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October 31, 2007

乾貴士 -past/present/future-

No.19 乾貴士
Position:MF
Birth:1988.6.2
Size:169cm/59kg
Blood:A
ComeFrom:野洲高

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[これまで]

11月の国立、ここで彼のサッカー人生は転機を迎えた。プロデビューもまだ果たしていない高校生としてオリンピック代表にサプライズ的に召集され、短い時間ながらピッチに立つチャンスをもらうと、韓国の屈強な選手を相手に鋭いターンからのドリブル、キレのあるスルーパスで観客を魅了。色めき立ったマスコミは彼を新世代のスターに祭り上げた。

そんな喧騒を経て始まった彼のプロ生活、その後も彼の周りには常に喧噪とセンセーショナルな出来事がついて回る。彼の才能に大きく期待した首脳陣は、その期待を最初のキャンプからトップチームでプレーさせるという形で示す。彼もその期待に違わぬ天性を見せつけ、練習試合ではマリノスタウンに集った観衆からどよめきを呼ぶ。そして、2戦目でプロデビュー。緊張感漂うダービーの舞台でも鋭いターンからの鮮烈な突破で閉塞した状況に苦しむチームに一筋の光明を与える。順風満帆でノンストップで階段を駆け上がっていく彼の姿に暗い影など全く見えず、僕は明るい未来を見ずにはいられなかった。

しかし、ほどなく現実が彼のキャリアに冷たく影を落とす。起用法の問題もあってか抜群の実効力を誇ったドリブルは不発続き、抜いても最後の部分での質が何かを導き出すクオリティを示せない。出場機会を得ながらも結果が残せないとなれば徐々にトップでのプレータイムは減っていく。サテでも眩いばかりの才能を感じるプレーも影を潜めていき、ボールの引き出しの拙さ、守備意識の低さなど、そのまばゆい才能に覆い隠されていた課題にぶつかり、そしてついにはスランプに陥ってしまった。

時代の寵児から、スランプまで、ジェットコースターのような浮き沈みが[これまで]だった。

[いま]

そんな過程を経てある[いま]もまだ、彼はジェットコースターのような日々を送っている。徐々にスランプから脱却傾向にあったところで奇策の犠牲となって自信喪失。坊主になり再起を図るも、失った自信は戻らず、深い闇に逆戻り。問答無用に期待したくなり、そして目を瞑っても起用したくなってしまう眩い才能が彼をジェットコースターのようなプロ生活を歩ませているのかも知れない。

ただ、現状の乾のプレークオリティはそんなに高くない。抜群の才能と技術は一瞬の強い光を放つこともあるが、ゲームではなかなかボールに絡めず、消えてしまうことも多々。しかも自分の欲しいタイミング、リズムでもらえないとなかなかそれを発揮することが出来ない事が多く、その才能が輝くシーンというのは以前に比べて少なくなっている。

もちろん、コンタクトへの過剰反応はなくなり、守備意欲の向上など、トレーニングにしっかり取り組んでいる成果か間違いなく向上している部分もあり、苦しみの中でも着実に成長を遂げている部分はある。ただ、才能を活かす術というのは模索中と言うのが彼の現在地と言えるだろう。

[これから]

そうはいっても、彼はまだ高卒ルーキー。苦悩や模索も悪いモノではないと思っている。確かに一足飛びにスターダムにのし上がるのもイイ、出来ればそうなって欲しかったというのが本音。ただ、遅かれ早かれ必ず壁にぶつかる。その壁を乗り越えるという体験は希少な価値を持ってくるのではないかな。

その壁を乗り越えるために必要なのは事前準備と仕上げの質の向上なのではないかと思う。まず、事前準備としてはオフ・ザ・ボールの質の向上。素晴らしいターン・ドリブル技術を持つ選手と言えど、ボールを持てなければ宝の持ち腐れ。そうしないためにも今のようにボールを待つのではなく、沢山のオフ・ザ・ボールアクションをして、ボールを引き出す状況を自分で引き出さなければならない。サテの水戸戦で水沼コーチからも「外に開いてるだけじゃだめだよ」的な声が飛んでいたけれど、まさにそういう部分。ドリブラーなら自らその局面を変える意識を持って欲しい。

そして、仕上げ。早野監督が彼を称して「サーカス小僧」と言ったのは決して的はずれではない。抜いても、ゴールに繋がらなければその過程は何の意味も持たない。ドリブルで抜くのが目的ではなく、ゴールを獲る・ゴールに繋げることを目的に、そんなイメージしてプレーすることが大切になってくるのかなと。逆算するように強くゴールを意識・イメージしてプレーをしていけば、プレーは間違いなく変わっていく。そして、それが出来るだけの才能も力もあるはず。「サーカス小僧」から「クラック」へ、答えは彼自身の中にある。

僕は、彼がこの壁を越えたとき、現状の儚き一瞬のメディアスターではなく、サポーターの心を掴んで離さない真のスターになると思っている。世界に羽ばたくために、まずは横浜をその希有なる才能でメロメロにして欲しい。いや、才能だけではない、それだけの努力をしていると思うから。

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うーん、ちょっと厳しくなってしまった……、自分も過度な期待をしてしまっていたということなのかも、反省。無責任な期待と落胆は選手にとってはポジティブではないと理解していながら……まったくねぇ。出も、やっぱり期待したい、彼のような選手を見続けられるのは幸せな事だと思うからね。これぞ醍醐味です。

と言うことで、ここまで。次は誰にしようかしらー。てか、違うネタの方が良いのかな、早野退任決定とか、熱を帯び始めてるマーケットの話とか……。ま、気分次第で決めまーす。

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Comments

では、いたさんのご要望により(笑)
乾の今シーズンはやはり期待は裏切られた感は否めないです。
でも、それを置いておいても、早野監督の起用法、
という面にふりまわされたという感も多分に感じられました。
1つサーカス小僧発言の後、僕の記憶によれば比較的長い時間起用
されたのは、神戸戦(哲が退場した)&ナビの川崎戦位だったと思います。
何故にその後プレータイムを与えてやれなかったのか?
シーズン始まる前に「首になってでも若手を使う」といった発言は
ただのハッタリだったのか?と思いました。
野球の例なんですが、中日の岩瀬投手はデビュー戦で打たれましたが、
星野監督(現オリンピック監督)は次の試合でも投げさせました。
(当時は細い、球質が軽いプロでは通用しないのではとも言われていた。)
今ではリーグを代表する抑え投手になっています。
他にも例はいっぱいありますが、
要は監督の辛抱が足らなかったのかなぁとも考えられました。
以上ですね。
それでも僕も乾にこんなシーズンもあってよいとプラスに考えています。
いつか日本代表の10番を背負う事を夢見て・・・・

Posted by: ueshin0721 | November 04, 2007 at 10:32 AM

ueshin0721さん、こんにちわ。ご要望に応えて頂きありがとうございます!

>起用法の是非

実際、短いプレータイムで何かを表現したり、何かを掴むのは難しいのですが、彼をスタメンで使うリスクも伴っていただけに、一概には言えない部分もあります。それと乾自身がどのような形にしても結果を残せなかったことも見過ごすことは出来ません。

ただ、監督の起用法が定まらなかった部分があるのは事実。マイクとの同時期用などチームとしてどのようなベクトルを置くのか曖昧なときに入れてみたり、トップでの起用をしてみたりと、早野監督自身も彼をどのように育てるのか、使うのかと言うことに対するプランニングを持っていなかったような気がします。放り出すように使われていたことを考えたら、彼が活躍出来る素地というのは今年のチームにはなかったのかも知れませんね。

明確な意図を持ってピッチに立たせてもらえていたら、彼はもっと出来たはず、と言う気持ちはあります。ただ、現状を考えれば、回り道も悪くないのではないでしょうか。

>起用と我慢

実際、目を瞑らなければならない部分というのはあるのでしょうね。俊輔もそういう部分がありましたし、慣らすという意味ではもっと我慢が必要だったとは思います。それは乾だけじゃなく、陽介しかり、狩野しかり。

ただ、うちにはベテランの能力のある選手がいるというのが、それを許さないのかも知れませんね。実際、彼らを使うことで結果を出せる可能性は上がる。そういう部分で指揮官として、苦渋の選択を強いられていたのかなと。それでも若手を使う、世代交代を推し進めるという信念を持って欲しかったという気持ちはありますけど。

ま、全ては結果を出して、チャンスを掴むと言う過程が足りなかったと思うので、それは本人の問題でもあります。厳しいですけどね。

ちょっと厳しくなってしまいました・・。ではでは、ご要望に応えて頂きありがとうございましたー。

Posted by: いた | November 06, 2007 at 06:09 AM

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