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November 02, 2008

余りに鮮やかで残酷なコントラスト -ナビスコカップ決勝に寄せて-

重圧を乗り越え、普段通り集中力とシビアな姿勢を感じさせるリアリスティックなフットボールを貫き通したトリニータ。

タイトルの重みは恐怖感へ変わり、ダイナミズムという一番の武器を失ったエスパルス。

晴天の国立に映し出された余りに鮮やかで残酷なコントラスト。

これぞファイナル。

そしてタイトルは、関門海峡を超える。

おめでとう、トリニータ。

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*改めて、トリニータな方々、初タイトルおめでとうございます。僕も場違いながら歴史の目撃者となったわけですが、相対的にも主体的にもカップウィナーに相応しいフットボールを表現しての戴冠だったのではないでしょうか。

*自分の目に映った最も印象的な要素は、大舞台の重圧、勝敗への恐れといった部分。ファイナルらしいメンタル的な要素なのだけど、この部分で差異があった感じを受けました。トリニータの方はシビアな危機察知や激しいアプローチなど、トリニータの躍進の鍵となった「細部に行き届いた」ディフェンスが普段通り出来てたことに重圧を乗り越えた感があった。少しナイーブになりそうなところでも、その姿勢は変わらなかったし、しっかりと守備をしながらも出て行くところでは思い切り出て行く、という部分を見ても、メンタル的に過不足のない形でゲームに入れていた感があった。逆にエスパの方は……正直「先制点」に過剰に恐れていたのかなーと。復調の起因とも言うべき「左で引き付け、右で突く」的なオープンスペースをダイナミックなランニングが非常に少なかった。元々の部分で動きが乏しく、なかなか前に起点が生まれない、ボールが動かない、という前提条件があったにしても、カウンターチャンスですら兵働や山本真希がほとんど出てこない、結局前の3枚だけで厚みという部分を作り出せず、雑な独力打開に終始、集中力の高いトリニータディフェンスを崩すにはそれじゃ不十分だった。もちろん、勝敗を考えた上で、トリニータに先制点が入ればゲームとして厳しくなってしまうから、そう考えてしまう部分はわからなくないんだけど、ね。

*で、タイトルを獲ったトリニータのサッカーに関しても少し。集中力と徹底。この二つがこのチームの強みなのではないかと以前対戦したときに思ったのだけど、このゲーム見て確信した。(相手が文句を言いたくなるほど激しい)アプローチ、セカンドボールへの反応、意思統一、全てにおいてシビアに徹底出来る。それが出来るからこそ、失点も少ないし、穴も生まれない。攻撃面においても、それは同じ事。走りきって右サイドで大きな存在感を示した高橋のプレーを見ても、チャンスを逃さないウェズレイの決定力にしても、そのイズムが浸透してる。守備に重心があるのは事実、ただ、本質はそこじゃない。彼らに勝利のために最善を尽くす、そここそ賞賛されるべき事なんじゃないかなと。

*目に付いた選手としては、金崎と森重。金崎は特例でU-19を蹴ってこのゲームに臨む中で、プレッシャーもあったと思うけどその価値を結果で示した。正直言ってトリニータの攻撃時のポジショニングは全体的に選手間の距離として遠く、攻撃構築の術として長いボールが多いから訪れる好機というのも多くはない。そうなると、トップ下のプレーヤーは、運動量豊富に動いて距離感を縮めていくこと、幅広く動いてボールを引き出すこと、少ないサポートの中で個人で時間を作ったり打開することが求められる。そういった難しいタスクを負いながら、彼はアクセントとなり、結果も残した。これは素晴らしいこと。先制点に繋がったシーン、すっぽりと空いた右のスペースに流れてボールを引き出し、精度の高いクロスでファーの高松の高い打点のヘッドを引き出した訳だけど、彼の機動性能と技術の高さが存分に表れたシーンと言えるのかなーと。まあ、2点目もそうなんだけど、時代は彼のような機動性能と技術を併せ持つプレーヤーを求めているんだろうね。(アイデアも豊富だし)

*森重。1vs1は完全封鎖、危ない場面でも素晴らしいスライディングで危機を凌ぐ、コンタクトにも強い、無理が利くといったらいいのかな。そして何より鼻が利く。ミスであったり、偶発的な要素が絡んでも高い身体能力ですっ飛んでカバーしてしまう。最初の頃は荒削り感があったけど、経験を増してどんどん状況判断が正確になってるし、アタッカーにとってはこの上なく邪魔な存在。国際舞台での経験も積んでるし、今後更に良くなりそう。優男風なのに……。二人とも色々噂で照るけど、どこに行っても重宝されるだろうなぁ……。

*にしても、出来すぎ。堅守できっちり零封、大分の象徴とも言える選手から決勝点がもたらされ、最後にチームを長年支えてきた西山哲平が登場、トリニータな方々にとってはたまらない展開のはず。まあ、今シーズンの彼らの躍進を考えれば、その結実という意味で正当な報酬なのかも知れないけど……ただ、やっぱり出来すぎだなぁ。うらやましい。

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で、素直な気持ちとして、タイトルを争うゲームがしたいという気持ちが強くなりました、。

ここ数年、ナビに関しては後一歩のところで届かず、リーグも正直なところノーチャンス、天皇杯はクリスマス前に……。毎年思ってるけど、やっぱりタイトルの掛かった状況での痺れるような緊張感を味わいたい。普段の試合も大事、なんだけど、やっぱりこういう試合は特別。それは当事者じゃなきゃ味わえない。で、若い選手にもこういう緊張感を味わってほしい、経験しないことには始まらないと思うから。まー、そのためにもまずは今日から、一歩ずつ、ね。

ということでここまで。

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2008 J.League YamazakiNABISCO Cup Final

トリニータ 2-0 エスパルス @ 国立競技場「余りに鮮やかで残酷なコントラスト」
Trinita:68'高松大樹 89'ウェズレイ

Super Soccer

トリニータスタメン:GK下川誠吾、DF深谷友基、森重真人、上本大海、MFホベルト、エジミウソン、高橋大輔、藤田義明(→89'西山哲平)、金崎夢生(→89'小林宏之)、FW高松大樹(→82'森島康仁)、ウェズレイ

エスパルススタメン:GK山本海人、DF岩下敬輔、青山直晃、高木和道、児玉新(→71'市川大祐)、MF伊東輝悦、山本真希(→71'マルコス・パウロ)、兵働昭弘、枝村匠馬(→82'矢島卓郎)、FW原一樹、岡崎慎司

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