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January 08, 2008

「融合」による化学変化を -新監督就任に寄せて-

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新監督に「桑原隆」の名前が挙がったとき、正直言って、複雑な気持ちがあった。

もちろん、輝かしい経歴に希望を見いだすことも出来る。今や世界の名将となった現ポルトガル代表監督ルイス・フェリペ・スコラーリの間近で監督業は何かというモノを学び、その後を受けて「監督代行」としてジュビロを初の年間王者に導く。S級ライセンス取得後正式な監督として就任し、全盛期のジュビロを率いてアジアとJのダブルという偉業を達成。文句の付けようのない経歴である。

でも、彼の言葉が胸に残る。

「絶対に今の横浜のような戦い方はしたくない」

突き付けられた結果を直視出来ず、現代フットボールの潮流に乗り切れなかった人に、チームをよりよき方向に進めていく監督業の適性を見いだす事が出来なかったからだ。

しかし、何も始まっていない。何も始まっていないからこそ、僕は彼が監督になったことに絶望しない。いや、逆に期待したい。

自らが断罪した「Fマリノス」を率いるからこそ生まれ得る化学変化を。

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成功例としての"融合" -奥大介と清水範久-

今でこそ、黄金期を過ぎ過渡期を迎えてもがき苦しんでいるジュビロ磐田。しかし、1999年から始まった黄金期のジュビロは恐ろしく強く、そして美しかった。高い基礎スキルと判断力を持つタレント達が織りなす流麗なポゼッション、相互理解と戦術眼から繰り出される実効力溢れるスペースメイク&ユーズ、高い完成度を誇ったフットボールは間違いなく日本の頂点、いやアジア最高峰を表現していた。

そんなフットボールを構成するプレーヤー達のクオリティも又非常に高かった。それを肌身で感じられたのはサックスブルーのシャツを脱ぎ、トリコロールのシャツに袖を通した姿を見たときだった。

自らのこだわりを持つが故、主力として確固たる地位を築いていたにも関わらず横浜の地でプレーすることを決断した奥大介、彼のクオリティは非常に高かった。質の高いポジショニング、高い戦術理解力、素早い判断力、染みついた精緻な基礎スキル、経験が可能にする大一番で見せる勝負強さ、培ってきた力が多数のタスクを課されながら結果を残すことをも両立することを可能にする。決して主役として扱われなかったにしても、そのクオリティはFマリノスで主役となった時に眩く輝くことで証明された。彼に導かれるようにFマリノスは前人未踏の3ステージ連続優勝、2年連続のリーグタイトルを手にすることが出来たことを考えても、それは既に実証済みだろう。

そして、もう一人、Fマリノスにジュビロイズムを持ち込んだのが清水範久。彼も又、そのクオリティを兼ね備えていた。卓越したスピードや豊富な運動量にスポットが当たるプレーヤーながら、彼も又高い基礎スキル、プレーへの関与意識、オフ・ザ・ボールの動きの質を備え、ただ走り回るだけのプレーヤーではないことがわかる。高次元で様々な要素を併せ持つプレーヤーだからこそ、チームが苦しいときに輝き、何度となくチームの活性化を促す「活力剤」となっている。

この二人が持ち込んでくれたのは「クオリティ」。そのクオリティがチームに還元され(ジローのことを言えば現在進行形、なってくれている)、大きな成果を生むことになった。この二つの成功例は、来シーズンを考える上でポジティブな要素になるのではないかと思ったりする。

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・アイデンティティの融合が生み出す化学変化

脈々と受け継がれる伝統が、Fマリノスを「守備」のチームとして認識させる。井原正巳、小村徳男、松田直樹、中澤佑二、河合竜二、栗原勇蔵、那須大亮……優秀なセンターバックを数多く育て上げ、彼らの強固な守備能力を持ってして、勝利を引き寄せてきた。これはチームとして持っているアイデンティティと言えるのかも知れない。

しかし、昨シーズンからFマリノスはそのアイデンティティからの脱却を計っている。「スクランブルアタック」とコンセプトを掲げ、アグレッシブかつオフェンシブなプレースタイルを標榜。両サイドバックに積極的なオーバーラップを奨励し、高い位置からの連動したハイプレッシングを強調するなど、リスク承知の上で攻撃的に仕掛けることで後ろに掛かりがちだったバランスを改革しようと取り組んできた。そして、一つの成果を残し、新たなシーズンに臨もうとしている。

そんな中で就任することが決まった元ジュビロ磐田監督・桑原隆。ジュビロの黄金期を率いた実績、そして様々な発言から見ても、「美しきポゼッション」へのこだわりを感じさせ、どちらかと言えば理想へ邁進するタイプの監督と言えるのかも知れない。個人的にはそんな要素に不安を感じたりもするのだが、一つ期待したいこともある。それは、奥大介や清水範久が加入した時と同じような化学変化だ。

元々、Fマリノスは質実剛健な強さこそあれど、フットボールを構成する能力はそんなに高くない。ボールを繋ぐためにすべき事、プレーへの関与意識であったり、ボールレシーブアクションと言った要素への意識は低く、相手のゾーンディフェンスを前に閉塞感に苛まれることも少なくない。又、引かれた相手に対しての苦手意識もあり、それだけ崩しのアイデアは貧弱。そんな中で桑原新監督が培ってきた「ジュビロイズム」が持ち込まれたとしたら……、こういった要素も改善へと向かうのではないか。そして、Fマリノスが脈々と受け継いできたアイデンティティと融合したとき、「美しく、強い」Fマリノスが出来るのではないか……、そんな化学変化を期待している。

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*実際の所、そんなに簡単なことではなく、不安要素を上げればきりがない。違うアイデンティティが拒否反応もなく融合出来るという補償はどこにもない(ジュビロのサッカーは美しい反面非常に脆い要素も抱えていた。アウトサイドプレーヤーがアタッカーとしての役割を負っていたため、両サイドのスペースをケアしきれず(服部がよく見ていたけど)、カウンターで沈むシーンも少なくなかった。そしてテキヤ含めて歴代監督は構造的な欠陥を修正することはしなかった……ま、やったらやったでチームの良さを削ぐことになってしまうのだけどさ、山本さんみたいに)、現代フットボールへの順応にも不安を残す、昨シーズン作り上げた土台の継承と彼の理想とする部分のバランス、そもそもの手腕があるのかどうか(ジュビロ時代はオフトとフェリポン、又鈴木政一氏の作り上げたモノがあったからこそと言う側面、又自主自立性に溢れた優秀な選手達がいたからこそと言う側面)etc...でも、まあ最初から疑念の目を向けるより、まずは見てからと思いまして。

*たらればを言っても仕方ないけれど、監督に関しては手腕に定評のある外国人監督を招聘して欲しかったのが本音。若い選手達に違う価値基準、違う理念を与えることで、覚醒を導くきっかけとなれば良いなーと思っていたし(俊輔とかもそうだったしねー)、固定観念のない監督を呼ぶことでチームの競争意識を再び活性化させてほしかったというのがあって、外から引っ張ってきて欲しかったなーと。一時期ちょろっとブラジルのネイ・フランコという監督の名前が出てきたとき、これいいんじゃね?と思ったりしたのだけど……いや、いいんだけどね……。

*とにもかくにも、ベンチでのテキヤファッションだけが話題になるようなことは避けて下さい。今シーズンはFマリノス再生にとって大事な年(毎年大事だけど)、ハヤヤ・高橋・水沼体勢で作った基盤、うまく活かして!

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と言うことで、リクエストに応える形で少し考えてみました。本当は新体制発表で新監督の言葉を聞いてからと思っていたのだけど、ま、どっちにしてもピッチで表現されるモノを見なきゃわからないしね。ま、厳しい目でも見ていくつもりですよ。とにもかくにも、テキヤ頼むよ!

ということでここまで。

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*風邪で死んでます……。そのおかげで楽しみにしてた選手権をキャンセル……むー、もったいない。特に準決勝は見たかった……。ま、しっかり治して、今週はインカレと選手権の決勝見に行けるようにしないと!

*ベスト11作成中ですが、難航中……というのも迷いに迷ってます……。結構試合を見てきたけど、ここ数シーズンに比べて、見ている試合がかなり偏ってるので(今までもレッズの試合とかジェフの試合とか偏ってはいたけど……)どっちにしても偏見に満ちたモノになるとは思うのだけど……ま、もう少々お待ちを。

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Comments

リクエストに答えていただきありがとうございました。
2年契約ですので、わくわくするサッカーを見たいですね

Posted by: ばび | January 12, 2008 at 10:41 AM

ばびさん、こんにちわー。リクエストありがとうございましたー。

もっと斬って斬って斬りまくった方が良かったですか?
正直彼に対して不安がない訳じゃないですが、まー、何にも見ていない上で判断は出来ないと言うことを「去年」学んだんで(苦笑)

2年契約はやりすぎな気もしなくもないですが、お手並み拝見ですね。

ではでは、よろしくお願いしますー。

Posted by: いた | January 12, 2008 at 09:28 PM

新ユニ発表会行ってきました。

なんか人事の派閥が見えるような感じでしたが、相対的には多分社長やり手です。
いい感じじゃないですか??

で、桑原のおじさんですが。

目標 勝ち点70!!!!2対1で勝てる試合を。ということでした。
詳細は他の人が書くと思いますが、
お手並み拝見ですね。

Posted by: ばび | January 19, 2008 at 10:20 PM

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