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August 23, 2006

原点回帰という答え@J1 第18節 ジェフ vs FC東京

何かね、うらやましくなっちゃった。本当に厳しい状態の中で苦渋の選択でもある原点回帰、それも実らず心が折れてもおかしくない厳しい展開、それでも戦い抜いて得た逆転勝利。こんなゲームを見せられたら泣く、多分。神ゲーム認定。

2006 J.League Division1 第18節

ジェフ 3-4 FC東京 @ フクダ電子アリーナ「原点回帰という答え」
JEFUNITED:5'阿部勇樹 7'坂本將貴 84'羽生直剛
FCTOKYO:16'ルーカス 62'赤嶺真吾 75'石川直宏 89'阿部吉朗

SuperSoccer

ジェフスタメン:GK立石智紀、DF水本裕貴、イリアン・ストヤノフ、MF阿部勇樹"又セットです、でもルーカス捕まえ切れませんでした、オシムさん"、佐藤勇人"やっぱり無理が来ました、オシムさん"(→39'中島浩司)、山岸智"良いプレーもしたけどやっちゃいました、オシムさん"、坂本將貴"キレキレですよ、オシムさん"、羽生直剛"凄いシュートだったでしょ?オシムさん"、クルプニコビッチ(→63'水野晃樹)、FWマリオ・ハース(→74'楽山孝志)、巻誠一郎"ちょっと不調かも知れないです、オシムさん"

FC東京:GK土肥洋一、DF徳永悠平、ジャーン、茂庭照幸、藤山竜仁、MF浅利悟、梶山陽平、石川直宏"縦横無尽疾風怒濤"、川口信男(→72'阿部吉朗)、FWルーカス、赤嶺真吾(→79'小澤竜己/→85'馬場憂太)

前節、レッズに完膚無きまでに叩きのめされたことで、アレシャンドレ・ガーロのもたらしたポゼッションスタイルとの決別を決断。ユース世代の監督であった倉又氏(ヒロミ時代のヘッドコーチ?)を引き上げる形で、原点回帰による復活を狙う。メンバーもそれに準ずる形で、以前の4-2-3-1というか4-4-2で、サイドアタックを強く意識した構成になった。

それに対して、ジェフは代表に巻、羽生、阿部、佐藤勇人と4人の選手を送り込んだが、ミッドウィークに厳しいコンディションの中でプレーした影響が気になるところ。4人ともメンバーに名を連ね、それ以外もほぼベストメンバーかな?斉藤はどうしたんだろ?怪我?チケット完売と、とにかく良いゲームを期待。

前半

序盤、FC東京のとにかく前へという強い意欲を逆手に取る形で、ジェフの切り替えの速いアタックが冴え渡る。ロングディスタンスのグラウンダーの横パスを坂本が鋭くインターセプトすると、一気のカウンター。前に残っていたハースにスペースパスを出すと、それに合わせて羽生、そしてカウンターの起点となった坂本が長い距離を走る。最終的には坂本がシュートを打とうとしたところでディフェンスのカバーにあってフィニッシュに繋げられなかったが(羽生の斜めのランニングが坂本の狙いとかぶったことで二つの選択肢を作ることが出来ず、相手を連れてきてしまった)、このプレーで得たCKがゴールに繋がる。

ハースの左サイドからのCK、巻の存在をデコイにするような落ちてくるボールに、それを感じてボールサイドのポジションを獲っていた阿部がダイビングヘッドで合わせてゴール。キックの質、巻のデコイ(自分が囮になる意識があったからこそ届かなそうなボールでもニアに飛び込んだ、のかな?)、そしてその狙いを見越してしっかりと良いポジショニングを取っていた阿部、セットプレーだけど共通の狙いの元連動した良いセットプレーだった。FC東京としては巻の動きに本来核となるべきジャーンと茂庭が釣られちゃったのは痛かったかな。しかし何故に阿部のマーカーが梶山?阿部のセットのゴール率の高さを考えるとミスマッチだったかな?

完全にこのプレーで流れを掴んだジェフは、一気に畳みかける。キックオフからの流れ、時間にして2分後。中盤での攻防に置いて優位に立つと、ストヤノフの低い位置からのロングフィードで右サイド坂本へ展開、ヘッドで併走していたハースへ落とすと中に切れ込む動きで既に次のプレーを考えていた坂本が再び受け手となる。これで時間を作ると、詰まったところから一度後ろに戻し、クルプニコビッチがアーリークロス。狙いはこの右サイドでの作りを見てかボックスの中に入り込んでいた山岸。山岸はエンドライン際まで切れ込んでヘッドで折り返し、そこに巻が飛び込む。これは合わせきれなかったが、そのセカンドに反応したのは右サイドでこの展開を作った坂本。坂本は体勢を崩されながらも足先を延ばしてシュート。これが絶妙なループシュートとなり、土肥の頭を越えてゴールに収まった!
もうね、痺れた。広くボールが動く展開、次にどうなるという主体的な予測とそれに伴う動きだし、オリジナルポジションを崩すというリスクチャレンジ、全てが連動してゴールに結実した。で、この一連のプレーの中で3つも素晴らしい頭の動きがあったことを特に取り上げたい。ストヤノフのロングフィードを落とした後にすぐにレシーバーになった坂本の動き直し、右サイドの作りを見てボックスに入って直接的なターゲットとなった山岸の動き出し、そして次のプレーを見越してポジションを変えていた坂本のセカンドボールを拾ったプレー、全てに置いて頭が良く動いているからこそ生まれたプレーだと思う。ゴールを獲った坂本はよっぽど好調だったんだろうね、精力的な動きとよく頭が働いている証明な主体的な判断、見事だった。

早い時間帯だけど、この時点ではFC東京厳しいなー、ちょっと相手が悪いなーと思った。余りに相手のクオリティが高く、自信を失っているチームにとっては余りに大きなビハインドだと思ったもん。正直なところ。

この後、FC東京がビハインドメンタリティを発揮する形で押し込んでいくが、ジェフも切り替えからのカウンターで応戦する展開に。クオリティはやはりジェフに一日の長があったが、それでも愚直なまでに前へ意識を持ってインターセプトを狙い、前がオープンになれば仕掛け、ワイドに開いたらとにかく突破、空いたらミドル、ということを意思統一の元やり続けたFC東京。それに根負けしたのはジェフの方だった。点差の緩みもあったのかジェフのDFの対応が先を見据えると言うより何とかそこを締めるという後手のような対応になり始め、石川、梶山、ルーカス、川口と立て続けにシュートを許したりと、守備の面で甘くなる。攻撃面でもイケイケの部分はあるにしても、それを読まれ初めてそのリスクをかぶるようなカウンターを喰らったりと、立ち上がりのようなポジティブなリズムはない。すると、FC東京にとって希望を繋ぐゴールが生まれる。

スローインからの展開で左サイドでボールを受けたルーカスが2枚に対応されながら、粘って(というか、強引にこじ開けた)局面打開。中に切れ込み、そのままコースが空いたと見るや右足を振り抜くと、ジェフのディフェンスに当たる形でコースが変わり、そのままニアを抜きゴールに突き刺さった。FC東京にとっては綺麗な形ではないモノの、愚直なまでにやり続けた積極的なプレーが活きた形だった。ジェフとしては局面での対応に少々緩みがあったか。

この後もFC東京の意思統一からの愚直なプレーが続く。ガーロ体制では見られなかったような「特攻」精神を感じるプレーが多く、球際でもひときわ激しくプレーし、気持ちが全面に出ていたかな。ジェフの方はその勢いに押され、攻めどもフィニッシュに繋がらず(散発的にプロセスとして良い攻撃もあったけどね)、守備に置いては後手となるプレーが増え、リズムを失ってしまう。又、その中で膝に違和感を感じて佐藤勇人が前半途中で下がるというアクシデントまで発生(交代は中島)アドバンテージを握っていたとは思えないほど余裕のない状態になっていた。

結局前半終了まで、FC東京ペースでゲームが進んだが(ナオのシュートやらチェイスは惜しかった!赤嶺も前向いてミドルは良かった)結局スコアは動かず。ジェットコースターのような前半は2-1で折り返すことに。

後半

開始早々、FC東京が左を崩してグラウンダーのクロスが送り込まれたかと思えば(詰め切れずジェフのディフェンスがクリア)、ジェフは細かくアイデアの詰まったパス回しから巻がペナルティアークでFKを得たり(阿部のFKは落ちきらず)前半同様オープンな攻め合いになるかと思われたが、少し落ち着いた展開に。ボールが落ち着くと、やはりクオリティにはジェフが一枚上手(逆にFC東京は粗いプレーも目立つ)しかし、それでもしっかりと人を捕まえる形で最後の所はやらせず、フィニッシュに繋がるシーンが少なくなる。

勢い余ってぶつかってしまったり、後ろから引っかけたりと、激しく行くことでカードも多くなる展開、その中で徐々にジェフのマンツーマンディフェンスが後手を踏み始め、FC東京にはセットプレーのチャンスが増える。ジェフの選手の動きが減退し始めている兆候だったのかも知れない(それでも羽生がハースとのワンツーで完全に崩したシーンは見事だった。これぞダイナミズムという形でジャーンを振り切ってフィニッシュも冷静に流し込んだ、が、収まりきらず)そのこともあってサイドを崩せるようになったFC東京は、その好機を活かす。

左サイドで何とかボールを繋ぐと、梶山が相手を引きずりながらエンドライン際までドリブルで持ち込み、何とか折り返す。すると、うまくニアに入り込んでいた赤嶺が反転してボレーいう、ストライカーらしいプレーでゴールに押し込み、同点弾。まあ力押しにも近い崩しだったけど、梶山にしても赤嶺にしても粘っこいプレーだったね。監督交代の効果はこういうところにも。ジェフは局面でやられていては厳しくなると言うのがでてしまったかな。

これで又一気にゲームは加速。ジェフはクルプニに代えて水野を入れて前線を活性化してコンビネーションから崩そうとし(チーム全体で波を起こすことは疲労感から厳しくなっていた)、FC東京はジェフが疲労からプレスが掛からず間延びして大きく空くスペースを活用するカウンターで狙う、オープンな殴り合いのような攻防に(FC東京ベンチも動く。川口に代えて阿部を投入し、より得点を意識した形に)

その展開の中で、消耗度に差があったことが影響したのか、明らかにパフォーマンスに差が出始め、その中で緩さから次のゴールが生まれる。梶山が山岸の低い位置でのドリブルを突っつく形でボールを奪うと、そのままボールを運んでノールックのスルーパス。ラインポジショニングをしていたナオがこのスルーパスでラインを突破、そのままファーに突き刺した!見事なプレー、梶山のボールカットからスルーパスという才能を感じさせるチャンスメイク、そしてナオの冷静かつ大胆なフィニッシュ、素晴らしい(はいはい、贔屓ですよ)

残り15分にして2点のアドバンテージをひっくり返されたジェフでしたが、ここで意地を見せる。FC東京にも少しずつミスが増え、両チームとも全体の動きが減退した中で水野が積極的なプレーで気を吐き、それが伝染したのか、少しずつ連動勘を取り戻すジェフの攻撃。中島の素晴らしいターンで局面打開し、中島→楽山→中島→山岸という素晴らしいパス交換でチャンスを作り出すと(これは茂庭のカバーもあって枠外)、続けざまのプレーで見事な同点弾が。楽山が素晴らしいコントロールターンで前を向くと、スペースを見いだし一気にドリブルで前に運び、右サイドに走り込んだ羽生へ。羽生はワントラップの後躊躇なく強烈に右足振り抜く!低く抑えられた弾道は土肥ちゃんの対応を許さず。素晴らしいシュートはもう仕方がない。楽山のプレーも素晴らしかった(これまでのプレーは粗さを感じたけど……取り返したね)

押し迫った中で同点となり、ゲームは最終局面へ。3点目と同じような形で巻がループを打ったり、アーリーにうまく飛び込んでヘッドで合わせたりとチャンスも作り(ヘッドはストライカーとして決めたかった)、負けじとFC東京もルーカスがうまく攻撃を繋いで最後は梶山のミドルを引き出したりと、意地と意地とのぶつかり合い。ジェフ優勢に見えたが、ここで愚直なまでのFC東京のサイドアタックが結実。ルーカス→馬場と何とか繋いで右サイドに展開、ナオをデコイに徳永がフリーで受けると、徳永はシンプルに速く低いボールを中に送り込む。ジェフディフェンスはこれに対応しきれず、最後詰めていたのは阿部吉朗!坂本の手前に入ってしっかりと押し込んで再度の逆転弾!これが幕引き。余りに激しく、壮絶な撃ち合いは、FC東京の愚直さに神様が微笑む形になった。ジェフはフクアリ2連敗、珍しいね。

もうね、言葉がない。本当に面白いゲームだった。ジェフのクオリティ、FC東京の原点回帰の意思統一、これが真正面からぶつかり合い、化学変化を起こしたような凄いゲームだった。これを神ゲームと呼ぶのかもね。FC東京のサポはもうたまらないんじゃないかな?

勝負の綾としてはやはり体力的な部分かなぁと。もちろんどちらも限界点まで行ってたと思うけど、少し残していたのはFC東京で、それが最後の部分で活きたかな。ジェフは後半途中から一気に足が止まって、間延びした展開が続いていたし、最後の力を振り絞った同点弾は見事だったけど、そこで使い切ってしまった感じを受けた。もちろんその中には代表による疲労というのもなんだかんだ言って影響もあったから(佐藤勇人の怪我も痛かった。彼の存在的にも交代枠的にも)、そういうことを考えた時、ジェフには可哀想な部分でもあるけどね。本当に小さな要素だけど、それだけシビアなゲームになっていたと思う。

で、まずジェフ。序盤のプレーのクオリティは素晴らしかったし、頻度は減ったモノの優れたイメージの共有や連動を伴うプレーはやはり称賛に値すると思う。ただ、走ってなんぼ、走れてこそこのサッカーのクオリティは保たれる訳で、それが出来なくなった時に、この試合では守備に悪影響を与えていたかな。プレスが掛からないこと、間延びしてスペースを消せないこと、マンツーマンに置ける粘りがなくなってしまったこと、こういう部分での影響は余りにも大きかった。以前ジェフの選手がマスターしているみたいなニュアンスのコメントをしていたのを皮肉めいて出来てないじゃんと書いたけど、実際90分間ハイペースでゲームを進めることは出来ないし、ましてやこういうエクスキューズを抱えた中ではやはりどこかでコントロールしなきゃいけなかった。てゆうか、それが出来るゲーム展開だったわけで。まあ、勢いに飲まれて引きずられた展開だったけどね。高いクオリティのプレーとゲームペースのコントロール、この二つをうまくかみ合わせていくことがこれから勝ち点を積み重ねていく上での課題かも知れませんね。

そして、FC東京。上にも書いたけど、たまらない勝利だったでしょう。レポートにも書いたけど、最悪の所から良く個々まで持ってきたなぁと改めて思う。で、本当にやっていることはシンプルだった。とにかく全てのプレーのプライオリティは前!横よりも前へボールを運び、インターセプトを狙い、スペースを見いだしたらそのスペースを使い、ワイドに開いたら仕掛ける(+オーバーラップを掛ける)、中央コースが見えたらフィニッシュ。とにかくもの凄い強いメッセージ性を感じた。確かにクオリティはそんなに高くなかったけど、選手個々が纏った勢いがそれを後押しした感じだった。それが一番のらしさだったわけで、その勢いを纏ったFC東京は以前の姿に戻ったような感覚を受けた。

まあ冷静に考えれば、原点回帰自体全てが正しい訳じゃなくて、以前の課題もそのまま残ることになる。閉塞感の打開法や勢いのない時の粗さとかね。ただ、それでも今までの状況を考えたら、他の道はなかったとも思うけどね。まあ紆余曲折の末、このスタイルの昇華を目指していくとしたら、この迷走も悪いモノじゃないのかも知れない(まあそれはこの後次第だけど)

正直に告白するとこの試合はFC東京に肩入れしてみていた部分がある。ナオがいると言うこともあるのだけど、Fマリノスと低迷の課程が余りに似ていて、その中でこのようにリカバーして素晴らしいゲームを見せてくれていたからね。そういう姿がちょっと嬉しかった。まあ順位的に近いから喜んでばかりはいられないし、FC東京とFマリノスの状況は又違うのだけど、術さえ間違えなければ又強いチームに戻れるかも知れないという実感を抱かせてくれた。ただ、FマリノスにはFC東京ほど色濃い回帰点を持っていない気がするけどね。堅守速攻、色気はなくても勝つ勝負強さ、この辺りかな。

とにかくナオの活躍含め、いろいろ思うところの多いゲームでした。ナオは素晴らしかったねぇ。予備登録に入ったらしいから、選ばれると良いね。てゆうか、僕はナオ-隼磨な右サイドが見たい(超自己中)とにかくまだまだナオは鞠の子だよ、未だに帰ってこいと思ってるし(笑)まあいいや、ということでここまで。明日は結果次第。

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