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January 02, 2007

満たされない連覇@Emperor's Cup Final レッズ vs ガンバ

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

と、定型通りの挨拶を終えたところで、新年の風物詩、天皇杯決勝の雑感を。結論から書けば、レッズがガンバより強い、と言うことなんだと思う。美しく勝とうとすることと何が何でも勝とうとすること、方法論として勝利へのアプローチの違いが差となって表れたのではないかと思う次第。
簡単にね、飲んじゃってるし。

The Emperor's Cup Final

レッズ 1-0 ガンバ @ 国立競技場「満たされない連覇」
Reds:87'永井雄一郎

レッズスタメン:GK都築龍太、DF細貝萌、内舘秀樹、ネネ、MF鈴木啓太(→堀之内聖)、山田暢久、平川忠亮(→長谷部誠)、相馬崇人、小野伸二(→岡野雅行)、ロブソン・ポンテ、FW永井雄一郎

ガンバスタメン:GK松代直樹、DF実好礼忠、宮本恒靖、山口智、MF明神智和、遠藤保仁、加地亮、家長昭博、二川孝広、FWマグノ・アウベス、播戸竜二

リーグタイトルを賭けてぶつかりあった決戦から一ヶ月、両雄は天皇杯を賭けて再び相まみえることに。新年は初日の出が見えるくらいいい天気で、国立には寒空の中46000の観客が詰めかけた。

タイトルを賭けたゲームだが、メンバー的にレッズの方が少々旗色が悪い。リーグMVPの闘莉王、得点王のワシントン、早々に移籍先に飛んだアレックスなどが欠場しているのに加え、坪井、堀之内も戻れず、攻守に置いて重要な責を担っていた選手達を根こそぎ失う形に。それに対しガンバの方はほぼベストメンバー。変更点としては信頼を失ったのか、コンディションの問題なのか、シジクレイがベンチを温め、実好がスタメンに入っているぐらいか。精神的な要素に目を向けると、ガンバの方はレッドブル・ザルツブルクに完全移籍が決まった宮本恒靖のガンバラストゲーム、レッズの方は今シーズン限りでの勇退が決まっているギド・ブッフバルト監督のラストゲームと言うことで、モチベーションに関しては両チームとも高いはず。ただ、リーグ戦のリベンジに燃えると言う要素を加えると、モチベーションに置いてはガンバに軍配が上がるか。

試合展開

ゲームはほぼ一方的なゲームに見えた。立ち上がりこそ、同等の入り方をしたように見えたが、時間と共に現状の力の差は如実に表れる。ガンバのポゼッションを制限しきれず、ずるずるとラインを下げ、受動的に凌ぐしかないレッズのディフェンス。容易にゴールに迫り、残りはアタッキングエリアでの最後の抵抗を外すのみのガンバ。そんな展開でゲームが進む。

でも、最後の一線を越えられない、越えさせない。崩しきるシーンもないわけではなかったが、播戸がゴール前で反応したシーンも、右よりゴールエリア付近でマグノがインスイングのシュートを狙ったシーンもネットを揺するに至らない。都築の好反応、人数を掛けたボックス内でのディフェンス、堅守の矜持がレッズには残っていた。相変わらずなかなか効率的な攻撃さえ見いだせないレッズに対して、ガンバはほとんどゲームを握っていたにも関わらず、前半スコアレスで終えてしまった。

後半に入ると更にその状況は顕著に。レッズの中盤は最終ラインに吸収される時間が増え、組織としての体を成さなくなると、攻め手を失い、ガンバの波状攻撃を浴びることに。しかも、天皇杯好調でここまでチームを導いてきたシンジがツネとの接触で怪我。レッズとしては四面楚歌の状況に。しかし、ガンバもガンバでその組織として体を成さないディフェンスを破りきれない。スマートなパスコンビネーションが持ち味のガンバにとって、ボックス内に人数を掛けられ、スペースを完全に潰されてはなかなか持ち味が出せないというのもあるか。

流れとしては前半同様にガンバのペース。しかし、微妙に流れが揺れ動く。そろそろ決壊に近いかなと思ったところで、平川→長谷部という交代策で今シーズンのベストなボランチコンビになって、1ラインの状態を改善、ボール奪取の形が少し良くなる。それでもガンバは再び押し、何度も続くセットプレーでレッズゴールに迫る。すると怪我で動きが落ちてしまったシンジに代えて岡野を投入。前線に槍を置き、わかりやすくゲームプランを整えたことで、今まで出れなかったカウンターに出れるようになる。

ガンバ攻勢という大きな流れ、ギド采配で揺れ動く小さな流れ、そんな二つの流れが交差する展開で小さな流れがレッズに傾き掛けていた最終盤、ついにゲームが動く。ピッチ中央付近での長谷部のスティールからレッズのカウンターが発動。レッズの高速2トップは2方向に分かれて縦を狙い、その動きを活かす形で長谷部は前に向き直って素晴らしいループのスペースパスを岡野の前に供給。展開は2vs3、岡野は浮き球をそのまま前に運び、対応するは山口と宮本。二人は併走するような形で岡野を追う、状況的にサポートはなく1vs2。そんな劣勢の状況で、岡野の選択はその流れのまま早いタイミングでの二人の間を抜くような中への折り返し。これが虚を突いたのかツネに当たりながら中に通り、このボールに一寸先に速く反応した永井が実好の前に入って右足で合わせる(実好よりもプレーをイメージしていたかな。身体の向きや事前準備など明らかに永井の方が良かった)シュート自体はそんなに強いモノではなかったが、松代は痛恨の逆モーション。永井の勢いのないグラウンダーのシュートを防ぎきれず、そのままシュートはニアサイドに収まった。残り4分の所での先制点は決勝点を意味していた。

ガンバは最後の猛アタックを掛け、ラストプレーではゴール正面20m付近での遠藤が直接狙うなど、最後までレッズゴールを脅かしたが、結局レッズのゴールは揺れず。レッズは昨シーズンに引き続き天皇杯制覇、今シーズン二冠という快挙となるばかりか、J史上初の天皇杯連覇となった。

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ツネのコメントの通り、ガンバにとっては「最後の1ピースだけが足りないパズル」の様なゲームで、レッズにとっては「パズルを組み立てる状況にさえない中で最後に完成品が降ってきた」ようなゲームだったかなぁと。完全にガンバにとって勝ちゲームだと思うし、勝つべき状況の整ったゲームだったと思う。「サッカーって得てしてこういうモノ」と言ったらそれまでだけど、何故ガンバがレッズに勝てなかったのかというのを考えるとすれば、チームとしての考え方にあるのかなと思ったり。

ガンバは、チームのコンセプトに「美学」という要素を感じ、その「美学」の追究という部分にベクトルを向けてチームを作り上げてきた部分がある。だからこそ、そのクオリティには自信があるだろうし、こだわりも強い。でも、本当に勝つべき試合でも、そのこだわりを捨てきれずに、こだわりと共に沈んでしまう部分を感じたりする。

対してレッズの方は、どんなに不格好でも勝つ事にプライオリティを置いてプレーしていくというベクトルを感じる。このゲームなんか特にそうなんだけど、相手を封じ込めるようなブロックも形成出来ない、局面による争いをタレントの力をもってしても上回れない。やりたいことをほとんど表現出来ない中で、彼らは非常にリアリスティックになってゲームを進めていった。その姿は、その結果にこだわりを見せる。

どちらがいい悪いではないのだけど、サッカーって言うのは得てして、後者の方に勝利が導き出されることは多いと思う。「求めよ、さらば与えられん」と言う言葉の通り、All or Nothingのような決勝戦では求めるモノにタイトルが導かれる事が特に多い。そういう意味で、大一番となるようなレッズとガンバのゲームで結果としてレッズに凱歌が上がることは現時点では必然なのかも知れない。
個人的に西野監督、そしてガンバの選手達が来シーズン、どういう事を考えてサッカーを組み上げていくのかというのは非常に興味深い所があるのかも。実際、対極とも言えるレッズにタイトルの掛かるゲームで今年一度も勝てなかった(ゼロックス、リーグ、天皇杯)その結果を受けてもなお、バルサよろしく自分たちのサッカーの昇華を目指すのか、全てに収束されるべきものはプロセスではないと方向転換を考えていくのか、その辺は気になるかなと。バレーを獲ると言うことがどんなことを示すのか、はてさて。

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で、レッズに関して一つコラムを。

・満たされないキモチに見えた、更なる高み

ゲームに置けるモチベーションというのは、パフォーマンスに大きな影響を及ぼす。世界的にアップセットがなくならない事を見ても、その効果は歴然。そしてこのゲームに関しては「今シーズンの屈辱のお返し」に燃えるガンバが高いモチベーションを見いだすかなと思っていたのだけど、これはとんでもない見込み違いだった。

このゲームにおいて、レッズのメンバーを見渡すと、シーズンで絶対的なレギュラーとして出ていた選手は平川とポンテ、山田ぐらい。好セーブ連発でチームを救い続けた都築も、決勝ゴールをあげた永井も、そしてこの天皇杯で才能の片鱗を見せ苦しいチームを導いたシンジも、言い換えればベンチメンバーだった。他のチームに行けば普通にピッチに立っていてもおかしくない力を持つ選手達は、シーズン中は暗澹たる気持ちを抱えながらベンチに座ることも多かったはず。そんな思いを抱えた選手達がこの大会に、そしてこのゲームに賭ける気持ちは、ガンバの選手達にも全く劣らないほどのモノになっていたのではないかなと。

そんな高いモチベーションで臨んだゲーム、粘りと折れない気持ちを発揮して見事にタイトルを勝ち取ったレッズ。本来、タイトル獲得って爆発するような、絶頂に達するような喜びの瞬間のはず。でも、この日のヒーロー達にそれを見いだせない。彼らの表情からは、このタイトルがポジションを補償してくれる訳じゃない、こんなんで満足していられない、とでも言いたげなようだった。

最初は何故という気持ちがあった。でも、後々考えれば逸れも当然だったのかも知れない。このタイトルはシーズン中味わってきた渇きを潤すモノでなかった。彼らほどの選手だからこそ、その沸点も高い。そして、言い換えればどん欲な姿勢とこのチームの内部にある強い競争意識の表れだったのかなぁと。

改めて、今のレッズが強いのは必然だと思う。どん欲で強い気持ちを持つ選手が沢山いて、そんな選手達が日々切磋琢磨しているのだから。そして、レッズがこういう意欲的な選手を抱え続けたとしたら、黄金期のタレント軍団ヴェルディも、憎たらしいほど試合巧者ぶりで栄華を誇った鹿島も、美しい美学と実効力を兼ね備えたジュビロも、そして岡ちゃんのタスクと脂の乗りきった戦力が融合したFマリノスも成しえなかった"真の"ビッグクラブになるのかもしれない。そんな考えがふわっと浮かんだ。

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全然簡単に出来ませんでした、これぞ僕クオリティ。新年早々、長くて申し訳ないです。次は、ベストイレブン上げまーす。では、ここまで。ちっ(←あ、最後に本音が)

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*そうそう、ツネはこれでオーストリアに行くのよね。ディフェンダーとしては初めての海外移籍(と言うことにしておく)、開拓者として何とか成功して欲しいかな。明晰な頭脳とカバーリングは間違いなく一級品。弱い部分も確かにあるけれど、そういう部分をうまく覆い隠せれば充分やれるんじゃないかと思ったり。コミュニケーションが重要だと思うけど、言葉はいかがなのかしらん?ま、頑張って。

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