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July 21, 2007

強者の論理@Asian Cup 2007 GroupLeague vs ベトナム

慌てず騒がず。

走れないなら、その分ボールを走らせればいい。強者の論理、とも言えるロジック。

これでグループ1位通過、一つの成果を残した訳だけど、ここまでは既定路線。可否が問われるのは、ここからだ。

AFC ASIAN CUP 2007 GroupLeague MatchDay3

Group B/Vietnam 1-4 Japan @ My Dinh National Stadium/VIETNAM
Japan:12'&59'S.Maki 31'Y.Endo 52'S.Nakamura
Vietnam:7'OwnGoal

Sports Navi

日本代表スタメン:GK川口能活、DF加地亮、阿部勇樹、中澤佑二、駒野友一、MF鈴木啓太、中村憲剛、中村俊輔(→62'羽生直剛)、遠藤保仁(→68'水野晃樹)、FW巻誠一郎(→68'佐藤寿人)、高原直泰

勝ち点4同士で迎えたグループリーグ最終戦、様々な条件で勝ち抜きが入れ替わるとはいえ、勝ちさえすれば首位通過が決まる訳で非常にシンプル。今大会の流れを見ても、大観衆のホームサポーターと慣れた気候を背景にエネルギッシュなフットボールをしてくるベトナムは決して侮れないが、自分たちの力さえ発揮すれば恐れるモノはない。

ただ、一つだけ恐れるモノがあるとすれば、やはり気候面。30℃を大幅に越える気温、湿度もかなり高いようで、入場前から鮮やかな青いシャツはかなりの量の汗で深みのある色へと変わっており、理知的なゲーム運びも問われる部分か。

そんな中でのスタメン、ベトナム代表がこの試合に向けてシステム、メンバーを入れ替え、かなり守備的にゲームに臨んできたのに対し(4-5-1というか5-4-1と言うか……)、日本の方はUAE戦と同じ11人がピッチに並ぶ。勝負所と言う事もあって信頼度の高い選手を並べた結果か。ただ、中2日の試合感覚を考えれば、コンディションは気になるところ。

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試合展開

試合開始から完全にポゼッションを握り、引いてくるベトナムの穴を探る日本だったが、多くの人数を裂いてスペースを埋めるベトナムの守備の綻びをなかなか見いだせず。その中で、ボールを失うと多くの人数がジャックナイフのように飛び出してくる相手のアタックに少々苦慮し、なかなか奪い所を定めきれず。結局、そんな勢いに押される形で右サイドからの低いCKが中に流し込まれるとゴール中央で相手アタッカーをマークしていた鈴木啓太がクリアミス、これが見事なまでにゴールに突き刺さってしまい、先制点をまさしく「献上」してしまった。

しかし、それでも日本は全くぶれない。しっかりとボールを動かして相手を動かし、穴を見い出したタイミングでスピードアップ、アクセントという形でベトナムゴールを狙う。そして、スコアをあっさりと戻す。左サイドから縦に飛ばされたボールに対して俊輔がスペースに走りながら相手を御してキープ。1vs1で対峙すると彼のスペシャリティが相手を凌駕。キックフェイクを伴う深い切り返しで相手を翻弄し滑らせると、余裕を持った状態でクロスをファーへ供給、美しいボールはGKの対応を許さず、相手の前に入っていた巻が「胸」で押し込んだ。日本が持つ個の力。魔法のようなフェイクと柔らかく精度の伴ったクロスボールでいとも簡単にゴールを導き出してしまう。改めて、中村俊輔のテクニックとキック精度はステージを見せつけた。又、ホストカントリーの躍進を考えれば、勢いを削ぐと言う意味で決して軽いものではなかった。

同点となった後も、日本がボールと共にゲームを掌握し、ベトナムが鋭い切り替えからカウンター、色のはっきりした展開は変わらず。ベトナムは動きにシャープさこそ感じさせるモノの、日本のディフェンス陣に脅威を与える事は出来ず。逆に日本が相手の果敢かつ人数を裂いたディフェンスに対してポジションチェンジやサイドアタックを絡める形で相手を侵略する。必然的にチャンスの数が増えたのはポゼッションを握る日本、ともなれば勝ち越し点は時間の問題。そして、待望の勝ち越し点が生まれたのは先制点から19分後だった。

左サイドでゆったりとボールを動かす中で、高原が動き出して楔を引き出すとそのままの勢いで突破アクションへ移行。すると、このスピードの変化に虚を突かれ、焦ってコースを消しに行ったところで高原の足をかけてしまい、このプレーに笛。ボックス直前の非常に近距離でのFKが日本に与えられる。そしてこのFK、右足で狙えいやすい位置というセオリー通りヤットが速いキックでファーサイドを狙うと、これがネットに一直線、見事にゴールネットを揺らす。うんうん、ポゼッションの中でのリズムの変化、そして優秀なキッカーを擁すること、日本の強みの出たゴールだった。GKとの駆け引きに勝ち(これは彼一人後からじゃないかな。高名な左足のキッカーが控え、そして、このボールに対して突っ込むように入ってきた阿部がいた。こういった要素が相手のGKに良い状況での対応を許さなかった)、その状況に合わせたイイキックを蹴る。ヤットいいよいいよー。これで逆転。強者としての矜持か、前半をリードして折り返す事に。

後半に入っても日本がポゼッションを握り、相手は耐えながらカウンターを狙う構図は変わらないが、日本の選手達の動き、攻撃構築のクオリティの質はより充実、そして素晴らしいゴールを導く。右サイドで鈴木啓太とヤットがパス交換しながら相手の隙を伺うと焦れた相手がこのパス交換を狙いに前に出る。これを待っていたのかヤットは少しスペースの出来た右サイドに楔、これが駒野に入ると仕掛け所と捉えたか自らアクションを起こしてリターンをもらい、これで揺らいだベトナムディフェンスを尻目に駒野が左サイドで完全に裏を取る。良い状況だっただけにクロスという選択肢もあったが、駒野もポゼッションしているチームに合わせてか、もう一度ヤットへ。ヤットを警戒する選手がいなかったため、相手CBがスライドしてヤットを捕まえに来るが、ここでヤットはあざ笑うかのように俊輔へ優しいラストパス。走り込んだ俊輔はシュートを意識して体を開きながら右インサイドでコースを狙ったフィニッシュ!これが見事に隅を突いて決まり、3-1!見事見事見事。一見、無意味に見える鈴木啓太とヤットのパス交換だけど、このプレーで徐々にディフェンスが焦れてボールを奪いにきたところから始まったプレー。スピード感を売りにしてきたチームにとっては正反対のプレーだったかも知れないが、非常に理知的なプレーであり、その後のスピードアップは意思の共有を感じさせたプレーでもあった。俊輔のシュートは絶品。

これで、ゲームは決まった。相手のサポーターは強国に対してのビハインドに眼前の試合に興味を失ってしまったのか、祖国の快挙に気を引かれてしまったのか、ウェーブが起こるなど、スタジアムの雰囲気は緩いモノに。ベトナムの選手達に徐々に疲労の色が濃くなった事もあってカウンターの鋭さは失われたこともあり、なかなかチャンスを生み出せないのに対し、日本は巻がこの試合2点目となるヘッドを決めて4-1として更にリードを広げると、疲れの見える選手を下げての羽生や佐藤寿人、水野を投入し、新たな可能性を探るテストマッチのような趣に。結果として、実りは乏しかったモノのゲームの大勢に大きな影響はなく、4-1で終了。

初戦の取りこぼしこそ合ったモノの、終わってみれば実力通りにグループリーグを首位で通過、移動なく決勝トーナメントを戦うアドバンテージを得た。又、ベトナムはもう一つのカードであるUAE-カタールの結果がUAEの勝利で終わった事で奇跡のグループリーグ通過を果たし、ホスト国としての重責を果たした。

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先制点を獲られた後はどうなるかと思ったけれど、終わってみれば、と言う感じですな。気候面を考慮した理知的なゲーム運びが出来ていて、引いた相手に対してもアイデアと技術を持つ選手達が、相手を釣り、隙を見いだしてチャンスを作る。結果に実力の差が結果に表れたと言えるのかなと。

ただ、考えてみれば発足当時のチームはこういうゲームで手をこまねいていた。ジェッダでのサウジ戦でも、サナアでのイエメン戦も、そしてバンガロールでのインド戦も、劣悪なピッチ、厳しい気候などにプレーの精度や運動量を奪われ、かなり厳しいゲームを強いられてきたのは記憶に新しい。その辺は選手達が環境的な状況、相手の状況、そして置かれている自分たちの状況を把握、理解しきれずに主体的なプレーが出来ていなかったからだと思うのだけど、今大会のプレーを考えるとそこに大きな進歩があるような気がしてならない。

確かに、監督であるイビチャ・オシムが本来志向するサッカーというのはハイテンポでリズミカル、ダイナミックなモダンフットボールであり、現状の日本代表が示しているゆったりとしたポゼッションサッカーではない。しかし、自分達がどれだけ走れるか、チャンスを作る上での必要な事は何か、環境的な側面を含めて置かれた状況に合わせて考えたとき、オシムが本来志向したフットボールが状況にあった形というと、それは間違いなくNo。しかし、選手のセレクトやプレーディティールなどを考えると、状況にそぐうフットボールを選択させている。そういう意味で、今のフットボールは昨年のフットボールよりも理知的であり、「大人」なフットボールになっていると思う。

ただ、あくまでもそれが通用するのはここまでかも知れない。今までは強者であるが故に自分たちの論理を押し通せていたが、相手が強くなればなるほど、自分達が考えているようなフットボールを押し通せなくなる。ボールを持つ時間も少なくなるし、守備に追われる時間も増えるだろう。その分だけ運動量も必要になるだろうし、肉体的には厳しいプレーが強いられる事は必須。そんな状況に陥ったときに、どうするのか、ここからが本当の戦い、真の力を試される戦い。でも、それがこのチームを強くする。

*具体的にはもう少し切り替えを早くしなきゃいけないかな、特に攻→守の部分で。鈴木啓太の危機察知能力の鋭さとカバーエリアの広さ、そして両センターバックの的確な判断と個の強さで今までは何とかなっていたけれど、これからの相手はこの3人だけでは厳しい場面も出てくるはず。そういう意味で、俊輔・ヤット・憲剛・加地・駒野がより速くオリジナルポジションに帰って、守備陣形を整える必要性があるし、その帰陣を助ける意味で奪われた後のフォアチェックというプレーも必要かな。相手が大したことなかったから大きな怪我にならなかっただけで、現状の守備のバランスはかなり危い。鈴木啓太の読みとカバーエリアの広さをもってしても一人では賄いきれない程のスペースがある。てか、守備手法に関してはもの凄い緩い感じになってるのは気のせい?どのようにボールを奪うのかというのが見えてこない。しかもそれでラインは上げろ?少々傲慢かも。もう少し守備意識を高めて、どのようにボールを奪うのかというのをはっきりさせないと綻びを生む原因になりかねない。

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すいませんすいません、遅すぎてすいません。今更ながらに5月病的な症状に陥っておりまして、一日中眠いという状況だったりしてます。もう既に本日決戦なので、取り急ぎと言う事で。

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*ま、お楽しみはこれからだ、と言う感じでwktk感が止まらないのは僕だけ?色々なモノが入り交じるゲームはそれだけ深みのあるゲームになるからね。もちろん、選手達だけじゃなく、日本サッカーを愛する人々の気持ちもある。負けられないよ、絶対に勝たなきゃいけないゲームだよ。わかってるだろうな、勝てよ。

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