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July 23, 2007

復讐@Asian Cup 2007 Q.Final vs オーストラリア

改めて、本当に勝てて良かったと思う。

一夜明けて、スポーツ紙の一面が全て能活、この事実が注目度の高さを物語ってる。そんな一戦に負けていたら、中身がどうであろうと、ネガティブなイメージが日本中に波及してしまったわけだ。

今の日本に必要なのは成功体験と自信回復、そして再び世界に挑戦するための意欲。そのためにも再び立ち上る気運を落とさせてはいけないと思うからね。

ん?中身はどうあれ?

AFC AsianCup 2007 QuarterFinal

Japan 1(EX 0-0/PK 4-3)1 Australia @ My Dinh National Stadium/VIETNAM
Japan:71'N.Takahara Australia:69'J.Aloisi

sports navi

日本代表スタメン:GK川口"神降臨"能活、DF加地亮(→88'今野泰幸)、中澤佑二"まさしく鬼神"、阿部勇樹"象徴・奮闘"、駒野友一、MF鈴木啓太"パックの達人"、中村憲剛"躍動のダイナミックランニング"(→115'矢野貴章"初出場")、中村俊輔"エースとしてのもっと、もっと!、"遠藤保仁"揺るがない心臓"、FW高原直泰"スーパーエース"、巻誠一郎(→102'佐藤寿人)

オーストラリア代表スタメン:GKシュウォルツァー、DFニール、ミリガン、ビーチャム、MFグレッラ(76'一発赤)、クリーナ、エマートン、カーニー、ブレッシアーノ(→71'カーヒル"宿敵")、FWビドゥカ"完封"(→61'キューウェル"それでも怖さをもつのがスター、かな")、アロイージ(→83'カール)

dead or aliveな決勝トーナメントでいきなり実現したドイツ・ワールドカップでの雪辱対決。一方はこの一戦で全てを失い、一方は大会を盛り上げるライジングチームになるというコントラスト、全ては2006.6.12の一戦が分けたものだった。リベンジを胸に誓う日本にとって、屈辱を味わった選手達にとって重要な一戦。

そんなゲーム、条件としては日本に風が吹いていた。グループBで一位通過を果たした事で、移動なく、グループリーグで3戦行ったピッチで宿敵を迎え撃つ形となる。対するオーストラリアはグループAで2位通過。高温多湿の気候とアジアクオリティなプレーへの順応に苦しんで息も絶え絶え何とか通過こそ果たしたモノの、タイよりも厳しい気候のベトナムへ乗り込まなければならない事になってしまった。

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試合展開

気候的な側面もあって、どちらも様子を見ながらスローペースで入ってくるかと思われたが、どちらもかなりのテンションでゲームに突入。パワフルにロングフィードを使って押し込んでくるオーストラリア、前から前からグループリーグとは全く違うスピード感で前から追い込んでいく日本、どちらも立ち上がりから勝負を意識した結果か。そんな序盤、立ち上がりこそオーストラリアのハイボールアタックに苦慮した感もあったが、DFとMFのパッキング意識の高さが相手のポストを封じ始めると、ポゼッションを握り、日本ペースでゲームが進む事に。3バックの横にスペースを見いだし、そのスペースをサイドバックや中盤の選手達が走り込む事で実効力のある攻撃を展開。ファーストシュートも縦のコンビネーションからヤットがスペースへ抜け出して低いクロス、これを巻が二人のディフェンスに寄せられながらもダイビングヘッドで一寸先に撃ったモノだった。

しかし、アウトサイドは崩せてもなかなかゴールの匂いが立ちこめない。アイデアの詰まった崩しやストップ&ゴーのような動き出し、タイミングをずらすようなクロスなど工夫こそしていたモノの、守備する時はきっちりと人数を揃えてゴール前を固めるオーストラリアの守備陣もそんな柔ではなく、シュートチャンスがなかなか生まれない。この流れを活かせないままゲームが進むと、少しずつ様相が変わっていく。

オーストラリアがラインを高く設定し、アタッカー達が前から追ってくるなど、チーム全体のベクトルが前に出てくると、日本のポゼッションが実効力を失ってしまう。ディフェンスライン・ボランチの所では何とかボールこそ回せるモノの、動き出しが乏しく、マークも厳しいため、その先にボールが進まない。攻撃の実効性を失った事で日本は劣勢に追い込まれてしまう。しかし、ディフェンスは安定。前述のディフェンスと中盤のパッキングディフェンスがビドゥカのポストプレーからの展開を許さず、レフェリングにも助けられる形でオーストラリアの攻撃をシャットアウト。どちらもオフェンスの実効性を示せない事もあり、ゲームとしては少々小康状態となる。

小康状態に入ったゲームの中でようやくその力を発揮したのは日本のエレガントなミッドフィルダー達。中村俊輔のキープに中村憲剛が連動。爆発的なフリーランニングを見せてそのまま俊輔とのスイッチプレーを敢行し完全にオーストラリアの中盤を置き去りに。右サイドへ抜け出した憲剛は、高原、ヤットが詰めるゴール前へタイミングの良いクロスを供給。これが長い距離を走り、ファーに入ってきたヤットにどんぴしゃり!結局このボレーは、フィットせず力無くシュウォルツァーにはじき出されてしまったが、非常に素晴らしい連動感のあるプレー、これで勢いを取り戻した日本はオーストラリアの前への勢いを絶ち、日本ペースで前半を追える事になった。

後半に入ると、両チームともオフェンシブな姿勢を強める。なかなか機能しない前線の核マーク・ビドゥカからハリー・キューウェルへのスイッチという決断をしたオーストラリアは、縦への素早い流れの中で一人一人が局面で仕掛ける事で攻撃を形どり、日本の方はスペースのある中盤でテンポをコントロールしながらも生まれるダイナミズムをパスで活かす形で攻撃を成立させていく。はっきりした得点機こそ少なかったが、前半よりも得点の匂いが強くなった69分、重要な先制点が生まれる。

右サイド、キューウェルのCK。振り抜かれた左足から描かれた弾道は低く、ゴールに近くに走り込んだブレッシアーノに合わせたような速いボール。これに合わせきれず、このボールはそのまま誰も触れずにゴール前を横断。この横断したボールに走り込んだのはアロイージ!巻のマークを振り切り、近距離から押し込むと、バーをかすめて決まった。高さ、強さを意識させられてきた中で(ビドゥカが下がっていたとはいえ、ビーチャム、アロイージは残っており、その怖さはやはりあった)、速いボールで面を喰らってしまったのか、走り込んできたプレーヤー達には常に後手になってしまった。オーストラリアの高名なアタッカーを相手にほぼパーフェクトな形で抑え込んできただけに、痛すぎる失点だった(かに思われた)

しかし、このショックに沈まなかった日本のリバウンドは素早かった。ゴール後のキックオフから、ショートパスを紡いで右サイドで起点を作ると、この試合時折見せていた俊輔のスペースラン(警戒されている中で超スローなプレーが多かったが、クイックなランというギャップが相手を惑わせていたかな、ポジティブに捉えれば)から右サイドを打開。ここで俊輔はそのままの右足でふわっと高いボールをファーへ供給すると、巻が高さで上回って折り返す。ここに来たのは高原!だったが、ミリガンの方にボールは流れ、クリア……と思われたがここでクリアミス!こぼれたボールに素早く反応した高原はここでスーパープレー!そのまま撃つかと思わせておいてのキックフェイク!これにミリガンがもろに引っかかり、高原は自らシュートの状況を整えると、冷静に右隅へ!ポストをかすめて見事にゴールに突き刺さり、返す刀の同点弾!ヴェリッシモ!素晴らしい!ゴール前の冷静さはまさにスナイパー。見事なストライカーっぷりだった。ゴールを導き出した俊輔のクロス、巻の折り返しもタイミングばっちりで良い形を整えたかな。とにもかくにも2分も立たないうちにビハインドをはね返した。

同点となった後、更に日本に風が吹く。クリアボールに対して高原が猛然とダッシュして食いつくと、落下点に入っていたグレッラが高原の顔に手を掛けてしまうような形になってしまい(アクシデント、と獲れなくもない)、この行為をイイ位置で見ていた主審はグレッラに対しレッドカードを提示。これで日本は数的優位を得て、完全にゲームを掌握する。

しかし、この変化が日本にはポジティブに作用しない。数的不利になった事でオーストラリアは、キューウェル一人を前線に残し、ボックス前で8枚の守備ブロックを形成。守備モードに入られたことで完全にスペースを消されてしまうと、早々簡単に崩す事は出来ない。結局このアドバンテージを活かす事は出来ず、同点のままゲームは延長へと進んでいく。

延長に入っても、この展開は変わらない。相手の守備陣に対して手をこまねき、そんな状況の中で交代策も余り効果的な策とは言えず、崩しきれない。終了間際に混戦から何度かチャンスを作ったモノの、俊輔のボレーはシュウォルツァーの右手にはじき出されてしまい、相手の思惑通りPKに持ち込まれてしまった。

そして、PK。例の如く、オシムはロッカールームに引っ込む。

…………

能活!キューウェルをストップ!

俊輔!シュウォルツァーの手をはじきながら決めた!気の入ったガッツポーズ!

能活!ニールのキックを今度は左でどんぴしゃりで止めちゃう!連続!連続!

ヤット!いつもの相手の動きを最後まで注視したエロPK、GK動けず緩やかにゴールに収まった!

…………

高原~、往々にしてそういうもんか?宇宙開発……。

…………

佑二、キター!!!!!!!!!!!!1

ま、PKは運、とはいえ、能活のビッグセーブ2つでPK戦を制し、オーストラリアを撃破。準決勝に駒を進める形となった。

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このゲームで抱いた感情は当日のエントリー通り、本当に勝って良かった、うん。

ただ、ゲームの内容としてはイイ部分と悪い部分があったと思う。それは結果云々は置いておいて先に繋げなければならない部分でもあるのかなと。

例えば守備。イビチャ・オシムの分析能力に選手達が応えた事でパーフェクトなディフェンスが出来た。多少相手の能力を前面に出した突破に関しては少々手を焼いていた感もあったけれど、チームとして最も警戒していたビドゥカに対しての対応策はパーフェクトだった。まずはDFがしっかりとしたアプローチで強くプレッシャーを掛け、そこに鈴木啓太を核にした中盤の選手が挟み込む事でパスコースを消しながら奪いに掛かる。この局面的な対応が示す部分としては、チーム全体がバイタルを圧縮できていたという事を示していると思う。

個人的には、改めてオシムが一つのタスクに固執せず、相対的な分析を元に柔軟に効果的な対策を施す事が出来る監督であること、そして、短期的な側面でも選手達がしっかりとその意図と動きを理解してゲームにアウトプットできる能力を兼ね備えていたことが嬉しかったかな。

*後は、守備意識もこれまでに比べて高まっていたと思う。これまでのゲームでは中盤の攻守の切り替えに関して少々緩慢なイメージを抱いたけど(俊輔が一回サボったのはちょっとまずいね)、この日はオリジナルポジションに戻るスピードも速く、相手の攻撃を遅らせるというイメージを持っていたと思う。暑いからなかなかすべてをやるというのは難しいけれど、相手の質が高まれば高まる程、個の力だけでは難しい。その辺はチームとして守りやすい形を作るという意識が高まってきたのはイイ傾向かなと。

守備は良かった。しかし、攻撃に関しては采配含めて不満足な部分も残った。数的優位で完全にポゼッションを握っていた中で崩しきれなかった事実が不満なのではなく、選手達の意識が「崩しきる」という部分に少々固執してしまったかな。

確かに暑さ対策としてのゆったりとしたポゼッションはありだと思うし、その中でのリズムを変えてダイナミズムを付随させてみたり、アイデアのあるプレーをして崩す事に関しては、うまくできていた感もあった。けれど、あの状況でポゼッションを重視したプレーをしても相手は怖くない。勝負を決めるという部分では多少の強引さがあっても良かったし、勝ちきるという意志の強さを感じさせるようなプレーが見たかった。強引に攻める事でカウンターに繋がってしまう危険性もあるけれど、同点ゴールにも見られるようにボックス内で圧力を掛けられればミスが起こりえる可能性もあるし、PKをもらえる可能性もあった。そういう意味では状況にあったプレーの変化は今後の課題となる。

で、采配に関しても変化というリスクを嫌った感を受けた。結果として勝ちを得ている訳だから、その選択が間違っていた訳じゃないけれど、リスクチャレンジを求める監督にしては少々臆病な采配になってしまったのかなと。確かにこのチームの核であるプレーヤー達を代えた結果、チームの変質することは思わぬリスクが潜んでいる事は否めない。ただ、相手は疲弊し、主導権を完全に握っている状況の中で、チームの攻撃が閉塞していた事を考えたら、もっと速いタイミングで局面を打開できるプレーヤーの投入が必要だった気がしてならない。それこそ、加地の怪我で右サイドを入れ替えるタイミングで水野や太田を投入して欲しかったし、駒野を右に出したのであれば同じタイミングで佐藤寿人を投入しても良かった。ま、色々な計算の元での結果だから、後でごちゃごちゃ言ってもしょうがないけれど、この日のオシムたんは臆病だった。代表での結果至上主義は彼にも何かしらの影響を与えていたのかも知れないね。そんなんじゃ困るのだけど。

ま、勝ったから良いけど、ね。

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復讐達成で気が緩みそうになるけど、次の相手も怖い相手。今のサウジは日本にとって非常に嫌な相手。スピーディーで、尚かつ強引。今のチームは「サウジ」のイメージにぴったり合うようなソリッドなチーム。特に二人のカフタニのスピードとテクニックはかなり苦労すると思うし、チーム全体のせり上がるようなカウンターは脅威あり。緩慢なプレーをすれば切り裂かれちゃう。オーストラリアに比べて環境にも柔軟している感はあるしね。オシムたんの分析を元に、しっかりと対応して、出せるときに日本のストロングポイントを出せるように、もちろん体のケアもね。3連覇まであと2つ!頑張れ、超頑張れ。

ということでここまで。

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*佑二、超お疲れ。良かったよー、抜群に。再びあのキャリアの頂点に登るようなハイパフォーマンスを見せてくれている事が嬉しくてしょうがない。厳しいゲームが続くけど、良いプレーをして、その感覚をマリに持ち帰ってきて欲しいな。佑二の充実はマリにも必ずプラスになると思うし。怪我だけは注意。疲労も気になるんだけど……。とにかく頑張れ、超頑張れ。

*俊輔。静から動のコントラストは相手を惑わしていたし、ミスのない繋ぎ(リスクを避けすぎていたけど)、ディティールを感じるプレーなど、悪くはなかった。基本的にはよく走っていたしね。ただ、攻撃の核として攻撃を演出する側に回っているけれど、もっと俊輔にはファンタジックなプレーで勝負を決めるプレーが求められているはず。もちろん、そればかりを狙っていてもだめだけど、もっとやって欲しいかな。突破アクションとかも欲しいし、ミドルも撃って欲しい。後、トップスピードの相手に一度静観してしまったさぼりは絶対だめよ。とにもかくにも頑張れ、超頑張れ。

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