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January 23, 2007

Lost Season -PlayBack F.Marinos 2006-

開幕前から、こんなに不安に駆られるシーズンも珍しい。そういうことを色々と考えて提言でもしようと思っているわけですが、まず先にこのチームの2006年シーズンのおさらいしておきましょう。僕自身の記憶の整理というのも兼ねてます。ということで、「Play Back F.Marinos」ってことで(昔に何度かやったけど、断念したなぁ)

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・消化出来なかった手応え -前半戦-

開幕1週前の横浜FCとのプレシーズンマッチ、左サイドでマルケス・マグロン・ドゥトラを中心に攻撃構築し、その中で新加入のマルケスのアイデア豊富なダイレクトプレーがアクセントとなって、流れるような攻撃を見せていた。試合は力の差もあって、4-1の快勝。岡田監督が不退転の決意で示した「自立と判断の上に基づく主体的なフットボールの構築」というコンセプトを携えたFマリノスのシーズンは抜群の手応えと共に始まった。

サンガに4-1、アントラーズに3-0、セレッソに3-1、トリニータに2-1と、4連勝。特にアントラーズ戦での圧倒的な左サイドでの実効性と全体の連動したプレッシングは間違いなく高いポテンシャルを示し、強豪鹿島に対して力の差を見せつけるような大差で叩きのめした。プレシーズンで掴んだ手応えが嘘ではないと「この時点では」信じて疑わなかった。

しかし、その自信は赤い大波に飲み込まれる。互いに好スタートを切ったレッズとの上位決戦。ここで、チームとしての熟成度の差を見せつけられてしまう。互いに持ち味を出しながらも隙は見せないという硬い流れの中、セットプレーで生まれた先制点。後から考えれば、このゴールがこのシーズンの分水嶺となったのかも知れない。このゴールでアドバンテージを得たレッズは、質の高い守備ブロックでここまでは抜群の実効性を示していたブラジリアン・トライアングルを軸にしたFマリノスアタックを封鎖し、チームが擁する最高級のタレントの技術が活きるカウンターで点差を広げる。ワシントンがFマリノス自慢の2枚看板である松田直樹、中澤佑二を突き破り差を広げ、長谷部誠が終了間際に豪快なシュートで引導を渡す。このゲームは、Fマリノスに大きなダメージを与え、このダメージは後を引くことになる。

連勝時にも不安がなかったわけではなかった。「偏重」とも言える左サイド重視のアタック、狙いを持っているはずの右サイドの機能不全、そしてリベロに抜擢されていた勇蔵の経験不足……、その部分が日の目を見たに過ぎない。たかが一戦、敗戦で突きつけられた課題を一つずつ解決し、糧と出来ればよかったのだが、この敗戦がチームに与えた影響は余りに大きかった。自信を失ったチームは、変わってしまった流れにあながう事は出来ず、チームは一気に崩壊へと進んでいく。第6節のFC東京戦、完全にゲームを支配し、沢山の決定機を作り出し、終盤まで1点ながらリードしておきながら増嶋のボレーで勝ち試合を勝ち点1にすり替えられると、次のアルディージャ戦では小林大悟のスーパーミドルに沈んで2敗目。そして、このゲームでチームの攻撃のキーを握っていたマルケス、ドゥトラが怪我で戦線を離脱。チームは拠り所をなくし、開幕時に掴んでいた手応えは、自信と共に無に帰していた。

その後は、砂を噛むような厳しい試合が続く。主力が欠けた中でのディフェンディング・チャンピオンのガンバとのゲーム、プライドを触発されたか激しい撃ち合いを展開するも、自慢なはずのDF陣はミスも重なりガンバのアタッカー陣に蹂躙され、敗戦。昇格組で格下と目されたヴァンフォーレとの小瀬のゲームでは劇的なバレーのロスタイム弾に沈んで、小瀬に集まった当時史上最大数の観客に歓喜をプレゼント、3連敗。絶不調のサンフレッチェにも佐藤寿人の乾坤一擲のカウンターで先制を許し、マイクの力業で何とか連敗ストップするモノの、内容的には何も残さないようなゲームで好転のきっかけにはならない。グランパス戦はパスが前に進まないというプロとして観客に見せてはいけないような最悪のゲームでドロー、そして中断前のラストゲーム相性の良いジェフに対してこれまたマイクの力業で何とかドローに持ち込んだが、開幕から2ヶ月、チームは全く違うモノに変質してしまっていた。

・全ては「失われた」 -中盤戦-

2ヶ月の中断期間中、ナビスコカップでは、何とか準決勝へのチケットを手にしたが、肝心の手直しは進まない。日産スタジアムでのレッズ戦やジュビロ戦では好転の欠片のようなモノを感じられたが、それがチームとしての上積み、修正には繋がらず、結局中断前の悪い状況を脱するには至らなかった。一縷の希望は、長期離脱を強いられていたマルケスの復帰だったが、その希望も脆くも崩れ去る。

再開後初戦のエスパルス戦、怪我人が戻り、ブラジリアン・トライアングルも揃い踏みとなったが、エスパルスの4-4ゾーンの前に、開幕時のような連動性のあるプレーも美しいコンビネーションも全く見られず、沈黙。そして又、ロスタイム弾での敗戦というショックの残る負け方で、いきなり出鼻をくじかれる。下位で苦しむアビスパとのゲームでは、チームに秩序を感じない弛緩したゲームを展開して、何も残さないドロー。そして、そんなチームは罰を与えられるようにジュビロ戦で絶望を味わう。久々に良いゲームを展開しながらゴールの神様に微笑んでもらえず、後半開始直後に一気の2失点で沈没。「負の流れ」に完全にチームを支配されていた事を感じさせられる一戦だった。

サンフレッチェ戦から、5試合勝ち星から離れ、首位との勝ち点差を考えるどころか、迫るのは降格圏。チームを覆う負の流れ、まことしやかに岡ちゃんの辞任の噂、そんな中でチームが蘇生する。ホームでのアルビレックス戦、ジュビロ戦で長期離脱から復帰した山瀬功治、シーズン序盤から怪我に悩まされてプレー出来ていなかった坂田大輔がアグレッシブなプレーを披露し、それに引っ張られるようにチームとしてプレッシングやサイドアタックが機能、負の流れを感じさせる決定力不足もドゥトラのミドルシュートで突き破り、山瀬の復活ゴールで勝利を決定づける。久々に溜飲の下がる勝利に上昇の雰囲気を確かに感じれるゲームとなった。

しかし、ここでもその手応えを消化出来ない。同じ神奈川に籍を置くフロンターレに完全に力負けと言える内容でドロー。再び負の流れに足を取られると、セレッソ戦では思い出したくないような酷いゲームで底をのたまうチームに完敗。そして、8月の終わりのアルディージャ戦、チームは全てを失った。相変わらず術さえ見えない稚拙な攻撃、集中力を欠く守備と良いところを見いだせない中での厳しいゲーム。小林慶行の素晴らしいミドルシュートのビハインドをはね返すことが出来ないまま迎えた終盤、意地とも言える同点弾を見せてチームのプライドを見せる。しかし、その直後に喰らった吉原宏太のゴールに沈み、この敗戦直後に岡田監督が辞任することに。この敗戦で、2連覇を達成した指揮官、抜群の勝負強さと集中力、そしてチームとしての自信、全てが失われた。

・苦悩の中での小さな芽 -後半戦-

岡田監督の跡を受けたのは、今シーズンヘッドコーチの責を担っていた水沼貴史だった。シャワールームで告げられた事実にショックを受けながらも、愛するチームのために再生を試みる。まずは淀んだチームの雰囲気を明るくして、サッカーを楽しむという事を思い出させるに尽力しながら、起用法にも少しの変化が。久保・奥というよき時代を支えたエースと司令塔の名コンビをピッチに送り出し、そこに完全復活への道程を辿っていた山瀬功治がリンクする。就任一週間で迎えた京都戦。その3人が絡む形で久保のゴールが生まれると、キレのある動きで山瀬が2ゴール、職人芸とも言えるPKこそ外してしまったモノの幸運な形だったが、奥が今シーズン初ゴールと結果を残し、4-1の爆勝。監督交代の刺激がチームを刺激したことは間違いなかった。

その後も、退場者を出しながら幸運なオウンゴールを皮切りに3点を重ねて、小瀬での屈辱を味合わされたヴァンフォーレを叩く。その上昇気流と共に田中隼磨、山瀬功治、坂田大輔、栗原勇蔵がオシムジャパンに招集されて初キャップを記録するなど、チームの雰囲気は少しずつ変わっていった。

ここ2年で2敗1分けと勝てていない神奈川ダービー第4戦も現在の状況を表すようにフロンターレに又も力負けで今度は敗戦を喫したモノの、アビスパ戦では久保のループ(後に退場)、坂田の芸術的かつ爆発的なニアサイド抜き、山瀬のダイナミックボレーの3発で数的不利も屈せず勝利、グランパス戦ではナビスコを挟んでコンディション的に厳しい中、幸運の極みとも言える隼磨の長距離ループがゴールに吸い込まれて再びの連勝。マグロンの離脱、ナビスコ準決勝でのアウェーゴールルールによる敗戦、本質的な課題の解消など、この間にもネガティブなポイントも残っていたが、チームを包んでいた負の流れは少し和らいでいた。

しかし、お決まりのようにこの良い流れを本当の勢いには出来ない。ジュビロ戦で今シーズン何度も見たロスタイムでの前田弾に沈み、ガンバ戦では山瀬功治の魔法のようなルーレットミドルも天敵マグノの意地の終了間際弾で金星を逃す。リベンジの意思のあった鹿島戦では、相手が迷走中だったこともあってリベンジを果たしたモノの、ペトロビッチ体制で生まれ変わった新生サンフレにぐうの音すら出ない程の完敗。天皇杯初戦もどっちがJ1だか分からないようなゲームで愛媛FCに大苦戦をし、レッズ、エスパには普通に力負けでリーグ3連敗。ポジティブな流れをモノにしきれず、そのイイ流れの時にチームとして抱えていた課題を解決出来なかったツケを払わされる形になった。

そんな水沼体制だったが、何も残せなかったわけではなかった。後ろに体重の掛かりやすいチームをアグレッシブにプレーさせるというコンセプトを持ちながら、燻っている坂田、大島、那須に出場機会を与え、そして若い狩野や田中裕介を抜擢するなど、水沼色を少しずつ出しながら、チームに新しい波を起こそうとする。そして、FC東京戦では、その那須がらしいヘッドで今シーズンひたすらやられ続けたロスタイム決勝点を叩き出して、4連敗を阻止。トリニータ戦では、将軍様ご乱心、エースケの残酷な最後があったモノの、裕介がリーグ戦初出場を果たし、ジェフ戦ではそんな若い選手達がタフに戦って、弱り気味のジェフをフクアリで撃破するという事をやってのけた。

天皇杯ではガンバに力の差を見せつけられる形で敗戦。これで苦しい2006年が終わったが、狩野や裕介が経験を積み、坂田が連続ゴールで復調傾向になるなど、2007年に向けて小さな芽を残して水沼監督は監督の席を譲ることになった。

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・「失われた」シーズン -総括-

こうして改めて振り返ってみると、苦くて、厳しくて、我慢ばかり、そんなシーズンだった。ただ、自業自得的な要素も非常に強く感じた。チームの本当の力にする、イイ流れを本当の勢いのする、課題の修正によりより完成度上げていく、そんなチャンスは各所にあった。でも、このチームの悪癖とも言える過信であったり、フットボールを積み上げることの出来ない姿勢が、こういったチャンスを無為にし、これだけ苦しんだシーズンなのにチームとしては何も掴めなかったシーズンにしてしまったのかなと。

例えば、岡ちゃんがコンセプトとして掲げた「自主自立性」であったり、「判断力」が育ったかと言えば、答えは残念ながら「NO」を言わざるを得ないし、あれだけの実効力を誇ったブラジリアン・トライアングルを活かした魅力的な攻撃も、シーズンで時折見せた非常に連動した収縮プレッシングもチームの血肉として、地力にはならなかった。「たられば」はスポーツに置いて禁物だけど、もしこういうモノがチームの血肉となっていれば、「失われた」シーズンにはならなかったのではないかと思う。

何も掴めなかったどころか、チームを2連覇に導いてくれた「知将」も、星を二つ増やした優秀で愛すべき選手も、チームの源流にあった「勝負強さ」「ウイニングメンタリティ」も失ってしまった。それだけ、2006年の失敗はチームに大きな傷を残すモノだった。でも、その傷は元には戻らなくても、糧には出来るはず。2007年こそ、真摯にフットボールと向き合い、「チームとして、出てきた課題やきっかけに目を凝らし、修正や研鑽を重ねることで力を高めていかなきゃいけない。」一足飛びにチームは強くならないからこそ、結果だけではなく、過程をより大事に、ね。

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ざっとまとめてみたけど、頭の中にプレイバックしてくるのはやっぱり苦い思いの方が強く残ってる。忘れたいのに、忘れられない。それだけ悔しかったんだなぁ……。でも、それも又フットボールとして、受け入れることにしますかね。来期はもっと大変そうだし。と言うことで、振り返りはおしまい。次回から、2007年シーズンのことを考えていきたいと思います。

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*総括、当たり前の事書いてるなー、面白くねぇ(自分で言うな)ま、当たり前のこと、すべき事をやっていなかったというのは本当にひしひしと感じてたよ。それは、僕だけじゃなく、他の人も感じていたはず。これまでは「精神論」や「概念的な要素」が強調されすぎていたことはその象徴なのかも。結果より内容とか、戦術的なサッカーじゃなきゃだめという2元論ではなくて、マリはもっとフットボールと向き合う作業が必要だと思う。って、本編で書けという話ですな。

*少しずつやっていきますので、ごつきあいくださいな。

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Comments

いつも楽しく読ませていただいています。

こうして振り返ると、やはり昨年は辛い記憶ばかりが残っていますね。ベテランが去り、監督が変わり、有望な新人を加えた新体制での練習が始まると、つい過去2年間の「苦い思い」を忘れがちになってしまいます。でも、チームというものは継続しているものなので、技術・精神の両面において、昨年、一昨年の反省とそれに対する改善に真摯に取り組み、その成果を新シーズンのピッチでサポーターに見せてほしいと思います。

Posted by: mone | January 23, 2007 at 11:11 AM

moneさん、はじめまして。いつも読んで頂いているようで、ありがたいです。

ネガティブなことを引きずっていても生産的ではないし、心機一転で奮起を、と言う狙いもあるでしょうから一概には言えませんが(サッカー的に言えば「切り替える」という要素はオン・ザ・ピッチでも、オフ・ザ・ピッチでも共に大事なことでしょうし)、成功にも失敗にも沢山のヒントが詰まっていると個人的には思っています。

そういう意味では、仰られる通り出ていった選手はいますがメンバーの大半が残るわけですし、Fマリノスというチームは継続しているわけですから、苦い記憶も又、無駄にするべきではないのかなと思っています。

最後の言葉は染みました。そんな姿をピッチで見れたら、ぐっと来そうです。何とか、今シーズンピッチの上で見せてくれることを願って止みません。

ではでは、又よろしくお願いします。

Posted by: いた | January 23, 2007 at 07:39 PM

レスありがとうございます。

松田を筆頭に(笑)過去の失敗から学ぶべき選手もいますが、こと新人クンたちには「負の記憶」に引きずられることなく、切り替えの起爆剤となり、新しいFマリノスのサッカーを作り上げる力になってほしいですね。

では、これからも楽しみにしています!

Posted by: mone | January 24, 2007 at 10:52 AM

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