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December 03, 2006

王者に相応しい勝ちっぷり@J1 第34節 レッズ vs ガンバ

恐ろしくクールだった。ガンバがゲームを過熱させようとしても、平常心は揺るがない。その熱を冷ますように、クールにゲームを運んでいく。冷静に、現実的に、粛々と。

選手も、監督も、サポーターも、この試合をタイトル獲得のために捧げたのだろう。そしてそのタスクを見事完遂した。新王者の誕生に相応しい強者の、いや、「王者」の戦い方だった。

今日だけは、素直に。

悲願のリーグ初制覇、おめでとう、浦和レッズ。

J.League Division1 第34節 "Final"

レッズ 3-2 ガンバ @ 埼玉スタジアム2002「王者に相応しい勝ちっぷり」
Reds:27'ロブソン・ポンテ 44'&59'ワシントン
Gamba:21'マグノ・アウベス 78'山口智

Super Soccer

レッズスタメン:GK山岸範宏、DF内舘秀樹、田中マルクス闘莉王"MVP…だろうなぁ"、ネネ、MF鈴木啓太、長谷部誠"For The Team"、平川忠亮(→83'岡野雅行"粋な計らい")、三都主アレサンドロ(→68'田中達也"何故に左?")、山田暢久"せーの"、ロブソン・ポンテ"真価発揮の大仕事"(→83'坪井慶介)、FWワシントン"エースってやつ"

ガンバスタメン:GK松代直樹、DFシジクレイ"残念"(→60'前田雅文)、宮本恒靖、山口智、MF橋本英郎(→54'遠藤保仁"祝・復帰も、重きブランク"、明神智和、加地亮、家長昭博、二川孝広、FW播戸竜二(→77'中山悟志)、マグノ・アウベス

びっしりと埋まった埼玉スタジアムはJ新記録となる62241人を飲み込んだ。ガンバサポが陣取った一角を除いてスタジアム全方向が真っ赤に染め上げられ、入場時にはスタジアム全体を使った盛大なるビジュアルで選手を迎えた。どこか異様な雰囲気も漂う、直接対決による優勝決定戦。

スタメンはほぼ予想通り、レッズの方は出場が危ぶまれた闘莉王がしっかりとスタメンとなり、復帰が目された坪井はベンチスタート。ガンバの方は、播戸がこの試合にしっかり合わせてスタメン、遠藤もベンチに入り、全ての力をこの一戦に向ける。

試合展開

どちらも非常に守備意識が高くアプローチの目が細かいこともあって、とても固い立ち上がり。いかにガンバがレッズディフェンス陣を崩すかと言うところに焦点が集まる中で、なかなかボールが流れず閉塞した攻撃をさせられている印象。その中でのファーストチャンスは機を伺いながらもバランスを考えてプレーしていたレッズに。左サイド距離のあるところからのFK、アレックスがインスイングのボールを供給すると、うまく軌道に入った山田がニアですらして、ワシントンの近距離からのヘッド。しかしこれは松代が何とかセーブ。

ポゼッションこそ握りながら、なかなかスムーズな攻撃構築が出来ないガンバは、その閉塞感を打ち破る術を個のアイデア、技術に託す。家長が左サイドを突破したり、二川が流動的に動きながら細かいテンポを生み出したりする。チームで流麗な流れを生みだし、その流れのまま崩しきると言うガンバの今年のスタイルを見せれない状態だったが、それでもこの個人のアイデアが実を結ぶ。右サイド寄り橋本がグラウンダーで播戸に楔を入れると、播戸はそのままボールを縦に流すようなターンでネネ-アレックスの合間をすり抜けて局面を打開。エンドライン際からグラウンダーの速いクロスを折り返すと、これに合わせたのはマグノ・アウベス!少し入るタイミングが早くズレたボールに対して、後ろに残った右足で流す様なフィニッシュで山岸の虚を突き、これがゴールラインを越えて、ガンバが奇跡に向けての最初の難関を突破した。播戸のキレのある動きを活かした積極性の見えるアイデア、そしてマグノの状況にそぐう柔軟なフィニッシュ、この二つが噛み合った素晴らしいゴールだった。レッズとしては為す術なかったかな。

このゴールでゲームが動き出すかに思われたが、レッズに変化は見られない。バランスを著しく崩さず、攻撃に関しては前3人に任せるようなプレーを重視し、守備は人を揃えて、ボールホルダーに強い圧力を掛けるアプローチを穴が空かないように続ける。すると、ガンバにとって恐れていたことが起きてしまう。攻めに掛かろうと言うところでボールロスト、ワシントンに繋がるとツネ捕まえきれず前を向かせてしまい、ワシントンは前方右サイドのスペースに走っていたポンテへ。ポンテは大きなスペースを得てゴールに単独で突き進むと、右サイドからシジクレイがカバーに飛んでくるが、あっさりと鼻先の軽いタッチでかわしてそのままボックス内に進入。最後は冷静にグラウンダーのファーへのシュートで松代を抜き、同点、同点。ある程度リスクを負っていたのでカウンターに関しては致し方ない部分もあったけど、シジクレイのカバーに置けるポンテへの対応が絶望的なまでに軽かった。確かに危ないシーンではあったけど、一発で行くことはないでしょう。一寸遅らせられれば山口が戻れたわけで……。ま、ポンテも非常に冷静でうまかったのだけど、ね。これで振り出しに戻ったわけだが、時計は27分まで進んでいた。

ガンバは、又3点が必要な条件となり、攻勢を強めていく。相変わらず流麗な流れは生み出せないが、何とか個人の局面打開などを活かしてセットプレーを獲り、そこから次の1点を狙う。連続したCKの中で執拗なまでにニアを狙う形が奏功し、ツネのヘッドなどを導き出すが、これは山岸がセーブ。決定機を活かせない。そんなこんなで、このままハーフタイムかと思われた終了間際、これまたポンテに翻弄される形で奇跡の道が絶たれた。

鈴木啓太が滑りながらも右寄りにいたポンテへ楔を入れると、うまくターンしてDFの合間をすり抜けてエンドライン際までボールを持ち込み、グラウンダーのクロスを供給。中ではシジクレイとワシントンの1vs1となっていたが、ポンテのクロスのタイミングを計りながら、マークをズラしてうまくボールサイドに入り込み、インサイドで強烈にインパクト!松代の手をはじいて決まった。2-1。うーん、我慢出来なきゃ厳しいよね。ただ、ポンテが一気にコンディションを上げてきて、この大一番で真価を発揮している。この局面打開も楔自体はそんなにいいボールではなかったけど、ボディフェイクからずるっと抜け出したわけで、身体が切れてるんだなぁと感じさせた。そしてワシントン、決めるねぇ。シジクレイとの駆け引きを制して、優位なポジショニングを抜群のタイミングで獲るわけですよ。これで、ガンバの逆転優勝には4点が必要となり、奇跡の目はほぼ潰えた。

レッズにとっては望外、ガンバにとっては痛恨の試合展開で前半が終わった。

「4点が必要なガンバはさすがにヤット投入でギャンブルでしょ?」なんて考えていたけど、西野さんはヤットの投入を渋る。状態が分からないだけに使いづらかったのかな。結局9分に決断し、橋本に代えてヤットを投入(システムも4-4-2に変更)ヤットは入った直後からポゼッションの渦の中心としてボールをテンポよく裁いて攻撃を流していく。まだ本調子とは言い難いが(細かいミスが多く、この辺はまだコンディション的にも悪いんだろうなと感じた。普段こんなに凡ミスはしない)、彼の持っているテンポや視野の広さ、アイデアがガンバの攻撃にリズムを与える。

好転し掛けていたガンバだったが、神様はよっぽどレッズが好きなのか、アクシデントを機に畳みかける。カバーリングに入ったシジクレイが肉離れを起こして、プレー出来なくなってしまうと(人間力の話だと、アレはイエローカードの対象になるのかしら?サッカーのルールも知らないことがあるんだナー)、一時的にセンターバックの枚数が減った状況で数的不利に。慌てて交代を用意するが、その間にレッズは攻め立て、その流れの中で得た右CK。アレックスがショートコーナーで角度を付けて、左足インスイングの鋭いボールをファーへ、これに闘莉王が高さで完全に競り勝って折り返し、そして最後はワシントン!冷静にがら空きのファーへコントロールしたヘッドを沈めて、3-1。崩しはとても綺麗、精度の高いクロスで闘莉王の高さを活かし、そしてエースが沈める。ガンバにとっては不運、かな?でも、運だけではない部分もある。相手が見せた弱みを逃さず突くレッズを褒めてあげたい。サッカーは騙し合い、狡い方が偉い、ブッフバルト監督がシジクレイがプレー出来なくなっていたとわかった瞬間攻めろ攻めろとまくし立てていたことでもわかるように、この瞬間だけは攻撃の圧力が高かった。この辺の試合の流れを読む力、状況に合わせてプレーを変えていける力というのを感じさせた。これで、3-1。これで、全てが終わった。

この後、ガンバは完全に守備モードにシフトしたレッズの守備に対して、セットプレーで1点を返すのが精一杯(播戸から中山へのスイッチ直後、ヤットのインスイングの柔らかいボールをニアで明神がバックヘッドですらし、ゴール前で山口がダイビングヘッドで沈めた)レッズは田中達也を左サイドに入れるおかしな采配はあったモノの、チームに貢献した岡野や坪井を最終局面でピッチに立たせるなど(このタイミングでサポは「We are Reds!」の大合唱)粋な采配を見せながら、ベンチでは既にアレックスとポンテが笑顔でサンバを踊る。そして、待ちわびた優勝が決まるホイッスル。3-2。最終決戦を制し、3年間の悔しさを晴らす形でクラブ創設以来初めてのJリーグチャンピオンの座に着いた。ガンバは勝ち点を積み重ねられず、セレッソをお星様にしたふろん太に抜かれる形で、3位フィニッシュ。屈辱を味わったACLへのリベンジの機会を失ってしまった。

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改めて、レッズは優勝おめでとう。そしてガンバはお疲れ様。両チームのポテンシャルが最大限発揮されるようなゲームではなかったと思うけど、優勝を決めるゲームと言うこともあってぴりぴりとした緊張感漂うシビアなゲームだった。

それにしてもこの日のレッズは、目の前にぶら下がった悲願のタイトルを前に、「この機を絶対に逃さない」という思いが滲み出てくるような現実的で結果を最重要視したプレーぶりは個人的に感銘を受けた。

特に目立った点は攻守のバランスへの徹底した意識。普段であれば攻撃に出る時は、もっとボランチも押し上げて絡んでくるだろうし、闘莉王ももっと回数多く上がって攻撃に絡んでくると思うのだけど、この日に限ってはとにかく自らリスクを掛けることを避けるようなゲームを徹底的してやっていた感があった。前提条件を考えた時、求められるのはゴールではなく、失点を抑えること。そういう事を鑑みた上で、リスクを掛けてポジションブレイクするより、常に相手の攻撃に人数を揃えて対応出来る状況を整えることに意識を置いていたと思う。これは、非常にクレバーで素晴らしかったかなと。

そして精神面でもとても優秀だった。普段なら納得いかない判定に過剰な抗議をしたりすることも多いけど(監督含めて)、この日はワシントンやポンテが少し不服を示す程度で、もの凄いクールにプレーしていた。判定にナーバスになることをきっかけにプレーのリズムを失って自滅するということはよくあることだけど、こういう要素に置けるリスクもセルフコントロールで削っていたように見えた。そして、ゲーム展開(先制点)にも精神的に全く揺るがなかった。もし、目先の勝ちにこだわっていたら、ビハインドをはね返そうとテンポアップしてもおかしくなかったと思うけど、失点後も同じ意識の元、本当に冷静に、粛々とゲームを進めようと言う意識を感じ取れた。
*サポも変に煽らずに、チームの狙いを見据えて支えながらも、その動向を見守っているように見えた。サポも又タイトルを心の底から欲しいと思ったからこそ起きた事なのかなぁ。あれだけの圧力は使い方を間違えば、おかしいことになりかねないけど、改めて12番目の選手としてチームに貢献していたんじゃないかなと。このホームでの絶対的強さは、間違いなく雰囲気作りがあるからなんだろうし。

どちらにも共通することは、このゲームのタスクの全てのプライオリティが「タイトル」に向けられていたこと。そして、それが徹底して出来るのは本当にもの凄い称賛されるべきことだと思う。こういう「勝つためにすべきこと」を出来るからこそ、レッズは今シーズン悲願のリーグタイトルを手に出来たのではないかなと。

改めて、強いチームだった。

ガンバの方は、シーズン通じてのパフォーマンスは素晴らしかったし、とても優秀なチームだと思うのだけど、この試合に関しては一番いい時のガンバではなかったかなぁというのが素直な印象。チームが築いてきたスペクタクルな攻撃構築というのが、ヤットの離脱で揺らいでいたのはこのゲームに至るまでの道程でも見えていた。そして、このゲームでも、相手の丹念なアプローチもあって、ボールがリズミカルに動かず、閉塞感に苛まれて実効的な要素を生み出せなかった。今シーズンはチーム全体で作った渦をそのままゴールにしていくような印象を持っていたのだけど、その核となる選手の離脱は改めて痛かったかなぁと。

で、守備に関しては、痛恨、だよね。もし我慢出来ていたら、ゲームは変わっていたかも知れない。論理的に守れる状況ではないけれど、そこで守ることが求められていたわけで、酷だけど止めなきゃいけなかった。てゆうか、シジクレイ……。

ただ、この試合でも2点獲ったし、改めてこのチームが持つ地力を示したシーズンだったとも思う。振り返ってみれば、昨シーズンの得点源だった大黒・アラウージョを失ったことでチームの再構成を余儀なくされながら、過密日程(ACL、A3、代表)の中でACLの出場権こそ逃したモノの、常に上位に留まり最終的にこれだけの成績を残したのは素直に凄いと思うし、本当に素晴らしい。終盤、失速したのは個人的には必然だと思っているけど、改めてこのチームの地力、進んでいる方針の確かさ、熟成度を示すモノなんじゃないかなと。。来シーズン、一番のアドバンテージは過密日程から解放されることかも知れない(まあリベンジしたかっただろうけどね)優勝を逃したことで、ガンバの評価は下がらないよ。

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と言うことでレッズが王者の椅子に座ったわけだけど、これから黄金時代が始まるのかねぇ。資金力、戦力層、観客動員、サポ、全てを揃えたチームになりつつあるわけで、条件は揃ってる。まあ、今世代交代に苦しむ元常勝チームと同じ苦しみを味わう時が来るかも知れないけど、なんて言うのかな、憎まれ役が居た方がリーグは盛り上がる気がするんだよね。それこそレッズがパートナーシップを結んでいるバイエルンのいるブンデスのように。ま、それはこれからだろうし、そんなことになったら腹立たしいから本音は嫌だけど。とりあえずは、アジアか。レッズはアジアでどうなるのか楽しみだよ。ふろん太は大変だね、どうするんだろ?厳しそう……。でも、2位おめ。まじで、キクマリとファイフロの順番が入れ替わるんじゃ……。

おっとずれた。ということでここまでー。

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*マリも勝ったねー、終わりよければすべてよしじゃないけど(てゆうか、そんなの絶対に許されない。反省修正しないと意味がない)、とりあえず良かった。ただ、所詮消化試合だからね。やっぱりこういう試合しなきゃダメだ。チームが緩くなるよ。ただ、いつ戻れるんだろう……。

*もちろんマリの試合もやるよー。

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