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June 23, 2007

復活のバンディエラ@J1 第16節 Fマリノス vs ガンバ

この日の三ツ沢は紛れもなく、彼のためにあった。それが全てを物語る。
改めて、バンディエラの存在の大きさを感じた一日だった。

2007 J.League Division1 第16節

Fマリノス 0-0 ガンバ @ 三ツ沢球技場「復活のバンディエラ」

F.Marinos Official

Fマリノススタメン:GK榎本哲也、DF田中隼磨、中澤佑二"間違いなくアジア最強"、松田直樹"思いの丈は全てピッチで"、小宮山尊信"代表様との対峙"、MF河合竜二"戦い抜くチームの良心"、上野良治、山瀬功治"下降線"、山瀬幸宏(→46'ハーフナー・マイク"バテたね、まだまだ")、FW坂田大輔"チームタスクと遠いゴール"(→78'斉藤陽介)、吉田孝行"2列目こそ活き場所"

ガンバスタメン:GK藤ヶ谷陽介、DF加地亮、シジクレイ"ちょっと、将軍様を刺激しないで"、山口智"クレバー"、安田理大、MF明神智和、橋本英郎、遠藤保仁"欠いた精度"、二川孝広"心臓止める気ですか?"、FW播戸竜二"挑発だけなら格好悪い"(→46'マグノ・アウベス"久々に0で抑えた気がする……")、バレー

平日開催ながら非常に出足の速い観客達は早々に長蛇の列を成し、次々とスタンドを埋めていく。結局キャパぎりぎりの14000人を吸い込む。このゲームを最後にリーグ戦のホームゲームが遠ざかるからか、首位ガンバの魅力的なフットボールに対峙するFマリノスを見たかったからか、もちろんそれもあるだろう。しかし、最もその理由にそぐうのは、彼が再びピッチに帰ってきた、と言うことなのかも知れない。

その理由こそが、Fマリノスの象徴、バンディエラ、松田直樹。勇蔵の出場停止を受けて久々に本職のセンターバックのポジションで盟友・中澤佑二と共にピッチに並び立つことが予測されていたからだろう。

それ以外の所の変更点に目を移すと、J屈指の中盤構成力を持つガンバへの対抗策としてレッズ戦以来のボックス型の中盤に、後ろは良治たんと河合、前は功治と幸宏。又右サイドバックには隼磨が復帰して、久々に隼磨&コミーという両サイドのバランスの取れた形となった。もう一つ目新しさがあったのはトップ。大島の怪我がまだ癒えない中でこの日は動きの量と質に好調さを感じさせる吉田を最前線で起用した。対するガンバは、なかなか調子の上がらないマグノ・アウベスをベンチスタートにし、質の高い動きと意欲を維持していたバンドを先発起用。その他は現状のベストメンバーと言えるスタメンで勝ち点3を獲りに来た。

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試合展開

前半通じて目立ったのは、ガンバの完璧と称してもイイぐらいの中盤での流麗なる繋ぎだった。遠藤・二川・明神・橋本が状況を把握した上でボールホルダーの気持ちを完全に理解したかのようなレシーブアクションでパスの連鎖を起こす。そこにトップ、サイドバックが絡むことで美しい流れが鋭いアタックへと変換され、相手のバランスを崩して生んだスペースの利用が攻撃に怖さが生む。

そんなガンバの波のような攻撃に対し、Fマリノスは後手に回る。選手達の動きは悪くなく、機敏な反応も見せていたが、それでもほとんど相手を捕まえられず、バランスを崩して奪いにいこうとすると、もれなくその崩したツケを使われるという悪循環。何とかマイボールにしても、切り替えでも後手を踏んでいて、そこに厳しくプレッシャーを掛けられていたこともあって、なかなか攻撃の形を見いだせない。

相手の美しい攻撃構築に底知れぬ絶望感を感じてさせられるが、そんな絶望感を前に松田直樹と中澤佑二を核にしたディフェンス陣が奮闘する。マツは序盤細かなミスが目に付き、相手に決定機を献上するなど安定感こそ欠いていたモノの、独特の感覚と優れた読みが活きるアタックは相変わらずの鋭さ。佑二はそんなマツに自由を与えながら、自らは安定感のある仕事で相手の攻撃をはね返し、スペースカバーにも奔走。コミー、隼磨もしっかりと自らの役割をこなし、そのディフェンス陣の奮闘に応える形で本丸を守る哲也が、それでも生まれる決定機を凌ぐ形で失点を許さない。ほぼ全ての時間帯と言っていいぐらい、ガンバのペースで進んだゲームだったが、前半はスコアレスで折り返す。

どちらも前半の出来に納得していなかったようで、後半キックオフのタイミングで両監督ともカードを切る。Fマリノスは機転を作れなかったトップにマイクを入れ、吉田を一列下げる(交代は幸宏)。対するガンバは、攻撃に更なる脅威を付随させようと播戸に代えてマグノ、安田に代えて家長を投入。中盤の構成も明神・遠藤・二川・家長という形に(橋本がサイドバックに、明神と時折ポジションを変えていた感も)

そんな交代策で始まった後半、目が表に出たのはFマリノスだった。マイクの存在がシジクレイを引きつけ、引きつけたことでマイクは触れなくても(マイクの着弾点の判断の悪さは直らねーな)、セカンドボールが生まれる。そのセカンドを坂田、そして吉田が絡んでいくことで攻撃の形を形取っていく。その中で数多く生まれたセットプレーのチャンスからマイクがボレーを放ったり、吉田が素晴らしくテクニカルな突破で中央を破りフィニッシュに繋げるシーンなど、この試合初めてと言ってイイぐらい得点の匂いを感じれた時間帯だった、しかし、決めきれない。

スコアが動かないまま、試合は進む。徐々にオープンな展開に移行する中でスピーディな攻防が繰り広げられるが、精度や怖さという部分ではやはりガンバが1枚も2枚も上手、速い攻撃でも丁寧さはなくならず、より個人技に優れた選手達の実効力は例外なく怖さがあった。しかし、時間と共にパフォーマンスが向上した我らが将軍様と相変わらずの固さを見せる中澤のバックラインは揺るがず。拮抗が続くまま、ゲームは最終局面に。

過ごしやすい気候とはいえ、激しくアグレッシブなゲームをこなしてきた選手達には疲労の色が。しかし、ベンチもこの拮抗した中でバランスを崩すのを嫌ってかカードを切れない。ピッチの22人に勝敗が委ねられる中で、勝負の女神はガンバにほほえみかけていた。インターセプトからトリコロールの将軍様さながらに中央から攻撃参加を見せるシジクレイが最後は二川とのワンツーで最終ラインを突破して流し込むように狙うが、僅かに枠を逸れる。そして終了間際、左から右へとボールが流れる展開にFマリノス守備陣は相手アタッカーを捕まえきれず、最後はフリーとなった二川が右足を振り抜く。強烈なシュートはゴールに向かうが、これはポスト。結局互いにゴールが生まれることなくタイムアップ。ガンバは39戦ぶりの無得点試合、Fマリノスはマツの復帰を祝う勝ち点3とはならなかったものの、リーグ最高峰のフットボールを相手に無失点で凌ぎきっての勝ち点1を掴み取り、そして三ツ沢に直樹コールがこだました。

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サッカーは一人のプレーヤーだけでは成立しないし、このゲームに置いても彼だけの力でこの結果を導き出したわけではないから、彼だけを特別に賞賛するのは、自分の哲学に反するのだけど、それでも書かずにはいられない。

キックオフ前、決戦に赴く後ろ姿。ピッチにキス。

周囲を恫喝するかの如くコーチングする手振り。

周囲の動き出しを強制する松田色に染まったビルドアップ。

相手の挑発にまんまと乗り、審判のジャッジへの不満を隠そうともしない奔放な振る舞い。

読みと経験に裏打ちされているにしても、動物的な感性にしか見えない彼のタイミングでのアプローチ。

厳しくなったらディレイで何とかその場をやり過ごそうとする狡さ。

真骨頂とも言える決断力に溢れたラインコントロール。

そして、戦いの後。これまでの沈黙を破るかのように歓声に答え、そして自らと共に苦しんでいる仲間達を忘れない男気。

将軍様、やっぱりあなたは僕たちの心を掴むのですね。

実際、ポジション柄一つのミスが命取りになるだけに、前半の不安定さは正直怖かった。あれが失点にならないことが彼にとっては救いだったかも知れない(特に播戸の1vs1かなー、哲也が良く止めた。FKに関してはヤットの日じゃなかったことに感謝)ただ、この日はマツで良かったと心から思った。ガンバのアタックは変幻自在かつ強烈、決断出来ずに手をこまねいているだけでは死を待つのみ。そういう中で独特の感とも言うべき嗅覚で獲り所を定めて奪いに出れる勇気であったり、決断力を持っている選手がいたからこそ凌げたのかなーと。

とにもかくにも、彼の復帰がチームをなにかをもたらしていくのは間違いないだろう。もちろん、負の側面があるかも知れないけどね。

それでも、帰ってきてくれて嬉しい。

おかえり、Fマリノスのバンディエラ。

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で、ゲームのことは簡単に。

感想としては、はっきりとした力の差があっただけに、ドローとしては御の字だと思う。もちろん、勝ちを浚えなかったかと言えばそんなこともない気がするけど、それでも引き分けで負われて良かったという気持ちが正直なところ。

それだけ前半のガンバは素晴らしかった。個と周辺把握、察知能力、判断力、技術力……これらがグループの質に昇華されたポゼッションフットボールは至高の域。結果として失点は免れたが、いつやられてもおかしくない状況にあったことは紛れもない事実。西野監督としては、あそこに更にスペシャルなプレーヤーの局面打開力を付随させようとしたのだろうけど、そんなことが必要じゃないぐらい、抜群の質を備えていたと思う。

ただ、後半に前半の質が保たれなかった。Fマリノスは最後まで耐え切れたのも、その要因は限りなく大きかったのかなと。

その理由としては……

・交代が起こした弊害、中盤の選択肢の減少による構成力の低下

より脅威を増すために起用したマグノと家長、彼ららしいプレーがあったモノの、前半の出来を考えれば、西野監督は少し欲をかきすぎたのかも知れない。

前線で引き出す動きを豊富にしていた播戸から逃げるようにフリーでボールを持てるポイントを探すマグノに代わったことで、前に入れる選択肢としてはバレーだけになりがちに。絞られれば、ある程度狙いを付けられるし、カバーも出来るから怖さは減る。

そして家長の起用。彼は流れに乗るのではなく、自らが流れを生み出すプレーヤー。家長のポジショニングがワイドに開く形が多いこともあって、中盤は二川・遠藤・明神の3人で作ることになりがちに。そうなると、気の利くフォローで展開を繋げた橋本がいない分パスを流す選択肢は減ってしまった。ましてや家長はボールは欲しがっていたが、受動的な側面は否めず展開の渦に入っていこうとしなかったこともあって、橋本と比べると中盤構成に関しては貢献度は雲泥の差があったことは否めず。

上記の面からガンバの中盤構成のクオリティは下がったと言わざるを得ない。相手が対応できない程のパススピードと流麗な流れは確かに素晴らしかったが、そのクオリティが落ちれば捕まえられないことはなかった。

・時間を与えられ、整理されたディフェンス。

前半を考えると、殆ど回される展開で追い回す選手達も獲り所を定めきれずに身体的にも精神的にもかなり疲労させられた感があった。しかし、後半になってから、相手の波状攻撃を喰らわなくなった。それは、Fマリノスに攻撃のリズムが出てきたからだった。マイクは競り勝てないにしても、相手を引きつけセカンドボールを生んだ。これが相手の攻撃を受け続けていたディフェンスに一息入れる余裕を与え、又整備する時間を与えたと言う見方も出来る(ま、マイクの着弾点の悪さは、山口には明らかにばれていたが)

そして、その中で整理されたのが中盤の役割分担。吉田が広範囲をカバーすることで、河合・上野のボランチのバランスが良くなり、バイタルがぽっかり空くことはかなり減った。全体のバランスが取れることになったことで相手が責めにくくなっていたと言うことも言えるか。

もちろん、他にも遠藤の負傷、運動量の低下なども影響していると思うのだけど、続かなかったことは本当にありがたかった。ま、それでも充分怖かったし、負けていても仕方がないと思ってしまうような力の差があったことも加えて書いておく。やはり強者は伊達ではなかった。

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*後は雑感。攻撃面に関しては、殆ど見せ場が作れなかったかな。ショートカウンターが減ったことで、サイドアタックしか明確なやり方がない状況にあり、それも余りやらせてはもらえていなかった。うまくダイナミズムを利用できるような形であったり、切り替えを早くして攻めきる形などが欲しいところだけど、現状では一歩一歩と言うところかな。ま、この試合で多くを求めるのは難しいゲームだった

*その中で一番アタッカー陣で良かったのは吉田。見事な突破はほれぼれ(決めて欲しかったけどね)、前半は余り機能しているように見えなかったけど、一列下がってある程度自由に動けるようになったことで躍動感を増したかな。功治のキックにキレがない今、セットも見たいかな。マツのお目付役としても良い仕事。

*その功治は疲れが来てる頃かな。キックのブレは相変わらず、判断もドリブルのキレもイマイチ、それでもチームに問われるタスクはしっかりこなしているし、是までの過程を考えれば攻められないけど。ま、コンディションの立て直しがこれからの課題かな(怪我もいやよ)幸宏に関しても少しプレーイメージや意欲に減退傾向が見えるかな。もっと動いていたし、もっと積極的だった。色々考える時期にあるのかな?

*トップに関しては前回同様一概には言えない。坂田はシュート沸くはずしすぎだけど、守備は頑張ってたし、ポストも頑張ってた。マイクは相変わらず着弾点悪すぎ、ただダイレクトでポストを裁こうとする意識、躍動的になりつつある意識は◎。陽介はこれからかなー。

*ディフェンス陣はいいや。よくやった、みんな。隼磨復帰おめ、今度こそ固定で。コミーは加地さん相手によくやった。哲也もナイスセーブ。佑二は神と呼ぶことにする。

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しかし、ミッドウィークに試合がある週はあわただしいね。でも、沢山見れて嬉しい。ホームの試合はもうないけど、日曜日の駒場は横浜人としては近場だし、土曜日は他のゲーム(てか、等々力だけど)も見に行ける。何かサッカー禁断症状が最近酷くなっている気がするよー。とにもかくにも、首位とのドロー、悪くない。と言うことでここまでっす。

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