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June 07, 2007

「作為」への疑念@KIRIN CUP 2007 vs コロンビア

もしかしたら、純粋にロマンティシズムを追い求めているのかも知れない。でも、賢者の存在が、裏を勘ぐらせる。質の高いゲームなのに、「作為」への疑念が僕の中にしこりを残した。

KIRIN CUP 2007

Japan 0-0 Colombia @ Saitama Stadium 2002,SAITAMA「「作為」への疑念」

sports navi

日本スタメン:GK川口能活"101"、DF駒野友一"ライバルへ"、中澤佑二"凌ぐ力"、阿部勇樹"「勇気」の守備"、中田浩二"本領発揮、ならず"(→46'今野泰幸)、MF鈴木啓太、稲本潤一(→46'羽生直剛"爆発ランニングというカンフル剤")、中村憲剛"消えない男"、遠藤保仁(→80'巻誠一郎)、中村俊輔"見つからない価値の示す場所"(→88'藤本淳吾)、FW高原直泰"欧州クオリティは彼にあり"(→90'播戸竜二)

コロンビアスタメン:GKフリオ、DFバジェホ、イェペス、L.ペレア、アリサラ、MFバルガス、アンチコ"鶴"(→42'バンゲーロ)、マリン(→57'カストリジョン)、フェレイラ(→69'エスコバル)、FWエレラ(→62'ロダジェガ)、E.ペレア(→80'ガルシア)

コアメンバーの現在地を確認したエコパでのモンテネグロ戦から中3日、今度の相手は南米の雄コロンビアを埼玉に迎えたオシムジャパン。欧州で逞しく戦う海外組を全てスタメンに並べ、更なるチームのポテンシャルアップとブラッシュアップを見据える。一応キリンカップのタイトルも掛かる一戦。

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試合展開

高い能力や経験を持ち得る選手達が顔を揃えたとはいえ、初めての組み合わせということもあってか、皆が探り合いながらプレーしているように見えた立ち上がり。数回スムーズなボールの流れからの攻撃構築があったものの(左サイド遠藤のランニングを活かす形、憲剛のボール奪取から俊輔とのワンツーを絡めて高原へのスルーパスを狙った形、憲剛が縦の楔から動きを切らずにダイレクトプレーで戻されたボールをそのままミドルに持ち込んだ形など)、なかなか隙を見せず、又厳しいアプローチをどうもチームとしての戦い方が見いだせない。

そんな日本を尻目に、コロンビアの早いタイミングでの楔からのアタックを中心にゲームペースを握る。なかなか中盤ディフェンスが相手の速いボールムーブと一人一人の技術の高さを前に獲り所を見いだせず、楔を許してはそこから後手に回されて危険なシーンを生み出されてしまうなど、守備面では詰め切れていないシーンが頻発し、急造チームっぽい脆さを露呈。何とか挽回したい所だったが、なかなか前線に起点が作れず、劣勢をはね返えす答えが見つからない。

時折、個人のひらめきや技術がコロンビアを揺さぶるが、全体的なリズムは変わらずディフェンス陣にとっては厳しい時間が続く。南米の選手が全般的に持っているオン・ザ・ボールのテクニックやテンポを生み出すポゼッションの巧さに翻弄されて中盤守備は殆ど機能せず混乱気味。終盤、選手間のイメージが少しずつ重なり始め、テンポのあるボールの動きからの攻撃を表現するモノの、ミスを突かれて決定機を作られるなど、消化不良感は否めず。結局チームとしての手応えは薄い前半はスコアレスで折り返すことに。

前半の機能不全を重く見たか、オシムたんは後半開始のタイミングで稲本→羽生、中田浩二→今野にスイッチ。コアメンバーの投入でこの状況打破を模索する。その狙い通りか、羽生の幅広い動きがチームを活性化し、又グルーとなることでプレーが流れが生まれ始める。しかし、コロンビアの激しいディフェンスも又前半にも増してハード高原に襲いかかるなど、より激しい攻防が繰り広げられることに。

日本の守備も前半に比べたら機能性を取り戻し、相手に自由な攻撃を許さなくなっていた中でゲームとしては閉塞感が生まれ始めるが、その中で激しいプレーに晒されてきた高原の意地が決定機を作り出す。左サイドライン際のイーブンボールに対して玉際で勝ってマイボールとすると、良いタイミングでDFの間に顔を出した羽生へ、そしてここから日本の中盤のプレーヤーが一気に連動。羽生はダイレクトでそのまま中に流すと、共にボックスの中に入り込んできた俊輔へ、俊輔もこれまた良いタイミングでサポートに入ってきたヤットへ落とし、そしてこのボールを受けたヤットは一拍溜めて爆発的フリーランニングでボックス内に走り込んだ中村憲剛へ優しいラストパスが通される!そして中村憲剛は強烈に近距離からシュート!しかし、これは枠に収めきれず。ゲームの流れを考えれば何とかモノにしたかったシーンであり、美しい形をゴールに昇華したかったところだったが、最後の所では決定機を欠いてしまった。ただ、言わずもがな素晴らしい攻撃構築だった。

拮抗した流れだったが、徐々にチームとしての戦い方を見いだした感のある日本。ポジションチェンジやダイナミックなランニングを絡めた流動的な攻撃で飛ばし気味に激しくプレーし続けて疲れの見えるコロンビアを御し始めるが、最後の所ではやはりコロンビアも激しく強く、最後まではやらせてはもらえない。逆に時折危ないシーンもあったが、阿部や憲剛の好守もあって凌いだ中でゲームは最終局面へ。

羽生の素晴らしいランニングから生まれたチャンスもモノにしきれず、スコアレスの匂いも漂い始めた終盤、引き分けでもタイトルを手に出来るとはいえホームで勝ちを狙いに行くオシムたんはヤットに代えて巻を投入し、2トップへ移行。チーム全体も前への意識が激しいプレッシングからのショートカウンターや前線への飛び出しから勝利に繋がるゴールを狙うが、それでもスコアボードは凍り付いたまま。終了間際、俊輔に代え藤本、高原に代え播戸を投入し、最後の波状攻撃も実らず……、結局ゲームはスコアレスのままホイッスル。ドローと言うことで得失点差により、一応3年ぶりのキリンカップ制覇、オシムジャパンにとって初のタイトルとなった。

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オシムたんからしてみれば、このゲームは想定通りのゲームだったかも知れない。前半の停滞、後半の躍動、このコントラストが選手達に「動き」の重要性を突きつける。そんなゲームだった。

確かにこういったマネジメントは、老獪な選手掌握術であり、フットボールへの思慮深さを欠いて浅はかな報道ばかりを続けるメディアへの警鐘をも伴う有効な手段。ただ、僕はこの行動を疑問に思う。

中村俊輔、遠藤保仁、中村憲剛、彼らが生み出すクオリティは非常に高い。しかし、オン・ザ・ボールに特徴を持つ選手を揃えれば、その分だけ流れは淀み、躍動感が消えていく。こういうメンバーの組み合わせが彼のアイデンティティにそぐうパフォーマンスを見せれないのはペルー戦で証明済みだったはず。それをわかっていながら、彼は何故このメンバーでゲームに臨んだのか。「作為」の裏にある狙いがなんであれ、この行為はチームにとって必ずしも+となる行為だけではないと思う。

例えば機会、元々代表チームとして活動できる時間は限られており、海外でプレーする選手を招集するチャンスも少ない。親善試合も年に数試合、その中で骨のある相手と出来るチャンスとなるとより少なくなる。

例えば選手、次にいつ訪れるかわからないチャンスがこういう作為的な行動によって不意にされる。積み上げてきた自信や手応えが作為的とはいえ余り表現できなければ、その成功体験は薄れ、掴みかけた自信が揺らいでしまう。

こういったリスクを負ってまで、作為的な行為に及ぶ必要があったのか。真意は藪の中であり、想像を巡らせるしかないけれど(W中村+ヤットのエレガントなプレーヤーと機能性を伴うチームを作りたいというロマンティシズムが彼の中にあるのかも……。ないとは思うけどね、相対的な要素を軽視せず、又現代フットボールに置ける必須要素を強く求める、彼のアイデンティティを考えれば)、彼の正しさや示唆が示される事よりも、真正面からチーム構築に勤しんでほしい。選手達のプレーアイデンティティの改革やメディア含めた日本人へフットボールイズムを浸透させる事の重要性は否定しない、が回り道をしている余裕も時間も、今の日本代表にあるとは思えない。

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戯れ言はさておき、強い相手に対しても機能性を示せさえすれば、充分にその効力を発揮できることを示せたというのはとても意義のあることだと思う。前半の出来は口が裂けてもイイとは言えなかったけれど、そういう時間帯ではしっかり我慢が出来ていたし(もっと現実的な形にシフトしても良かったと思ったけど。経験のある選手が揃っていたわけだし、そういう自主性は否定しないでしょ)、流れを掴んでからの美しい連動性は可能性を感じさせる。そこに選手が持つクオリティがより反映されれば、このチームの可能性はもっと広がる。全てはバランス、チームの機能性を担う人材とクオリティを担う人材、このバランスを誤らずに進んで欲しいなと。賢者であるオシムたんが、その見識眼を持ち合わせていると信じているし。

そして、コロンビアには最大級の感謝を。薄っぺらい「親善」より、粗暴な「真摯」の方が日本にとっては価値がある。彼らのプレーがあってこその、価値のある高質のゲームがあると思うからね。アジアに目が向きがちになる中で、世界の「激しい」スタンダードを突きつけて、井の中の蛙ではだめなんだよと教えてくれた。ま、そんな相手だったからこそ勝ちたかったけどね(贅沢になったもんだ、南米の雄、しかもそれなりにクオリティを伴うプレーをしてくれた相手に対して、引き分けじゃ満足できないんだからさ)

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既に長いけど、こないだ褒めてもらえたので今回も選手評。

川口能活(ジュビロ)→ビッグセーブは底まで見られなかったが、特に大きなミスもなく、しっかりとゴールマウスを守った。鎬を削った永遠のライバルの復権で更に燃えているはず。現状ではポジションに世代交代の波は起きない感じだねぇ。もちろん、西川や川島には頑張って欲しいんだけど。

駒野友一(サンフレッチェ)→全開の試合に比べると、プレーの精度のクオリティは落ちてしまったが、プレーの積極性や実効力は衰えず。マリンの縦横無尽の動きに対して受け渡しがはっきりしない部分があったが、この辺は中盤の選手としっかりとしたコミュニケーションを獲って、整理して守りたい。全体的なパフォーマンスは高みで安定しているだけに、加地さんが復帰した後の取捨選択は注目、隼磨も頑張れ、超頑張れ。

中澤佑二(Fマリノス)→中澤佑二の中澤佑二たる所以、高いレベルの相手だっただけに押し込まれる時間帯もあったが高い対応能力で迎撃し、チームを土俵際で繋ぎ止めた。フィードやクリアミス、そしてビルドアップと細かい部分ではミスや気になる部分もあるけど、彼の対応力は未だに代表では欠かせない存在と言える。

阿部勇樹(レッズ)→厳しい展開の中で、高い危機察知能力と勇気ある判断で質の高いディフェンスを披露。この辺はさすがセンスの高いプレーヤーだね。ユーティリティという名の便利屋で終わらないためにも、どのポジションでも自分の持つ能力をクオリティを示していく癖を付けて欲しいね。これを続けて。

中田浩二(バーゼル/SUI)→期待された程のインパクトは示せず。局面に置ける激しさであったり、カバーに関してはある一定のクオリティは示したが、このチームのアイデンティティを表現するには至らず。ま、このチーム初めてのゲームであることを考えれば、多くを求めちゃいけない気もするけどね。

鈴木啓太(レッズ)→前半はチームの混乱に飲まれて影響力を発揮しきれず、しかし後半はいつものチームパフォーマンスが戻ったことで影響力を発揮し、チームを支えた。このチームでのプレー経験が積み重なったこともあってか、時折コンセプトの体現とも言える攻撃参加を見せるなど戦術理解も進んでいることも示した。前半のような状況でも影響力を発揮してチームを安定させる事が出来るようになると、更に一段上に登るかも。

中村憲剛(フロンターレ)→やはりイイ。鈴木啓太との役割分担をはっきりとしながら、自らの特性を遺憾なく発揮。視野の広さと鋭い感覚が生きるゲームメイク、機を見たフィニッシュへの絡みなど、チームにクオリティを与える存在。こういうゲームでは強いプレッシャーで消えてしまうこともあり得るのだけど、彼の動きが停滞したチームに刺激を与えたプレーは素晴らしかったし、美しい決定機に出てきた事は高い評価をしてあげたい(決めて欲しかったけど)完全にこのチームでの場所を確保。

遠藤保仁(ガンバ)→この日はキック精度を欠いたりとクオリティを示せず、存在感も薄かったが、レシーバー不在のチームに置いて周囲を活かすことにクオリティを発揮する選手に置いては多くを求めるのは酷。ただ、選手間の距離やサポートアクションというのを活性化させたかった。それは彼のプレータイプを考えると違う気もするけど、ヤットに限らず、中村憲剛の決定機に繋がった攻撃構築の土台となった素早いサポートアクションが何度も表現されるようになれば、エレガントプレーヤーの共存も現実味を帯びると思ったりするので。

稲本潤一(ガラタサライ/TUR→アイントラハト・フランクフルト/GER)→新たなチーム、新たなポジションという不遇もあってか、本来の彼のポテンシャルからはほど遠いパフォーマンス。ハーフタイムでの交代もやむなし。何をすべきか、どうすべきかという答えを全く持ち合わせていなかったことが問題だったかな。次のチャンスがあるかどうか、ま、作為の被害者でもあるから糾弾はしたくないんだけどね。

中村俊輔(セルティック・グラスゴー/SCO)→時折クオリティのあるプレーを見せようとしたモノの全般的には低調。使うプレーヤーにとって酷な状況であることを考えれば、彼だけに問題があるとも言い切れないが、求められたモノを考えればもっと主体的なオフ・ザ・ボールの動きが必要だったことも確か。ただ、最も気になるのは、彼がこのチームで未だにはっきりと居場所を見つけきれていないこと。染めるか、染まるか、それとも居場所を見つけるか、俊輔の決断はいかに。

高原直泰(アイントラハト・フランクフルト/GER)→激しいハードワークにも屈しない、これが欧州基準のエースアタッカー。この日彼自身はハードマークに苦しんで、ゴールに近づけていなかったが、それでもチームのために標的となり、ハードワークをしたことも見逃せない。ただ、孤軍奮闘は否めず。彼を楽にするためにも、周囲をサポートしてくれる選手必須。ストライカーを単なるハードワーカーに貶めないで。

交代選手

羽生直剛(ジェフ)→秘めた熱い気持ちを前面に押し出すかの如く、躍動的なランニングでチームを活性化。チームが求める要素と彼の特性の融合は、改めて整合性をかじるモノだったし、素直な起用というのが改めて大切な事であることを感じたりもした。山岸に続いて、必要な存在であることを示し、「ジェフ枠」という汚名返上となったプレーだった。

今野泰幸(FC東京)→以前のようなアグレッシブなプレーこそ余り表に出なかったが、安定した守備と柔軟性を示し、守備の安定に一役買った。阿部勇樹というチームコンセプトを担うプレーヤーが競争相手となるが、センターバック・サイドバック・ボランチと高いレベルで示せることを考えれば、チームの機能性を担う選手の一人であることも又確か。ポテンシャルを考えればもっと出来ると思うので、期待したい。

巻誠一郎(ジェフ)→意欲的な姿勢こそ感じたが、まだ本調子には遠いか。躍動感とタフさと思い切り、献身性だけじゃない巻の良さをリーグでまず。結果も欲しいね、吹っ切るきっかけというか。

藤本淳吾(エスパルス)、播戸竜二(ガンバ)→出場機会短く評価なし、藤本は着実にキャップ重ねてるだけに、後は自分を表現できるチャンスが欲しいね。

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しかし、相変わらず代表はサッカー以外の所で相変わらず喧しいね。僕としてはまずはフットボールの中身を見て欲しいのだけど、そうもいかないんだよね。そう考えると、オシムたんがああいう行為をするのも理解できなくないんだよなー(決めつけちゃいけないんだけど、真意はわからないし)。リーグを軽視するわけではないけれど、日本サッカーの現状を考えればやっぱり代表のサッカーが担う役割はまだまだあるはず。Jの露出が少ない今はね。ま、とにもかくにもアジアカップ!ということでこの辺で。

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*次は何しようかナー、ユースも五輪代表もやりたいけど……ただ、このブログとしてしなきゃいけないことがあるので、それが先かな。

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