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July 10, 2007

エレガントな罠@Asian Cup 2007 GroupLeague vs カタール

まあまあ、そんなにいきりたたないの。エレガント、エスプリ、リズム、その結晶としての魔法のようなパスコンビネーション、美しかったじゃない。罠は潜んでいたけどね。次勝てばいい、しっかり、きっちりね。

AFC ASIAN CUP 2007 GroupLeague MatchDay1

Group B/Japan 1-1 Qatar @ My Dinh National Stadium/VIETNAM
Japan:61'N.Takahara Qatar:88'S.Quintana

AFC AsianCup Official

日本代表スタメン:GK川口能活、DF加地亮、阿部勇樹、中澤佑二、今野泰幸、MF鈴木啓太、中村憲剛(→82'橋本英郎)、中村俊輔、遠藤保仁、山岸智(→74'羽生直剛)、FW高原直泰

カタールスタメン:GKM.サクル、DFメシャル、S.アルシャマリ、モスタファ、ハマド(→46'シディーク)、MFタラル、A.オバイド、ウェサム、H.ヤセル(90'+2'一発赤)、ワリード(→66'アデル)、FWキンタナ

いよいよ開幕を迎えたアジアカップ、ディフェンディングチャンピオンである日本は大会三日目の登場。このベトナムの地、やはり暑いようで36℃、直前にはスコールが降ったとのことで湿度も上がりそうだというのが気になる要素か。

そんな中でのスタメン、日本代表の方は報道通り高原直泰を1トップに俊輔が右、ヤットが中央、左に山岸というアタッカー陣を並べる4-2-3-1。しかし、左サイドバックに入ると目されていた駒野が足首を痛めたことで欠場を余儀なくされ、代わりには今野が勤めることに。相手のカタールはエースと目されていたアタッカーがこの大会では不在との事だが、ウルグアイ出身のキンタナを代表に帰化選手の高い能力は気になるところ。

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試合展開

低めのライン設定で4-4のブロックを組んで待ち受けるカタールに対して、ピッチ状況を確かめるかの如くボールを動かしながら、攻め手を伺うという落ち着いた立ち上がりとなった日本代表。しかし、序盤こそ安定したポゼッションを見せていたモノの、相手を揺さぶるようなアクションがなかなか生まれなかったり、ボール扱いへの戸惑いが孕んでいるところに玉際激しくこられて軽率にロストしてしまうなど、やはりある程度普段通りとはいかないか。

リズムは握りながらも、引いた相手に対してなかなかチャンスを生み出せないもどかしい流れだったが日本の守備はアクティブに囲い込むなど高い機能性を見せる。しかし、高い能力を持つと噂されていたキンタナがパワフルなドリブルでエンドライン際から強引に突破に図って佑二を転がしたり、激しいチャージでのボール奪取アクションから一気に切り替えてのカウンターも顔を出し始めるなど牙をむき始め、いよいよ本番という感も高まり始める。

個々の突破意欲が高まったりとリズムが出てきたカタールに対し、どうもこの新しいシステムがうまく嵌っていないのか、流れを生み出せない日本。相手の能力を前面に押し出した突破にファールがかさみ始め、そのFKから鋭く襲われるなど、序盤の余裕は完全になくなってしまっていた感もあったが、それでも中村憲剛、遠藤保仁、中村俊輔という日本が誇るエレガントなプレーヤー達が流れを変える。3人がポジションチェンジを始めながらボールが動き始めると、バイタルで前を向くような形が生まれ始めてチャンスを創造。中村憲剛から山岸に入ってヤットとのワンツーで左サイドを崩すと、最後は中にポジションを獲っていた俊輔へ繋がりフィニッシュを導き出す(相手ブロックに凌がれる)というプレーを呼び水に、俊輔が開いたバイタルで楔を収めてターンしたところから後ろから追い越したヤットへ繋がって、最後は加地のランニングを活かしたり(クロスは相手ディフェンスに掛かる)、中村憲剛の楔にヤットのスルーを絡めて中に入ってきていた俊輔に繋がって最後は加地へスルーパスを通そうとしたり(これはディフェンスの抵抗に凌がれる)と、これまでの閉塞的な空気が変わったように感じられた。しかし、空気は変わっても、ゴールを呼ぶ風は起きず。前半はスコアレスで折り返す事に。

ハーフタイムのタイミングでカタールは一枚目の交代、右サイドのハマドに代えてシディークが入る。そのシディークが核となる形で開始早々からカタールが積極的に入ってきたが、バックラインでしっかりと対応、逆に日本も高い位置から追い始めて、互いに先制点を狙う意識を高く持って入った後半の立ち上がり。どちらも速い切り替えからの攻撃を見いだす中で山岸にチャンスが訪れる。憲剛→俊輔と繋がって左サイドに展開されると、今野は右足でアウトスイングのアーリークロス。これに高原が競り合いで上回って、素晴らしい落としをすると、この落としに合わせたのが山岸!完全にフリーの状態でダイレクトボレーとゴールを陥れたかに見えたが、シュートは枠を越えてしまう。ボールの流れ、精度の高いクロスと高原の強さ、そして山岸のラン、全てが揃っていたプレーだっただけに決めたかったところか。

すると、エレガントなプレーヤーのアイデアとテンポがカタールを上回りはじめ、そしてその流れが待ち望んだ瞬間を導き出す。大きなサイドチェンジを絡めた展開の中で、俊輔の溜めたところから中村憲剛が走り込んでボールを受けると、憲剛はすぐさまDFの合間を縫うスルーパス、そしてそのスルーパスに今野が反応し素晴らしいアウトサイドでのクロスボールを供給。これがファーに待ち受けていた高原へ!少々後ろに戻る形だったが体を反転するような形ですぱっと合わせて先制点!お見事な流れ、俊輔の方向転換が相手を欺き、憲剛の優しいスルーパスが裏をえぐる、今野の素晴らしいアウトサイドでのクロスは精度を伴って、高原がストライカーらしくしっかりと決めてくれた。特に高原の集中力は素晴らしい、この試合初めてと言っていいシュートチャンスをしっかり沈める。いやいや、参った。

ボールを回され続けて疲労感漂うカタールの動きが鈍くなる中で、トドメを差したい日本だったが、危ういミスから危険なピンチも。そこは鈴木啓太の質の高いカバーもあって事なきを得たが、このピンチの原因となった高原に爺ちゃんおかんむり。その後も惜しいチャンスを作りながら(俊輔→ヤット→高原→ヤットという浮き球的ダイレクト崩し、この日再三見せた俊輔・ヤット・憲剛のトライアングルダイレクトからの綺麗な繋ぎで最後はファーに逃げた高原へクロスなど)、少々危うい繋ぎからピンチを迎えるなど、どうもふっきれない。

ミスが起きている事、相手が前への圧力を増やした事などを鑑みてか、オシムたんは中村憲剛から橋本へスイッチ。リスクマネジメントを重視した交代でゲームをクローズに掛かる。しかし、一瞬の隙、裏に出された曖昧なボール、しっかりと阿部がコースを切り、能活が飛び出し、盤石と思われた中でキンタナが猛然とボールを追うと、体を入れたディフェンスがファールを取られてボックス間際でのFKを与えてしまう。そしてこのFK、この試合鋭いキックが続いていたキンタナの右足が火を噴いた!壁の間をすり抜けて伸び上がっていくボールは一瞬のうちにゴールに突き刺さり、能活も為す術なし。残り数分と言うところでゲームは振り出しに戻ってしまう。

追いつかれた日本は、最後の攻勢。俊輔の素晴らしいダイレクトスルーパスに羽生が回り込むようなこれまた素晴らしいランニングで裏をとる。寄せられながらも前に入ってそのまま羽生はフィニッシュ!巻き込むようなシュートは枠に向かったが、僅かに外……。この後、退場、退席と色々な出来事がありながらスコアが動く事はなく、ディフェンディングチャンピオンの船出は引き分けスタートとなった。勝ちがないという対カタール戦のジンクスは破れず。

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こういう気候の中でボールを沢山走らせて相手を疲弊させ、エレガントなプレーヤー達が波を作り、引いた相手に対してもチャンスも作っていた事を考えれば、悪いゲームではなかった。追加点を取れなかった事、エアポケットのような集中力の欠如という事故の原因、これらは反省点だけど、ね。

もしかしたら違和感を感じる人もいるかも知れない。今まで見せていたようなアグレッシブかつダイナミックなサッカーではなく、緩やかなリズムの中でのポゼッションサッカーだったからね。ただ、この気候の中ではベターな選択だったと思う。もちろんもう少し揺さぶるようなランニングを中心に、直接的な脅威が足りない側面は否めないし、足元に不安のある選手の存在自体がリスクになる部分もある。ただ、僕は嫌いじゃないよ、優雅なボールムーブにエスプリの効いたアイデアにテンポの変化を加えて連鎖していく様はとてもエレガント。まあ、勝てるかどうかは別にして、ね。

しかし、このゲーム見ちゃうと、也パリオシムたんはエレガントなフットボールにより造詣を深めているんじゃないかと感じてしまう……、もちろんあくまでも彼の中心にあるのはダイナミックでアグレッシブなフットボールだとは思うのだけど。

まあ、引き分けで悲観論や警鐘を鳴らす必要もあるけど、このゲームに関しては「こういうゲームもある」って事で片づけても良いと思う。だって、あれ、ダイブだし。正当なディフェンスだもん。ま、次、しっかり勝てば何の問題もないよ。そんなに簡単でもないかも知れないけど、日本はそんなに弱くない、それも又、事実だからね。大丈夫、大丈夫。

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*選手評は追記予定……。これは少し厳しめに書くつもりなので。

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と言う事で取り急ぎ。しかし、俊輔・ヤット・憲剛のトライアングルは美しかったナー。久々に魅了されちまった。あのサッカーを見てワクワクしないなんて、損してるよ。ま、上で出来るかどうかは置いておいて(←え?)ということで、ここまで。

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*はてさて、ナビもやらなきゃね。どうもあの試合は思い出したくないんだよなー。でもやるよ、その代わりマイクはスルーかな。

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Comments

マリサポの常として(笑)浦和が嫌いな私ですが、この試合では啓太のパフォーマンスの高さに感心しました。リスク回避のポジショニング、バイタルに入ってくる選手へのマーキング、縦に入ったボールへのDFとの連動したチェック、球際での強さ。最近なぜか攻撃センスが高まっている河合ですが、ボランチとしての総合力はやはり啓太の方が一枚上ですね。

試合は、気候を考えるとベターな選択といえるスローな展開に持ち込んで先制しましたが、最後にやってしまいましたね。ただ、今さら悔やんでも仕方ありません。初戦で国際試合の厳しさを教訓として得られた捉えて、次戦に臨んでもらいましょう。

Posted by: mone | July 10, 2007 at 11:01 AM

moneさん、こんにちわ。

鈴木啓太の危機察知能力は非常に素晴らしかったですね。常に展開を読みながら質の高いポジショニングを獲り、鋭い出足で攻撃の芽をまさに「摘み取って」いました。河合も進化していますが、彼も又進化しています。攻撃に絡む事、パスの精度、そして更なるクオリティの高い守備(動き回るだけではなく、ということですね)、彼はどんどん高いレベルの選手になっていると思います。河合も負けるな。

まああのファールは……、と言う感じもありますが、実際あの位置でファールを与えてしまったという結果はよろしくなかったですね。国際経験が足りない……と言われる事も多いですが、既にかなりの経験を積んだ選手ばかりだと個人的には思うので(ユース代表、五輪代表、キャップを積み重ねている選手も多い)、意識の持ち方次第かなーと。失敗を経験に変えて、次こそらしい形で戦って欲しいなと。まだまだこれからです。

ではでは。

Posted by: いた | July 11, 2007 at 01:18 AM

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