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September 05, 2007

一年越しの恋人 -日本代表、欧州遠征メンバー発表に寄せて-

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日本代表監督の責を担うことになった賢者は就任直後に一人の個人名を口にした。

「松井大輔」

海を渡り、日本でプレーしていた頃の自己愛的なテクニシャンからモダンフットボールへの順応を果たすことで、フランスのフットボールに馴染み、ポジションを掴み、着実な結果を残して「ルマンの太陽」と称されるまでに変貌を遂げた彼に、大きな期待を寄せていたのは紛れもない真実だろう。

しかし、この1年、彼の名前がリストに載ることはなかった。彼自身、昨シーズンは怪我や不調、チーム内での使われ方、居場所に悩まされたこともあり、仕方なかった側面はあるにしても、やはり遅いと言わざるを得ない。すでにチームはアジアカップを経て、更なる強化・熟成のための第2段階に進もうとしているのだから。

それでも、このタイミングで彼の名前がリストに載った。しかも、新シーズン、素晴らしいスタートを切った彼にとって、時差も移動距離も少ない最高のタイミング。新たな可能性を見いだそうとするチームにとっても「一年越しの恋人」の参戦には嫌がおうにも期待は高まる。

「ヒーローは遅れて現る」

華麗なるアーティストには華のある登場がよく似合う。さあ、変えてくれ、魅せてくれ。

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*本当に選ばれて良かった。もしかして忘れてしまったのでは(notボケ)ないかと思ったけれど、タイミングを伺っていたのかな。本当に調子が良さそうだし、昨シーズン見られた停滞気味のプレーから脱却した感があるだけに、このタイミングで存在感を示して欲しいところ。

*実際彼に何を求めるかと言ったら、とにかくアタッキング・サードでの質という部分。攻撃構築を担えるタレントは揃っているけれど、直接的な脅威となれるタレントを欠いていた事で閉塞感を抱えていたチームにとって、彼のようにゴールに近いエリアで局面打開なりチャンスメイク出来る存在が足りなかった。意欲的かつ流動的に動き出す意識の高さがバイタルで輝けば、今抱えている閉塞感を打ち破れる可能性があるのではないかと思う。ラストピース、ではないだろうけど、彼に掛かる期待は大きい。

*とは言っても、まずはチームのスタイル、そして周囲の選手との相互理解を深めていくことから始まるのは当然のこと。順応出来なければ、期待されているとはいえ、あっさりとその場から退場させられる可能性も充分あるから、その辺は松井がどれだけ欧州で戦術理解度を高めてきたかが試されるかも。それと日本人プレーヤーのリズムに乗れるか(リーグアンとJでは又違うリズムだと思うからね、日本の方が早いよ、ゲームのリズムは)も気になる部分。コンビネーションに関しては、彼を知るプレーヤーがこのチームには多くいるけれど、日本でプレーしていた頃の彼と今の彼は全くと言っていい程違うプレーヤーなだけに、余り昔取った杵柄は当てにならない気がする。この辺が懸念ポイントかな。ま、どんなことにも初めがあるのは当然なことだけど。

*で、注目すべきは彼を組み込んだ上での布陣だよね。オシムたんは相対的な要素も決して軽視しないだろうし、彼自身第二の故郷とも言える地で無様な姿をさらすことは望んでいないだろうから、相対的な要素を普段以上に重視する可能性もあるけれど、前回の3トップ気味の布陣が松井にとっては一番プレーしやすいのかな?高い位置でプレー出来るし、プレーの自由度も比較的高い(もちろん守備貢献は求められるけどね)で、組み合わせ(競争とも言える)も興味深い。以前懸念していた俊輔との共存があるのか、それとも彼が俊輔との競争にぶつけられるのか、Jで最も優秀なプレーヤーとして絶大な信頼を勝ち取っているヤットの処遇はどうなるのか、オシムの薫陶を受けた羽生や山岸との比較はどうなるのか、そして俺たちの功治との久々の邂逅があるのか……などなど、気になることは多すぎる。ま、一つ言えるのは変革を求められるこのチームに大きな刺激となるのは間違いないはず。

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*で、その他気になること。佑二と功治のコンディション。佑二も功治もはっきり言って連戦による勤続疲労は相当なもの。移動の疲労もあるだろうし、この遠征で更にダメージを受けてしまうと、本当に深刻な事態になりかねない。オシムは空気読まないし(読んでいるけど)、佑二も功治も真面目だからなー。その辺はもの凄い心配。てか、憲剛とかヤットとか加地さんもかなり疲労が来ていると思うし、彼らも心配。

*ディフェンスはどうするのかな?オーストリアは勉強不足でどうしてくるのかわからないけど、スイスは強烈なゾーンに特徴を持つ非常にシステマティックかつロジカルなチーム。そういう相手に対して、運動量と意識の勝負を仕掛けるというのは良い経験になると思うのだけど、一歩間違えば破綻しかねない。マンツーマンは正直怖い……。相手のカウンター速いよ。

*阿部っち不在も気になるね。高い戦術眼と高いセンス、そしてオシムの意思を把握するプレーヤーとしてこのチームの一つの幹である相対的柔軟性を支える存在だっただけに、彼の不在がチームにどのような影響を与えるのかは気になるところ。ただ、個人的には五輪代表などを見ていると相対的な要素を重視すぎて、自分達を見失っている感もあるので、普通にやるのも悪くないんじゃないかと思ったり。

*追加招集となった5人の招集基準については、ま、基本的に納得いっていない。何のために分割したん?何のために延長したん?(延長はわからなくないけど、高原でしょ)巻も矢野も寿人も達也も点を獲らなかったし、そんなにイイパフォーマンスだとは思えなかった(強いて言えば寿人が猛犬とのイイコンビを魅せていたぐらい)最初から継続性とかを重視して決めるのならそのまま選べばいいじゃないって感じするんだけど。選手も人間、モチベーションを恣意的に高めて臨んだにも関わらず、結果としてこういうモノを示された後には必ず失望がついて回る。てか、播戸が気の毒、彼自身納得いかないでしょ(ま、嫌いなんだけど)個人的には今回の招集にふさわしいのは播戸と田中達也だったと思うけどね、そしてオーシ。

てか、オーシね、何故呼ばない、日本人得点王ですよ?奥さん。結果だけじゃなく、中身のパフォーマンスに置いても今のオーシが巻や矢野貴章に劣っているとは思えない。ポストワークに関してははっきり言って雲泥の差(技術的な側面に置いては)、守備貢献も彼ら程スピーディではないけれど運動量豊富に出来るし、それを継続して頑張ることが出来る、これに関してはオシムの見識眼を疑いたくなる。ま、本人が気にしていた年齢的な側面もあるのかも知れないけど。てか、試合見てるなら、功治も佑二も疲れてるの分かってるはずなのに、何故に呼ぶのと思ったけどなー。爺ちゃんはマリサポなのに何故にと思ってしまったよ。嘉人も見たかったなー。

オーストリア遠征 日本代表メンバー

監督:イビチャ・オシム
コーチ:大熊清
コーチ:小倉勉
GKコーチ:加藤好男

GK:
川口能活(ジュビロ)
楢崎正剛(グランパス)
川島永嗣(フロンターレ)

DF:
田中マルクス闘莉王
坪井慶介(共にレッズ)
中澤佑二(Fマリノス)
加地亮(ガンバ)
駒野友一(サンフレッチェ)

MF:
橋本英郎
遠藤保仁(共にガンバ)
鈴木啓太
阿部勇樹(共にレッズ)途中離脱
山岸智
羽生直剛(共にジェフ)
稲本潤一(アイントラハト・フランクフルト/GER)
今野泰幸
中村憲剛(フロンターレ)
松井大輔(ル・マン/FRA)
中村俊輔(セルティック・グラズゴー/SCO)
山瀬功治(Fマリノス)追加招集

FW:
巻誠一郎(ジェフ)追加招集
矢野貴章(アルビレックス)追加招集
佐藤寿人(サンフレッチェ)追加招集
田中達也(レッズ)追加招集

Schedule:
9/7(Fri) 27:30KickOff/vs Austria @ Klagenfurt,AUSTRIA
9/11(Wed) 27:15KickOff/vs Switzerland @ Klagenfurt,AUSTRIA

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ま、基本的には楽しみですよ。好きなプレーヤーが一同に介すという意味でも、強いチームとやれるという意味でも、そして何よりこのチームのベクトルがどのように定まっていくのかという要素を見定める意味でも、とても興味がそそられる。この遠征に関しては結果よりも中身、その辺を重視してみていきたいなと。とにもかくにも、怪我のないように。ということでここまで。

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Comments

こんにちは。個人的には精緻なれども柔らかいタイプのポスト(西沢@清水、前田@磐田、高原@フランクや、柳沢@鹿島、そして大島)は世界では苦しいな、ポストの機能度も割り引くべきかなと思っています。Jの判定基準とは異なるせいか、バイタル近辺ではなかなかやらせてもらえなかった歴史があるので。

尤も、ハッサンにおける西沢などそこそこ機能したが故に(試合全体の温度とは別に)ガツガツやられたという面もありますし、上記の選手間での個人差やここ数年でのJの進歩も当然あるでしょう。そういう意味では欧州で普段プレイしているが故に通用度も事前に読める松井あたりより、ポストワーカーを試して欲しかった気もしています。現在の大島など実に適役に思えるのですが。

とはいえ基本的には楽しみ、これには全く同感です。

Posted by: kuku | September 06, 2007 at 01:51 PM

kukuさん、はじめまして、コメントありがとうございます。

確かに、Jのシビアでナイーブな判定基準に守られた上での実効力というのは割り引いて考えなければならないでしょうね。

ただ、全てに置いて使ってみて初めてわかる部分でもあると思います(しかもハードなコンタクトが売りのセンデロスやミュラー、ジュルーといったプレーヤーとの対峙はそれをより克明に写しだしたはず)だからこそ、この舞台で見てみたかったかなーと。オーシにしても、前田にしても。

>松井

彼に関しては、初招集でありますし、このチームでの順応を見る上では良い機会かなーと。欧州で通用云々というのも機会を生かすという意味では大切なことですが、主体的なチーム作りも代表チームでは軽視出来ないと思うので、彼の招集・テストは妥当なのではないかと思っております。

欧州でプレーする選手を招集する機会というのは限られているだけに、こんなチャンスは滅多にないと思いますしね。

とにもかくにも、本当に良い機会だと思うので(相手はユーロの準備マッチとしてしっかりと準備してくるでしょうし、無駄にはしないはず)、楽しみですね。

ではでは。

Posted by: いた | September 06, 2007 at 07:26 PM

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