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June 04, 2008

日本のクオリティ@FIFA WORLDCUP A.Qualify 3rdRound vs オマーン

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相手は主力を欠いていた、相手がゲームプランを誤った、今後このメンバー構成で強豪と伍していけるのか、様々なエクスキューズは残る。

しかし、日本代表が素晴らしいパフォーマンスしたことに変わりはない。日本代表に相応しいハイレベルなクオリティのプレーで相手を圧倒したことが素直に嬉しい、そして誇らしい。

そして、この誇らしい姿が日本のために尽力し歴史を作った長沼さんに届かんことを。

010 FIFA WORLDCUP SouthAfrica Asian Qualify 3rdRound

Japan 3-0 Oman @ Nissan Stadium,YOKOHAMA
JAPAN:10'Y.Nakazawa! 22'Y.Okubo! 49'S.Nakamura!

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日本代表スタメン:GK楢崎正剛、DF駒野友一、中澤佑二"鬼神の如き"、田中マルクス闘莉王"スペシャルワン"、長友佑都(→83'今野泰幸)、MF中村俊輔"スーパー"、遠藤保仁"リズムメーカー"、長谷部誠"ヒヤヒヤハラハラ"、松井大輔"遊撃"、FW大久保嘉人"期待に応えるエース"(→72'香川真司"新時代の寵愛")、玉田圭司(→79'巻誠一郎)

雨雲が垂れ込める日産スタジアム。アウェイのバーレーン戦での不覚により、この一戦に岡田監督の進退が懸かり、予選突破を考える上でも勝ち点で並ぶライバルとなるだけに絶対に落とせないゲーム。又、岡田監督のキャリアをスタートさせた長沼会長の訃報がゲーム直前に届き、岡田監督にとっても非常に思い意義のある試合となっていたのではないだろうか。

そんなゲームのスタメン、勝ちに行く、点を獲るという意思を強く表すかのように、技術力に長けた選手を並べ、しかもアンカー抜きという中盤構成、そしてポストに頼るのではなく機動力と突破力に長けた2トップというチャレンジングな布陣を選択した岡田監督。まさに勝負の布陣といえるか。ここまで代表の主軸をなしてきた阿部勇樹や鈴木啓太がベンチを外れるとは思わなかった、びっくり(阿部っちは怪我なのね……赤の差し金、とは思いたくないけど)対するオマーン代表は出場停止などで主力5人を欠く中での苦悩の見えるメンバー構成だったよう。その中でウルグアイ人のリバス監督がどのようなゲームプランを携えてゲームに臨んだのかが気になった。

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試合展開

オマーンは中東らしくない高めのラインコントロール、中盤をコンパクトにして中盤での鬩ぎ合いを挑んで来ている感じか。日本代表はリスクを避けながら長いボールを織り交ぜて裏を狙うような形でゲームに入ると、相手の裏への対応のまずさもあって、いきなりチャンスを迎える。闘莉王の素晴らしいフィードに嘉人が反応、スピードに乗って裏に抜けようとしたところでオマーンディフェンスが頭に当ててカットされるも、併走していた玉ちゃんの元にボールがこぼれる!これをうまく合わせてゴールを狙うが枠を大きく外した……でも、惜しい!このプレーで流れを掴むと、押し気味にゲームを進め、そして伝家の宝刀で貴重な貴重な先制点を掴み取る。長友のオーバーラップで奪い取った左CK、ヤットのインスイングの速いボールに対して、闘莉王がニアに走り込むことで空けた中央のスペース、入ってきたのは佑二!相手と競り合いながらもボールサイドに入ってダイビングヘッドでずどん!スタジアム熱狂!佑二の気迫が表れるかのような素晴らしいダイビングヘッド、そのゴールを引き出した闘莉王のスペースメイク、そしてヤットの素晴らしいキック。ゴールを獲って然るべきクオリティの伴ったセットプレー、お見事。

先制点で固さが取れると、徐々に日本の誇る技術がピッチに表れはじめる。松井が積極的に最前線に飛び出して、俊輔が美しく精度抜群のフィードを送ってチャンスを作る。ヤットのサイドへのフィード、俊輔が柔らかく収め、駒野がオーバーラップを掛け、そこにタイミングを計った上でのスルーパスが出る、美しいコンビネーション。素晴らしいプレーが何度も表れる中で、技術とセンスの粋が凝縮されたプレーが素晴らしいゴールを生みだす。相手のスローインをカットすると、右サイドにボールが渡る。細かく繋ぐ中で俊輔がフリーでボールを持つと視点の先にはするするっとポジションを上げていた闘莉王、そしてその走り込むポイントにピンポイントのスーパーフィード!闘莉王はイイポジショニングで完全にこのボールの制空権を握ると、闘莉王の選択は後ろから走り込んだ大久保嘉人!落とされたボールに対して、冷静にファーサイドへ沈めて追加点!うおー!すげー!糸を引くような俊輔のフィード、そしてするするっと最前線に飛び出した闘莉王の感性と正確な落とし、そして嘉人のフィニッシュ。全てがパーフェクト。相手の浅いラインを見事に攻略。スペシャルスキルと決定力、うまくいきすぎてるぐらいの展開で早い時間で大きすぎるアドバンテージ!

完全に日本のペース、しかしこれに飽きたらず質の高いプレーで継続して流れを手放さない。闘莉王とヤットが僅かな隙を見逃さず後方から高いレベルのビルドアップを見せてリズムを構築し、俊輔と松井が攻撃にアクセントを付ける。長谷部や長友、駒野が後方からどんどん押し上げて攻撃に絡み、嘉人と玉ちゃんは拡がるスペースに対して裏を狙うだけでなく、楔をダイレクトで正確に落として流れるような攻撃を演出する。詰まったりプレッシャーを掛けられても失わず、くだらないミスも少ないため、相手がボールを持つ機会自体が少ない。失ってもロスト後は素早くボールサイドにプレッシャーを掛けるなどキリンカップで見せていた切り替えの意識を維持、奪いきれなくてもきっちりと帰陣してブロックを作って、隙を作らず。レベルの差を見せる形で2点リードを保ち、前半を折り返す。

後半に入っても、日本の高いクオリティのプレーは継続。運動量落ちずオマーンの散発的な攻撃を簡単に遮断し、展開力を感じさせるサイドチェンジなどで揺さぶりを掛けると、欧州の風を感じさせるクオリティでトドメの一発が生み出される。左サイド、長友のカットを兼ねたアバウドな縦パスに対し、松井がうまく身体を入れ替えてサイドライン際に流れたボールをマイボールにすると、バランスを立て直してそのまま中に方向転換、そしてバイタルに入ってきた俊輔へ。俊輔は左足という武器をダシに大きなキックフェイクで相手を完全に出し抜くと、そのまま右足でミドルシュート!これが素晴らしいコースに飛び、アルハブシを破って3点目!松井の素晴らしい身のこなしにフランスで培った強さとバランス感覚を感じたし、俊輔の逆脚でもペナ外からきっちりとコースを捉えるミドルレンジからのシュート力は見事の一言、彼らが欧州で戦い抜いているクオリティを存分に堪能。僕はホームのカテ4で見ていたので目の前で見れた!凄かったぁ。

点差が付き、勝負の決した中でも集中力は切れないが、連戦やイエローなどの兼ね合いを考えると、少しずつベンチワークにも興味が移った中で、なかなか岡ちゃんは動かず。連携という側面で、出来るだけこのメンバーでのコンビネーションを高めたいと言う狙いか。それにしてもこのメンバーが作り出すポゼッションは非常に質が高い。ミスが少ない事や濡れたピッチでもパススピードとファーストタッチに感じる技術の安定性、一本一本のパスの種類に感じる丁寧な意識、見いだした隙を安易に逃さないプレービジョンと自信、これが本当のポゼッションなのかも知れない。守備も速いプレッシャーは衰えず。結局ベンチが動いたの残り20分、十代ながらセレッソの大黒柱として存在感を示しており、岡ちゃんに期待を抱かせる香川真司を嘉人に変えて投入。そのままセカンドトップ的な2トップの一角にポジションに入る。

終盤、玉ちゃんに代え巻、長友に代え今野といった交代策を交えながら、リードを維持。期待を背負った香川は、一度CKを頭で合わせて見せ場を作ったが、全体的に流しモードに入ったチームの中ではインパクトはそれほどでもなかったか。結局、オマーンの反撃を許すことなく、きっちりと3-0のスコアで終了。日本のクオリティとプライドを示す形でショッキングな敗戦のイメージを払拭した。

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改めて感じたのは、「日本代表の選手はうまいんだ」ということ。

高い技術、優れたプレービジョン、丁寧なプレーディティール、継続出来たパス&ムーブの意識、こういった要素が融合して高質なポゼッションを展開した攻撃、チーム内に浸透して高いモラルで継続したロスト後の素早いファーストアプローチ、奪いきれなかったときの帰陣によるブロック構築の使い分け含めて安定感のあった守備、短期間で失意のゲームのイメージを払拭させるだけクオリティを示してくれたことは非常に嬉しかった。

様々なエクスキューズがあってのこと、かも知れないけれど、このクオリティがこのチームのスタンダードとなっていって欲しいし、これを更に昇華させていくことで、もっともっと強いチームになっていって欲しいと願うばかり。

それは、時代が変わる中で、代表を取り巻く環境は変化の兆しを見せているけれど、それでも日本代表は日本サッカーを引っ張るオピニオンリーダーであるべきだと思うから。常に、魅力的で、強いチームであって欲しい。だからこそ、ここがリスタートライン。

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*それにしても、素晴らしかったのは闘莉王とヤットの攻撃構築。ディフェンスラインでは大きく、そして速くボールを動かすことで相手の陣形に穴を空け、その空いた穴を消えないうちに活かす。彼らだけで質の高いビルドアップが出来たことによって、例えば松井なんかはほとんど後ろに引っ張られることなく、アタッキングエリアで自由に動いてプレーするが出来たと思うし、長谷部にしても心おきなく前に出て行くことが出来たと思う。彼らが前にいることで、ダイレクトを絡めた流動性のある攻撃に必要な素早いサポートも可能になるし、走る距離も短くなるから、アタックに対してのエネルギーも残る。自主自立性のあるビルドアップによって生み出された好循環は限りなく大きい。二人のプレーには、大きな評価がなされるべきかなーと。褒めるのは腹立たしいけれど、闘莉王は本当に素晴らしい。改めて生で見て、彼のパススピード、パス精度、フリーマンを見つける視野……センスが違う。これだけ出来る選手は今までいなかった。しかも、当然守って良し、飛び出して良し、セットプレー良し、彼がもたらす効果というのは計り知れない。って、怪我かよ!

*で、選手間できっちりと同じイメージを抱き、高いモラルの元で継続していたことに関しては、監督のマネジメントが成功していることを示しているのかなと。長い時間経ってもそういうことが全く出来ない監督もいる中で(毒)短い時間ながら、選手達にベクトルを示して高いモラルを持たせてやらせたわけだから、そこは拍手。もちろん、選手の高いクオリティ(高い意識の元、能動的に頭を働かせてプレー出来る選手達が揃ってた。その中でプレーイメージの摺り合わせがうまくいったことで非常にスムーズな連携になったし)に助けられている側面も否めないけれど、ね。

*とはいえ、今後を考えたとき、このクオリティを維持出来るのかというのが課題になってくるかな。キープレーヤー(闘莉王・遠藤・俊輔・松井)を欠いた時にプレークオリティを維持出来るのか。酷暑の中東、そして東南アジアでこのアグレッシブなプレー姿勢を保てるか。でこぼこのピッチで精度を保てるか。リトリートされたとき、組織的にプレッシングを掛けられたときにもこの日のような高質のポゼッションを維持出来るか。ま、乗り越えるべき課題は残っていると言うことですな。まずすべき事はこの質を表現出来るグループを広げていく、ということ。強豪相手にヤットと長谷部のセントラルはリスキーなわけで、鈴木啓太であったり、今野の存在は必ず必要になると思うけど、ビルドアップに置いて質を示せないとこの日のような質は保てない。ディフェンス陣に関してもビルドアップに置いて闘莉王に頼りすぎている側面はあるし、もっとチーム全体でこのプレーを演出出来るようになっていくことが更なるレベルアップのためには必要。結果も必要なゲームが続くわけだから、理想だけを追うわけにはいかないけれど、挑戦して欲しいな、うん。

*俊輔。別格、という言葉がぴったり来るプレーぶり。ピンポイントフィードは本当に美しいし、実効性も抜群。久々に中村俊輔らしいのプレークオリティの質を堪能出来たことは非常に嬉しかった。で、個人的に感心したのは周囲との信頼関係を維持するために、非常に常に動き出しをした選手を視野に入れ、出さなかったときには必ず「出せなくてごめん、でも見えているよ」という合図を出していること。動き出した選手は少なからず出てこなかったことに対して疑念を持つし、それが続けば動き出しのクオリティは落ちていってしまうと思うのだけど(まー、それが実際Fマリノスで起きているからね~)、こういうコミュニケーションを取ることで動き出した選手に「次は出てくるかも」と思わせて、動き出しの質を継続させてる。パスというのは出し手だけのモノではなく、出し手と受け手が両方シンクロすることで質を保つ。非常に地味なことだけど、大切なことだと思うし、それをやり続けていると言うことは非常に素晴らしいことだと思う。俊輔、変わったよ。守備も激しく、アリバイ的じゃなく実効要素の伴うきっちりとしたモノだったし、運動量も豊富。状態が気になるけれど、あと3戦、良い仕事して欲しいな。右足ミドル見事!

*佑二格好良かった!本職の仕事はさておき、鬼神の如きヘッドは震えたわー。佑二にも思うところはあったと思うし、その気持ちが前面に出たゴールだったと思う。このゴールの重要性は火を見るより明らか、本当に素晴らしい仕事をしてくれました。次の課題はビルドアップ、一度戻されたボールに対してダイレクトでずばっと楔を入れたシーンがあったけれど、ああいうプレーを常に意識してやっていくことが必要。意識して欲しいな。功治は出場機会がなく残念。でも、刺激受けたし、今後試合に出るためには色々と考えなきゃいけないよね。自分に求められる役割、パラグアイ戦の時に功治に求められた役割はこの日の松井のプレーにヒントがある。松井が何を意識していたのか、それはアタッキングエリアで自分の持ち味を出すこと。多少セルフィッシュな意識だとは思うけれど、チームに置いてこれだけ自主自立性の高いビルドアップが可能だからこそ、許される。功治ももっと自分の持ち味を出すことに専念しても良いわけで。マリノスじゃないんだから、自分で何でもしなくていい、頭を切り換えてほしいかな。

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と言うことで、本当に良かった。何となく試合後は幸せな気分でしたよ。こういうサッカーを見ると、幸せな気分になる。こういうサッカーをね、毎週みたいよね、えぇ。

ま、余計なことはさておき、次はマスカットでアウェーゲーム、きっちり勝って予選突破決めて頂戴。ということでここまでー。

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*しかし、4万でも日産スタジアムはスカスカに見えてしまうわねぇ。本番と言うこともあり、それなりに入ってたとは思うけれど、やはり要塞はでかすぎる……。平日だから超満員は無理にしても……そうなると埼玉がベターなのかなー。埼玉は御園渋滞があるから終電怖い……。

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Comments

こんにちは。私もホームカテ4で観ていました。普段は小憎らしい闘莉王ですが(笑)、味方にすると頼もしい選手ですね。そして俊輔! ボールを持っている時の安定感と視野の広さはさすがですが、味方が出し先を探しているときに小さくフェイクをかけながらパスを受けるスペースを作る動き、または味方にスペースを作る中距離のフリーランニングなど、ボールがないところでの動きにもクオリティの高さが溢れていました。このところの閉塞感ただようマリノス攻撃陣に足りないのは、ああいう動きなんだよなぁ。。と思ってしまったり。
いろいろ言う外野もいますが、苛酷なアウェ戦の前にチーム全体が自信の持てる試合だったと思います。週末もがんばってほしいですね! ではでは。

Posted by: mone | June 04, 2008 at 01:26 PM

moneさんこんにちわー!

moneさんもカテ4だったんですかー!もしかしたら近くにいたのかも!って、それでも沢山の人がいたのでわからないでしょうが(苦笑)

闘莉王は本当に素晴らしかったです。怪我が多くスペランカーなのが惜しい……。守備センスはもちろんのこと(彼のラインコントロールはうまいですよ)パススピード、空いたところを見つける目、攻撃参加の実効性、攻撃センスも抜群ですね。敵だとどうも認めたくないのですが、味方になると仰る通り頼もしかったです。

そして、俊輔!ボールを失わない、視野も広く、それを使う技術もある、運動量も多く、オフ・ザ・ボールの動きもそれなりにしていて、全体を見た上で細かいところまで気を配れる。今までの俊輔と、更に進化を遂げる俊輔の両方を感じられた試合でした。Fマリノスに戻ってくる云々の話がありましたが、こんな宝を殺すわけにはいかないと逆に責任感が沸いてきてしまいました。チームとしては俊輔一人が入っても変わらなそうだし……。

過酷なアウェイ戦となりそうですが、この6月連戦は結果以外にも非常に大事な時間だと思うので、得た自信を確信に代えるかの如く熟成していって欲しいですね。岡ちゃんも重々承知、のはず!

ではではー。又よろしくお願い致しますー。

Posted by: いた | June 06, 2008 at 03:09 AM

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