« 田中隼磨のグランパス完全移籍に寄せて。 | Main | 「愛」の決断 -中澤佑二、契約延長に寄せて- »

January 14, 2009

回帰、再生、進撃 -PlayBack F.Marinos 2008 Part2-

だいぶ間が空きましたが前回の続きです。

コーキチ就任から、コーキチ共に駆け抜けた半年間の軌跡をぐっとぐっと凝縮して、と思ったら入りきらなかったので7月から10月まで。

-----------------------

・回帰、再生 -7月~8月-

いつぞやを思い出す三ツ沢でのアルビレックス戦を経て、ようやく決断された桑原監督の解任。その跡を受け監督の責を担うことになった木村浩吉の元、臨んだ初戦はアウェイでのヴィッセル戦。しかし、就任してわずか2日、与えられた時間は余りに少なく、その中で断行された大幅な選手の入れ替えとシステム変更(秋元の抜擢に始まり、コミーの左ストッパー、右ウイングバックに宏太、左ウイングバックに幸宏、ロニーの1トップに功治・ロペスの2シャドー)を伴うショック療法は完全に裏目と出る。選手達のプレーにはありありと迷いが出て、ほとんどフットボールの体を成さず。結局、セットプレーから金南一の一発に沈み、リスタートは黒星で始まった。

絶望的な内容に改めて現状の厳しさを悟った初戦のあと、一息つく間もなく迎えたアントラーズ戦。このゲームでも大幅にメンバーを入れ替え、又チームの完成度・チーム状態含めた上での現実的な判断として中盤での争いを避けるロングボール多用のプランを携えてゲームに臨む。しかし、得点王レースを突っ走るマルキのミラクルミドルと加速し始めた興梠の見事な身体使いが印象的なゴールもあってゲームプランは脆くも崩壊。その後はアントラーズのゲームコントロールに為す術なく、チーム力の差は如何ともしがたく零封負け。現実を突き付けられる形となった。(このゲームでアーリア、兵藤、宏太が先発で出場。アーリアは失点に絡むミスがあるなど、自分を出し切れず。金井が左ウイングバックとして途中出場を果たした。金井はJデビュー)

この頃の浩吉監督はエキセントリックな発言(「俺が来てから2連敗」、「残留争いだとは思っていない」など)に注目が集まっていたが、その裏では非常に冷静にチームを見つめていた。傍目からは何も生み出さなかったように見えた2戦の中で、求めるべき要素を見定め、その水準に満たないことを見極めてフィットしたとは言い難かった両外国人を半ば諦め(ロニは結局ガンバに放出、ロペスはスポット的な起用に転換)、コンディショニングの良い選手、自ら可能性を感じる選手を重視する起用に切り替え。ベクトルを揃えたアグレッシブなサッカーに「回帰」していくことで、少しずつFマリノスは再生していく方向に舵を切っていく。味スタでのFC東京戦、結果としては序盤早々にアグレッシブなアタックからオーシがゴールを奪うも、先制点から数分後、松田の衰えを感じざるを得ないカウンター応対もあってエメルソンに同点弾を許しドロー。ただ、後半になってもテンション落ちずに攻勢を続けたこと、両サイドの実効力の向上など、内容の面でも以前2戦に比べると改善の跡が見られた。

そして、その再生がようやく結果に繋がる。ナビスコ準々決勝の2ndLeg、惜しくも準決勝進出に必要なスコアでの勝利こそならなかったモノの、ゴールに目覚めたコミー、そして途中出場という形に発奮したロペス、この二人の豪快なミドルシュート2発でガンバから勝利をもぎ取り、笑顔こそないモノの木村浩吉体制初勝利を飾る。その3日後に同カードのリーグ戦、ミッドウィークの激闘の疲れもあり、運動量という面では前線からフォアチェック、中盤のタイトなアプローチが充分なレベルになくガンバにポゼッションを許す時間帯こそあったモノの、佑二がきっちりと1トップのルーカスを封殺することで耐えると、今後の攻撃のキーとなっていくピッチを大きく使うサイドチェンジから隼磨の柔らかいクロスをオーシが押し込んで先制。一時は相手のシステムチェンジに対応しきれず同点弾(金井がルーカスの巧みな身体使いにやり込まれた……良い経験)を喰らうも、シーズンここまで沈黙し続けていた坂田が金井のロングパスを受けてスピードに乗ると対峙した中澤をも一気に縦の突破で置き去り、最後は左足一閃。ナビスコを除けば、4月の終わりのジェフ戦以来の勝ち点3。停滞期に入り不調のガンバが相手とはいえ、若く経験の浅い金井・小椋が奮闘し、ボランチに戻った河合に粘り強さが少しずつ戻り、そして何より不調に喘いでいた2トップのゴール。長い長い暗闇を抜け、一筋の光明が見えたゲームだった。

とはいえ、まだまだデッドラインを巡る苦闘は続く。勝てば入れ替え戦圏内脱出となる直上のエスパルスとの直接対決、佑二の気迫溢れるヘッドで先制するも、試合開始直後のミスからずっと不安定なプレーに終始した小椋のマークミスからセットプレーで追いつかれる展開、終盤まで激しいトランジッションを伴う消耗戦で互いに勝ち点3を目指すも結局痛み分けで状況は変わらず。シーズン序盤の「空白」によりチームが失った運動量の重要性を改めて痛感させられた。しかし、気を落とす時間もなく重要なゲームは続く。今度は自動降格圏に沈んでいるコンサドーレとの直接対決、序盤知将三浦俊也の現実的な施術とも言えるブラジリアンアタッカートライアングルに対して松田・河合のベテランボランチコンビを核にした守備陣がアジャストしきれずバタバタした時間帯こそあったモノの、ゲームをコントロールし始めるとアタッカーの動きに呼応する形でボールが動き、空いてくるスペースからミドル連発という形で圧力を掛ける。なかなかゴールが生まれずもどかしい時間が続いたモノの、この週の練習に遅刻し青々とした坊主頭になったコミーが禊ぎとなる豪快なミドルでネットを揺すり、決勝点。得点後もユースの齋藤学がトップデビュー、鮮烈なプレーでコンサ守備陣を掻き回すなど、未来への希望も見られたゲームとなった。この勝利で15位浮上、ようやく居心地の悪い順位から脱出を果たした。

ただ、こんな時に又アルディージャ戦。この夏続いた異常気象とも言うべき雨の中、相変わらず閉塞する展開、カウンターから新外国人ラフリッチに沈められて先制点を献上。ハーフタイムを境に豪雨へと変わりピッチコンディションが悪化すると、攻撃したいFマリノスにとっては辛い状況。学くんのサイド起用や佑二を最前線に上げたパワープレーなど、手は打ったが最後まで堅陣を突き崩すことは出来ず。エスパルス戦に続き、さあここで勝てば……と言うところではなかなか勝てない、序盤戦で纏った負のしがらみは未だに振り払えず。とはいえ、再生したチームは未曾有の大混戦の中、進撃を開始する。

*ここまでの感想…………最初はどうなるかと思ったけれど、「再生」出来たこと、これに尽きるかな。桑原体制で失ったモダンフットボールの礎を、モチベーション・コンディショニング二つの柱を持って起用法を見直し、「回帰」とも言うべき舵を取ったことでチームとして躍動感とエネルギーを取り戻すことが出来た。采配面ではリスキーな要素を孕み、???という部分があったのも事実。ただ、変革の勇気がなければチームはこの段階でも負の波を取り去る事が出来なかったかも知れない。そういう意味でこの決断をしたことの価値は大きかった。てか、モダンフットボールの礎が再生出来たことの意義、若い選手も苦しい中でプレーすることで積んだ様々な経験、これらの要素は未来を考えた上でも小さくなかった。これがシーズン終盤、活きてきたわけだしね。

・進撃 -9月~10月-

大宮戦から2週間、この時間を有効に使うべくチームは御殿場にキャンプを張り、チームとして目指すべきフットボールの浸透に力を注ぐ。そのキャンプを経て迎えたホームでのヴィッセル戦、怪我で長期離脱を余儀なくされていた勇蔵が久々にスタメンに復帰、前線は功治・坂田・オーシの昨シーズンのトライアングル。そのアタッキングトライアングルの意思疎通、相互連携がポジティブに出て、序盤から押し気味にゲームを進めたが、ロスタイムに嘉人に押し込まれるという形で先制点を献上してしまう。後半に入ると守備を固めるヴィッセルに対し、なかなか攻め手が掴めない。しかし、新加入のU-23韓国代表の長身DF金根煥、そして負傷が癒え少しずつゲームに絡むようになった狩野健太が交代でピッチに入ると、その狩野の右足がゴールを導き出した。これまたロスタイム、インスイングのボールを供給すると、兵藤が走り込む、兵藤のヘッドはフィットしなかったがマーカーのレアンドロが押し込む形でネットが揺れた!次に繋がる勝ち点1、その価値の大きさは語るべくもないが、劇的な同点弾を導き出した金髪のno.14が得点力不足に喘ぐ今後のチームの鍵を握るようになる。

劇的な勝ち点1を携え向かうはエコパ。同じく未曾有の危機に喘ぐジュビロはこの危機にハンス・オフトを招聘し実質的な初采配がこのゲーム、当面のライバルと重要な一戦に互いのモチベーションはかなり高かったが、そのモチベーションをポジティブにパフォーマンスに落とし込んだのはFマリノスだった。非常に激しく粘り強い玉際ディフェンス、ロストを恐れず積極的に仕掛ける意思に溢れた局面打開アクション、そして主体的なアクションが絡み合い停滞を打破したスペースメイク&ユーズ、抜群のパフォーマンスで統制の取り切れていないジュビロを凌駕、そしてショートコーナーから狩野の美しいクロスは吸い込まれるようにオーシの頭に!先制点後風向きが変わり終盤ジュビロの反撃を許すも(特に超絶大ピンチ3連発!)、哲也を中心にサッカーの神様をも味方に付けた守備陣が凌ぎきり、1-0。剣が峰、大一番となるゲームで抜群のパフォーマンスを見せたFマリノスは、少しずつ少しずつ残留争いから足を抜き始める。

勝ち点を積み重ねながらも後方からは千葉が連勝重ね猛追、上位と下位の下克上も相次ぎ、一勝してもチームとしては危機感を落とすことはなし。しかし、国立でのフロンターレとの一戦では非常に厳しいゲームを強いられる。中断期に加入したヴィトール・ジュニオールのフィットし、鄭大世を中心にした強烈な3トップが機能し始めたフロンターレの猛攻は強烈。中村憲剛の速いテンポのゲームメイクもあって3vs3で応対する事が多くなるなど3バックでの対応は難しい状況に陥っていたが、後半に4バックへのシステムチェンジで何とか凌ぐ。戦術的な柔軟性を見せながら前半終了間際、狩野のCKからの佑二の乾坤一擲のヘッドのリードを何とか保っていたが、その佑二のオウンゴールでスコアをタイに戻ってしまう。とはいえ、終盤の小椋の退場というアクシデントにも屈さず、決勝点は許さず何とかドローに持ち込むことで「漸進」し、今の勢いを維持し続けた。

フロンターレ戦から続く上位陣との連戦、次は快進撃でこの時点で首位に立っていたトリニータを日産スタジアムに迎える。相変わらず冷静な視点こそ崩さないモノのエキセントリックな発言を留めない木村監督からは「楽勝」宣言が飛び出すなど、そのゲームの趨勢に注目が集まったゲームとなったが、その展開は予測通り首位にいるチームのクオリティに押され気味だったモノのモノの非常にクローズドなゲーム。緊迫した展開の中、凍り付いたスコアを動かしたのは得点を生み出す打ち出の小槌となりつつあった金髪の右足。右寄りボックス手前で得たFK、外から巻く形でニアサイドを狙ったキックが見事にゴールネットを揺すり、これが決勝点。「楽勝」ではなかったモノの、着実なる前進を続け押し上がるデッドラインとのデッドヒートを続ける。

チームに流れつつあるポジティブな空気、しかしここで木村浩吉のスタンスというのべき安定をよしとしないギャンブル的采配に打って出たのが、アルビレックス戦。パフォーマンス的には安定しないモノの不動の右ウイングバックとしてスタメン出場を続けてきた田中隼磨を遠征に帯同させず、本職は左の小宮山尊信を右サイドに、左にはここまでチャンスをなかなか得れなかった山瀬幸宏をスタメンに抜擢。トップもこれまでスタメンに名を連ねることが多かった大島をベンチスタートにし、坂田の1トップ、狩野・兵藤の2シャドーと大きく入れ替え。ゲームは序盤こそキーとなったセカンドボールを巡る攻防にて後手を踏んだモノの、徐々にテンションが合うようになったプレッシングからのショートカウンターで反撃、一進一退の攻防の末にドロー。ギャンブル的采配は実らなかったが、勝ち点1と共にこのギャンブルがもたらした刺激と発見がチームは更なる推進力へと変わるわけだから、フットボールは分からない。

それが表れたのがグランパス戦。結果としてドローではあったモノの、ストイコビッチ監督の下モダンなサイドアタックフットボールでJに旋風を巻き起こしていた相手に対し、5バック気味に横幅を埋め、楔へのシビアなアプローチ、奪ってからのスペースを使ったシンプルな攻撃と、しっかりと対策を打ったことで相手のサイドアタックを封殺。そのキーとなったのが前節帯同メンバーからも外された隼磨の好パフォーマンス。外的刺激がポジティブに出た好例か(その後、移籍する要因にもなったのかも知れないけど)なかなかスコアが動かない展開の中、天敵杉本恵太の存在もあり苦しい時間帯もあったが木村監督も勝利を得るためにここでもギャンブル的な采配に打って出て最後まで勝ち点3にこだわる姿勢を見せる。互いの意地がぶつかり合った好ゲームではあったが、結局スコアレス。どうしても勝ちたいゲーム(精神的にも、ね)ではあったが、課題となるゴールへの道筋の少なさが出たにしても、現在上位に付けるチームを相手にがっぷり四つで組み合っても負けないチーム力が備わりつつある確信も得れたゲームだった。

そして、その確信が結果となって表れる。日立台でのレイソル戦、経験を積み安定感と自我を発揮し始めた小椋、刺激を受け蘇った隼磨、自信という最大の栄養をプレーに変換する狩野、周囲とのイメージの共有が豊富な運動量を更に意味のあるモノにしつつあった兵藤、充実するプレーヤー達が抜群のパフォーマンスを見せてレイソルを完全に凌駕。スキルフルな狩野のゴールに始まり、美しいプロセスを紡いだ裕介のJ初ゴール、最後は小椋の素晴らしいインターセプトから生まれた狩野のゴールで快勝。個々が躍動し、又イメージが活性化して有機的に連動することでこれだけのパフォーマンスが出来るという手応えを得ると同時に、このパフォーマンスさえ出来れば苦闘から脱出出来ると確信した一戦だった。しかし、今シーズンのJは一筋縄ではいかず、それは充実のFマリノスにも例外ではなかった……。

*ここまでの感想…………再生を遂げたFマリノスのパフォーマンスは、思い返せば掛け値なしに充実していたように思う。渦中真っ只中でそこまで楽しむ余裕が正直なかった、からこその思いなんだけど、一試合一試合結果はもちろんのこと何かしら次に繋がる要素を残し、それが次のポジティブな結果に繋がっていく、そんな善循環が起きる過程を見れたというのは非常に自分にとっては嬉しいこと。それと、個々の成長。救世主となった狩野、苦い経験を積み重ねて一皮剥けた小椋、様々な経験を消化しつつあった兵藤、マルチなプレーで新境地を開拓しつつあった裕介もそうだけど、彼らの成長過程において間違いなくこの2ヶ月は重要なモノだった。そういう過程を見れたのはとても素敵なことだったなぁと。

-----------------------

ということで、もう一回、切らせて下さい……ちょっとまとまってない感じが……とはいえ、振り返ってると本当に色々あったなぁと。まあもう前を向いてないといけないのだけど。

ではここまでー。

-----------------------

*コメントのレスやら、更新やら、色々遅れて申し訳ないです。てか、1000000Hitしたんで、その御礼も……まあいいか。今日はXデー?お願い佑二……。

|

« 田中隼磨のグランパス完全移籍に寄せて。 | Main | 「愛」の決断 -中澤佑二、契約延長に寄せて- »

Comments

またまたお邪魔します。
ジュビロ戦は裏天王山とか言われてる中、様子見でゲームに入るのではなく、仰せのとおり最初からガツガツ行って中盤でボール奪取しまくっていたところが素晴らしかったですね。で、虎の子の一点を生み出した狩野のコーナーに変化を付けるようアドバイスしたのはボンバー。。。今日のボンバーの「マリノス愛」、ホントに心揺さぶられて涙出てきました。そして、いちサポーターとして、何か出来る事でいいから具体的な行動で苦しんでいるマリノスをサポートしなければという気持ちになりました。何かやんなきゃ。

Posted by: Jinke | January 15, 2009 at 12:17 AM

Jinkeさん、あけましておめでとうございます。

ジュビロ戦はチームとしてベクトルが一つとなった素晴らしいゲームでしたね。本当に大事なゲーム、エコパに着いてから怖かったり緊張で震えていたのは内緒です。とはいえ、仰られる通り選手達はタフに戦ってくれて、ゲームの主導権を握った中でセットプレーの一発。思い出すとぐっと来ます。

佑二の事に関してはエントリを挙げさせて頂きましたが、佑二の愛に甘えることなく、選手達のモチベーションとなれるよう出来ることからやっていこうと自分も考えています。ああいう気持ちを持ってくれている、というのは冥利に尽きますし。

ではでは、又よろしくお願い致します。

Posted by: いた | January 17, 2009 at 09:18 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77106/43736917

Listed below are links to weblogs that reference 回帰、再生、進撃 -PlayBack F.Marinos 2008 Part2-:

« 田中隼磨のグランパス完全移籍に寄せて。 | Main | 「愛」の決断 -中澤佑二、契約延長に寄せて- »