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October 06, 2006

Necessity of Risk Challenge -Think about Osim's Football

ここのところずーっとレポレポレポで続いてたから、テーマを掲げて書く事に恐怖感が……。まあいいや、で、昨日行われたガーナ戦含めて、オシムたんのチームで色々とテーマが出てきていると思うので、その辺を考えてみようかなと。3回目かな?「Think about Osim's Football」てゆうか、こういう企画がまともに続いてるなんて僕にとって奇跡。

・1プレーに見るオシムのプレーセレクトに置ける判断基準

少々前の話になるのだけど、イエメン戦でこんなシーンがあった。

右サイド、加地が持ち上がると、それに反応する形で遠藤がサイドのスペースを見つけてランニングし、フリーとなって顔を出した。しかし、加地はその動きを使わず(デコイにするような形で)応対に来ていたディフェンスの逆を突いて中に切れ込む仕掛けを見せた。この仕掛けにより、FKを得たが、そのプレーを見たオシムは「カジ!」と大きな声を上げ、その後通訳が「遠藤が動き出してフリーになったのだから使えばいいだろう」とオシムの意を加地に伝えた。

皆さんはどう思うでしょうか。加地の選択したリスクチャレンジプレー(ドリブル)、オシムが選択して欲しかった遠藤を簡単に使ってフリーランを活かすプレー、どちらが良かったのか。どちらのプレーにも異なった意図や可能性があり、それぞれ著しく間違ったモノではない。ただ、このプレーでオシムが大きな声を上げて、何故加地に対して叱責したのかというのは、ずーっと頭の中で引っかかっていました。

二つのプレーにはそれぞれにポジティブな効果を生み出す可能性を持ったプレーだと思う。仕掛けというプレーセレクトでは、一枚剥がす事でフィニッシュも出来るし、引きつけて中にズレを生み出してラストパスという選択も出来る。より、幅の広い可能性を持つ事が出来ると言える。それに対して、フリーマンを使うというプレーセレクトに置いては、プレッシャーが掛からない状態で次のプレーに移れる。フリーであれば卓越した技術を発揮する事が出来、精度においても期待できるし、得点に繋がる可能性を高めると言えるのかなと。どちらもネガティブなプレーではないと言えると思うし、加地の仕掛けアクションを否定する要因にはなり得ない。そうなると、このプレーを否定した理由は、オシムの中にある判断基準(コンセプト的な要素含め)から漏れたという事になるのかなと。

これを元に考えていくと、「頭を動かし、人とボールが良く動くサッカー」というコンセプトの元、活性化したオフ・ザ・ボールの動きを紡いでいく事で良い状態を作り出す。そして良い状態を活かして可能性を高めた上で実に繋げていく。このコンセプトの中には、フリーでボールを扱える状況を作るというのも、重要な要素であり、目的の一つなのかなと感じたりしました(当然と言えば当然なのだけど)

まあこれはこれで良い事なんだけど、プレーの本質を考えた時、ちょっとだけ微妙な気がしなくもない。フリーマンを作り出す事は正しいけれど、それが=でゴールに繋がるわけではないし(可能性を高めると言う点では否定しないけど)、選手達の積極的なリスクチャレンジアクションの弊害となる可能性もあるのかなと。

・オシムのコンセプト「だけ」では勝てない

オシムはプレーにベクトルを付けていく事で、自分のタスクを具現化しようとしているのがこの早い段階でも表面化してきています。責任あるマンマーキング、早く正確な状況把握と判断、精力的な切り替えや動き出しの意識、速いボールクルーズ等々……、こういう要素が選手達に浸透し、表現される事で「ボールと人が良く動くサッカー」にしていこうとしているのかなと感じます。これがこのチームの基盤であり、骨子のなるわけで、これに関してはどんどんやっていって欲しいと思うわけです。

しかし、ある程度前に出てきてスペースを与えてくれることでそのサッカーが嵌りやすい状況だったガーナ戦のようなゲームもあれば、相手に引かれてスペースを消されて嵌らないイエメン戦のようなゲームもある。時間帯でも、リスクを負って前に出て来る時もあれば、守備的にボックス付近に人数を掛け、スペースを消す事を主眼に置く時間帯もある。当たり前だけど、相手があるスポーツだからこそ、状況も多様化し、それによって求められる要素も多様化してくるわけです。でも、今の日本の選手達はコンセプトやベクトルというモノに縛られすぎて、ピッチの状況を捉えてプレーしているとは言い難いし、そういう状況に対応するという部分は余り重要視されていない。これは、オシムのチームに置いても例外ではなく、大きな課題となるのかなと。

実際、相手が守りを意識した消極的なプレーをしてきた時に、今のサッカーだけで崩せるかと言ったら、なかなか崩せない。それでも、愚直に、従順に、タスクをなぞる形でそれを具現化しようと努力するのが今の選手達。でも、それってクレバーじゃない。何が効果的か、どのような事をすれば綻びが出来てくるのか、そういう事を見つけ出していくことをしていかないと、どんなにコンセプトをなぞったところで結果には繋がっていかない。言い方を変えれば「やらない」と言う選択があっても良いわけで、コンセプトや戦術というモノを運用していくと言う意識が必要になるのかなと。やり続けていく事だけが正解じゃないと個人的には思う。

*これはある意味では出来てる部分もあるんだよね。例えば、相手に合わせてセンターバックを2枚にしたり3枚にしたりすることとか、試合の中でのポジションブレイクに伴うポジションチェンジとかね。監督が推奨しているという事もあるから思い切ってやれるのかも知れないけど、こういう要素は監督の指示ではなく、主体的に状況を捉えて、適用したり実行したりしているはず。それが推奨されているか、いないかの差だけで他の部分でもやれば良いだけ。以前「こども」と酷評されていたけど、それはこの辺の問題でもある気がする。

・もっと欲しい"個人"のリスクチャレンジ

話は戻って、上記の仕掛けプレーなのかフリーマンを使うプレーをするべきなのかという話。あの局面に置いて加地が仕掛けたのはフリーマンを使うより個人的にはベターな選択だったと思う。それぞれにポジティブな要素があると書いたけれど、相手にとってどちらが怖いのかという要素で考えると、あそこで外に開かれるより(高さでアドバンテージがあった事を考えると、こっちの方が良いのかも知れないけど)、中に切れ込まれてシュートやラストパスを出された方が、難しい対応を強いられる。そういう意味で、加地のプレーはリスクチャレンジ意識に溢れた良いプレーだったのかなと。

で、昨日のゲームで思ったのは、こういったリスクチャレンジプレーが少ないし、予想を裏切られるようなクリエイティビティを感じるプレーが少ない事。もちろん、チームタスクとしての切り替えからの攻撃やベクトルと重なる速いテンポでのポスト&サポート+ダイナミズムもいいのだけど、基本的に環境が整っていないと余り実効性を示さない。そういう状況時には、何が必要かと言えば、そう、個人としてのリスクチャレンジアクション、そしてクリエイティビティの発揮だと思うんだよね。

イエメン戦後 梅崎司選手のコメント(抜粋)

試合を見ていて?オシム監督はパス、パスというけど、アタッキングエリアに行ったらもっと仕掛けていいと思っていた。そういうところが自分の特徴だし、出たらゴールを狙ってやろうとは思っていた。やっぱり個の力が必要。それがあればパスももっと有効になる。みんなボール回しを意識しすぎている。オシム監督はそういっているけど、まずはリスクを冒して攻めることも必要だと思う。

J's Goal

チームとしては、ポジションを崩して多くの選手が攻撃に参加する事をリスクチャレンジアクションと提議している感がある。だから、「リスクチャレンジしているよ」と言う事になっている気がするのだけど、でも、それって個人的にはちょっと違うんじゃないかなと?と思ったり。

で、梅崎くんのコメント。自分の特性を鑑みた上で、グループとしてではなく、一人の個としてアタッキングエリアでは仕掛けるよ、局面打開して崩しにいくよという言う意識を感じる。リスクチャレンジという言葉自体大きな意味を持つモノだから、選手達が攻撃参加する事もリスクチャレンジなのだけど、今のチームには梅崎くんが持っているような、自分の責任に置いて局面を打開するような意識というのはそんなに多くない。でも、相手が怖いのはこういうプレーだし、こういうプレーが増えていかない限り、厳しい状況に追い込まれた時、展開が閉塞した時、嵌らない状況の時に本質的な実効力には繋がっていかないんじゃないかなと。

そんな中での光明としては、ガーナ戦後半ビハインドを負った後に交代で入った中村憲剛と長谷部誠。彼らはチームタスクの遵守という意味では、スタメンで出ていた選手に比べて曖昧な部分があって、チームの機能性を保つ意味では不十分だったと思うのだけど、彼らは個としてリスクチャレンジの意識に溢れていて、それはある程度時間がない中で現実的に勝利を得ようしたガーナに対して脅威になっていたんじゃないかなと。(詳しくは昨日のレポート見て頂戴)

もちろんチームタスクのベクトルを守っていく事も必要だけど、それを守るが余りフットボールの本質を見失ってしまっては本末転倒。大きなベクトルとして、ゴールを奪う事、勝利を得るという意味では同じなのだから、そのためにチャレンジする姿勢も忘れないで欲しいなと。そのベクトルを守る事だけが正義じゃないよ。一人の選手として、出来る事、代表に選ばれた意味というのを感じて欲しいな。

*チームに自分の考えているサッカーを浸透させる上で、余りベクトルに乗っていかない長谷部や中村憲剛のプレーを推奨するかどうかは微妙なんだけど、アレックスをスタメンで使っている意味とか、選手達に主体的な判断を求めている事を考えたら、絶対に否定はしないはず。そういう事を考えてもっとチャレンジするプレーが増えてきて欲しいなと。そういう意味では、山瀬とか山瀬とか山瀬とかも使って欲しいんだけどね。アレックスの代わりに。

*そういう意味で、ヤット何かはもっと自分の色を出して欲しいし、山岸や羽生にしても、自分の特徴とは少々違う部分があるかも知れないけど、個人として出来る事はもっとあるんじゃないかなと。特に山岸はいいサンプルプレーがあった。後半序盤に駒野の対角線なロングフィードに反応して落下地点に走り込んだプレーがあったのだけど、その時山岸が選択したプレーは共に上がってきていた佐藤寿人を活かすスペースに流すヘッド。ダイナミズムをシンプルに活かすダイレクトプレーで、オシムたんの好みそうなプレーセレクトではあったと思うのだけど、もしあそこを収めて局面的に2vs1を作っていたら、よりフィニッシュに繋がる可能性もあったと思う(ダイレクトプレーは難易度高いし)オシムたんは怒るかも知れないけど、ね。そういう部分だと思う。

*こういう事を書いていたら、「黄金世代が世界で通用しなかったのを見ても、まだ世界とは差があるんだから、そんな無謀な挑戦じゃなくて、より可能性の高いプレーを作っていった方がクレバーじゃないか!」と批判されそうだけど、僕はそれは短絡的すぎるかなーと思う。個人のレベル云々じゃなくて、仕掛けないと状況は変わらないし、怖さが出てこない。それに22人のプレーヤーがピッチにいて、純粋な力比べだけじゃない。周辺の状況が様々あって、良い条件が揃えば抜けるシーンだって出てくる。でもその姿勢を持っていなかったら、その可能性を捨てる事になる。ジーコの時はそればっかりを強調しすぎた嫌いがあるけれど、チャレンジアクションを活かす術というのを磨いていけば、絶対に出来ない事はない。そういう意味でこういう姿勢は大切なんじゃないかなと

とにもかくにもタスク的なベクトルと個人戦術のバランスというのがもっと良くなると良いなと言う事ですな。日本人の特徴である言われた事をやりすぎてしまい、それに傾倒しすぎてしまう事と相まって、タクティカルな要素を強調する余り、戦術の優劣だけで勝敗が決まってしまうようなチームになってしまいそうな気がしたんで、ね。今は、しっかりとした基盤を作ると言う意味で、タスクを浸透させるはベクトルに準ずる事も大切だと思うから、余りそういうエキストラアクションを求めるつもりはないけど、中長期的には必ず必要になる要素だと思うし、特にアジア勢と戦う時には大きなポイントとなると思うので。ということで、今日はここまで。

*少々否定的な事も書いてしまったけど、もちろんオシムのサッカーにも期待しているよ。あの機能性の質は期待を抱かせるモノだし、少しずつ積み上がってきているから、それはそれで良い事だと思ってるし。これが基盤となって、タスクだけをなぞるだけにならない主体的な判断を感じるようなリスクチャレンジアクションがミックスされる形になっていって欲しいなと言うのが個人的な希望かな。

*俊輔や松井の事も色々とヒントが出たりして、書きたかったのだけどうまく入らなかった。また次の機会にね。

*てゆうか、同じような事前に書いた気がして、少しかぶっちゃったかも知れません。まあそれだけ大切な事ですよってことで←無理矢理正当化

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