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July 30, 2007

否定と肯定の狭間に揺れるリスクチャレンジ -敗戦の記憶と共に-

リスクチャレンジ。

指揮官イビチャ・オシムが選手達に求めるプレーマインドの一つ。

それが最も形となって表れるのが、オリジナルポジションを離れるリスクを厭わずに攻撃に加わっていくプレー。

その表現の頻度を考えれば、選手達に深く浸透しており、チームの礎となっているのは間違いないだろう。

しかし、アジアの現実はその礎を、そして賢者の論理を否定した。

結果が雄弁に物語る。結果から学ばなければならない。

敗戦の記憶と共に、考えていきたい。

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・否定と肯定の狭間に揺れるリスクチャレンジ

バイタルエリアでフリーでボールを持った彼は、その広い視野でフリーで左前に拡がるスペースへと走り込むプレーヤーを捉えていた。しかし、ゴール正面でコースの開けた状況、迷わず彼はゴールを狙った。しかし、そのシュートは枠を捉えることなく、チャンスは潰えた。そのプレーにオシムは激昂。枠を外した事を怒ったのではない、よりよき状況にいたフリーのプレーヤーを使わない彼のプレーセレクトに対して激昂し、試合後彼を叱責した。

しかし、その裏で就任当初から、いや、ジェフの監督になった当時からリスクチャレンジを好み、推奨する論理を持った監督でもあった。ポジションブレイク、オーバーラップ、長距離ランニング……。こういったプレーでより多くのプレーヤーが攻撃参加する事を望み、そんなオシムの望みを十分に理解したジェフのプレーヤー達はダイナミックかつアグレッシブなプレーでリーグに新風を吹き込み、ひいては日本サッカーに鮮烈なる影響を与えた。

答えなどない、どちらが正しいなんてフットボールの中では断定出来ない。しかし、同列に並べるべき「チャレンジ」の中で否定と肯定があるというのは、選手達にとっては非常に複雑で、難解なモノとなっているのではないかと思わなくもない。

オシムの考えも理解出来るのだ。よりよき状況、より可能性の高い状況、これをスピーディに、クレバーに選択していく事がよりゴールの可能性を高め、結果に繋がっていく、それが彼の「論理」「理念」「哲学」。真逆のエゴイスティックなプレーを否定する事で、彼、中村憲剛はもちろん、周囲(マスコミ含め)へと自らの理念を伝えることを意図していたのだろう。

しかし、選手にとってはどちらも並列な気がしてならない。シュートを打つにしても、ドリブルで仕掛けるにしても、ダイナミズムを付随させるにしても、自らが責任を持つプレー、個々が持つ「リスクチャレンジマインド」が源流となって表現される。そういう意味では少々エゴイスティックではあっても、奨励すべきプレーでもあったのではないかと思う。

そして、今大会。オシムにとっては理想とは言い難いにしても、彼の「理念」に反するモノでもなかったのではないかと思う。ボールを失うという非効率的なプレーを巧妙なポゼッションで避け、穴を伺い、見いだしたところで個人のアイデアとグループでの連動で突く。エゴイスティックな個人プレーが少ない事は相対的な個の差を考えれば少ない事も考えようによってはクレバーであり、比較的理念に沿ったサッカーをしていたのかも知れない。

ただ、その理念はアジアの現実に否定された。引いた相手に対して、可能性の低いプレーを避ける事で、ゴールアテンプトの数を削り、直接的な脅威も相手へ与える圧力も削り取ってしまう。その結果、二つの失敗に繋がった。論理だけは語りきれないフットボールらしい矛盾、とも言えるだろうが、オシムの否定が影が暗く影を落とした事は揺るがない事実である。

*何となくだけど、日本人の従順性、権威への従属性と自らの影響力の大きさ、強さを見誤ったのではないかと思う。誰もがオシムを尊敬しているし、代表でプレーしたいと思っている。彼自身は自らの理念を伝えるだけでなく、そういう言葉の裏に期待であったり、反目的な要素を引き出そうとする狙いがある可能性もあるのだと思うが、そして、クラブで毎日接している訳ではないから、真意を掴むと言う事も難しい。代表監督となった自らの影響力の大きさは以前にも増して大きい。そしてそんな彼の否定は、選手達には酷く重い。憲剛の突如の崩れは、決して偶然ではないということを感じて欲しくもある(もし関塚監督が憲剛の積極性を蘇らせていなかったら、未だに不調にあがいていたかも知れない。セッキーの手腕は見事)

*正直この件に関しては結構否定的な感覚で見ていた。アジアカップではオシムの論理的なフットボールは矛を収めるような効果を生んでしまったわけだし、それが観戦者のストレスとなっていたこともあるのだけど、何よりもプレーヤーのメンタリティを抑制してしまったことが気になった。ただ、彼の理念や推奨するリスクチャレンジがこの結果や過程だけで否定されるべきでもないと思う。モダンフットボールに置ける重要な要素であることは誰もがわかっているはずだし、アジアカップ予選、札幌で見せたサウジ戦での美しく躍動的なフットボールは非常に魅力的だったからね。効果のあるモノである事も又証明されている。現在はチーム作りの途中、目的地に向けての過程として考えれば、現状でNOの烙印を押す事には正直ためらわれる部分もある。

*そう考えると、今後の課題として、オシムの理念とも言える論理的なリスクチャレンジと選手のエゴとも言える自発的なチャレンジプレーのバランスを取っていくという事にあるのかも知れない。個人的には自らの理念とは方向性がずれるかも知れないにしても異分子を持つプレーヤーを取り込むこと。エゴを持ったストライカーであったり(嘉人かな、現時点では)、局面を打開出来るドリブラーの登用(功治、松井、家長、梅崎、そしてアレックス)が何かの化学変化を起こすかも知れない。

*僕のサッカー理念として、僕は組織を形どるのは人というのは変わらない。組織の従属していてはいつまで経っても自分たちのサッカーにはならないし、自分たちの国のフットボールの形成にも繋がっていかないと思う。論理的なロジックを噛み砕き、なぞるだけの形骸化したプレーを少なく、状況に応じてより効果的なプレーをセレクトしていくことを目指して欲しい。それを可能にするのは選手。そこは逃げ場がないと思う。オシムたんがいくら素晴らしい監督でも、彼のロボットである必要ない。あくまでもプレーするのは選手だよ。

*最後のテーマとしては、個の力。少しずつ触れてきたけど、日本人プレーヤーの根本に触れたいと思う。組織に埋没するのではなく、組織ベースの中で輝く個、時には組織に越えて勝負を決める個、そんなモノを考えています。

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と言う事で、一日遅れましたが続きでした。とりあえずもう一回続く、予定です。無駄口は下で叩くので、今日はここまで。

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*独り言として。読まれていて気付かれているかも知れないけれど、否定しながらも肯定している。よく言われるダブルスたんダート的な文章となっています。書いていて自ら矛盾を感じているのだから、読んでいる方で気付かれている方も多いかも知れません。

否定気味のスタンスであるのですが、それはあくまでも上記した僕のサッカー感であり、今大会の結果や過程を見ての疑問があるから。あくまでも僕の感情に過ぎないです。

ただ、どこか言い切れない部分があるのは、フットボールというスポーツが断定を許さないモノだと思っているからかも知れません。論理的なフットボールが嵌るときもあれば、論理では言い表せない個の光が試合を飲み込む事もある。答えがないんですよ、自分の中で。理想として、論理とエゴが高め合うフットボール、なんだろうけど。でも、なんとなくすっきりしないなー。

*何かとりとめなくて申し訳ない。次はすっきりとまとめたいなー。

*てか、他の方のブログも色々な視点で面白い。多分こんな場末のブログを読んでいる人は色々なところを訪れてると思いますが、面白そうなのあったら教えて欲しいなー。僕?そうだなぁ………

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July 29, 2007

オシムのエゴに思う「何故」 -敗戦の記憶と共に-

未だに負けを受け入れる事が出来ない。

事実として日本は負けた、アジアチャンピオンではなくなった。それは頭では理解できる。

でも、頭の中に「何故」という言葉がリフレインしてしまう。

何故、変化を嫌う。
何故、安全策ばかりを取ろうとする。
何故、仕掛けない。
何故、撃たない。

全ては結果論かも知れない。

でも、事実は悠然と横たわる。事実から学ばなければならない。

敗戦の記憶と共に、考えていきたい。

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・オシムのエゴに思う「何故」

イビチャ・オシムは聡明な人間であり、優秀な監督である。様々な事を見極め、分析し、計算し、その上で答えが出せる。監督としての資質を充分に備えた人であり、そんな事はこれまでの実績から見ても疑いようのない事だと思う。

しかし、このアジアカップではその聡明さも優秀さも感じられなかった。

何故、疲労の蓄積したスタメンに固執したのか。前回のアジアカップでも苛烈なプレッシャーと気候状況の中でスタメンを固定して戦ったジーコは批判されていたが、オシムはそれ以上のスモールグループで今大会を戦い、そしてその結果、酷使された選手達のパフォーマンスは日を追う事に落ちていった。

頑ななまでに中心選手を替えなかった理由はどこにあるのか。選手への信頼か、エレガントへの陶酔か、表現されたパフォーマンスへの自信か、ブレイクスルーへの期待か、それとも変化への恐れか、はたまた謀略か。はっきりした理由はわからない。ただ、出されたパフォーマンスから見ても、スタメンへの固執は「何故」と思ってしまう。

特に「何故」という思いが沸き上がってしまったのは、個人のクオリティを問われる局面でことごとく敗走を繰り返したシーン。特に決勝トーナメントで見られたシーンだったが、これが煮え切らないゲームとなった理由、いや直接的な敗戦の理由と言っても過言ではない。ただ、このシーンを見て、不思議に思った。ここまで無様に連戦連敗を繰り替えす程、日本の選手達の個の力は低かったのか?そうじゃない。実際、相対的に個の力で多少劣っていたのは事実だとしても(又、オシムはそういう力を持つ選手の起用を嫌った事もある)、何よりも選手達の身体のキレが悪く、相手を上回るような動きの質を見せれなかったという影響があるような気がしてならない。

聡明な人間はミスから学び、繰り返さないモノだ。そして、オシムはまごうことなく聡明な人間。そんな人間が1度ではなく、2度3度と失敗を繰り返す。それはエゴでしかあり得ない。彼の中に何かの確固たる狙いがあるからであったにしても、だ。

*これは憶測に過ぎないけれど、個人的にはこういうメンバーに固執した理由として「選手の変革への期待」だったのではないかと思う。以前はエレガントなプレーヤーが織りなすゆったりとしたリズムを自らの交代策で否定した事もあったが、それでもオシムは今大会彼らを起用し続けた事には、そこはかとない期待があるのではないかと思う。沢山の試合を自らの元でさせる事で俊輔やヤット、憲剛の意識を改革することで自らのフットボールに合うプレーヤーへと変貌させ、クオリティを持つプレーヤーの才覚と自らの標榜する躍動的なフットボールの融合することで、このチームのクオリティを引き上げようとイメージをしていたのかなぁと。実際、現状の対してクオリティを持たない選手達で「表現出来る」というレベルで満足しては上は目指せないということが、オシムがジェフ時代に骨身に染みているだろうしね。

*しかも、周辺事情を考えるとぴたっと嵌る部分もあるんだよね。気候面、コンディション面での考慮もあるとは思うけれど、エレガントなプレーヤーを使うためにこのチームは大きなモノを捨てている。一つは彼の特徴的なロジックの一つである「相対的な守備対応」。阿部勇樹を中心に託す形ではあるが、2バック3バック4バックと、局面に応じて適切な形に変化させて守ろうとしていたのは記憶に新しいところ。しかし、中村憲剛・遠藤保仁・中村俊輔を起用するために、阿部勇樹は一列下がった位置に固定されて、臨機応変な対応は取れなくなった。これは監督として、この柔軟性を捨ててでもこのサッカーを貫く事に価値があると判断した結果。将来的な視点を感じるんだよね。

*ただ、このようなリスクを冒しながら、オシムは他の部分でリスクを避けた、そして選手も避けた。そして、チームは臆病になっていった。それは又次回、ということです。

*結果論であることは理解しているけど、やっぱり書いておく。大会前、様々な状況に対応しうるだけのメンバー構成と書いたのだけど、上記の通りの起用法。もし、そういう事を事前から考えていたのであれば、もっと適性のあるプレーヤーを連れてくるべきだったのかも知れない。中村俊輔や遠藤保仁の代わりとなれるエレガントなプレーヤーである藤本淳吾・二川孝広・野沢拓也、パスサッカーへの順応性と高質な技術を持ち得るストライカーである前田遼一、少々憲剛とタイプは違うけど第3列目からの攻撃構築能力とダイナミズムを付随させる長谷部誠、彼らの存在があれば幅は拡がったのではないか。じゃなきゃ、韓国戦、オーストラリア戦で、相手が疲弊していたにも関わらずより困らせる存在である水野や太田を使わなかった理由が見つからない。

*だからといって、脊髄反射的に解任解任と騒ぐのもどうかとは思うけどね。日本のサッカーにとって『他の国を追随する真似事ではない「日本化」』は、コンペティションに勝つという事と同じぐらい重要なテーマ。そして、現状でもオシムが標榜するスタイルは間違いなく日本化へのアテンプトの中で重責を担ってる。もちろん結果は重要で、軽視するモノでもないけれど、ね。失敗なくして成功はない、とも思っているから。

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とりあえず、続きます。まだ、疑問に思う事がある、監督に対しても、選手達に対しても。それを一つずつ、考えていきたいと思う。敗戦という事実を受け入れながら、ね。答えはない、答えはイビチャ・オシムの中にある。でも、それを考える事が日本人としての、日本サッカーを応援する人の勤めだと思うから。丸投げにはしないし、持ち上げるだけじゃ意味がない。厳しく、見ていかないと。

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ということでこの項続く。レポは試合をもう少し冷静に見れるようになってから(何度見ても、イライライライラしてしまう)、もう少し待ってくださいな。分析もちゃんとしますので。ということでここまで。

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*暑いし、煮え切らないし、すっきりしないなー、もう。とりあえず、練習試合に出かけてきますよ。続きはその後で。

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July 23, 2007

復讐@Asian Cup 2007 Q.Final vs オーストラリア

改めて、本当に勝てて良かったと思う。

一夜明けて、スポーツ紙の一面が全て能活、この事実が注目度の高さを物語ってる。そんな一戦に負けていたら、中身がどうであろうと、ネガティブなイメージが日本中に波及してしまったわけだ。

今の日本に必要なのは成功体験と自信回復、そして再び世界に挑戦するための意欲。そのためにも再び立ち上る気運を落とさせてはいけないと思うからね。

ん?中身はどうあれ?

AFC AsianCup 2007 QuarterFinal

Japan 1(EX 0-0/PK 4-3)1 Australia @ My Dinh National Stadium/VIETNAM
Japan:71'N.Takahara Australia:69'J.Aloisi

sports navi

日本代表スタメン:GK川口"神降臨"能活、DF加地亮(→88'今野泰幸)、中澤佑二"まさしく鬼神"、阿部勇樹"象徴・奮闘"、駒野友一、MF鈴木啓太"パックの達人"、中村憲剛"躍動のダイナミックランニング"(→115'矢野貴章"初出場")、中村俊輔"エースとしてのもっと、もっと!、"遠藤保仁"揺るがない心臓"、FW高原直泰"スーパーエース"、巻誠一郎(→102'佐藤寿人)

オーストラリア代表スタメン:GKシュウォルツァー、DFニール、ミリガン、ビーチャム、MFグレッラ(76'一発赤)、クリーナ、エマートン、カーニー、ブレッシアーノ(→71'カーヒル"宿敵")、FWビドゥカ"完封"(→61'キューウェル"それでも怖さをもつのがスター、かな")、アロイージ(→83'カール)

dead or aliveな決勝トーナメントでいきなり実現したドイツ・ワールドカップでの雪辱対決。一方はこの一戦で全てを失い、一方は大会を盛り上げるライジングチームになるというコントラスト、全ては2006.6.12の一戦が分けたものだった。リベンジを胸に誓う日本にとって、屈辱を味わった選手達にとって重要な一戦。

そんなゲーム、条件としては日本に風が吹いていた。グループBで一位通過を果たした事で、移動なく、グループリーグで3戦行ったピッチで宿敵を迎え撃つ形となる。対するオーストラリアはグループAで2位通過。高温多湿の気候とアジアクオリティなプレーへの順応に苦しんで息も絶え絶え何とか通過こそ果たしたモノの、タイよりも厳しい気候のベトナムへ乗り込まなければならない事になってしまった。

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試合展開

気候的な側面もあって、どちらも様子を見ながらスローペースで入ってくるかと思われたが、どちらもかなりのテンションでゲームに突入。パワフルにロングフィードを使って押し込んでくるオーストラリア、前から前からグループリーグとは全く違うスピード感で前から追い込んでいく日本、どちらも立ち上がりから勝負を意識した結果か。そんな序盤、立ち上がりこそオーストラリアのハイボールアタックに苦慮した感もあったが、DFとMFのパッキング意識の高さが相手のポストを封じ始めると、ポゼッションを握り、日本ペースでゲームが進む事に。3バックの横にスペースを見いだし、そのスペースをサイドバックや中盤の選手達が走り込む事で実効力のある攻撃を展開。ファーストシュートも縦のコンビネーションからヤットがスペースへ抜け出して低いクロス、これを巻が二人のディフェンスに寄せられながらもダイビングヘッドで一寸先に撃ったモノだった。

しかし、アウトサイドは崩せてもなかなかゴールの匂いが立ちこめない。アイデアの詰まった崩しやストップ&ゴーのような動き出し、タイミングをずらすようなクロスなど工夫こそしていたモノの、守備する時はきっちりと人数を揃えてゴール前を固めるオーストラリアの守備陣もそんな柔ではなく、シュートチャンスがなかなか生まれない。この流れを活かせないままゲームが進むと、少しずつ様相が変わっていく。

オーストラリアがラインを高く設定し、アタッカー達が前から追ってくるなど、チーム全体のベクトルが前に出てくると、日本のポゼッションが実効力を失ってしまう。ディフェンスライン・ボランチの所では何とかボールこそ回せるモノの、動き出しが乏しく、マークも厳しいため、その先にボールが進まない。攻撃の実効性を失った事で日本は劣勢に追い込まれてしまう。しかし、ディフェンスは安定。前述のディフェンスと中盤のパッキングディフェンスがビドゥカのポストプレーからの展開を許さず、レフェリングにも助けられる形でオーストラリアの攻撃をシャットアウト。どちらもオフェンスの実効性を示せない事もあり、ゲームとしては少々小康状態となる。

小康状態に入ったゲームの中でようやくその力を発揮したのは日本のエレガントなミッドフィルダー達。中村俊輔のキープに中村憲剛が連動。爆発的なフリーランニングを見せてそのまま俊輔とのスイッチプレーを敢行し完全にオーストラリアの中盤を置き去りに。右サイドへ抜け出した憲剛は、高原、ヤットが詰めるゴール前へタイミングの良いクロスを供給。これが長い距離を走り、ファーに入ってきたヤットにどんぴしゃり!結局このボレーは、フィットせず力無くシュウォルツァーにはじき出されてしまったが、非常に素晴らしい連動感のあるプレー、これで勢いを取り戻した日本はオーストラリアの前への勢いを絶ち、日本ペースで前半を追える事になった。

後半に入ると、両チームともオフェンシブな姿勢を強める。なかなか機能しない前線の核マーク・ビドゥカからハリー・キューウェルへのスイッチという決断をしたオーストラリアは、縦への素早い流れの中で一人一人が局面で仕掛ける事で攻撃を形どり、日本の方はスペースのある中盤でテンポをコントロールしながらも生まれるダイナミズムをパスで活かす形で攻撃を成立させていく。はっきりした得点機こそ少なかったが、前半よりも得点の匂いが強くなった69分、重要な先制点が生まれる。

右サイド、キューウェルのCK。振り抜かれた左足から描かれた弾道は低く、ゴールに近くに走り込んだブレッシアーノに合わせたような速いボール。これに合わせきれず、このボールはそのまま誰も触れずにゴール前を横断。この横断したボールに走り込んだのはアロイージ!巻のマークを振り切り、近距離から押し込むと、バーをかすめて決まった。高さ、強さを意識させられてきた中で(ビドゥカが下がっていたとはいえ、ビーチャム、アロイージは残っており、その怖さはやはりあった)、速いボールで面を喰らってしまったのか、走り込んできたプレーヤー達には常に後手になってしまった。オーストラリアの高名なアタッカーを相手にほぼパーフェクトな形で抑え込んできただけに、痛すぎる失点だった(かに思われた)

しかし、このショックに沈まなかった日本のリバウンドは素早かった。ゴール後のキックオフから、ショートパスを紡いで右サイドで起点を作ると、この試合時折見せていた俊輔のスペースラン(警戒されている中で超スローなプレーが多かったが、クイックなランというギャップが相手を惑わせていたかな、ポジティブに捉えれば)から右サイドを打開。ここで俊輔はそのままの右足でふわっと高いボールをファーへ供給すると、巻が高さで上回って折り返す。ここに来たのは高原!だったが、ミリガンの方にボールは流れ、クリア……と思われたがここでクリアミス!こぼれたボールに素早く反応した高原はここでスーパープレー!そのまま撃つかと思わせておいてのキックフェイク!これにミリガンがもろに引っかかり、高原は自らシュートの状況を整えると、冷静に右隅へ!ポストをかすめて見事にゴールに突き刺さり、返す刀の同点弾!ヴェリッシモ!素晴らしい!ゴール前の冷静さはまさにスナイパー。見事なストライカーっぷりだった。ゴールを導き出した俊輔のクロス、巻の折り返しもタイミングばっちりで良い形を整えたかな。とにもかくにも2分も立たないうちにビハインドをはね返した。

同点となった後、更に日本に風が吹く。クリアボールに対して高原が猛然とダッシュして食いつくと、落下点に入っていたグレッラが高原の顔に手を掛けてしまうような形になってしまい(アクシデント、と獲れなくもない)、この行為をイイ位置で見ていた主審はグレッラに対しレッドカードを提示。これで日本は数的優位を得て、完全にゲームを掌握する。

しかし、この変化が日本にはポジティブに作用しない。数的不利になった事でオーストラリアは、キューウェル一人を前線に残し、ボックス前で8枚の守備ブロックを形成。守備モードに入られたことで完全にスペースを消されてしまうと、早々簡単に崩す事は出来ない。結局このアドバンテージを活かす事は出来ず、同点のままゲームは延長へと進んでいく。

延長に入っても、この展開は変わらない。相手の守備陣に対して手をこまねき、そんな状況の中で交代策も余り効果的な策とは言えず、崩しきれない。終了間際に混戦から何度かチャンスを作ったモノの、俊輔のボレーはシュウォルツァーの右手にはじき出されてしまい、相手の思惑通りPKに持ち込まれてしまった。

そして、PK。例の如く、オシムはロッカールームに引っ込む。

…………

能活!キューウェルをストップ!

俊輔!シュウォルツァーの手をはじきながら決めた!気の入ったガッツポーズ!

能活!ニールのキックを今度は左でどんぴしゃりで止めちゃう!連続!連続!

ヤット!いつもの相手の動きを最後まで注視したエロPK、GK動けず緩やかにゴールに収まった!

…………

高原~、往々にしてそういうもんか?宇宙開発……。

…………

佑二、キター!!!!!!!!!!!!1

ま、PKは運、とはいえ、能活のビッグセーブ2つでPK戦を制し、オーストラリアを撃破。準決勝に駒を進める形となった。

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このゲームで抱いた感情は当日のエントリー通り、本当に勝って良かった、うん。

ただ、ゲームの内容としてはイイ部分と悪い部分があったと思う。それは結果云々は置いておいて先に繋げなければならない部分でもあるのかなと。

例えば守備。イビチャ・オシムの分析能力に選手達が応えた事でパーフェクトなディフェンスが出来た。多少相手の能力を前面に出した突破に関しては少々手を焼いていた感もあったけれど、チームとして最も警戒していたビドゥカに対しての対応策はパーフェクトだった。まずはDFがしっかりとしたアプローチで強くプレッシャーを掛け、そこに鈴木啓太を核にした中盤の選手が挟み込む事でパスコースを消しながら奪いに掛かる。この局面的な対応が示す部分としては、チーム全体がバイタルを圧縮できていたという事を示していると思う。

個人的には、改めてオシムが一つのタスクに固執せず、相対的な分析を元に柔軟に効果的な対策を施す事が出来る監督であること、そして、短期的な側面でも選手達がしっかりとその意図と動きを理解してゲームにアウトプットできる能力を兼ね備えていたことが嬉しかったかな。

*後は、守備意識もこれまでに比べて高まっていたと思う。これまでのゲームでは中盤の攻守の切り替えに関して少々緩慢なイメージを抱いたけど(俊輔が一回サボったのはちょっとまずいね)、この日はオリジナルポジションに戻るスピードも速く、相手の攻撃を遅らせるというイメージを持っていたと思う。暑いからなかなかすべてをやるというのは難しいけれど、相手の質が高まれば高まる程、個の力だけでは難しい。その辺はチームとして守りやすい形を作るという意識が高まってきたのはイイ傾向かなと。

守備は良かった。しかし、攻撃に関しては采配含めて不満足な部分も残った。数的優位で完全にポゼッションを握っていた中で崩しきれなかった事実が不満なのではなく、選手達の意識が「崩しきる」という部分に少々固執してしまったかな。

確かに暑さ対策としてのゆったりとしたポゼッションはありだと思うし、その中でのリズムを変えてダイナミズムを付随させてみたり、アイデアのあるプレーをして崩す事に関しては、うまくできていた感もあった。けれど、あの状況でポゼッションを重視したプレーをしても相手は怖くない。勝負を決めるという部分では多少の強引さがあっても良かったし、勝ちきるという意志の強さを感じさせるようなプレーが見たかった。強引に攻める事でカウンターに繋がってしまう危険性もあるけれど、同点ゴールにも見られるようにボックス内で圧力を掛けられればミスが起こりえる可能性もあるし、PKをもらえる可能性もあった。そういう意味では状況にあったプレーの変化は今後の課題となる。

で、采配に関しても変化というリスクを嫌った感を受けた。結果として勝ちを得ている訳だから、その選択が間違っていた訳じゃないけれど、リスクチャレンジを求める監督にしては少々臆病な采配になってしまったのかなと。確かにこのチームの核であるプレーヤー達を代えた結果、チームの変質することは思わぬリスクが潜んでいる事は否めない。ただ、相手は疲弊し、主導権を完全に握っている状況の中で、チームの攻撃が閉塞していた事を考えたら、もっと速いタイミングで局面を打開できるプレーヤーの投入が必要だった気がしてならない。それこそ、加地の怪我で右サイドを入れ替えるタイミングで水野や太田を投入して欲しかったし、駒野を右に出したのであれば同じタイミングで佐藤寿人を投入しても良かった。ま、色々な計算の元での結果だから、後でごちゃごちゃ言ってもしょうがないけれど、この日のオシムたんは臆病だった。代表での結果至上主義は彼にも何かしらの影響を与えていたのかも知れないね。そんなんじゃ困るのだけど。

ま、勝ったから良いけど、ね。

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復讐達成で気が緩みそうになるけど、次の相手も怖い相手。今のサウジは日本にとって非常に嫌な相手。スピーディーで、尚かつ強引。今のチームは「サウジ」のイメージにぴったり合うようなソリッドなチーム。特に二人のカフタニのスピードとテクニックはかなり苦労すると思うし、チーム全体のせり上がるようなカウンターは脅威あり。緩慢なプレーをすれば切り裂かれちゃう。オーストラリアに比べて環境にも柔軟している感はあるしね。オシムたんの分析を元に、しっかりと対応して、出せるときに日本のストロングポイントを出せるように、もちろん体のケアもね。3連覇まであと2つ!頑張れ、超頑張れ。

ということでここまで。

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*佑二、超お疲れ。良かったよー、抜群に。再びあのキャリアの頂点に登るようなハイパフォーマンスを見せてくれている事が嬉しくてしょうがない。厳しいゲームが続くけど、良いプレーをして、その感覚をマリに持ち帰ってきて欲しいな。佑二の充実はマリにも必ずプラスになると思うし。怪我だけは注意。疲労も気になるんだけど……。とにかく頑張れ、超頑張れ。

*俊輔。静から動のコントラストは相手を惑わしていたし、ミスのない繋ぎ(リスクを避けすぎていたけど)、ディティールを感じるプレーなど、悪くはなかった。基本的にはよく走っていたしね。ただ、攻撃の核として攻撃を演出する側に回っているけれど、もっと俊輔にはファンタジックなプレーで勝負を決めるプレーが求められているはず。もちろん、そればかりを狙っていてもだめだけど、もっとやって欲しいかな。突破アクションとかも欲しいし、ミドルも撃って欲しい。後、トップスピードの相手に一度静観してしまったさぼりは絶対だめよ。とにもかくにも頑張れ、超頑張れ。

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July 21, 2007

勝った!

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正直に言おう、ゲーム中イライラしっぱなしだった。

本来閉塞された状況を打開するアイデアを生み出さなければならない「エレガント」と称されたプレーヤー達の出来が悪く引かれた相手に対して接触不良を起こした事、チームとしてこのチームのテーマとして掲げられた要素である「リスクチャレンジ」という言葉を忘れてしまった事、そして勇気と決断力を欠き、手をこまねいてしまった事。

もっと走れる、もっと崩せる、もっと仕掛けられる、もっともっと出来るはずなのに、それを出し切れなかった事が歯がゆくて仕方なかった。ましてや、モチベーションがこれほど高まるようなゲームでこんなプレーになってしまうのがもったいなくて仕方なかった。

でも、勝ったからいいや。今日だけは負けたくなかった、どんな形であれ勝って欲しかった。

だから今日だけは喜ぼう、去年喜べなかった分、今は喜ぼう。

うん、よかった、本当に良かった………。

AFC AsianCup 2007 QuarterFinal

Japan 1(EX 0-0/PK 4-3)1 Australia @ My Dinh National Stadium/VIETNAM
Japan:71'N.Takahara Australia:69'J.Aloisi

sports navi

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*最高だよ、高原。展開にイライラしてたし、終盤ボールタッチが荒れていたけど、最高の仕事をしてくれた。最も欲しいときに獲ってくれるのがスーパーエース、きっと高原が日本が求めてきた存在となってくれる。あそこでのあのタイミングでの切り返しという落ち着き、痺れた!PKはご愛敬、だね。

*最高だよ、佑二。阿部っちや啓太と共にマーク・ビドゥカにも、ハリー・キューウェルにも真っ向勝負で封殺。そして、自らの足で憎き相手を沈めてくれた。横浜の誇り!痺れた!

*最高だよ、能活。強心臓の日本の守護神は本当に神に愛されている。抜群の集中力が相手を射抜き、そして研ぎ澄まされた精神が相手の挙動を読み切る。止めそうな匂いがぷんぷんしてたよ。痺れたぁぁぁぁぁぁ!

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勝て。

一年経った今でも、記憶は全く薄れない。

名将の采配と終盤の同点劇という勢いを纏い一気呵成のオーストラリア。ティム・カーヒルのゴールパフォーマンスの如く、ノックアウトされた日本代表の姿は全ての希望が絶たれた事を示していた。

そして、あの10分で日本は全て失った。

その後の1年間。

新たな指揮官が吹き込む新たな息吹、新たな時代を迎えようとしているJリーグの熱、欧州の舞台で絶望を糧に更に逞しくなるエース達……再び世界に挑むために、越えられなかった壁を越えるために日本は復興の道を辿る。

それでもなお、日本のサッカーを愛する全ての人の心の中には程度の差はあれ、傷が残っている。佑二の中に、俊輔の中に、そして僕の中にも。それだけあの10分間の影響は小さくない。

復興の道を辿る今、絶望の記憶を呼び起こすことは、絶対に避けなければならない。今の日本に必要なのは現在であり、未来なのだから。だから、勝て、絶対に。

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AFC Asian Cup 2007 QuarterFinal
Japan vs Australia @ My Dinh National Stadium/VIETNAM

Japan            Australia
   高原  巻          アロイージ ビドゥカ
遠藤        俊輔    キューウェル  ブレッシアーノ  
   憲剛  啓太     クリーナ           エマートン    
駒野        加地          グレッラ
   佑二  阿部      ビーチャム ミリガン ニール
     能活              シュウォルツァー

遠きカイザースラウテルンから灼熱のハノイへと場所を移しての再戦。復讐だの、リベンジだの、と精神的な事を言うだけではあれなので、簡単にポイント。

・逞しきオージーに、立ち向かえ日本男児

オーストラリアが苦しんでいる理由、もちろんアジア特有の湿気を含む気候もあるだろうが、このチームは基本的に変わっていない事にある。個人の力を前面に押し出すフットボール、一人一人がストロングポイントを発揮して局面での優位性を作り出す。ビドゥカが屈強な肉体を持ってして前線で起点となる。キューウェル、ブレッシアーノ、カーニー、エマートンらが詰まった状況でも局面を切り開く。しかし、コンディションが整っていない状況では、その優位性が生み出せない。これがアジアで苦戦するオーストラリアの現状だと感じる。

しかし、3試合を経て、気候にも環境にも慣れ始めている事を考えれば、コンディションは上昇傾向にあると考えるのが妥当であるし、元々この決勝トーナメントにコンディショニングしてきたとしても決して不思議ではない。グループリーグと同じクオリティではないと考えていた方が得策かも知れない。

そんな相手に対して日本はどうするべきか、そこで逃げてはいけないと言う事に尽きるだろう。全ての局面に置いて1vs1は避けられないだけに、そこで負けないことがこのゲームの唯一最大のポイントだろう。

報じられている通り、メインとなるターゲットをビドゥカを起点にしたシンプルなアタックに対して、センターバックがどう対応するか、という局面は最もゲームを左右するマッチアップになる。これに関して佑二と阿部っちに一言言えるとすれば「ワシントンとヨンセンとのマッチアップを思い出せ」ということ。競り負けない、勝てなくても競って精度を落とす、幅のある体を使われてのターンがあるから距離感に気を付ける、全ては彼らとのマッチアップに通ずる事。Jで失敗した事、成功した事を頭に置いてプレーすれば、きっと大丈夫。後は鈴木啓太を中心にセカンドボールへの意識を高く持ち、素早くピックアップしていけば、怖くない。彼は優秀な選手だけど、キャリアの晩年、間違いなく衰えている。

そして、全員に言える事。相手はパスを中心に、コレクティブに選択肢を多く作って攻撃構築していくチームじゃない。一人一人が局面を切り開くことで攻撃を構築してくるチーム。個々の力は高いだけに完全に抑え込むのは難しいけれど、粘り強く、軽い対応で簡単に局面を打開させないようにすること。ここまでの日本のプレーはめちゃくちゃ軽いことが目に付くだけに、差し違えてでも抑える気概を持ってこのゲームに臨んで欲しい。

攻撃面では、ワールドカップの時と同様にキープレーヤーに対してグレッラやクリーナと言った対人に強い選手がマンマークに来る事が予測される。ただ、これを逆に利用してやればいい。多分マークに付かれるであろう俊輔も含めて、ヤットと憲剛がポジションチェンジをしながら、マークに付かれたプレーヤーが例え殺されたとしても、相手を引っ張っていけば、基礎となるゾーンが崩せる。その穴を突けるアイデアと技術が今の日本にはある。まずは風穴を開けるためのポジションチェンジ。

そして、欲をかけば俊輔にはワールドカップでは苦しんだハードマークを打ち破って欲しい。欧州での経験は彼にボールを引き出す動きの質の重要性を感じさせたはずだし、それを揺さぶる術というのも見いだしている。日本にとって、以前も現在もアイデアと技術という魔法を持つ中村俊輔はやはりスペシャル、簡単に消えてはいけない存在。再び世界に打って出る上での前哨戦として、彼の働きが勝負を決める事を願っている。

近代化、組織化が進むフットボールだけど、多種様々な1vs1がフットボールを構成している事は変わらない。確かに個の質は高い、本調子じゃないとしてもフィジカルの差は埋めきれないかも知れない。ただ、理屈じゃない。全ての局面で負けるな、そして上回れ。勝つためにはそれが必要。

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と言う事で後1時間かー、ちょっとタイミング的にイマイチかも知れないけど、直前プレビューという事で。うし、気合い。

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*オシムたんにもこの一戦には賭けてほしい気持ちがある。過去の戦績や経歴をなぞって名将と崇め立てるのは簡単だけど、監督という商売は結果が伴ってこそ名将であると思ってる。ジーコとの比較ではないけれど、同じように苦杯を舐めさせられたら、彼の威厳も信頼も地に落ちかねない。僕は彼のフットボールに対する造詣や手腕は信頼できるモノだと思っているけれど、求心力を失っては表現できるモノも表現できない。理想と夢だけでは生きていけない、明確な形を今、ここで。

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強者の論理@Asian Cup 2007 GroupLeague vs ベトナム

慌てず騒がず。

走れないなら、その分ボールを走らせればいい。強者の論理、とも言えるロジック。

これでグループ1位通過、一つの成果を残した訳だけど、ここまでは既定路線。可否が問われるのは、ここからだ。

AFC ASIAN CUP 2007 GroupLeague MatchDay3

Group B/Vietnam 1-4 Japan @ My Dinh National Stadium/VIETNAM
Japan:12'&59'S.Maki 31'Y.Endo 52'S.Nakamura
Vietnam:7'OwnGoal

Sports Navi

日本代表スタメン:GK川口能活、DF加地亮、阿部勇樹、中澤佑二、駒野友一、MF鈴木啓太、中村憲剛、中村俊輔(→62'羽生直剛)、遠藤保仁(→68'水野晃樹)、FW巻誠一郎(→68'佐藤寿人)、高原直泰

勝ち点4同士で迎えたグループリーグ最終戦、様々な条件で勝ち抜きが入れ替わるとはいえ、勝ちさえすれば首位通過が決まる訳で非常にシンプル。今大会の流れを見ても、大観衆のホームサポーターと慣れた気候を背景にエネルギッシュなフットボールをしてくるベトナムは決して侮れないが、自分たちの力さえ発揮すれば恐れるモノはない。

ただ、一つだけ恐れるモノがあるとすれば、やはり気候面。30℃を大幅に越える気温、湿度もかなり高いようで、入場前から鮮やかな青いシャツはかなりの量の汗で深みのある色へと変わっており、理知的なゲーム運びも問われる部分か。

そんな中でのスタメン、ベトナム代表がこの試合に向けてシステム、メンバーを入れ替え、かなり守備的にゲームに臨んできたのに対し(4-5-1というか5-4-1と言うか……)、日本の方はUAE戦と同じ11人がピッチに並ぶ。勝負所と言う事もあって信頼度の高い選手を並べた結果か。ただ、中2日の試合感覚を考えれば、コンディションは気になるところ。

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試合展開

試合開始から完全にポゼッションを握り、引いてくるベトナムの穴を探る日本だったが、多くの人数を裂いてスペースを埋めるベトナムの守備の綻びをなかなか見いだせず。その中で、ボールを失うと多くの人数がジャックナイフのように飛び出してくる相手のアタックに少々苦慮し、なかなか奪い所を定めきれず。結局、そんな勢いに押される形で右サイドからの低いCKが中に流し込まれるとゴール中央で相手アタッカーをマークしていた鈴木啓太がクリアミス、これが見事なまでにゴールに突き刺さってしまい、先制点をまさしく「献上」してしまった。

しかし、それでも日本は全くぶれない。しっかりとボールを動かして相手を動かし、穴を見い出したタイミングでスピードアップ、アクセントという形でベトナムゴールを狙う。そして、スコアをあっさりと戻す。左サイドから縦に飛ばされたボールに対して俊輔がスペースに走りながら相手を御してキープ。1vs1で対峙すると彼のスペシャリティが相手を凌駕。キックフェイクを伴う深い切り返しで相手を翻弄し滑らせると、余裕を持った状態でクロスをファーへ供給、美しいボールはGKの対応を許さず、相手の前に入っていた巻が「胸」で押し込んだ。日本が持つ個の力。魔法のようなフェイクと柔らかく精度の伴ったクロスボールでいとも簡単にゴールを導き出してしまう。改めて、中村俊輔のテクニックとキック精度はステージを見せつけた。又、ホストカントリーの躍進を考えれば、勢いを削ぐと言う意味で決して軽いものではなかった。

同点となった後も、日本がボールと共にゲームを掌握し、ベトナムが鋭い切り替えからカウンター、色のはっきりした展開は変わらず。ベトナムは動きにシャープさこそ感じさせるモノの、日本のディフェンス陣に脅威を与える事は出来ず。逆に日本が相手の果敢かつ人数を裂いたディフェンスに対してポジションチェンジやサイドアタックを絡める形で相手を侵略する。必然的にチャンスの数が増えたのはポゼッションを握る日本、ともなれば勝ち越し点は時間の問題。そして、待望の勝ち越し点が生まれたのは先制点から19分後だった。

左サイドでゆったりとボールを動かす中で、高原が動き出して楔を引き出すとそのままの勢いで突破アクションへ移行。すると、このスピードの変化に虚を突かれ、焦ってコースを消しに行ったところで高原の足をかけてしまい、このプレーに笛。ボックス直前の非常に近距離でのFKが日本に与えられる。そしてこのFK、右足で狙えいやすい位置というセオリー通りヤットが速いキックでファーサイドを狙うと、これがネットに一直線、見事にゴールネットを揺らす。うんうん、ポゼッションの中でのリズムの変化、そして優秀なキッカーを擁すること、日本の強みの出たゴールだった。GKとの駆け引きに勝ち(これは彼一人後からじゃないかな。高名な左足のキッカーが控え、そして、このボールに対して突っ込むように入ってきた阿部がいた。こういった要素が相手のGKに良い状況での対応を許さなかった)、その状況に合わせたイイキックを蹴る。ヤットいいよいいよー。これで逆転。強者としての矜持か、前半をリードして折り返す事に。

後半に入っても日本がポゼッションを握り、相手は耐えながらカウンターを狙う構図は変わらないが、日本の選手達の動き、攻撃構築のクオリティの質はより充実、そして素晴らしいゴールを導く。右サイドで鈴木啓太とヤットがパス交換しながら相手の隙を伺うと焦れた相手がこのパス交換を狙いに前に出る。これを待っていたのかヤットは少しスペースの出来た右サイドに楔、これが駒野に入ると仕掛け所と捉えたか自らアクションを起こしてリターンをもらい、これで揺らいだベトナムディフェンスを尻目に駒野が左サイドで完全に裏を取る。良い状況だっただけにクロスという選択肢もあったが、駒野もポゼッションしているチームに合わせてか、もう一度ヤットへ。ヤットを警戒する選手がいなかったため、相手CBがスライドしてヤットを捕まえに来るが、ここでヤットはあざ笑うかのように俊輔へ優しいラストパス。走り込んだ俊輔はシュートを意識して体を開きながら右インサイドでコースを狙ったフィニッシュ!これが見事に隅を突いて決まり、3-1!見事見事見事。一見、無意味に見える鈴木啓太とヤットのパス交換だけど、このプレーで徐々にディフェンスが焦れてボールを奪いにきたところから始まったプレー。スピード感を売りにしてきたチームにとっては正反対のプレーだったかも知れないが、非常に理知的なプレーであり、その後のスピードアップは意思の共有を感じさせたプレーでもあった。俊輔のシュートは絶品。

これで、ゲームは決まった。相手のサポーターは強国に対してのビハインドに眼前の試合に興味を失ってしまったのか、祖国の快挙に気を引かれてしまったのか、ウェーブが起こるなど、スタジアムの雰囲気は緩いモノに。ベトナムの選手達に徐々に疲労の色が濃くなった事もあってカウンターの鋭さは失われたこともあり、なかなかチャンスを生み出せないのに対し、日本は巻がこの試合2点目となるヘッドを決めて4-1として更にリードを広げると、疲れの見える選手を下げての羽生や佐藤寿人、水野を投入し、新たな可能性を探るテストマッチのような趣に。結果として、実りは乏しかったモノのゲームの大勢に大きな影響はなく、4-1で終了。

初戦の取りこぼしこそ合ったモノの、終わってみれば実力通りにグループリーグを首位で通過、移動なく決勝トーナメントを戦うアドバンテージを得た。又、ベトナムはもう一つのカードであるUAE-カタールの結果がUAEの勝利で終わった事で奇跡のグループリーグ通過を果たし、ホスト国としての重責を果たした。

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先制点を獲られた後はどうなるかと思ったけれど、終わってみれば、と言う感じですな。気候面を考慮した理知的なゲーム運びが出来ていて、引いた相手に対してもアイデアと技術を持つ選手達が、相手を釣り、隙を見いだしてチャンスを作る。結果に実力の差が結果に表れたと言えるのかなと。

ただ、考えてみれば発足当時のチームはこういうゲームで手をこまねいていた。ジェッダでのサウジ戦でも、サナアでのイエメン戦も、そしてバンガロールでのインド戦も、劣悪なピッチ、厳しい気候などにプレーの精度や運動量を奪われ、かなり厳しいゲームを強いられてきたのは記憶に新しい。その辺は選手達が環境的な状況、相手の状況、そして置かれている自分たちの状況を把握、理解しきれずに主体的なプレーが出来ていなかったからだと思うのだけど、今大会のプレーを考えるとそこに大きな進歩があるような気がしてならない。

確かに、監督であるイビチャ・オシムが本来志向するサッカーというのはハイテンポでリズミカル、ダイナミックなモダンフットボールであり、現状の日本代表が示しているゆったりとしたポゼッションサッカーではない。しかし、自分達がどれだけ走れるか、チャンスを作る上での必要な事は何か、環境的な側面を含めて置かれた状況に合わせて考えたとき、オシムが本来志向したフットボールが状況にあった形というと、それは間違いなくNo。しかし、選手のセレクトやプレーディティールなどを考えると、状況にそぐうフットボールを選択させている。そういう意味で、今のフットボールは昨年のフットボールよりも理知的であり、「大人」なフットボールになっていると思う。

ただ、あくまでもそれが通用するのはここまでかも知れない。今までは強者であるが故に自分たちの論理を押し通せていたが、相手が強くなればなるほど、自分達が考えているようなフットボールを押し通せなくなる。ボールを持つ時間も少なくなるし、守備に追われる時間も増えるだろう。その分だけ運動量も必要になるだろうし、肉体的には厳しいプレーが強いられる事は必須。そんな状況に陥ったときに、どうするのか、ここからが本当の戦い、真の力を試される戦い。でも、それがこのチームを強くする。

*具体的にはもう少し切り替えを早くしなきゃいけないかな、特に攻→守の部分で。鈴木啓太の危機察知能力の鋭さとカバーエリアの広さ、そして両センターバックの的確な判断と個の強さで今までは何とかなっていたけれど、これからの相手はこの3人だけでは厳しい場面も出てくるはず。そういう意味で、俊輔・ヤット・憲剛・加地・駒野がより速くオリジナルポジションに帰って、守備陣形を整える必要性があるし、その帰陣を助ける意味で奪われた後のフォアチェックというプレーも必要かな。相手が大したことなかったから大きな怪我にならなかっただけで、現状の守備のバランスはかなり危い。鈴木啓太の読みとカバーエリアの広さをもってしても一人では賄いきれない程のスペースがある。てか、守備手法に関してはもの凄い緩い感じになってるのは気のせい?どのようにボールを奪うのかというのが見えてこない。しかもそれでラインは上げろ?少々傲慢かも。もう少し守備意識を高めて、どのようにボールを奪うのかというのをはっきりさせないと綻びを生む原因になりかねない。

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すいませんすいません、遅すぎてすいません。今更ながらに5月病的な症状に陥っておりまして、一日中眠いという状況だったりしてます。もう既に本日決戦なので、取り急ぎと言う事で。

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*ま、お楽しみはこれからだ、と言う感じでwktk感が止まらないのは僕だけ?色々なモノが入り交じるゲームはそれだけ深みのあるゲームになるからね。もちろん、選手達だけじゃなく、日本サッカーを愛する人々の気持ちもある。負けられないよ、絶対に勝たなきゃいけないゲームだよ。わかってるだろうな、勝てよ。

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July 16, 2007

最高の一日@J.League YamazakiNABISCO Cup Q.Final 2ndLeg FC東京 vs Fマリノス

大雨の秋津。

いつ足を取られるかわからない、尚かつピッチ状況が変わる難しいコンディションの中で示してくれたのは、このチームの衰えない攻撃姿勢。怯まず、恐れず、アグレッシブに、チャレンジングに、追いつかれても突き放して、叩き潰して、勝ちきった。

そして、雨は弱まるどころか強まった味スタ。

待っていたのはスペクタクルな逆転劇。

改めて、最高の一日。

J.League YamazakiNABISCO Cup 2007 QuarterFinal 2nd Leg

FC東京 2-4(a.g. 3-4) Fマリノス @ 味の素スタジアム「最高の一日」
FCTOKYO:78'石川直宏 87'金沢浄
F.Marinos:19'山瀬功治 48'&68'大島秀夫 72'マルケス

F.Marinos Official

Fマリノススタメン:GK榎本哲也"まさに守護神だね"、DF田中隼磨"狙った、のか?"、栗原勇蔵"しゃんとせい!"、松田直樹"祈・軽傷"(→70'天野貴史)、小宮山尊信"コミー十番勝負、石川直宏編"、MF那須大亮"久々、上々"、吉田孝行、エウチーニョ"滑って、転んで、それでもおめでとう"(→46'マルケス"鰻的ディティール")、山瀬功治"エースは雨にも屈しない"、FW坂田大輔"それでいい、次はきっと"(→84'斉藤陽介)、大島秀夫"Sparkfull!!!"

FC東京スタメン:GK土肥洋一、DF徳永悠平、茂庭照幸、藤山竜仁(→70'石川直宏"スタメン取り返せ!")、金沢浄"意地見せた"、MF浅利悟(→55'馬場憂太)、梶山陽平、リチェーリ(→51'赤嶺真吾)、福西崇史"前足は禁止ですから"、鈴木規郎"連発阻止"、FWルーカス

台風4号で大雨の日本列島、J2は九州・四国でゲームが延期になるなどJにも大きな影響を与えた。延期こそなかったものの例に漏れることなく味スタも雨・雨・雨。しかし、そんな天候にも関わらず、観客数は17000。このタイトルに賭ける思いか。

その中でのスタメン、今野・伊野波を代表に持っていかれながらも1stLegではFマリノスの拙い攻撃を無失点で抑えてアドバンテージを得ているFC東京は先週と同じスタメン。対するFマリノスは、練習で好調が伝えられていたエウチーニョがスタメンに名を連ねることに。ブラジルで活躍し日本に渡ってきた彼にとっては日本デビュー戦。少々空回りの心配もあったが、閉塞したチーム状況の中で彼に掛けたい気持ちもわからなくない。又、前回の対戦で退場となった河合の代わりには那須。河合がこれまで一人で担ってきたポジションなだけにこの辺も出たとこ勝負の感があったが、那須にとっては正念場か。

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試合展開

開始早々、勇蔵の軽率なロングボール処理をルーカスに突かれて抜け出されるというヒヤッとしたプレーから始まったゲーム、立ち上がりからペースを握ったのはFC東京。Fマリノスの選手達が濡れたピッチに足を取られたりする隙を見逃さず、裏を狙い、サイドを重点的に突く形で、攻めたいFマリノスを押し込む。しかし、その攻勢にも失点なしで凌ぐと徐々に素早いアタックから反撃。ある程度押し込まれながらも、功治やエウチーニョが前に開くスペースを活かしてカウンターに繋げる形で攻撃を形どり、そこからシンプルにミドルシュートを狙う形で土肥の守るゴールマウスを襲う。

そして、流れを中央まで押し戻した19分、このチームの最も安定したプレーを起点にゴールが生まれる。右サイドライン際でボールを残した隼磨がすぐさま中央へクロス、これが中央にポジションを獲っていたオーシに後ろ向きで収まると相手のアタックにもテクニカルにいなし、丁寧に後ろに入った功治へラストパス。この丁寧なパスを功治は冷静に右隅に沈めて、先・制・点!素晴らしいオーシのポストに尽きるね!浮き球を胸で収めて、リフティングのような形でアタックに来る相手をいなし、そしてしっかりと自分のボールにして、丁寧なボールを落とす。こういう形でキープするプレーはこれまでも見られていたけど、そのプレーはミドルエリアが多く、ゴールに直結するプレーとはなり得ていなかった。ただ、この日ボックス内でこういう形で起点となった事で素晴らしい形を引き出した。オーシのポストテクニックは今やリーグ屈指、今後もこれが行かせるとイイかな。功治も冷静にフィニッシュ、素晴らしいね。これでスコアは全くのタイ。

このゴールで一気に乗ったFマリノス。滑るピッチの中で足を取られるシーンは多々見られたモノの、それでも前から前からの意識でプレスを掛けて相手の攻撃を抑え込み、そこから切り替え速く攻撃に出て行く形で次々にフィニッシュに繋げていく。隼磨のシュータリングが土肥の頭を越えてポストに直撃、コミーは浮いたボールを勢いよくミドルで土肥を脅かし、功治もコースを切られながらも土肥が弾くしかない鋭いミドルを見せる。これまでは執拗なまでに綺麗に崩そうとしていた感があったが、この日のFマリノスは多少強引でも攻めきりフィニッシュに繋げる意識が強かった。

後半のタイミングで一枚カードをもらっていたエウチからマルケスにスイッチ、決勝点を狙う姿勢をより鮮明に打ち出す。そして、その姿勢はすぐさま実る事に。左サイドからのマルケスのCKはクリアされるモノのセカンドボールに素早く反応したのは功治、そのまま右サイドに流れるとボックス際からクロス。糸を引くようにオーシの元へ届くと、フリーとなっていたオーシが頭で押し込んで追加点!いやー、勢いに乗るとこれだけのプレーも出る。精度の高いクロス、決定機をしっかりと決めるアタッカー、イイね。最高。

しかし、その後マルケスが決定機を活かせなかったりと、勢いを削いでしまうと、ビハインドとなったFC東京もだまってはいない、前への勢いを取り戻すために、赤嶺を投入して2トップに変えて攻勢。そして、ビッグチャンス!左サイドからのクロスに離れる動き出しでフリーとなった福西に渡る。必死に凌ごうとディフェンスが殺到するモノの近距離からのシュートを許してしまう。しかし、これは哲也が素晴らしい反応でブロック。ただ、こぼれ球が今度はボックス外で待ち受けていた梶山へ、しっかりとコントロールして鋭いミドル、枠内に飛ぶ!しかし、これも哲也が混戦から抜けてくる弾道を見極めてセーブ!それでもセカンドボールをクリアしきれず、近距離から鈴木規郎が突っ込んでくる!今度は体を張って那須が凌ぎ、その後の金沢のシュートも那須がコースに入って、枠を逸れた!波状攻撃を耐え凌ぎ、その後の赤嶺に抜け出されたピンチは運にも恵まれると(哲也の良い飛び出しもプレッシャーになったかな)、そこで我慢した事が更なる追加点を生む。

カウンターから、数的優位の形を作り出すと、右サイドから吉田がクロス。中には4人が殺到。ニアに入った坂田に合わせたボールは茂庭にクリアされてしまうモノの、クリアボールはオーシの足元へ、冷静に左隅へと沈め追加点!勢いを加速させるFマリノスはその後もマルケスの素晴らしいクロスに功治がボレー!ポスト直撃も自らフォローして狙うも枠外。ただ、今度は逸機にも勢いは削がれず、カウンターからマルケスらしいボディフェイクで福西をいなすと、前に入ったオーシへ楔、流麗な動きで相手の逆を取ってリターンされたボールをインサイドでシュート!土肥は反応できず、綺麗に右隅に収まった!ビューティフル!まさにお手本のようなポストを使ったワンツー、その中にマルケスらしいディティールが詰まっていて、受ける動き、楔の後の動き出し、質の高いプレーがゴールに繋がった、逸機を自らカバーしたかな。これで4-0、完全に勝利を決めたかに思われた。

しかし、マツが怪我を負ったりとピッチ内の若い選手が多くなった中で、きっちりとゲームを締めれない。次々と投入されるFC東京アタッカー陣を整理して捕まえきれず、バイタルに入った時点でコミーが二人を見る状況になってしまい、ナオがフリー。福西は素早くフリーとなったナオへ流し、この好機にナオはそのままシュート。哲也は何とか当てて、勇蔵が必死のオーバーヘッドクリアを見せたが、それでもゴールラインを越えていたようで一転を返されてしまう。これで完全に味スタに火が付く。残り3分の所で今度は金沢がオーバーラップしてボックス内に突入。これに誰も突いていけず角度のない所から強烈にニアを抜かれて(これは哲也が虚を突かれたかな)、2-4……。味スタ劇場開幕か……十も和和されたところで、選手達もようやく感じ取ったのか、時計を進めるための最善策を考え始めてゲームをクローズ。味スタの奇跡を免れて、このゲームを2-4での勝利とした。勢いに乗っての一気の4得点でホームでの失態をカバーして、3年連続の準決勝進出をもぎ取った。

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まー、終盤の連続失点はいただけないけど、躍動的なパフォーマンスは最高に気持ちよかった。ホームでの閉塞感が嘘のように選手達はシンプルな思考の元で走り回った。相手にプレッシャーを掛け、前にスペースが空いたらゴールに向かって突き進み、チャンスと見るやどんどんフィニッシュを狙った。自ら勢いを生みだし、そして勢いに乗った。そして、勝つ。そりゃキモチイイに決まってる。
*FC東京のお株を奪うような勝ち方かもしれないなー。前回お株を奪われるような守り勝ちをされたからお返しだね

こういうパフォーマンスを見ると、これまでは難しく考えすぎていたのかも知れない。このゲーム、本当に選手達の思考はシンプルだったはず。点を獲って勝つ。だからこそ、先の事をは考えずにとにかく走り、前へ、ゴールへと向かっていく。そのプレーが切り替えの早さとなり、直接的な脅威となり、チームに勢いが生まれた。難しく考えざるを得ない状況もあったわけだけど、チームが変貌を遂げようとしている時期に目指すべきところは、こういうプレーのような気がしてならない。

とにもかくにも、3年連続準決勝進出。ここで満足するわけにはいかないよ。去年も一昨年もここでとんでもなく悔しい思いをさせられた。今年こそ、最高の場所、国立、行こう。

*もちろん、勢いだけじゃなく、細かなディティールを整えていかないとだめだけどね。プレスを掛けるのであれば、チーム全体の意思統一、連動という部分。もちろん、全てを行く事は出来ないわけだから、行くところ、行かないところという判断が必要になるわけだけど、そういう事を考えすぎてしまうとチームは消耗を避けるようなプレーが横行してしまう、いや、横行してしまった。この辺はアタッカーの意思をチームが汲み取ってあげなきゃね。彼らが行く事がスタートとなるわけだし、スイッチとなるんだから。彼らに主導権がある事が必要。そして、カウンターに置いて、前にスペースがある時は前に運ぶ、その中でのサポートアクションと崩しのアクションの意識の共有、イメージの共有。ま、この日やれていた事を続ける事だよね。

*引かれたら?どのチームだってみんな苦労する。だけど、チーム全体が相手の状況、ピッチの状況をよく感じ取って主体的にアクションを起こしていく事が必要かなと。そこはオープンな状況だろうと、閉塞した状況だろうと変わらないはず。オーシを深い位置に置いてのポストワークであったり、サイドバックのオーバーラップ、色々出来る事はある。格言ではないけれど、自分達が動かない限り、相手が勝手に崩れていく事はないのだから。イメージを持って、それを周囲と合わせて。

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で、ここからは選手のパフォーマンス。まずはオーシだねー、2G2A。ま、相手があのCBコンビならこれぐらい出来ても全然不思議ではないと思っていたから、ようやくという思いもあるのだけど、段々本物のポストが出来るようになってきたかなーと。相手が怖いと思うのはよりゴールに近い位置、そして、この日ゴールを導いたポストワークは、二つともボックス内。これを考えれば、自ずと答えは出るはず。ワシントンやヨンセンが怖いのはこういう事をしているからだと思うしね。又、ゴールを奪うと言う側面から考えても、ゴールに近い位置にいる事でポストからストライカーへの変身というのも容易。久々にお得意ヘッドで決めたわけだから、どんどんエンジン掛けていってほしいなーと。出場時間を考えれば二桁はノルマ。とにもかくにも、こっから。

*哲也神、哲也神!高みで安定してるねー、完全にこれが実力と言っていいぐらい。あの波状攻撃を止めたシーンはGKとしてのクオリティを見せつけたし、ゲームの流れの中でもの凄い大きなプレーだった。2失点はしょうがない。で、濡れたピッチの中で得意な飛び出しも活きていたし、今の哲也はいいよ、本当に。

*坂田もこの日は良かった。ゴールは相変わらずなくてノーゴール記録が又積み重なってしまったけど、この日の坂田は裏を取る意識が旺盛で、イイ動き出しもあった(オフサイドになったけど)こういうプレーが増えていけば抜け出してのプレーも増えると思うし、相手も怖がる。後は常に、動き出していく事だよね。スペースがない状況でも自分が動く事で生まれる効果は沢山あるわけだし。とにかく、後ろに意識を引っ張られすぎない、うん。幻ゴールも惜しかった。もうゴールマイレージはいらないので、次(notバルサ戦)でよろしく。

*俺らの10番、おーっおー、横浜の山瀬ー。さすがです、カウンターの起点、チームに勇気を与える(同点)先制ゴール、アシスト、衰えない運動量とキレ、やっぱり怖い選手だね。周囲が動かさないと脅威が散らないから警戒されて潰されてしまうけれど、周囲がダイナミックに動けば、功治は早々止められない。ましてやこの日の功治はキレキレだったからね。開幕からフル稼働で、膝のテーピングも気になるところだけど、このオフで何とかメンテナンスして後半も頑張って欲しいな。とにもかくにも、前半戦お疲れ様でした。さすが、エース!

*那須のボランチもそこそこ、かな。展開に助けられた面はあるけど(攻撃構築のために繋ぎを求められる展開じゃなかったからね。シンプルに裏を狙うのであれば、繋ぎの質は余り問われない)、エネルギッシュなプレーは相手にとって嫌だったはず。動きすぎてスペースを空けてしまう嫌いがあって、以前の河合みたいな感もあるのだけど、これから続けていけば、河合の代わりにはなってくれるかな。これをオプションとして試せたのも大きいし、那須にとっても久々に自分の居場所を感じられたんじゃない?サイドバックよりは全然イイ。

*マルケース、やっぱり良いなー!ああいうディティールの詰まったプレーが出来る選手は痺れるよ。今のマリでは彼の得意エリアである左サイドに張り付かず、柔軟に動き回ってプレーしてくれると嵌るかな。最初得点機を外したときはどうしてくれようと思ったけど、しっかり獲ってくれたし。でもサイドハーフとして、もう少し戻るシーンも増やさないと。ナオに仕事を許してしまったのは、コミーの責任じゃなく、マルケスが戻らなかったからだと思うし。でも、戻らない事でカウンターの脅威が増した事を考えれば、それもまた一興。肉を切らせて骨を断つ、そういう展開であれば、ということ。ダービーまで怪我すんなよ

*その他良かった事悪かった事。コミーのミドル、隼磨のインターセプトからの攻撃参加、勇蔵の集中力が切れる事。マツの怪我。陽介の経験と丁寧なコントロールへの意識(練習試合ではとても良いけど雨だからかな)。アマノッチの量より質という部分(全て捕まえようという姿勢は素晴らしいけど、狙い所を定めて奪うという部分が欲しい)。ま、色々あるけど、最高です。

*後、ナオが点獲ってちょっと嬉しかったのは内緒だ。ナオにとってはちょっと辛いコンディションだったけど、水の浮いたエリアを避け、中でゴールを狙った選択は◎。身体のキレも良かったみたいだし、早くポジション取り戻せ。味スタでナオが出てないと華がない(ナオ也ノリカルがボールを持ってカウンターに出る瞬間の味スタの盛り上がりって好きよ、内緒だけど)

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ま、浮かれているばかりもいかないね。でもやっぱり浮かれちゃう。これで中断期間に入ってしまうのがもったいないぐらいの勢いを得れたわけだけど、勢いは又自分達で作ってほしいからキニシナイ!ま、この手応えを先に繋げて欲しいな。これで終わらせちゃもったいないよ。

ま、まずは体を休めてコンディションを整える事。特に怪我したマツと満身創痍の功治、フル稼働中の河合、初シーズンのコミー辺りはしっかりケアしてね。とにもかくにも、一日経った今日でもニヤニヤが止まらない!最高だね。

ということでここまで!

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1日10点、堪能しました。一番イイゴール?うーん、マルケスのも捨てがたいけどやっぱり学くんの素晴らしいコントロールシューとかナー。あれはね、僕の見てる角度からコースが見えたの、そしたら学くんがそこに向けて撃って………決まったー!って感じで凄い気持ちよかった。って、書いて思ったけど、小学生みたいな感想だ……。ゲームの流れを汲む意味でもとても大事なゴールだったしね。

*普段スタジアムでは何も食さない派なんだけど、今回はチーズナチョを食べました。そしたら、4点も獲って勝ちました。これからチーズナチョを毎回食べないと!湿気にやられてふにふにになっちゃったけどな。

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July 14, 2007

暗転@Asian Cup 2007 GroupLeague vs UAE

まさに、暗転。むー、煮え切らん。

AFC ASIAN CUP 2007 GroupLeague MatchDay2

Group B/Japan 3-1 U.A.E @ My Dinh National Stadium/VIETNAM
Japan:22'&27'N.Takahara 41'pS.Nakamura
UAE:66'S.Alkas

Sports Navi

日本代表スタメン:GK川口能活、DF加地亮、中澤佑二、阿部勇樹、駒野友一、MF鈴啓太(→77'今野泰幸)、中村憲剛、中村俊輔(→71'水野晃樹)、遠藤保仁、FW巻誠一郎、高原直泰(→67'羽生直剛)

初戦、非常にダメージの残る形で勝ち点を落とし、風雲急を告げるオシムジャパン。もう取りこぼしせない第2戦目の相手はUAE、灼熱のベトナムでの第2戦に普段の思いで臨む。

そんな中でのスタメン、前節追加点が取れない事、相対的に相手が4バックと言う事もあってか、この試合は2トップ。新聞報道では矢野という予想もあったが、巻がスタメンに名を連ねた。又、足首の負傷で出遅れていた駒野が回復し、左サイドバックでスタメン出場、今大会のファーストチョイス的なメンバーと言えるか

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試合展開

知将二人が目を光らせる中での立ち上がり、自分たちの良さを出していたのはUAE。守備時は完全に11人が自陣に下がり割り切ってスペースを埋め、ボールを奪ったら素早く攻めきる狙いを常に狙いながらもカウンターばかりを狙うわけでもなく、繋ぎながらも機を見てイスマイル・マタルの才覚を活かして、日本の少々緩い守備を崩しに掛かるプレーが見られ、その中でもそのイスマイル・マタルが素晴らしいミドルを放つなど、油断できない相手というのを立ち上がりから感じさせる。

対する日本は、猛暑にやられてしまったのか一戦目にも増して動きが鈍く、又滑るピッチのアジャストにも苦慮。チームとしての奪い所を定められず、又どうも人に付き切れていないシーンであったり、スペースを与えすぎてしまうシーンが目立つなど、どうも煮え切らない立ち上がり。しかし、