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October 08, 2008

ビッグスワンの沈黙@J1 第28節 アルビレックス vs Fマリノス

堅守の記憶を取り戻して安定感増す守備陣に頼もしさ、一縷の希望となった武器も火を噴かず決め手を欠くアタッカー陣の歯痒さ。

希望と失望の入り交じる沈黙のゲーム。

それでも、今は前へ、前へ。

2008 J.League Division1 第28節

アルビレックス 0-0 Fマリノス @ 東北電力ビッグスワンスタジアム「ビッグスワンの沈黙」

super soccer

Fマリノススタメン:GK榎本哲也"安定=信頼"、DF栗原勇蔵"しっかり"、中澤佑二"がっちり"、田中裕介"きっちり"、MF河合竜二(→78'水沼宏太)、小椋祥平"ボール奪取という攻撃力"、小宮山尊信"合格点は上げられない"(→82'金井貢史)、山瀬幸宏"諸刃のドリブル"、狩野健太"共存の余裕と必死"、兵藤慎剛"欲しいのはエゴ"、FW坂田大輔"チームの核として、ストライカーとして"(→85'大島秀夫)

アルビレックススタメン:GK北野貴之、DF内田潤、海本慶治(→67'中野洋司)、永田充、松尾直人、MFマルシオ・リシャルデス、本間勲、千葉和彦、松下敏弘、FWアレッサンドロ、矢野貴章

雨予報も何のその、快晴に恵まれたキックオフ前のビッグスワン。スタジアム周辺には好天の恵みを受けるかのように多くの人が芝生やベンチで和む姿には数時間後に真横にそびえ立つスタジアムで行われる戦闘の雰囲気など露程も感じられない。これも新潟で育まれた「サッカーのある生活」の一面か。

しかし、互いに重要なゲーム、嫌がおうにもテンションは上がる。直接のライバルを蹴落とす「3度目のチャンス」となったFマリノス、しかし、そんなゲームでも今や神通力さえ感じてしまう不思議な監督・木村浩吉には関係ないようで、「Winning Team Never Change」を根底から覆すギャンブル的スタメンに打って出た。まず、不動のスタメンだった右ウイングバック田中隼磨を帯同させず、右サイドに本来左ウイングバックを勤める小宮山尊信をコンバート、左サイドにはサテでゴールを挙げた山瀬幸宏を抜擢。攻撃的な両サイドのカバーを意識してか、ボランチには可動範囲の広い河合と小椋を据える。浩吉さんなりのリスクマネジメント。しかしこれだけに飽きたらず、チームNo.1ゴーラーであり、前線でのスキルフルなポストで起点を作る大島秀夫もをも外して(ケガ?)、坂田の1トップ、狩野・兵藤の2シャドー。相変わらず読めなさすぎる。対するアルビレックスの方は、前節レッドカードをもらったセンターバック千代反田充が出場停止で代わりには久々らしい海本、それ以外は出場停止明けのチーム得点王アレッサンドロも戻り、ベスとメンバーか。

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試合展開

互いに攻撃構築の手段を欠き、空中にボールが飛び交う展開となった前半。自ずと主導権争いを司ったのはセカンドボールの攻防。Fマリノスが拾えばショートカウンター気味の攻撃で一気にゴールを目指し、アルビレックスが拾えば松下の長距離フリーランニングとマルシオ・リシャルデスの技術力を前に押し出したサイドアタックで攻め込む。そのセカンドボールを巡る攻防において、前線での高さと迫力を欠くFマリノスアタッカー陣だったこともあってか、アルビレックスに分。とはいえ、Fマリノスもロスト後のプレッシングの意識が高く、水際の攻防でもきっちりとアタッカーを捕まえてやらせず、結果として危機を感じるようなシーンは数える程。左サイド松下と松尾のコンビから最後はループパスをボレーで叩かれたシーンぐらいか。互いにセットプレーから何度かチャンスを迎えたが(特にアルビは矢野の巧みなファールを誘うような持ち方が生きた。あれはあれでうまい)、これもゴールをこじ開ける術にはならず。

小雨が降り出した後半、Fマリノスはサイドのスペースをケアした上で前線から激しいアプローチでアルビの攻撃構築を急襲、高い位置でのボール奪取からのショートカウンターチャンスを創出すると、その勢いのままコミーからの折り返し、兵藤がスルーして中央の坂田に通ると浮いたボールを反転して左足!強烈なシュートに北野も反応出来ず……!キター!……と思ったら主審手を振って取り消す……そうよ、少しボールの軌道が変わってたのが見えたよ……ハンドでこのゴールは取り消し、つくづく坂田はゴールの神様から嫌われてる。しかし、チームの勢いは止まらず。ディフェンス陣は継続して、矢野・アレッサンドロにタイトに激しく行く事でほとんど仕事をさせず、守備の安定も相まって小椋がプッシュアップ出来たことで彼のボール奪取力が高い位置で活きたりと、好リズムを継続。しかし、ゴールが遠かった。

最大の決定機と思われたカウンターからの幸宏のクロスをファーに飛び込んだ小椋のヘッドはDFに当たって枠に飛ばず、グラウンダーのクロスが流れたところに走り込んだ幸宏のフィニッシュは北野のセーブに阻まれ、決定機をモノに出来ず。又、カウンターのシーンでは結果のでない焦りか、うまく回りを使えずに不器用な突破で得点機と言えるようなチャンスにまで仕立て上げることが出来ないシーンもしばしば。アルビレックスはFマリノスのプレッシングにほとんどアジャスト出来ておらず、ロストの仕方が悪いため、危機的な状況にあったのは明らか。攻撃構築の術も見いだせていなかったし、叩くべきはこの時だった。しかし、その機を活かせなかったこと、これがこのゲームのキーだったか。

最終局面、小雨は激しい豪雨に変わり、ゲームも過熱。互いにセットプレーからゴールに迫るが、両チームとも集中力高くこれも決定打とはなり得ず。Fマリノスは、宏太・大島へとスイッチし、最後まで圧力を掛けていくが、フィニッシュシーンではシュートセレクトで冷静さを欠いたりと、ゴールの可能性を感じるようなシーンを作り上げることは出来ず。結局、ビッグスワンにこの日ゴールシーンは生まれず。スコアレスドローで互いに立ち位置は変わらないまま勝ち点1を積み上げるに留まった。

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底を彷徨った夏、今シーズンのアウェイの傾向を考えれば、相手を沈黙させて奪った勝ち点1には望外の意味があるのかも知れない。立ち止まらない、常に前に進む事が今は何より大事だという考えも変わらない。だからこそ、このゲームの勝ち点1も意義あるモノだったと思う。

とはいえ、勝ち点3を得るべきゲームだったとも思う。贔屓目なしに、Fマリノスに風は吹いていた。しかし、沈黙の続く攻撃陣にはゴールが遠く、その勝ち点3を掴み取ることが出来なかった。その喪失が何を意味するのかを考えると、背筋が凍る。

ただ、変わらないのはただ一つ。目の前の一試合一試合を必死になって戦って、前に進むしかない。自分達でしか道は切り開けない。そこはシンプルに考えていきたい。

だから、僕は前を向く。

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*いやー、まー、何というか……ビッグスワンは良いところだったのだけど、フラストレーションが溜まるというか、後悔の募るようなゲームになってしまって残念。ちょっとの工夫、冷静さ、アイデア、技術、そして運があれば……なんてことは未だに考えてしまいます。惜しいシーンを自分の頭の中で巻き戻して、ここでこうしてくれてれば……なんて考えちゃう……そんなゲームだったかなーと。とはいえ、今は点を獲る術というのが見いだせていない以上、我慢我慢で戦っていくしかない。きっかけ、と言う気もするけどね。坂田とか兵藤は特に。

*とはいえ、後半の激しいプレッシングから高い位置でボールを奪えていたのはチームとして狙っていたことが出来ていた証拠。狙われていたスペースを消し、人を捕まえ、保証を得たプレーヤーが積極的に前に出てボールを狩りに行く。アルビレックスのビルドアップが余りに不安定だったと言うことはあるけれど、これはチームの武器になり得る要素。次の相手に対しては少々パスの選択肢となるプレーヤーを捕まえる連動のスピードに物足りなさが残るけれど、今後を考える意味では良い傾向にあるとは思う。個人的な趣味から言えば、ショートカウンターを攻撃の武器の選択肢として考えることは、ナンセンスだと思ってるけど、ね(カウンターに出るための方法論ばかりが先鋭化して、攻撃に移り変わった後のディティール、この要素が置き去りとなることが多い。うちがこの試合でカウンターのチャンスを逃していたのもそういう要素があると思う。もちろん、ここは「個人」という部分で何とかするべきなのかも知れないけど……個人的にはこういう部分がおざなりになってる状況では、カウンターも効果的な武器にはなり得ないんじゃないかと)

*で、坂田なんですよ、現状ゴールを最も獲って欲しいのは。コンディションも良好、動きの質も低くない、彼の飛び出しが相手のラインを押し下げバイタルを拡充する効果をもたらしているし、ポストに関してもコンビミスは目立つけど収まってきてる。だからこそ、きっかけが……と言う感じで既に何節か……うーん。ハンドとなったゴールシーンに関しては久々に勢いのある素晴らしいシュートがコースに飛んだけど、それ以外のシュートシーンを見ても、余裕がないし、焦りを感じる部分が少し。相手と併走してシュートが先立ちすぎて、相手を振る動きであったり、タイミングをずらす工夫であったりと、ネットを揺するための工夫が欲しい。もちろん、スピード感溢れる飛び出しでラインを突破し、勢いあるシュートがずばっと決まるのがらしいっちゃらしいけど。

*小椋はミスもあるけど、非常に積極的に取り組んでるのがプレーに表れた。楔にしても、前へのアプローチにしても、ポジティブなエネルギーに溢れていて、チームに勢いを与えるプレーが出来ていたかなーと。やっぱり一列前の方が彼の特色が出る。河合とのコンビだと、スムーズにボールが動かない(河合の裁きが去年のようにシンプルじゃないというのはあるんだけど)と言うのはあるけれど、ボールを奪うと言うことを攻撃に直結出来ていたのは好印象。カウンターのチャンスは決めたかった。でもああいうプレーは今のFマリノスに足りない部分、兵藤同様にそういうことを気付いて出来ているという部分含めて面白い存在かも。

*コミーの右サイド起用は、幸宏の攻撃面な出来を含めてもオプションには確かになり得る。けれど、この試合でやるべきじゃなかったとも思う。後半自重気味になってチームのバランスが改善されたけど、こういうプレーをさせるなら隼磨で良かった、いや、隼磨の方が適性としてはあってた。松下のように長距離を走ってスペースを突いてくる選手に対して前に出ることで特性を出すコミーは相性として決して良いとは言えない。もちろん、逆側となればマルシオ・リシャルデスだし、これも簡単ではないけれど……。あと、右足クロスはもっと練習する必要があるかな。隼磨にも言えるけど。幸宏は攻撃面では及第点、突破の実効力という面では可能性を感じさせたし、質の高いクロスも供給した。ただ、守備面ではやはり不安も残る。頑張ってはいたけどね。

*その隼磨、判断の悪さ・遅さ、クロスの質、突破に対しての積極性、ケアレスミスなど、隼磨自身のパフォーマンスの質が低下していたこともあって、こういうことになったのは自明の理、必要な時間だったと思う。必ずしも個人だけの問題ではないとも思うし(サイドへのフォローが少ない中で突破を問われるけれど、その突破に実効力が伴わず袋小路に嵌ってる)、サイドバックであればもっと良さは出せると思うけれど、それは言い訳。ウイングバックとしてどのようにプレーするのか、今まで自分がどういうプレーをしてきたのか、改めて考え直す必要はあると思うし、外から見て色々なことを感じ取ったはず。それをプレーにアウトプットして、もう一度積極的な隼磨を取り戻して欲しい。心機一転、期するモノを見せて欲しい。去年の長い距離ガンガン走って、どんどん追い越す飛び出す隼磨が見たいぞ。頑張れ隼磨。

*コーキチさんは、思慮遠望がありすぎてよくわからないけど、もしこれで隼磨が復活したり、オーシが発奮したらコーキチマジックとなるかしら……。保守的な自分としては度肝抜かれたけど、土台があるからこそ出来たとも言えるし、コーキチさん自身ぶれていないみたいだから、それはそれで。結果も出てるし。とはいえ、もう少し相手との相対的な要素を見据えた上での選手起用があってもいいかなという気はする。次は、もう少し相手をリスペクトしないと痛い目見そう。それと、功治が戻ってきた時にどうするか、個人的には兵藤と河合(小椋)のボランチは崩してほしくない、狩野も外して欲しくない、トップは2トップの方がベター……4バックで行こうぜ?あー、安定してる3バックを崩すのもなー、コミーのサイドバックはちょっと不安……(堂々巡り)個人的には4バックにした方がバランスは改善されると思うけど、ね。出来ないとも思わないし。

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とにもかくにも一試合一試合です。とはいえ、今週はインターバル。良い時間を過ごして、名古屋戦に備えて欲しいモノです。そして何より、タフになりそうな終盤戦を戦い抜くコンディションとタクティクスを準備して欲しい……。この時間、とっても大事だと思うから……。

ということでここまでー。

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*初めての新潟、新幹線直通で2時間弱、素敵な旅路でした。たれかつ丼喰って、日本酒飲んで、魚喰って……でもお土産だけが足りなかったけどな。過ごしやすかったし、良いところですなぁ。又行きたいから残る(本末転倒)

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