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June 01, 2009

示された日本の「具現力」 -キリンカップ ベルギー戦に寄せて-

なぁ、爺ちゃん。

あなたが思い描いた姿と重なるかはわからないけれど、あなたが命を賭して導こうとしたチームは紆余曲折ありながら、ようやく一つの答えを見いだしたよ。

高質の技術と運動量を土台に、感性を重ね合わせ、速く、鋭く、エスプリを感じさせるフットボール。それはとても美しく、実効性も伴い、人々の心を惹き付けるモノとなりつつある。

このフットボールでアジアを越え、世界に挑むんだ。

なあ、爺ちゃん、見ていてくれよ。あなたの意志は間違いなく継がれているのだから。

KIRIN CUP 2009 -All for 2010-

Japan 4-0 Belgium @ National Stadium,TOKYO
Japan:21'Y.Nagatomo 23'K.Nakamura 60'S.Okazaki 77'K.Yano

sports navi

日本代表スタメン:GK楢崎正剛、DF内田篤人、中澤佑二"違う人、みたいです……"、田中マルクス闘莉王"ミス、はさておき"(→74'山口智)、長友佑都"病気なんて嘘だ"、MF遠藤保仁"板に付いてきたバランサー"(→62'阿部勇樹"久々の「本職」")、長谷部誠"朋子が惚れるのもわかる絶大なる存在感"(→46'橋本英郎)、中村俊輔"「違い」を見せるNo.10"(→46'本田圭佑"虎視眈々のエネルギー")、中村憲剛"主役は俺"(→67'興梠慎三)、大久保嘉人"とりあえず、コンディションは上々、なのに……"、FW岡崎慎司"結果という説得力、プロセスという充実"(→70'矢野貴章"結果の意味")

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*先にまず、代表戦。見て参りました、そして堪能して参りました、日本代表のフットボールエンターテイメント。この日の代表には手放しで賛辞を送りたい。それぐらい美しく、中身の詰まった、質の高いフットボールでした。うん、素晴らしい。

*大阪で魅せたプレーに俊輔、嘉人、篤人、長友、闘莉王といったレギュラーが入ることでどのような変化を生まれるのかというのが最大の焦点だった訳だけど、個としてのタイプの違いの差はあれど、ネガティブな要素はほとんど見あたらず。ポジティブな要素としては技術的な質はもちろんのこと、これまで培われてきたグループとしての高いイメージの共有が、ダイナミズムと変化に富んだ攻撃に更に彩りを加えて、非常に見ていて面白かった。特に感じたのは、「先の先」を同じイメージで選手それぞれが見えていること。こう動いたらここが空く、あいつはこう動くからじゃあこっちを、そんな動き出しが各所に見られ、それが相手に狙い所を絞らせない。特に右サイドでの俊輔を軸にした形というのは何度となく完全に崩しきる形が出来ていて、高い実効性を伴ってた。その波及効果は中央にも出て、ディフェンスラインが推し下がったことで空いたバイタルからのミドルというのも数知れず。理想的な形で攻撃を展開できていたかなと。当然、それを見逃さずに使える技術と感性を持つパサーの存在も見逃せない。残念ながら、この形からは得点が生まれなかったわけだけど。

*とはいえ、それだけバリエーションがあるとも言うべきなのかも知れない。まず1点目。相変わらずというか何というか、素晴らしい形を作りながら決めきれない序盤の展開。あれだけ崩し切ってればいつかは……というのは正直あった。ベルギーは奪えないから下げる、でも効率的なカウンターに繋がるような形は精度の低さもあって見いだせていない、攻めるには絶好の好機(まあコンディションも悪かったんだろうけど)その中での長友の先制点、その大きな要因となったのが日本のコンセプトの一つである病的とも言うべきフォアチェック。相手陣ボックス寸前、嘉人の突破が阻まれた刹那、岡崎が混戦に身体をねじ込んですぐさまマイボールを確保、粘って側にフォローに入った憲剛に繋ぎ、その外を間髪入れず長友が走り込んで憲剛を追い越すと憲剛もテンポよく縦に流す、長友相手GKの位置を見て豪快にニアを抜くフィニッシュ。最終的に長友があそこまで上がって、冷静にぶち抜いたことが素晴らしい訳だけど、まずあそこで奪われた後間髪入れずに岡崎が混戦の中に身体をねじ込まなければこのゴールはなかった。奪われたらその密集を活かし素早い切り替えでボールに圧力を掛け、更にショートカウンターでゴールを急襲するというコンセプトも又このチームに息づいていることを感じられた。、前からのフォアチェックはリスクコントロールの基軸とも言うべき部分。岡ちゃんがこの部分が鈍ってハーフタイムに説教喰らわせたという報道もあったけど、実は残しているし、出来自体は悪くなかったように映った。まあ、世界の上の方を狙うとなれば、よりシビアに、妥協を許さないという姿勢は正しいけどね。

*2点目は個人技術、個人の特徴というべきかな。闘莉王の速く鋭い楔が左サイドの嘉人に入り、入る時点で憲剛はスペースへランニング開始、リズム淀ませることなく嘉人は剣豪の前のスペースへパスを流す。これでラインブレイクを果たすと、ボックス内で自分のボールにした憲剛はシュートフェイクでブロックに来る相手をいなして選択したのはニアへの低く強いシュート、体勢的にはファーへの巻くようなシュートがふわっと浮かんだけど、濡れたピッチを活かすインテリジェンスが実った形、GKは逆モーション、足で凌ごうとするモノの結局防げずゴール。まあ、これはとにもかくにも闘莉王の楔、でっかいミスもあったけど、彼がいるとこれがある。彼も又俊輔同様一発でリズムを変える技術とビジョンがあり、そのプレーは一気に局面を変えてしまう、このプレーのように。代表の選手構成を考えれば、丁寧にパスを紡ぎ、手数を掛けて崩しに掛かるプレーに傾倒しがちだけど、こういうプレーがあるからアクセントになる。嘉人もリズムを崩さず憲剛を使ってあげた。ランニングのモチベーションを保つのはとにかく使ってあげること、それが出来なければ見えていたよ、よかったよと意思疎通を図ること。成功体験が積み重ならないといつかそのモチベーションは落ちてしまう。そういう意味でもアシストとして価値のあるプレーだった。憲剛は前の試合で外したからね、良く決めた。

*3点目、4点目は世界をイメージした中での個人技術。元々、単純にクロスを入れないことがコンセプトとしてあるチームだと思うのだけど(高い選手・強い選手を使ってないし、元々世界の舞台で列強のセンターバックと渡り合えるような選手はいない。だからこそ回りくどい形だけど、より変化のある形で相手の裏をかくようなプレーが増えている)、その中でいかにしてサイドアタックから点を獲るのかというビジョンが見えた二つのゴール。サイドの崩しの到達点とも言えるエンドライン際から、ニアで勝負という共通点、セオリーなんだけど、感動したのはクロスの精度。3点目のアシストとなった嘉人のクロス、4点目のアシストとなった長友のクロス、このゴール以外にもエンドライン際から何本か上げていた篤人と、とにかく精度が高く、ボールスピードが速い。相手があることだけに点で合わせなければというイメージもあると思うのだけど、それにしたって良いクロスを上げる。GKが触れない速いボールで曲がってターゲットに向かう、そのボールの質は素晴らしい。それが複数回あったわけだから、彼らも個人として成長していると感じられた(前はねぇ……隼磨ほどじゃないけど結構……ねぇ)岡崎ニアダイビングヘッド、貴章スライディングシュートと決めた方はストライカーの矜持を見せてくれた。よきかなよきかな。

*非常に手応えが残る結果と内容、はっきりいってできすぎと言えるぐらい。チームとして充実してる。相手のベストメンバーが……とか、コンディションが……というのもあるのだろうけど、この「具現力」はそんなことを矮小なことと断罪できてしまうほど、素晴らしいモノであったと僕は思う。上記の点で褒めた連動性と予見の溢れるコンビネーションにしても、Jのレベルを超えるパススピードでミスなく繋いでいくことにしても、ビルドアップやオーバーラップ、攻撃参加など決断力と勇気を失わずに継続して魅力的なサッカーを継続していくことにしても、簡単ではないことは誰もがわかっているはず、だからこそこういうことを具現化できることは本当に素晴らしいことだと思う。もちろん、アジアの戦いはこういうサッカーをするから絶対に勝てるという場所ではなく、リアリスティックな戦闘の場であることは理解している。ただ、世界に目を向け彼らが挑戦を続け、そしてこういうステージにまで登ってきたことは素直に評価すべきなんじゃないかなと。それぐらいこのキリンカップ2試合で見せたクオリティは高かった。

*じゃ、ざっと個人評。まず、俊輔!世間じゃ「本田」「本田」と喧しくなってきたけど、大人になった俊輔は、エスプリを利かすフィクサーとして、自らの存在をアピールしてた感じ。とにかくうまいんだよ、周りを使うのが。空いてくるところを見逃さない、複数の動き出しを見ながら一番怖い場所に出す。これだけ周りが動き出してくれる状況はパサーを生業とする俊輔はやっていて楽しいんじゃないかな。ちなみにFマリノスでこれはありえませんので、どうぞ自分で改革してください。コンディションはまだ良くない、課されたタスクはやっているけど、精度はセット含めてイマイチ、こんなもんじゃない。てか、あのペースならどっちにしても半分が限度だったかも。間違いなく触発されてると思うので、俊輔にとっても本田の存在は大きいかも知れない。個人的な願望に関しては、一発で決めて、後は本田に任せて休もうぜ!てなかんじ。

*憲剛、ついに俺の時代がキタ!って感じかな。名実共に主役として警戒のきつかった俊輔をおとりに、良いタイミングで空いてくるスペースに顔を出して、決定的な仕事をする、守備もきっちり出来るし、ゲームの機微も感じられる。プレーの内容としては充分。ジェラードというのは言い得て妙。うん、悪くない。で、個人的に思うのは、俊輔・ヤット・長谷部とも技術的にも感性的にも劣らず、また同調できること。てか、感性的に繋がれる部分をみんなが持ってるから、あれだけ連動できるのかなーと感じたり。そうなると、今後入っていく選手は大変かも。本田のように自分の強さを周りに認めさせていくか、彼らの感性を学び順応していくか……うん、大変だ。

*長谷部がめちゃくちゃ良い。生で見て改めて思った。良く走る(+めちゃくちゃタフに走るのにミスが少ない)、良く気が利く、良く戦う(しかも強い)、良く決断して危険なプレーをする(昔の特徴であった縦への速い突破、そして鋭い縦への楔、代表に戻ってきてそれが見られたのは吉報)…とても良いです。現状最も外せない選手は俊輔でも玉ちゃんでもヤットでもなく長谷部かも知れない(佑二も外せないが)それぐらい難しいタスクをタフに、過不足なく出来ている。朋子も惚れるわ、こりゃ。

*サイドの二人、攻撃性能に関しては、前回の二人よりも良いというのは証明したかな。守備に関してはこのゲームじゃ判断つかないけど……まあ周囲のコンビネーション、コンセプトを考えれば、この二人が良いのかな。特に攻めて獲ろうとするのであれば。しかし二人とも良いクロス上げるなぁ……。特に内田篤人はいつからあんなに質の高いクロス上げるようになったの?

*岡ちゃん、凄い良くなってます、正直驚いてもいるけど……こんなになっちゃうとはねぇ。2月に見たときと比べても雲泥。アジアのフィルタが掛かってるというのもあるんだろうけど、チームとして繋がり初めて、機能性がどんどん増していってるんだろうね。今後はとにかくクオリティを上げていく、妥協を許さず追求していく、その中で必要な新戦力をピックアップしてチームの力を大きくしていく、ってことになってくるのかな。まあ、このキリンカップに関しては、「星、みっつです!」

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その他、「憲剛」システムとか(憲剛を頂点にヤットと長谷部で構成される中央のトライアングルの構成力と機動性)、本田圭佑の下克上宣言を始めとする各ポジションで起き始めた新たなる競争とか、色々テーマはあるんだけど、もう一個重ーいのが乗ってるから、そっちやるんで、それは又今度(しかも後一日しかない……)

ということでここまでー。

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(´-`).o0後で見て気づいたけど、嘉人が倒れたシーンはこんな事が起きていたのね……・゚・(つД`)・゚・。全く気づかなかった……ただいつの間にか倒れて……うーん。何もなければよいのだけど……。

(´-`).o0代表戦でも又写真をば。とはいえ、国立2階席、ナイトゲーム、雨模様厳しいぜ。
5/31 KIRIN CUP 日本代表-ベルギー代表 @ 国立競技場(picasa/me)

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Comments


今回のキリンカップには、正直驚いちゃいました。

>もう一個重ーいのが乗ってるから、
・・・お願いします・・・・・・・・。

Posted by: raichi | June 01, 2009 at 05:27 PM

raichiさん、こんにちわー。

キリンカップは良い意味で僕も驚かされました。こういうサプライ図なら大歓迎!

重いやつは少々難航中、答えはある程度導き出せた気がするのですが、キーボードに砂がまかれたように重い・・難しいモノです。新潟に間に合わないなんて・・。

ではではー。

Posted by: いた | June 03, 2009 at 12:43 AM

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