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September 10, 2007

16mの暗中模索@3大陸トーナメント vs オーストリア

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アタッキング・サードにまで至る過程としては、申し分ない質を示した。このチームのボールを繋ぐ力、攻撃を構成する力の証明と言っていい。

しかし、アタッキング・サードでの「閉塞」病は快方には向かわない。丹念に穴を捜すボールの動きも、意表をついた構成も、足りない要素を補うには至らない。

タレントなのか、タクティクスなのか、意識なのか、16mの暗中模索は続く。

3大陸トーナメント

Austria 0(PK/4-3)0 Japan @ Klagenfurt,AUSTRIA

Sports Navi

日本代表スタメン:GK川口能活、DF加地亮、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、駒野友一(→90'今野泰幸)、MF鈴木啓太、稲本潤一"Re:Debut"(→71'中村憲剛"久々のロケット")、中村俊輔、遠藤保仁、FW田中達也(→71'松井大輔"一手への期待")、矢野貴章"何故に?"(→75'巻誠一郎)

オーストリアスタメン:GKペイヤー、DFフクス、ヒデン、ガリクス、プレドル、MFアウフハウザー、スタンドフェスト、サウメル(→86'サルムッター)、レイトゲーブ、FWクルイッチ(→75'ハルニク/→84'プラガー)

EUROを控えた共同開催であるオーストリアとスイスに招かれて実現したこの欧州遠征。刻々と本番までの時間が迫っているだけに相手としては良いゲームとしたいはずで、イイ遠征となる予感満載。第二の母国に帰ったオシムたんもそれなりにリラックス出来るはずだし(ま、黒い噂に色々揺り動かされているみたいだけど)

そんな中での日本のスタメン。初招集となった松井は結局ベンチスタート、アジアカップの流れを汲んだ俊輔・ヤットのポゼッション重視型の組み合わせに。ボランチは阿部勇樹の不在もあってか、稲本が本職で再デビュー。ディフェンスラインに入っての仕事も練習していたようで、確固たる地位を築き上げている阿部勇樹の牙城を崩しに掛かる。高原不在のトップは矢野と田中達也のコンビ。あんまり練習してないとか言う話だったが、思いつきか?

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試合展開

本気度を感じる強いアプローチ、速い切り替え、パススピードの速さ、欧州では中堅クラスであるオーストリアだが、クオリティはなかなか。そのプレッシャーに押されてか、立ち上がりは受け気味となる日本。多少ドタバタした感もあったが、稲本・鈴木啓太・闘莉王・佑二のスクエアは脅かされず。徐々にこのプレッシャーになれると完全に日本がゲームを支配する。

CBの強さ、稲本の逞しい前への強さ、鈴木啓太の広範囲のカバーでボールを絡め取っては、ワイドのスペースをロングフィードで使う形で起点を作る形が目立つが、そこから先が続かない。良い形で起点を作ってもアウトサイドを局面打開出来ず、トップの動きは連動せず、中盤の選手からもラストパスが出ず、様子見的なプレーが多く、結果として直線的な脅威に欠いてしまう。最もゴールに近づいたのはセットプレー、矢野が倒されてゴール中央でのFKを得ると、ヤットが低いボールで壁の外側を巻く形で狙う。ペイヤーはこのボールをセーブするが抑えきれず、このこぼれ球に素早く反応した田中達也がインサイドでファーサイドを狙う!しかし、バー直撃。ビッグチャンスを逃してしまう。

その後も日本ペースは続くが、突破口を開けず。終了間際に素晴らしい連動から稲本のダイレクトスルーパスに俊輔がイイ動き出しで裏を獲って、ボックス内から左足で巻くように狙った決定機があったぐらいで(これはGKに阻まれる)、結局ゴールは奪えず。

後半に入ってもゲームの流れは変わらない。時折チャンスを迎えても決めきれず(闘莉王のフィードに矢野がバックヘッドで流して田中達也がスペースのある状況でラストディフェンダーと1vs1を迎えるシーン、キレのあるドリブルで突破してフィニッシュに繋げたが、角度もきつく態勢を整えきれなかったこともあって枠を捉えきれず)閉塞感は相変わらず。そして、残り20分となったところでベンチが動く。

積極的なボール奪取に奮闘した稲本に代え中村憲剛、田中達也に代えてついにデビューの時を迎えた松井大輔を投入。松井はセカンドトップのような位置に入り、かなりの自由を与えられたように見えた。その松井、中盤ではシンプル、前が空いたら仕掛けるというル・マンでのプレーをそのまま実践。カウンターチャンスに置いても停滞してしまうことが多かった中で、縦へのスピード感を増すようなプレーを生んでいく。憲剛も積極的な攻め上がりを見せ、一本ロケットのようなミドルシュートを左ペナ角から見舞ったが、この二人の刺激があっても日本にゴールはもたらされない。

結局、完全にゲームを支配しながらゴールを奪えなかった日本は、スコアレスでゲームを終える……ってPKやるんだ。オシムたんはいつも通り、ベンチに下がる…あ、ハースだ。

お、俊輔決めた。能活惜しい。

……

ヤットさすがだなー、美しすぎる。

……

あ、今ちゃんやっちゃった。

……

やっぱりなー、佑二重心後ろで浮いちゃうキックになっちゃったね。

ということでPKは負け。

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日本らしいゲーム、と言えるのかな。中盤で完全に優位に立ち、ポゼッションしながら相手を動かし、じわじわと追いつめるように相手のゴールを狙う。優秀なMFが多くいるチームだからこそ可能なタスクであり、これを欧州の古豪(今は……正直なところ第3グループだろうね)相手にもやれるというのは改めて日本の選手達の技術力の高さ、ポゼッションする事においての質の高さを物語っていると思う。

ただ、目的がポゼッションに成り代わってしまったかのように、ボールロストを必要以上に避け続けた結果チャレンジが非常に少ないサッカーとなっているのは相変わらず。この試合でもハイライト映像全てに収まってしまう程ゴールチャンスは少なかった。

ボールを失わないというのはとても理知的で(当たり前だけどボールを持っている限り相手は攻めることが出来ないし、点を獲ることも出来ない)間違っていることではないけれど、これを重視した結果様々な機会を逸している感も強い。ポゼッション重視で起きている弊害を3つ。

・パスターゲットを探しすぎてカウンター時のスピードアップ機会を逸してしまう。

*自らがボールを運ぶという意思が薄く、パスを中心に頭が支配されてしまっているため、パスターゲットがないとすぐに遅攻へと転換して、スピードアップすることをやめてしまう。確かにドリブラー不在の布陣で前にボールを運ぶことを得意な選手というのは少ないから仕方ない部分はあるのだけど、論理的にパスを繋いでカウンターをするというのは、そのための準備がないと難しい。ましてや、多くの選手が自陣奥深くまで戻っている状況でパス中心のカウンターを仕掛けるのは不可能に近い。もちろん、長距離をダイナミックに全力で上がればいいのだけど、それも限界があるし。

・慎重すぎるラストパスセレクトが災いするパスターゲットの動き出し意欲の減退

*これは実際ある問題。最初は動いて引き出そうとする、積極的に、主体的に。でも出てこなければその動きに少しずつ疑念が混じり、本気度の伴った動き出しではなく、様子見の動き出しが多くなる。人間だからね、機械のように全て同じ力でやる訳じゃない、感情が力をコントロールする。俊輔が「受け手主導で」みたいな事を言っていたけど、そのためには出し手が通らないとしても出してあげないと信頼関係はいつまで経っても出来ないと思うよ。

・局面打開への意思の低さ

*言葉の通り、良い形を作っても無理だと思うとすぐにやり直してしまう。基本的に質の高いポゼッションを備えているチームだからやり直して次のチャンスを作る方が理知的な気もするけど、その繰り返しになってしまって、いつまで経っても局面打開出来ずに時間だけを浪費してしまっている。特にアウトサイドに焦点が当たるのだけど、個人に置ける突破をなかなか仕掛けなかった加地さん、駒野だけの問題じゃなく、個人でダメならサポートに入ってもう一度ダイナミズムアクションを生む形を作ったり、更にオーバーラップを仕掛けたりと、グループの仕掛けが出てこなかったことも問題かと(ポゼッションをやり直すためのサポートはあるけれど、突破のためのサポートアクションは少ない)

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これらは選手達の問題でもあるし、方向性を打ち出す監督の問題でもあるのかなという気はする。元々、日本のプレーヤーは局面打開を得意とするプレーヤー以外、余り突破アクションを仕掛けることが少ない。仕掛ければ何かが起こる(起こしてやる)というエゴイスティックな志向よりも、ロストを避けて次のチャンスを作った方が可能性が高いと思ってしまう癖があるのかも知れない。そして、それに輪を掛けるのがオシムが好むフットボールに置いて論理性。確率の低いアテンプトを嫌い、激しく不快感を示す。実際、彼が怒るときは「より高い可能性を備える選択肢がある時に、確率の低い方のアテンプトを選択した時」で、アテンプト自体を否定しているわけではないが、選手達が元々持っているチャレンジングマインドを削いでいる可能性も否定出来ない。

選手を入れ替えれば、これは改善されるかも知れない。俊輔、ヤット、憲剛といったエレガントなパスプレーヤーの数を減らし、松井であったり、功治であったり、水野であったり、家長であったり、梅崎であったり、安田であったり、隼磨であったり、コミーであったり(あ、本音が)、と仕掛けられる素養と勇気を持ったプレーヤーを入れれば、変わっていくはず。ただ、日本サッカーに置ける根本的な深層的な課題とも言える要素。

何かを得るためには、何かを犠牲にしなければ。それこそ、リスクチャレンジ。各選手にはもう一度原点に立ち返って欲しい。

*ただ、僕は日本のポゼッションを全て否定したくはないんだよね。やろうとして出来ないチームは沢山ある。パスを紡ぎ、攻撃を構築するというのは酷く難易度が高く、簡単に出来るモノじゃない。逆にカウンターとかトランジッションというのは相対的な要素があるにしても、組織的な整備さえ出来ればどのチームにでも出来る)それをしっかりと出来るというのは誇るべき要素。そして、何よりも日本にはパスを司る優秀な選手がいる……俊輔・ヤット・憲剛・小笠原………。彼らの才覚を活かすようなサッカーというのはあながち間違いではないと思う。ただ、そんな彼らにもパスだけに執着して欲しくないと言うこと。

*しかし、オシムは何を考えているのだろう。あれだけポゼッションに執着するのは何故なのか。今回、松井を入れるときに、俊輔orヤットと代えなかったことではっきりと執着していることはわかった。他の選手にも俊輔やヤット、憲剛のように攻撃構築出来るようになれと考えているのか(技術の質だけじゃなく、ボディシェイプや判断の質とかを見習え、的な感じで)、それとも彼ら3人によりアグレッシブなプレーを求めてその覚醒を待っているのか(憲剛は元々そういうことが出来るし、ヤットもこのチームに入って長いランニングの量は増えた、俊輔も静と動の動きのギャップを意識したプレーが増えた。ただ、オシムがジェフの時にやっていたようなアグレッシブなプレーをするには足りない、よね。)、その狙いが見いだせない。素直にポゼッションプレーヤーの数を減らして、アタッカーが他の選手を増やせば多少バランスは変わると思うけどね。1トップは高原でも厳しいし。

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選手評は後ほど………。

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ということで、ま、テストマッチだし、色々試行錯誤すればいいさ。暗中模索もこの時期だからこそ。スイス戦でも答えは求めないから、どんどんやろうとしていることを表現して欲しいな。ということでここまで。

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*オシム、今すぐ功治を返してくれ。使わないんだろ?もうイイじゃないか。

*次はオリンピック代表ー。だから代表重ねるなよー、きついって。ユースも書くよー。

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