがどう考えていたのかはわからないし、今となっては……だけど。ただ、彼が大きな愛情と使命感を持って采配を振るってきたことも感じたし、だからこそ改めて、お疲れ様、と言いたいかな。まだもう一試合、残ってるけどね。節目として、ね。

*選手評!特別扱いは……勇蔵と佑二かな。勇蔵!ゴール凄かった!素晴らしかった!というのももちろんあるんだけど、それはあくまでもおまけ。守備の方ね。高さを活かしたクロス対応、シビアなマーキング、勇蔵の特性が色濃く出たゲームだったと思う。空中戦では若き長沢駿にほとんど仕事をさせず、体力的に厳しくなった中でもしっかりと身体を寄せ、ヨンセンに対して楽なプレーを許さなかった。本音を言えば、勇蔵の方に岡崎が流れてきたとき怖かったんだよね、目を切ってその隙に動き出されてマーク外されるのが怖かった。ただ、そういう集中切れもなく、非常に良いプレーだったと思う。だから、ナイスゴール!じゃなくてナイスディフェンス!だね。で、佑二さん、1億2000万の価値を感じさせるディフェンスだった。岡崎の機敏な動き出しに対しても常に視野に入れて、しっかりと予測して付いていって離さず、当然空中戦でも負けない、これが常に出来ればウチの失点10は減ります、間違いない。まあ代表の遠征もあるし、コンディションの維持が困難を極めるから難しいかも知れないけど……。とにかく素晴らしかったです。この二人がやってくれなかったら、この結果はあり得なかった。

*小椋!おめでとう!J1初ゴール!素晴らしいゴールだった!スタンドから見てたら、ほとんど当たったようには見えなくて、見事なコントロールだなぁ、どこの代表の10番ですか?と素直に感動しちゃったわけですが、ほんの僅かに、って感じだったのね、そしてそれがコースを変え、タイミングをずらした、と。ただ、ディフェンスに当たったからと言って価値が薄れる訳じゃないし、このゲームに置いてはとにかく価値のあるゴールだったことも変わらない。このゴールにしても、初っぱなのパスミス?もにしても、とにかく遠くが見えてはいるから、あとは精度。そしたら、もう一段も二段も上に行ける。向上意欲の高い選手だから、言われなくても!って感じだろうけど、このゴールを契機にもっともっと成長して欲しいな。

*功治はキレが戻ってきた、ボディフェイクやステップといったドリブルワークは見ていてワクワク出来る。後一試合、帳尻合わせでもイイから5点獲って二桁獲って欲しいな(そりゃ無茶)千真はシュートを打てなかったことは反省だね、正直攻撃構築が千真向きじゃない空中戦ばっかり強いられて可哀想な部分はあるけど。課題のポストワークと裁き、継続してやっていこう。兵藤、サイドより中央の方が彼の良さが出せるかな、可動範囲が360°になった方がプレーに絡みやすいし、リンクマンとして存在感が出せる。ボランチで見たいなぁ。先制点の下支えとなったパスコースを造るブロックのような気の利くプレーと帰陣意識の高さは健太・アーリアにはない魅力。ジローは繋ぎの安定感や仕事を探せる力はベテランらしいプレー。ただ、やっぱりもっとジローらしいプレーが見たい、長い距離のランニングからの飛び出し。まああの展開じゃきついか。マツ、守備に関してはディティールにおけるうまさは見せたし、押される展開の中で経験のあるところを見せたけどスタミナの低下と共にプレーの精度、アクティビティが落ちるのはやっぱりどうなのかな?まあ起用している方に問題があるのだろうけど。河合、河合だけのせいじゃないけど、自己満足的な低い位置でのポゼッションの中で奪われるなんて愚の骨頂。ボールを流して方向転換するプレーは狙われてた、あれはやめた方が良いと思う。コミー、チームとして低い位置から局面打開を強いてしまうのは申し訳ないと思ってしまう。裕介も然り。クロス対応は本当によく頑張った。身体を寄せる、大事よ。裕介、良く耐えたよ、最初のカードから。今シーズン最後のゲームとなってしまったけど、今シーズンは本当によく頑張った。お疲れ様。哲也、コースに入って正面で捕球していたことは凄い冷静だったかな。無失点、こっから。

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久々にレポート入れたら偉い長く……申し訳ないです、浮かれてる見たい……。でも、嬉しいときは喜ぶ、素直にね。

今週末は今シーズンのラストゲーム、凄い寒そうだけど……非常に楽しみです。3ヶ月?ぐらいの空白を埋めてくれるような充実したゲームを期待したいな。

ということでここまでー。

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*セレモニーに関しては、本当に勝って迎えられて良かった。気持ちが違うしね。コーキチさんの挨拶は、なんだかずっしりきた。本当にこのクラブが好きで、選手思いで、そういう気持ちが伝わってきた。確かに成績は残せなかったし、監督としての手腕に疑問は持たざるを得ないけれど(それは人間性と同義にすべきじゃないと僕は思う)、人間としてコーキチさんは好きだ、うん。山形で勝って有終の美、飾ろうぜ!

*写真も撮りましたー、ホーム最終節スペシャルということで少し多め。よろしかったらどうぞー。
2009/11/29 J.League Division1 sec.33 Fマリノス vs エスパルス @ 日産スタジアム(picasa/me)

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