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February 04, 2007

俊輔国内復帰騒動によせて。

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いやはや、さすがにこのニュースにはちょっと腰が浮いちゃいましたよ。ま、結局誤報というか先走りすぎただけの話だったわけですが、それでもやっぱり気になっちゃいました。ということで、相変わらずタイミングは逃してるんですけど、イイ機会なんで、色々周辺を回ってみまっす。

・今回の騒動の顛末と雑感

サッカーマガジン 2/13日号表紙

横浜M、俊輔獲る(中日スポーツ)

俊輔「今夏J復帰」報道を全面否定(スポニチ)
俊輔、来季も欧州でプレー!「夏に日本に帰ることはない」(サンスポ)

こんな感じかな。俊輔がこれを実際にしゃべったのか、それとも言葉の端を捉えてねつ造されたのか、その答えはわからない、真実は藪の中。ただ、俊輔はヒデみたいに自己完結的にキャリアを終えるのではなく、何かを自らが得たモノを日本に残す意思があるんだなぁと言うのは分かった。

ただ、その思いとは別に契約社会であるフットボールの世界は、その思いだけでは立ちゆかないのも又事実。このニュースを見て、僕が真っ先に考えたのは契約とセルティックの現状のこと。そして、その結論は「セルティックはナカムラを出すという選択肢はよほどのことがない限り、ない」ということ。まず、フットボール的に考えると、今のセルティックは贔屓抜きに「中村俊輔」という存在は恐ろしく大きなモノとなっているはず。戦力としてはもう説明の必要はないと思うけど、現在のストラカンが作ったポゼッション型のスタイルは俊輔ありきのモノだし、一番セルティックでゴールを導き出す選手であるのは明白。チームの核を易々と手放すはずはない。

そして、フットボール的要素だけではなく、俊輔の存在はセルティックにとって待ち望んだ存在のはず。彼はチームの悲願であるUCLの決勝トーナメント進出を叶えた最大の立役者で、近年最もサポーターに愛された「王様」ヘンリク・ラーションの後のヒーローになった。そんな世界一のサポーターの夢を叶えた選手を軽々しく扱うとは思わない。

これに加えてセルティックはもう1年の契約期間を残しており、拘束権を持っている。この3つの側面から見て、現実的に「ない」かなぁと思った。未確認情報だけどユナイテッドが興味を示しているとか、そういう話もあるようだけど、どちらにしてもあの活躍で大きく価値の跳ね上がった選手をJの資金力でかっさらうのは、(ウルトラC出もない限り)難しいのかなと。

ま、感情的にセルティックに残って欲しいなーって気持ちもある。俊輔の流儀でもある「もっとサッカーがうまくなりたい」というコンセプトとセルティックの残留は繋がらないかも知れないけど、欧州有数の歴史をもつクラブであり、世界一のサポーターがいるクラブの伝説となってほしいから。それこそ、セルティックの25番と言えば「リュボミール・モラフチク」ではなく「シュンスケ・ナカムラ」となってほしいし、偉大なるキング「ヘンリク・ラーション」と肩を並べるような英雄になって欲しい。そういう意味で、セルティックで頑張って欲しいなーと。ま、俊輔が選ぶ道にいちゃもんを付けるつもりもないけど、ね。

*多分俊輔が来期セルティックに残ったら、一番シャツを売るだろうね。日本人が買うとか抜きに、普通に俊輔の存在は大きくなっているはずだから。しかも、チームの象徴だったレノンも引退するし……。僕も欲しいなー。

*この問題を考える時に、俊輔が幸運であることと共に、ヒデのことが頭をよぎったの。ヒデはサッカー選手としては不幸な選手だったのかもなーと。彼はペルージャで世界の扉を開くセンセーショナルな活躍だったり、ローマの優勝を後押しする鮮烈なプレーに強烈なインパクトを感じるけど、まともに活躍したシーズンってペルージャの数年とボローニャにレンタルで行った時ぐらい。ローマ、パルマ、ヴィオラ、そしてボルトンではお世辞にも活躍したとは言い難い。何が言いたいかというと、様々な契約などの問題でどうしても選択肢が狭められてしまい、サッカー選手としてのベターな選択を獲れなかったのかなと。それは、実力以外の部分がクローズアップされ、付加価値を持ちすぎてしまったこともあって、選手としての正当な評価がなされていなかったことが影響していたのは明白。そういう意味で「サッカー選手」としてのヒデは不幸だったんじゃないかなと。もっと身の丈のあったクラブに行っていれば、もっと幸せなキャリアを歩めていたんじゃないかなーと。ま、ヒデの思考パターンを考えると、そんなモノは望まないだろうし、彼自身ビジネスに強く惹かれていたから、それも又悪くなかったのかも知れないけど。

*ま、それと比較するわけではないけどだ、俊輔は素晴らしい場所を見つけられたのだから、それなりに腰を落ち着けるのも良いんじゃないかなと。個人的にサッカー選手として一種の幸せを感じられるチームだと思うんだよね。レベルは物足りないかも知れないけど、欧州最高峰の舞台に立てるチャンスがあって、世界一のサポーターはプレーを理解し、最高の後押しをし、めいっぱいの愛を注いでくれる。プレーヤーとしての幸せがあると思う。俊輔の思考をトレースしたら、これは彼の判断基準とは別だと思うけど、ね。でも、J復帰という答えも思考パターンとは違うんだよなー。少し変わっているのかなー。

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・この国は「天才の使い方」を知らない

上記の通り、僕は現時点で俊輔が日本に戻ってこないことは基本的に良いことだと思う。ただ、それはキャリアのことだけではない。今の日本には技術のある選手を有効と捉え、活かそうとする土壌がないと言うのも気になるから。

例えば、小野伸二。レッズが大枚をはたいて連れ戻してきた僕が思う「日本が生み出した最高の才能」。自由自在にボールを扱い、奇想天外のアイデア溢れるプレーでフットボールの楽しさを感じさせてくれる選手。しかし、神様に愛された彼はJで居場所を見つけられていない。チームとして画一的に同じ事を求める方向性は、彼の持ち得る技術を活かすことではなく、他の選手と同じようにプレーすることを求め、そういう側面に置いて「日本最高の才能」は活かされているとは言い難い。

例えば、マグロン。ブラジル・パルメイラスから日本に渡ってきたハイレベルなボランチは、長躯に似合わない抜群のテクニック、それに伴うキープ力を誇り、違いを生み出せるプレーヤーだった。しかし、彼がボールを持てることを周囲が活かすイメージを持てず、時にはその美しいテクニックが「持ちすぎ」のように映ってしまう。結局そのキープが実効性をもたらすことは少なかった。又小野同様特徴の発揮よりも、チームの駒となることを問われ、彼はその価値の半分も日本では示せなかった。

これらのことは日本のサッカーを良く映し出している。文化や風習、そして成功体験、失敗体験から、個を否定しながら、グループとしての要素を重視しすぎる余り、個性というものを受け入れる土壌を持たないモノにしてしまっている。そして、その結果、優れた技術もその世界で活きる要素を持ち得なければ異物と扱い、優れた選手を活かす方法論を見いだそうとしない。

そんな土壌の上に俊輔が帰ってきても、そんな土壌の中に埋もれてしまって、彼らしさを魅せることが出来ないのではないか、彼が成し遂げてきたことが色褪せてしまうのではないか、だとしたら、キャリアの絶頂期に帰ってくるのはもったいないことなのではないか、帰ってきて欲しい気持ち反面、そんな考えも頭に浮かんだ。

*僕はこの土壌はもの凄い変わって欲しいと思ってる。もちろん連動した動きから生まれる美しいコンビネーションや統制の取れたプレスなどの機能美などは素晴らしいモノだし、モダンフットボールに置いてなくてはならないモノなのだけど、個人のアイデアや見とれるようなテクニックというのもサッカーの魅力だし、価値としては一緒だと思うわけですよ。「1人のために10人が働け」と聞くと響きが悪いかも知れないけど、その「1人」が「4~5人」が噛み合わないと生み出せないモノを生み出せるとしたら?それはとてもとても価値があることなんじゃないかなと。あくまでも方法論に過ぎないと思う。もっと書いちゃえば、『「○○頼み」は○○が通用しなかったらおしまいだから、個人頼みはだめなんだ』なんて言う人がいるけど、僕はもの凄く軽蔑してますよ。それは個人も組織も同じ事。研究されたら組織だって同じ事が言えるのに、個人だけをスケープゴートに置く。好みはあって良いと思うけど、価値の差を付けないで欲しい。

*投げっぱなしジャーマンだと気持ち悪いので、方法論として。簡単に書けば、軽減・免除と言うことに至るのかな。チームとしてしなければならないことを免除させる代わりに、活かせる部分で働かせる。そしてチームとしてそれを利用し、最初から最後まで論理として成立させる。11人全てが走らなければ良いサッカーにはならないと思う人もいるかも知れないけど、ボールが一つで守るべきゴールが一つなのだから、抑えるべき所を抑えておけば早々失点はしない訳で、それを論理的に考えた時、全員が全員やる必要はないと思うし、それを受け入れる余裕も作れる。ま、方法論に過ぎないので、そういうやり方もあって良いという話。イタリアでも90年代後期にそういう時期があって、もっと書けばその後イタリアに冬の時代が来た。今の日本は匂いこそは違うけれど(より守備的な方向に流れたイタリアと、オシム効果で攻撃的な方向に流れている日本)、空気はその時代にとてもよく似ている。

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・そして、俊輔のこと

少し上にも書いたけれど、俊輔は少し変わり始めているように思う。彼のキャリアは『「もっと」うまくなりたい』という判断基準の下に進んできたはずで、良く捉えれば向上心の塊、悪く捉えれば個人主義的な選手だった。でも、激動のキャリアを通過する中で起きた心境の変化には何かの引っかかりを感じた。

今までの俊輔であれば、ワールドカップの失敗を糧に成長して欧州最高峰(いや世界最高峰かな)の舞台で成功を収めて、更なるステップアップを求めて希望の彼の地、スペインへの思いを強くしてもおかしくなかった。でも、今の俊輔の中には、日本にその経験をもたらして、日本という国を強くすると言う思いが出てきている。そんな過程を考えると一つの出来事に繋がる。そう、ドイツでのワールドカップ。

過酷な運命の果てに「エース」として立ったあの舞台、にも関わらずコンディション不良による不完全燃焼でチームに迷惑を掛けるという失態。傷が残らない方がおかしい。でも、その傷はUCLの大活躍でも癒されない。きっと、その傷を癒すのは4年後なのかな。その舞台でドイツでの屈辱の借りを返す、そんな方向を見据えているのではないかと。そのためには、自分はもちろん、「日本」という国も強くならないと、そんなことを考えた末の言葉のような気がする。

ま、あくまでも僕の妄想に過ぎないけれど、何となくこの妄想をして、自分で嬉しくなってしまった。欧州的傾向の中でクラブレベルでの成功は代表と袂を分かつ引き金にもなりかねない。いまや、UEFAチャンピオンズリーグという舞台は大きく、そして価値のあるモノとされているからね。でも、俊輔はまだ青いシャツに執着心を持っている。その気持ちが嬉しい。

ちょっと寂しくもあるけどね、常に前だけを向いて向上を目指す求道者のままでいて欲しい気持ちもあるし。ファンの心は複雑ですよ(←強引なまとめ)

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ということで、俊輔ファンとしてはこの一騒動(?)はスルー出来なかったんで、徒然と書いちゃいました。次はなにをしようかねー。ということで、とりあえずここまで。

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*色々書いてきて思ったけど、今考える事じゃないね。やっぱり考えるべきは今週に迫ったUCLのミラン戦!苦い思いしかしてないあの「サン・シーロ」で良いとこ見せて欲しい!とか、いつぞや語っていたジーダとの対峙でFKぶち込んで欲しいとか、考えるのが健康な気がする。

*代表のこと?オシムたんに見せて欲しい、天才の使い方ってやつを。フットボールは大きく変わったけど、90年代は理知的にスシッチやピクシーやジェニオのような天才を使っていたらしいから(オシムの言葉にも書いてあるし)、新しい手法を見せて欲しい。ただの石は磨いても、ダイヤにはならないんだから。

*そういやシチリアダービーが引き金でイタリアサッカーの周辺はまたもや恐ろしくカオスとなっているけれど、UCLはどうなるんだろ。嫌らしい話をすれば、放映権とかも絡んでくるだろうから除外はないと思うんだけど(3チームも残ってるし)、新会長だから張り切っちゃう可能性も否定出来ないかなー。

*恵方巻の哲也と勇蔵ワロス。でも、坂田はやっちゃだめ。シャツの売り上げが落ちるじゃない。

*次は何にしようかなー、マリのことはもうちょっと時間掛かるっす(あんまり書いてない)戦力分析を3回ぐらいにまとめて(あ、大きな地雷、出来んのかって話ですよ)やろうかと考えているけど……。でもサカつくやりたiうわ何をするやめろくぁせdrftgyふじこlp;

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Comments

レッズサポですが、伸二は他の選手と同じようにプレーすることを望まれて、才能を埋没されているとかではなく、単にトップフォームに程遠く、例えばトップ下なら伸二<山田<ポンテ、ボランチなら伸二<長谷部<啓太 というような順列になってしまっているだけだと思います。要は実力が戻っていない というか・・・(劣化したわけじゃないでしょうが)
ケガを直してくれれば彼が王様となるようなサッカーも見られると思います。
阿部も加入し、細貝など若手も育ってきています。今の状態では代表はおろかレッズのスタメンもムリでしょう。

Posted by: kei | February 05, 2007 at 01:24 PM

keiさん、はじめまして。

確かに怪我もありましたし、沢山の優秀な選手もいて、チームの基盤が既にしっかりと出来ていたチームなので、不完全な状態ではなかなか難しい部分もあったのかも知れませんね。もちろん、後はチームの方向性や他のタレントとのパワーバランスの兼ね合いもありますので、僕の視点は一方的なモノだと思います。

ただ、彼の才能が生きないのは寂しいなぁというのもスナオナキモチです。あれだけのセンスと技術の持ち主ですから、彼がイキイキとプレーして、ワクワクさせて欲しいなぁと。レッズは嫌いなんですけど(こんな事レッズサポさんの前で言うのはアレですが)

ではでは、又よろしくお願いしまーす(嫌いと言っちゃいましたが)

Posted by: いた | February 06, 2007 at 06:49 AM

いたさん丁寧に返信ありがとうございます。
ネチネチとされるより、嫌いとハッキリ言われた方がスッキリします!
レッズ好き嫌いに関係なく、いたさんの文章が好きなのでちょくちょくよまさせてもらっています。(昨シーズンは途中からレッズ優勝間違いない的な感じだったので嫌いとは思いませんでしたが笑・・・)
僕も伸二がデビューしたときからずっと見ていたので、今の彼には不満だらけです。あんなんで満足してるのか?と怒ってやりたい感じです。でもケガもありましたし彼はそんな男じゃないと思っていますので、もうしばらく(あと半年くらいは)待ってそこから判断したいと考えています。
正直伸二のポテンシャルをフルに発揮できるシステム・ポジションでやらせて欲しいなぁと密かに思っていますが、勝ち続けている今の状況を崩してもいいものか とも思ってしまいます。現に彼が出ると勝てない という時期もありましたいし。

Posted by: kei | February 06, 2007 at 02:14 PM

keiさん、レスが遅くなって申し訳ありません。

まー、あれですね。いじめられまくってますし、なんだかんだ言って最後のCSを争ったライバル(今となってはそんなこと言えないですが)ですからね。

ただ、フラットな視線で見た時、レッズのサッカーは質の高いモノだと思っていましたし、一番強い(勝てる)チームだと思って、間違いない的な言い方をしていました。ま、開幕前からレッズが優勝すると言ってたので首尾貫徹的な意識もありましたが、あの守備のクオリティ、考え方はJに新しい価値観をもたらすモノだと思っています。

>シンジ

なるほどー。確かにもどかしいイメージはあるでしょうね。デビュー当時の鮮烈な輝きであったり(楢崎の股抜きシュートなんかは僕も覚えています)、フェイエのデビュー直後やボランチの位置からどんどん飛び出してクオリティの高いプレーを見せていた頃に比べると物足りないですね。怪我さえ良くなれば……というのはありますが、古傷であったり無理した反動というのもありそうですから、なかなか難しいのかな。

とにかく、本音としてはアジアでは大暴れしてくれて良いから、マリとの試合では少しお手柔らかになってくれればと(笑)去年は考えてみたら4敗ですし……(大宮合わせたら埼玉に6敗なんです……)

ではでは、お褒めの言葉まで頂きありがとうございましたー。又、ご贔屓に。

Posted by: いた | February 09, 2007 at 05:56 AM

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Tracked on February 05, 2007 at 12:18 AM

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