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January 02, 2008

築かれた「モダンフットボールの礎」 -PlayBack F.Marinos 2007 Part 2-

あけましておめでとうございます!

で、年を跨いでしまいましたが、「PlayBack F.Marinos 2007」の続きです。

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突き抜けた夏 -7~8月-

アジアカップでリーグ中断の中、ナビ杯準々決勝。FC東京との2戦は今シーズンの傾向が良く現れたゲームとなった。第一戦、ホーム三ツ沢での1stLegは悪いときのFマリノスそのまま。主体的なムーブがなく、閉塞感に包み込まれて、一発のカウンターに沈む。与えてしまったアウェイゴール、残すはアウェイゲーム、レギュレーションとして大きなビハインドを背負ってしまった。しかし、乗ると強い。大雨の中でエウチデビューとなった味スタでの2ndLeg、序盤の苦しい時間帯を凌ぐと、濡れたピッチを避けるシンプルな攻撃の中で進化し続ける大島のポストワークが冴えを見せ、功治の、マルケスの技巧を活かす。前からのプレッシング、ハードなコンタクト、ダイナミックなオフ・ザ・ボール、フィニッシュへの意識の高さ、全てがリンクしたチームは、逞しくFC東京を粉砕する。これで3年連続の準決勝進出。見事なゲームでリーグ再開に繋げる。

3週間後、その勢いを駆って臨むは横浜ダービー。3月の屈辱を忘れるモノは誰もおらず、今度こその思いで選手・フロント・サポーター全てがチーム一丸でこのゲームに臨むと、その思いが伝わったのか選手達はピッチで躍動。高い位置からのプレッシングは連動感を取り戻し、アウトサイドからのダイナミックな攻撃で相手ディフェンスを蹂躙、伝説となる快勝劇を飾った。この勝利で勢いは更に加速、夏を一気に駆け抜ける。

フロンターレ戦、前回のように勢いで飲み込むようなゲームではなく、がっぷり四つで組み合う力の比べ合い。フロンターレの破壊的な攻撃に対し、Fマリノスの守備陣が何とか堪え忍び、豊富な運動量でFマリノスが反撃する。そんな中でエースがチームに勝利を呼び込む。CKからオーシのヘッドを導きだし、流れるようなカウンターの終着点としてスライディングシュートでゴールに結びつける。山瀬功治ここにあり。終盤の相手の猛攻を何とか1失点で凌ぎきり、神奈川ダービー2連勝、順位も今シーズン最高となる5位に上げる。

チームがうまくいっているときは全てがうまく回るモノなのか、チームは好循環を続ける。前半駄目駄目だったモノの、後半に投入されたジローがチームに火を付け後半一気の3発で覇気なき相手を粉砕したグランパス戦、サイドの突き合いで後手に回って背負ったビハインドも、隼磨のミドルで追いついたサンフレ戦、かつてのライバルをキレキレのマルケスを中心にした華麗なフットボールで完膚無きまでに叩きのめしたジュビロ戦。いずれもかなり暑い気候でのゲームだったが、非常に豊富な運動量で相手を上回り、高いパフォーマンスを示した。そして、実りの秋へと期待は高まった。

*やっぱりこの時期だとダービーだよねー。最高のパフォーマンスと最高の結果、天にも昇る気持ちだった。特に両アウトサイドの躍動、考えられないような決定力には震えましたよ。このチームにはこれだけのポテンシャルがあるというのを示した一戦だったと思う。ただ、残念なのはそれがスタンダードとならなかったことかな。

消えた勢い、露呈した構造的欠陥 -9~10月-

ノリノリで夏を乗り切り迎えた9月、誰もが期待を持って迎えたが、一つのゲームが流れを変える。国立でのレイソル戦、目を疑うような試合開始直後の中澤のオウンゴールで失点すると、最後までリーグトップクラスの被失点数を誇っていたレイソルの堅陣を前に攻めあぐね、最後まで突き破ることは出来ずに惜敗。ガンバ戦では中澤・松田を欠きながら、那須・栗原のセンターバックコンビが素晴らしい集中力でガンバ攻撃陣を完封。押され気味の展開の中でカウンターから功治→坂田ラインで2発と攻守が噛み合い、勢いを取り戻したかに思われたが、苦手とする埼玉2連戦、一度落ちた勢いではこのヤマは乗り越えられなかった。出場停止でエース不在、そんな状況でレッズ戦に臨むにあたって、又中盤の構成をボックスに変えると前線からのプレッシングは又機能不全。それでもボールサイドへの厳しいアプローチとアグレッシブなプレーでゲームを優位に進めるが、チャンスを活かせず逆に相手に一発のチャンスを活かされて悔しい敗戦。勝者のメンタリティを持ち得るモノと持ち得ないモノの差が出たゲームだった。そして、もうトラウマとなりつつあるアルディージャ戦、相変わらずゾーンに絡め取られ、カウンターで失点するという相変わらずのパターンに又も嵌ってホーム連敗。

勢いがなくなり、露見されたのはアグレッシブなチームスタイルに潜んでいた構造的な欠陥だった。両サイドバックが高いポジショングを獲り(そのため、ビルドアップ時はアンカーがバックラインに入り両センターバックが拡がって、幅を作る。これには両アウトサイドが高いポジションを獲れるという利点もあるが、パスターゲットが減る、バイタルケアが疎かになり守備に置けるリスクが高まる弊害がある)、どんどん攻撃に出て行くことが推奨されていた中で、カウンターからサイドバックが上がった後のスペースを取られることが多くなり、厳しい応対を迫られると、いくら高い能力を有するディフェンス陣とはいえ、全てを凌ぎきるのは難しく、その失点が致命傷となっていく。この過ちを繰り返すことで、一気に泥沼に嵌っていく。

味スタでのFC東京戦、弾丸のようなリチェーリに那須をぶつけようと前後半でポジションを弄るも、采配面で後手を踏み、そのリチェーリに穴を空けられる形で逆転負け。勢いの消えた状態で臨んだナビスコセミファイナル、乾の先発起用などショック療法を試みるも、フロンターレ・関塚監督の変則的な4-4-2への変更に分。1stLegでホームで惜敗、2ndLegは一筋の希望を先制点に見いだすが、その変更の肝である久木野を中心にサイドのスペースをカウンターで嫌という程突かれ、一縷の望みが絶たれる。最後は哲也退場で松田のGKというシーンを記憶に残し、3年連続でナビスコ準決勝敗退となった。

泥沼の5連敗、構造的欠陥を修正出来ないまま、次の試合に臨んでいっては、結果は見えていたのかも知れない。エスパルス戦、前半スムーズな攻撃で主導権を握るも決めきれず、又もアウトサイドの裏のスペースをカウンターで突かれて先制点献上、セットから更に失点、これで6連敗。大雨の小瀬では、プロ契約を前に一足先に水沼宏太がトップデビューという久々の明るい話題。しかし、ゲームの方は数的優位を活かせず、機能していた攻撃も閉塞感に包まれ、勝ちきれず。

収穫の秋を期待した季節は、終わってみれば潜在的な欠陥に苦しんだ季節だった。

*うー、この時期だとやっぱりナビスコかなー。2ndLeg、厳しい条件の中で選手達は今度こその思いを持って、気迫も前面に出して戦っていたのは印象に残ってる。修正出来ていれば可能性はなくはなかった、たらればに意味なんてないけど……。

・復調 -11~12月-

9月半ばから白星に見放され、チーム状態はどん底。周囲からはジャイアントキリングの期待を一身に背負う中で迎えた天皇杯4回戦の佐川急便戦。ここで復調の一歩を辿る。度重なるカウンターからの失点もあってか、システム変更に踏み切り、中盤の構成はボックス型に。その恩恵を受けたのはサテライトで中央のポジションの経験を積んでいた狩野だった。しかし、その狩野は真価を発揮出来ず。FKでのゴールこそあげたモノの、合格点を与えられるものではなかった。しかし、格下相手にきっちりとゴールを重ね、ようやく負の連鎖を断ち切ると、立ち直りの兆候を見せ始める。

鹿島戦では、春のジュビロ戦以来田中裕介が左サイドバックとしてスタメン起用、又、今シーズン初めて出場停止以外で功治をメンバーから外すなど、この後奇跡を起こす鹿島に挑むと、内容的に久々に質の高いプレーを見せる。天皇杯ではその力を出し切れなかった狩野を中心に細かいパスが紡がれ、鹿島を凌駕出来たのは彼らにとって自信となったか。ゲームの方はやはり(といってはなんだが)カウンターで同点、セットプレーから逆転、ミスから突き放されてと、今シーズンを象徴するような結果となったが、少し光明の見えるゲームとなった。

そして、待ち続けた時が訪れる。アウェイのジェフ戦。数的不利から一気にゲームをひっくり返され、完全なる負けパターン。しかし、ここから数的不利を補うようにダイナミックな走りを見せていたジローが、大島、隼磨のゴールを導き出す大活躍。ドラマティックな逆転劇で、万博ガンバ戦以来の勝ち星。ようやくチーム状態も上向いたところでラストホームのアルビレックス戦、松田、勇蔵、那須と怪我や出場停止が重なってセンターバック人材難となる中でサテでもこなしていた裕介がセンターバックとして奮闘。哲也のファインセーブもあって、久々の完封。終盤に今シーズンチームを支え続けた河合のミドルシュートが相手に当たる形で決まり、ホーム最終戦を白星で飾る。最終節、アウェイでのヴィッセル戦は、アグレッシブな攻め合いとなりながら、神戸に渡った達也とFマリノスの守護神となった哲也が互いに存在感を見せ、スコアレスドローで終わる。何とか巻き返した結果、昨シーズンの9位から7位と少し前進、賞金圏内でのフィニッシュ、Fマリノスのリーグ戦が終わった。

*ここはやっぱりジェフ戦だよね。もう久々の勝ち星で本当に嬉しかった。てか、涙出た。しかも、あの勝ち方は最高にキモチイイでしょう。寒かったけど。

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・総括 -築かれた「モダンフットボールの礎」-

振り返ってみて改めて感じるのは、非常に波の大きなシーズンだったということ。守備に体重の掛かりがちな傾向を改革すべく、「スクランブルアタック」のスローガンの元に攻撃的なフットボールの構築を目指した弊害とも言えるが、邁進した結果、様々な意味で「未来」に繋がるシーズンとなったのではないかと思う。

紆余曲折の末に掴んだ「ハイプレッシング・ハイテンションフットボール」は、チームにアグレッシブなモダンフットボールの概念を根付かせた。運動量や積極性、攻撃構築の質の向上に繋がり、間違いなくチームバランスは改革された(それが適切なモノかどうかは別にして)積極的な若手の起用も、形はどうあれ今後Fマリノスを担うプレーヤー達に経験を積んでもらうことに繋がり、今後の成長の糧となる要素が与えられた。昨シーズン全てを失い、ゼロからのスタートとなった中で、今シーズンやってきたことは「未来」に繋がる事が多かったと思う。

就任当時、早野監督が「耕して種を蒔いて、ちょっと芽が出てクビになるかも知れないけど、その芽が大きくなってくれればいい」という趣旨の言葉を発していた通りの形となってしまったけど、貫き通された信念は「芽」として間違いなくチームに残った。それだけでも早野監督をはじめとした指導陣にはそれ相応の評価が出来るのではないでしょうか。

残されたモノが出来るのは、残された「芽」を育て、未来を切り開いていく事だと思う。新体制となり、方針が継続されるかどうかは未だ不透明な部分があるのだけど、今シーズン作ったモノは基礎となる要素が多く、どんなフットボールをするにしても今シーズン築かれた「礎」が無駄になることはないはず。

そんなことを考えると、苦しい思いも、悔しい思いも沢山したけれど、イイシーズンだったのかなと。いや、そう後々思えるように、築かれた礎を活かしていかなきゃならないと、強く思う。

*最後に早野さん、本当にお疲れ様。良い仕事してくれた。色々足りない部分はあったけれど、変革のためにドラスティックな手法に舵を切り、結果、チームは大きく変わった、もちろん+の方向に。昨年までFマリノスのフットボールに伴っていたストレスがなくなったこともそうだし、希望を見いだせることもそう。だからこそありがとうといいたい。てか、謝らないと……批判しまくって申し訳ないっす、ま、的を外した覚えはないけどね。もちろん、高橋さん、水沼さんにもお疲れ様。あなた達がいたからきっとうまくいった。出来れば二人には残って欲しかった、あなた達に未来を担って欲しかった。それが叶わない今、言えることはありがとうだけです。

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と言うことで、まとまりきらなかったけれど、今シーズンおしまーい。後はベストイレブンだったり、天皇杯ファイナルかな。まだ見てないけど(苦笑)とにもかくにも、今年もよろしくお願い致します。

ということでここまで。

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*オフシーズンのニュースはまとめようかな……時間があれば。

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