« ハユマのおめでたいニュース。 | Main | はじめてのインカレ。 »

January 13, 2007

阿部勇樹の移籍に思うこと。

00018091b_2

阿部勇樹選手の契約について(ジェフオフィシャル)

千葉が阿部の移籍を了承 浦和へ(スポニチ)

阿部が浦和移籍へ(報知)


阿部勇樹のレッズ移籍が決まりそうだ。移籍金は4億円に迫るビッグディール。

現役代表のレギュラーであり、チームの顔とも言える選手の移籍には大きな衝撃が走ったが、これからのJリーグを考えると、大きな意味があるんじゃないかと思ったり。市場の活性が生み出すリーグの活性、クラブの健全経営としての選択肢、大きな金銭と期待に伴う責任……。と言うことで、阿部勇樹の移籍について、諸々と。

-----------------------

・循環する金、生まれる熱気 -リーグの活性化-

Jリーグに置いて、代表の核であったり、チームの顔といった選手の移籍は、そんなに多くない。現状に置いて移籍の決断させる要因となっているのは、降格であったり、選手のチームに置ける状況悪化というモノが多く、基本的にそのクラブに満足している選手がクラブを動くと言うことは少なくなっている。

そうなると、毎年毎年同じような陣容のチームを提供することが多くなり、スタジアムに訪れてくれる人に新しいモノをなかなか提供出来ず、マンネリ的な部分も強いることにもなってしまう。そういう意味では、移籍の少なさは、サッカーに置ける魅力の一つをスポイルさせてしまっているのかも知れない。

ただ、そうはいっても、現状のJリーグのクラブ経営というのはとても厳しい。最終的な収支としてマイナスとプラスの間を揺れ動くようなクラブが多く、大きな投資をしても、成績が出せなければその投資はそのままマイナスに反映されてしまうなど、多大なリスクを抱えている。それだけに、クラブとしても大きな投資に対しては消極的にならざるを得ない部分もあるのかも知れない。

そんな中で、国内最大級のビッグディールが成立しようとしている。動く金額は4億円近い。僕はこれがとても大きな意味を持つと思う。裕福なクラブが優秀な選手を欲することで大金を出し、優秀な選手を失った代わりに大金を得たクラブはその穴を埋めるため、そして必要なポジションの選手を獲るために投資をする、その補強のために獲られるクラブに今度はお金が回り……、と言った形で一つの移籍がお金と選手を循環させる。クラブの金庫には余裕がないけれど、市場を活性化させるという意味では意味のあることなのかなと。

そうはいっても、獲られる側はそれどころではないはず。特に今回は飛び級でトップチームに上がり、成長してキャプテンまで務めるようになった選手、長く苦楽を共にし、大きな愛情の分だけ、その悲しみはとても大きなモノのはず。

そして、その悲しみは憎しみに変わる。獲られたクラブは獲ったクラブに勝って、その選手に移籍したことを後悔させてやろうと高いモチベーションと熱気を込める。獲ったクラブはその選手がこのクラブに来たことを後悔させないようにその熱に負けない熱気を送る。マスコミもそれを取り上げる。これが又リーグを活性化する一つのスパイスになるのかなぁと。

お金よりも、選手という気持ちがサポやファンにはあると思う。それは僕も一緒、(マリの場合はフロント氏ねって感じなんだけど)大ちゃんやドゥトラがクラブを去ることはとても寂しく悲しいし、現在噂に上っている久保や佑二や那須には何とかして残って欲しいと思ってる。ただ、感情は別に「Jリーグ」のことを考えれば、やっぱりもっと盛り上がって欲しいし、より魅力のあるモノになって欲しい。そういう意味で、お金の循環、遺恨の誕生、熱気の発生を生む移籍劇はとても大きな意味のあるモノと言えるのではないだろうか。

・"プロビンチア"スタイルのススメ -健全経営のための選択肢-

サッカー好きなら「プロビンチア」という言葉を知らない人は少ないだろう。イタリア語で、田舎、地方という意味を持つ言葉は、サッカー的に経営規模の小さいクラブのことを指す言葉だ。中田英寿が所属したペルージャや名波浩が所属したベネチア、中村俊輔が所属したレッジーナも、現在小笠原満男が所属するメッシーナも、森本貴幸が所属するカターニャも、例を漏れずセリエの中では「プロビンチア」という部類に入ってくる。こういうクラブは経営基盤が脆弱で、クラブの存続のためには青田買い、又はユースから育ててきた素材を優秀な選手に仕立て上げ、ビッグクラブに売ることで経営の糧としている。そしてそんなやり方を、「ビッグクラブとプロビンチア」といった歴史が分かつ立場として熱狂的なティフォシやファンにも(ある程度)受け入れられている部分がある。

そして、日本でも10数年の歴史が積み上がる中で、クラブをビッグクラブとプロビンチアに分けようとしている時期かも知れない。絶大なる人気と実力を併せ持ったことでビッグクラブへの階段を一歩ずつ登り始めるクラブもあれば、土地柄なかなか観客動員が伸びないクラブであったり、同じ土地に籍を置く存在の大きいクラブの陰に隠れてしまうクラブには、プロビンチアとして経営していくことを強いられるという現実がある。

僕は、今回の移籍をそういうモノとしてみている。ジェフという「プロビンチア」から、レッズという「ビッグクラブ」への移籍。その中で、僕はジェフに次の「阿部勇樹」を育てることを期待したい。まあ、阿部勇樹はジェフの歴史上最も優れた才能の一つであるだろうし、希有な存在だったと言うこともあって、なかなか彼と同じぐらい素晴らしい選手がいきなりでてくるかというと難しいかも知れないけど、又若く才能のある選手を研磨し、優秀な選手に育てて欲しい。そして、こういう循環がクラブにアイデンティティを作っていくんじゃないかなと。

日本はこれからも世代、又は地域によってバラツキはあるにしても才能を生み出していくと思う。そしてその基盤は「育てて売る」という経営方法を確立出来るモノだと思う。「売る」と言うことに関しては拒否反応があるかも知れないけど、「売る」という過程がトップチームのポジションを空け、それが若い選手にとっての研磨される場所となる。村井がジュビロに移籍した後、研鑽の場を得た山岸が頭角を現し、更には水野が伸びてきた事を考えれば、ジェフのサポやファンには実感もあるはず。こういう循環が起きることでクラブの経営の安定はもちろん(安定とは言えないか、不確定なものでもあるから)、日本のサッカーのレベル向上に繋がるのではないのかなと。

*これはジェフに限ったことではない。経営的には少々厳しそうだけど、優秀な下部組織を持つサンフレッチェとかもそうだし(例えば頭角を現してきた青山をぽーんと売ったら高柳や高萩がチャンスを得る。寿人を売れば前俊にチャンスが来る、みたいにね)、J2のクラブなんかもそういう部分を強く意識した経営をしているクラブはあると思う(愛媛FCとか、一時期のモンテディオとかね)選手も又クラブが持ち得る資産、愛着のある選手をモノのように扱うことはサポやファンにとって耐え難いことなのは分かるけど、ね。

*アルゼンチンとかブラジルのクラブは、特にそういう傾向が強い気がする。今回ボカのガゴ、そしてリーベルのゴンサロ・イグアインがレアル・マドリーに渡ったのはもう知っているだろうけど、本来なら絶対に売りに出したくないような特別な選手。でも、ボカにしても、リーベルにしても、次の才能を生み出す自信があるからこそ、簡単に売りに出してしまう(当たり前だけど安売りした訳じゃない。綿密な交渉の末、結構な対価を得ているよ)まあ、ボカやリーベルはアルゼンチンではビッグクラブだから、プロビンチアじゃないけれど、欧州のクラブ基盤と比べるとどうしても弱い部分があるから、プロビンチア的資質を持っているのかも知れない。

・伴う責任、生まれる自覚 -選手に掛かる重圧-

Jでは特別な算出方法があるので、一概に言えない部分があるが、移籍金というのは選手の価値を示していると思う。優秀な選手にはより高い値札が付けられる。そして、獲得するクラブはそれに見合う金額を払い選手を獲得する、それだけの期待を掛けて。僕はその課程の中でその移籍額というのは選手達の責任にはね返るモノなのではないかと常に思っている。

前述の通り、多額の移籍金というのはクラブの経営に負担を掛ける。それだけのリスクを被ってでも期待する価値があるという確信の元、多額の出費を被る訳だ。そういう意味で、選手達には大きな期待に伴う対価をパフォーマンスで示す責任というのも出てくるのではないかと思う。

そして、それはクラブを応援してくれるサポやファンに対しても同じ事。彼らの愛するクラブを一時的にでも自分の獲得で危機に立たせてしまうというリスクを被らせてしまう。そういう意味では、そのリスクを獲って良かったと思わせるぐらいの活躍を見せる責任というのが伴ってくる。

その中で、期待したいのが移籍する選手の自覚。クラブが必要としてくれたから、自分のキャリアアップになるから、それだけじゃない。クラブとして経営維持のリスクを冒してまで自分を獲得したという事実、サポへの禊ぎ、そういう要素を背負って欲しい。そういうモノを背負った時、大きなプレッシャーも掛かるだろうけど、そのプレッシャーは選手により高い意識でプレーさせることに繋がるはず。

そして、その中でも活躍した時、より選手は成長するのではないか。周囲からのプレッシャーにも負けない心理的成長、高い意識でプレーする事で質が高まる選手としての成長、こんな風になってくれれば日本のサッカーは更に充実するんじゃないかという期待がある。よく「より選手を厳しい目で見なければならない」という言葉が名物解説者の口から出てくることがあるが、こういう要素はそういう「厳しい視点」を生む要素となりえるのではないかと思っている。今回の場合、国内最大のビッグディール。彼にはより厳しい目で見られることを期待したい。

*あくまでもこれは僕の視点。マリの選手達に対してもそういう目で見ている節がある。まあ、佑二や久保は充分期待に応えてくれたと思っているから「移籍金の分、働けー!」とは思わないけど、功治や吉田に対してはまだそういう目で見ている節があるかも知れない。まあ功治は今期いてくれて良かったと思わせてくれたし、もうぞっこんなので、もうイイかなと思ってるけど、吉田に関しては1億とも言われる移籍金の分の価値をもたらしてくれたとは思っていない。吉田に限らず、"助っ人"として厳しい視線が注がれているけれど、それは当然のことでパフォーマンスではね返して欲しいと思う。

・周囲の光りに負けない光彩を -阿部勇樹に期待したいこと-

これが最後のファクター、フットボール的に阿部勇樹に期待したいこと。

僕は彼に対して過剰なまでの評価をしているかも知れない。質の高い戦術眼、粘り強い対人能力、ボランチ・ストッパー・リベロと高いレベルでこなせるポリバレント性、高いキック精度、2年連続2桁獲れる得点力、鍛え上げられた走力、フォア・ザ・チームの精神……モダンフットボールに置ける理想的な選手であり、この金額の分の価値を十二分に持つ選手だと思う。

ただ、心配な部分もある。彼は周囲を意識しすぎる。数年前の初代表の時、彼は全く自分の能力を発揮しないまま終わってしまい、その環境で自分を出せるようになるまでも酷く時間が掛かった。持っているモノは非常に大きいのに、周囲との兼ね合いの中で自分を殺してしまう。もちろん今では、より経験を積み上げ、選手として成熟しているから、単純な比較は出来ない。けれど、彼にとって初めての違う環境でのフットボールライフ、同じ過ちを繰り返す可能性も又、ある。

レッズは湯浅さんの言葉を借りれば「優れた個人事業主の沢山いるチーム」。守備に置いてはがっちりとグループでブロックを組んで守るけれど、攻撃に置いては個々がその存在をアピールするように技巧を駆使し、その力を脅威に繋げていく事で相手を崩すことに特徴がある(一概には言えない部分もあるけれど)その力となるためには、より強く自らを出していく事が必要になるのかなと。個人的にも、阿部勇樹が「死なずに」自分をアピールするようなプレーが見たい。周囲を活かし、支えるだけではない「阿部勇樹」の才能を発揮するシーンが。

もう、阿部勇樹がどれだけ出来る選手なのか、埼玉スタジアムの住民は知っている。昨シーズンの埼玉スタジアムでのレッズ戦、数的不利、2点のビハインドの中で鬼神の如きハードワークをこなして強い印象を残していたのは記憶にも新しい。周囲のバランスだけに囚われずに、自分を抑えずにプレーすればもっと凄いプレーが出来るし、それこそアジアレベルを簡単に越えていけるだけのモノを持っていると思う。だからこそ、個人事業主の中で負けずに強く光彩を放って欲しい、強く大きな期待とプレッシャーにも負けずにね。

*個人的に阿部っちの20~30mぐらいの地を這うような速く鋭いパスが好き(←単にパス好きな部分もあるけど)パス単体も非常に美しくて素晴らしいのだけど、こういう素晴らしいパスが、攻撃構築の中で大きな価値を持つわけで(相手に対応する時間を作らせず、味方に大きなスペースを与える意味のあるパス)、もっと見たいなぁと。阿部っちの楔がワシントンに収まって、シンプルにポンテやシンジに落とされる。スペースを得た彼らが美しい技巧を発揮する。ぞくぞくする(恐怖で)マリの試合ではやっちゃだめよ、アジアでやってね

-----------------------

ま、色々書いてきましたが、阿部勇樹の移籍は、一人の選手の単なる移籍だけで終わって欲しくないと言うことです。沢山の人に大きな印象を与えたと思うし、彼が赤いシャツを纏ってプレーする姿には大きな注目が集まるはず。もちろん、彼にポジションは補償されていないはず、ボランチには長谷部や鈴木啓太、シンジがいるし、ストッパーは坪井、堀之内、ネネ(残るの?)、内舘、萌(ボランチもいけるし)、リベロには闘莉王(残るの?)、どこも簡単にはポジションとは行かないはずもちろんACLもあるから、レギュラー云々だけではないけど、どのようなチームになっていくのかは非常に興味がある。ACLでは本当に頑張って欲しいしね。と言うことでここまで。

-----------------------

*しかし、レッズのことはもちろん、ジェフも気になるよね。阿部っちが抜けた穴は埋められると書いたモノの、空いた穴は果てしなくでかいよね。彼の存在に少なからず頼っていた部分もあるし。下村でカバーするつもりだろうけど、阿部っちほど柔軟性があるとは思えないし(当たり前か)、新居とか黒部とかをどう巻と合わせていくのかも気になる。てゆうか、どういう外人連れてくるのかも気になるなー。なに?巻ごねてるの?5回も交渉して契約出来ないってこちらさんもカオスですなぁ(←仲間が出来て嬉しい)

*なんか、鞠スレで鮪復帰かもと言う噂が立ってるんだけど。戻ってくるなら大歓迎!でも、何となく現実性に欠ける気が……。昨日早野氏(まだ監督と書きたくない)が「ほぼ戦力は固まっている」とか言ってたけど、外人はさすがに獲るよな?探してるよな?てゆうか2chは閉鎖すんの?時代動きすぎ。ついていけてない。

*筆の重いことに関しては少しずつ書いてますが、なかなか進みません。マリのことは新体制発表までに、代表のことはオシムジャパンの今年初戦までに(気が長すぎ)

|

« ハユマのおめでたいニュース。 | Main | はじめてのインカレ。 »

Comments

There are four type of birds inside your yard: The ones that summer along, those that spend the wintertime along with you (since you are warmer), the temporary ones (like migrating thru), then your permanent ones you have year around. Anna's Hummingbird is often a particular species located in the western portion of the United States that does not migrate at all. That is the reason ladies are mainly attracted to choosing this kind of design because with the birds' fascinating characteristics.

Posted by: Hummingbird Attracting Flowers | September 10, 2015 at 02:32 PM

Thanks for the marvelous posting! I really enjoyed reading it, you may be a great author. I will always bookmark your blog and may come back down the road. I want to encourage one to continue your great work, have a nice afternoon!

Posted by: google authorship for business | September 15, 2015 at 12:29 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77106/13478052

Listed below are links to weblogs that reference 阿部勇樹の移籍に思うこと。:

« ハユマのおめでたいニュース。 | Main | はじめてのインカレ。 »