« 歴史とプライドの刺激@FIFA WORLDCUP Germany2006 GroupB Sweden vs England | Main | 理想との対峙@FIFA WORLDCUP Germany2006 Group F Japan vs Brazil »

June 22, 2006

ファンタスティックな両雄@FIFA WORLDCUP Germany2006 Group D Portugal vs Mexico

やばい、ぎりぎりだわ。とてもポジティブでファンタスティックなゲームでしたよ。何か嬉しいな。

FIFA WORLDCUP Germany2006 Day13

Group D
Portugal 2-1 Mexico @ Gelsenkirchen
POR:6'Maniche 24'pSimao.S MEX:29'J.Fonseca

FIFA MatchReport

ポルトガルスタメン:GKリカルド、DFミゲウ(→61'パウロ・フェレイラ)、リカルド・カルバーリョ、フェルナンド・メイラ、カネイラ、MFペティート、ティアゴ、マニシェ、フィーゴ(→80'ボア・モルテ)、シモン・サブローサ、FWエウデル・ポスティガ(→69'ヌーノ・ゴメス)

メヒコスタメン:GKサンチェス、DFメンデス(→80'ギジェルモ・フランコ)、オソリオ、サルシド、MFロドリゲス(→46'シーニャ)、パルド、マルケス、ピネダ(→69'カストロ)、ペレス、FWオマール・ブラボ、フォンセカ

ポルトガルは首位通過を、メヒコはグループリーグ突破を賭けての直接対決。どちらも中盤の構成力に持ち味があり、崩しに置いても明確な術を持っているだけに、アグレッシブなゲームを、と期待が掛かる。ポルトガルとしては、決勝トーナメントに向けて累積警告のあるレギュラーメンバーなど温存(ベンチにも入れず)、大幅にメンバーを代えてこの一戦に臨む(パウレタ→エウデル・ポスティガ、C.ロナウド→シモン・サブローサ、デコ→ティアゴ、コスティーニャ→ペティート)メヒコは2戦目でポジティブなプレーを見せたフォンセカをスタメン起用してきた。で、びっくりしたのが、マルケスを一列上げて3ボランチのような3-5-2で、中盤を厚くしてきたこと。ラボルベは策士なのか?

前半
メヒコは、中盤を厚くした布陣の利点を生かそうと、高い位置から追ってボールを絡め取り、そこから速く両サイドを使って攻めようという意図を持って積極的にゲームに入る。その勢いに対して、少々押され気味のポルトガルは、フォンセカの局面打開を許すなど不安定な立ち上がり。しかし、押され気味の中で攻撃におけるクオリティを証明するように一回の攻撃でゴールをのモノにする。

左サイド縦のパスをヘッドでカットすると、ダイレクトプレーで厚い中盤のエリアを避けてマニシェが早めに左サイドへ展開、それに合わせて切り替えていたシモンへボールが渡ると、シモンは局面打開を匂わせながら相手の警戒を引きつけて、薄くなった中へラストパス。そして、その形を予測したかのように走り込んだのが起点となったマニシェ、ポスティガのデコイを絡めて空いていたスペースでグラウンダーのボールをダイレクトで沈めた。シンプルな速い攻撃だったけど、個人の技術とダイナミズム(50mですよ、マニシェ)が連動するというポルトガルらしいエッセンスの詰まったプレーであっさりとメヒコの守備組織を攻略した。メヒコとしてはこういう形を避けたいからこそ(特にアタッキングエリアの部分で)中盤を厚くしていたと思うのだけど、それを機能する間もなく、逆に役割分担が不明瞭で、マニシェの動きを捕まえきれなかった。

これで、各所に落ち着きの出てきたポルトガル。ゆったりとポゼッションし、フィーゴやシモンの突破を足がかりに機を見て、ティアゴやマニシェ、そしてサイドバックが絡む形で攻めていく。メヒコとしては、狙っていた中盤のプレッシングがポルトガルの技巧と落ち着きの前に空転、ボールを得ても少々前に急ぎすぎて簡単にボールを失ってしまう傾向が見え、独特のリズムが断片にしか生まれてこない。対極的な状況の中で、メヒコには焦りが悪い形で表れてしまう。フィーゴに振り回される形で奪われた右サイドのCK、フィーゴの狙いはニアにポジションを獲っていたメイラ、その狙い通り速いボールを入れると、マーキングに置いて後手を踏んで焦ったのかマルケスがちょこっと手を出してクリアしてしまい、それが見つかってPK。これをシモンが落ち着いて沈めて(てゆうかフィーゴは蹴らないのかねぇ)2-0。メヒコ、苦しい。落ち着け。

これで更に攻め手を強めざるを得ないメヒコは、ポルトガルの優秀なアタッカーの局面打開に苦しみながらも、前への意識を継続して持ち続け、それが実ってかセットのチャンスを得る。左サイドからパルドのFK、低いインスイングのボールが流し込まれるとニアでマルケスが反応、体を倒すようなヘッドで後ろにすらし、そのすらせたボールをしっかりと予測していたブラボが良いタイミングで入ってきて強烈なダイレクトシュート!しかしこれは正面でリカルドが防いだ。この流れからの右CK。今度は普通に中にボールを入れると、うまくゴール中央でマークを外していたフォンセカが合わせる。コントロールされたヘッドはしっかりと逆サイドネットに収まった。フォンセカのヘッドは見事だったけど、簡単にマークが空いたなぁ。フォンセカのマークを外すタイミング、動き、良かった。1点差。

このゴールで焦りが消え、立ち直ってリズムを取り戻したメヒコは、ある程度正常にチームが機能するようになる。囲い込みが機能せず苦しんでいたシモンやフィーゴもある程度潰せるようになり、そして奪ってからの展開にも丁寧さが少し戻って、短いパスを織り交ぜながらスペースを使う形でアタッキングエリアまでボールを運分事が出来るようになった。そしてアタッキングエリアに入ったら、素早く、細かく、そしてリズム良く繋ぐことでフリーマンを作り出すメヒコらしいテンポある形でチャンスを生み出す。ポルトガルとしてはリズムを失ったわけではなかったが、その勢いに押された。結局その後もブラボなどにシュートシーンはあったモノのゴールは生まれず、前半は2-1で折り返す。

後半
メヒコはより攻撃にアクセントを付けようと、この日はベンチスタートだったシーニャを投入。それに伴ってマルケスが一列落ちて4-4-2に変更する(交代はロドリゲス)もちろんビハインドを負っているのでメヒコは、積極的なアプローチはそのままに、シーニャが入ったことを活かす意味でよりポストを絡めた中央からの攻撃が増え始める。ポルトガルは前半よりも後ろにバランスを移して、現実的にゲームを運びながらカウンターを狙う形に推移させる(ミシェルの言う通り)

ラインを下げて、スペースを埋めるポルトガルのディフェンスにエスプリを効かせたプレーで崩しに掛かる展開の中で、そのらしさというのが爆発する。シーニャの中央でのドリブルワークを起点に相手を揺さぶり、うまく穴を空いたところを見つけてフォンセカへ、フォンセカも受けたところで素早く穴が埋められたのを見て、時間を作って後ろからの上がりを使い、最後はクロスからペレスへ。そしてペレスも落ち着きはらって、コントロールがぶれたのを考えて切り返しちゃう、そこにミゲウが騙されて思いっきりダイビングタックルをしてしまい、それが掛かってPK!テクニック、状況判断、ゴール前での落ち着き、美しい流れだった。で、このPKをブラボが決めて同点……と書こうと思ったら、力入りすぎて宇宙開発……同点のチャンスを逃してしまう(ミゲウは退場にならなくて良かったね)

悪いことは重なるモノで、その後もメヒコらしい素晴らしいダイレクトプレーの連動で完全にポルトガルディフェンスを崩しきり(ワン、ツー、スリー、フォーとワンツーが重なりまくった)、又も最後はペレス。ここで体を寄せていたミゲウが足を出したところで倒れ、又PK?この微妙なジャッジ、主審ルボス・ミッシェルはシミュレーションの判定。よく見ていたのか、誤審なのか凄い微妙なプレーだったのだけど(足が掛かる前に倒れているけど、コンタクトに倒れたとも見える。でも、足という部分を考えたらやっぱり自ら倒れたかな)、結果としてシミュレーションなのでイエローカード、ペレスは2枚目で退場となってしまう。フェリポンは一枚もらっていて、守備面で危ういプレーの続くミゲウを心配したのか、パウロ・フェレイラにスイッチ。
良いゲームだから空気読んでほしかったな、出さなきゃいけないのは分かってるんだけどさ。

ドタバタした流れの中で、メヒコはピネダに代えカストロを投入。ポルトガルもサイドバックの交代に続いて、ほとんど存在感のなかったポスティガに代えてヌーノ・ゴメスを投入する。しかし、試合の流れは変わらない。ネガティブな結果とは別にチャンスは作り出すメヒコの勢いは衰えず、数的不利になってもチャンスを生み出し続ける。その中でもラインのギャップをうまく突いたブラボが長いボールから抜け出し、1vs1のビッグチャンスを迎えたが、これも力が入ってしまったのかふかしてしまい、決定機を逃す。これ以外にも細かいパス回しでギャップを作り出し、そしてそこを突く形でラインの裏を取ってチャンスを作り出していたが、決定機までは繋げられず。

ポルトガルは数的優位を活かせず、メヒコは必死の猛反撃も実らず、その中でラストカード(ポルトガルはフィーゴ→ボア・モルチ、メヒコはメンデス→ブランコ)を切って最終局面に入っていくが、結局このままゲームは動かず。メヒコの必死の反撃は非常にポジティブなモノだったが、さすがにポルトガルも水際ではやらせなかった。ということで結果は2-1。ポルトガルは3連勝で首位通過を決め、メヒコも敗れたモノのこのゲームの裏で行われていたイラン-アンゴラの試合がドローで終わったこともあり、勝ち点4でグループリーグ突破を決めた。

何か、嬉しくなっちゃうよね。ある程度結果が見えているけど、それでも強豪国同士、戦う意志に溢れた非常にポジティブなゲームを見せてくれる。メヒコはある程度勝ち点確保のためにやらなければならない側面はあるにしても、ポルトガルもメンバー構成、試合運びは慎重だったにしても、やっぱり勝負が掛かるところではプライドを見せてくれる。僕はトーナメントの行方とか、周辺事情とかを気にしちゃうのだけど、こういうのを見せられるとサッカー好きとしては嬉しい。

で、ゲームの綾としては直接的にはチャンスを活かせたか、活かせなかったかというところにどうしても目線が行ってしまうのだけど、掘り下げてみると、メヒコがポルトガルのストロングポイントであるフィーゴ、シモン・サブローサに対して、そこを直接抑えにいくというのではなく、中盤で積極的にプレスを掛けて、「彼らにプレー機会を与えない」という選択をしたところに鍵があったかな。結局その狙いを遂行しきれず、フィーゴやシモンにスペースを与えてしまった(前に前にという姿勢をいなされればスペースが出来てしまう)そういう意味ではポルトガルの技術力、ボールを繋ぐ力というのが勝負を分けたポイントだったのかも知れませんね。

ただ、メヒコの積極的な姿勢は個人的にはとてもポジティブだと思った。勝つためのアプローチとして、ある程度慎重にゲームに入り、失点の危険性を削って機会を伺う方が利口な選択だったのかも知れない。でも、個々の守備能力、身体能力などを鑑みて、劣っているとしたらその元を絶つというのもありなのかなぁと。リスクは確かにあるわけだけど(このゲームもそうだったわけで)、こういう主体的なプレー姿勢を出すことでチーム全体の意志も前に向くし、奪えた場合にはゲームを掌握することも出来る。実際ポジティブに反映している時間も多かったし、そんなにネガティブじゃないんじゃないかなと。

で、後は両チームの印象。まずポルトガルとしては、メンバーを落としながらも良い形で点を重ねられたので、バランスを見ながらゲームを進められたのだけど、やはりコンディションの良い選手が多いなぁという印象を受けました。特にこの試合ではシモンが良かった。シモンはクリスティアーノ・ロナウドが戻ってくるとはじき出されちゃう可能性が高いけど、フィーゴは連戦には不安があるし、ロナウドはムラがあるから、シモンの調子が良いことはポルトガルにはとてもポジティブなのかなと。マニシェも幅の広い動きが戻ってきて、決勝トーナメントでは期待できると思う。で、気になる部分は、守備に置いて全体的に細かいテクニックに対しての柔軟な対応力には問題があるように見えたこと(アルゼンチンと当たるとしたらちょっと苦しむかも)そして、個人でもメイラがラインを崩してしまう事やミゲウのスペースマネジメントと守備力の問題など(そんなのわかっちゃいたことだけど)、少々気になる部分もあっただけに、何とか修正したいところかも知れませんね。

メヒコは、おめ!良かった良かった。結果としては序盤のビハインドを跳ね返せず負けちゃったけど、パフォーマンス自体はとてもポジティブだし、クオリティもポルトガルに劣っているとは決して思わなかった。こないだの試合はスペースを削られて細かいエスプリの効いたプレーが余り出てこなかったのだけど、この試合では全開。痺れました。丁寧な技術、速く柔軟な判断、周辺状況を察する感覚などが強みが出せれば十分にトップチームともやれると思うし、後はそれを決めきるだけ。ボルヘッティが戻ってくれば、立体的なプレーを織り交ぜられるし、そういう意味ではちょっと期待の高まる出来だったかなと。守備に関しては、1vs1における個々の対応力に問題が残ったのは明らか。グループで守れればそんなに脆さを感じるモノではないけど、1vs1となるとやっぱり苦しい部分も感じさせただけに、この辺は強豪相手にはこれからも怖さは残るかな。個人的にマルケスはバックラインで使った方が良いと思う。ボランチなら彼の不在は気にならないけど、バックラインは彼の不在を埋められない。チームバランス的に、ね。

とにもかくにも、この日のパフォーマンスを見て、CとDの対決となる決勝トーナメント1回戦が更に楽しみになりました。もちろんC組の2チームの絶対的優位は揺るがないけれど、違う特徴を持っているし、面白いゲームになるんじゃないかな。両チームともファンタスティックでポジティブ。ということで今日はここまで。

で、追記。その他の結果。

Group D
Iran 1-1 Angola @ Leipzig
IRN:75'S.Bakhtiarizadeh ANG:60'Flavio

FIFA MatchReport

イラン意地見せたね。アンゴラはグループリーグ突破の望みを繋げる最低条件の勝ち点3得れず。ただ、初得点おめでとう。良いゴールだった。

Group C
Cote I'voire 3-2 Serbia&Montenegro @ Munich
CIV:37'p&67'A.Dindane 86'pB.Kalou SCG:10'N.Jigic 20'S.Ilic

FIFA MatchReport

「セルビア・モンテネグロ」として最後の代表試合、そしてコート・ジボワールとしても初出場の足跡を残したい。そういう意地がでた良いゲームだったと思う。両チームとも結構メンバーを代えてモチベーションの面でも、コンディション的な面でもフレッシュなことが良い方向に反映したかな。ナジィが退場して、はっきりしたゲームになったけど、しっかりとリトリートしたセルモンを崩したコート・ジボワールは見事。ここまでのポジティブなプレーがこの試合でも反映されていた気がする。どちらもお疲れ。

Group C
Netherlands 0-0 Argentina @ Frankfurt

FIFA MatchReport

両チームとも、先を見据えながら現実的にゲームをしていた。それだけにこのスコアレスも妥当な結果。オランダが5人(ジオ、マタイセン、ヘイティンガ、ファン・ボメル、ロッベン)、アルゼンチンが4人(エインセ、ソリン、クレスポ、サヴィオラ)メンバーを落としていたにも関わらず、それでもピッチにはきら星の如くスターが居並び、層の厚さは感じたけど、どちらもリスクを冒さず真価を発揮するまでには至らず、残念。で、ラフィは消えまくっていたし(後半持ち直したにしてもまだまだまだまだ)、アイマールたんはなかなか出てこないし、それも又残念。

でちょっとメモ。両チームとも素晴らしい局面打開力を持つ選手がいたわけだけど、お国柄なのかその特徴に結構違いがあったのかなぁなんて。もちろんどちらの選手も技術は高い、それは共通してるんだけど。アルゼンチンで言えば、メッシやテヴェス、リケルメなどが良い例だけど、体(腕とか背中とか)の使い方が上手で、感覚的に知っているからそれが玉際の強さになる。つっつかれてももう一度それを自らカバーして前に進んだり、取られそうと言うところでうまく体を使って自分のボールにしている。余り綺麗な様ではないけど、激しくてシビアなフットボールが身に染みついている感じがした。オランダの方は元々持っている身体能力というのを意識するようなプレーが多いかなと。ファン・ペルシー、ロッベン(出てないけど)なら恵まれたスピード、バッベルは柔らかさ。自分の強いところを活かそうという意識が高い。ポジショニングの意識が高くて、効率の良いフットボールをする国らしい選手というのが表れてる気がした(所詮、僕が感じた感覚に過ぎないのだけど)

てゆうか、メッシは見てて怖い。相手が足を出すタイミングの本当にぎりぎりの所で、体を翻したりスピードを上げて「すっ」とかわす感じだから、それがダーティなタックルをされた時に大きな怪我に繋がっちゃうんじゃないかと……冷や冷や。まあそのタイミングの勘とかが彼の良さでもあるわけだけど、心配で心配で(贔屓しすぎ)

まあこれからが本番だね。アルゼンチンはメヒコと、オランダはポルトガルと、どちらも因縁のあるゲームだね(オランダ-ポルトガルはEURO2004準決勝の再戦、アルヘンティナ-メヒコは'05CC準決勝の再戦)どちらも熱くハイレベルなゲームだったから、その再現を期待。

|

« 歴史とプライドの刺激@FIFA WORLDCUP Germany2006 GroupB Sweden vs England | Main | 理想との対峙@FIFA WORLDCUP Germany2006 Group F Japan vs Brazil »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77106/10628307

Listed below are links to weblogs that reference ファンタスティックな両雄@FIFA WORLDCUP Germany2006 Group D Portugal vs Mexico:

« 歴史とプライドの刺激@FIFA WORLDCUP Germany2006 GroupB Sweden vs England | Main | 理想との対峙@FIFA WORLDCUP Germany2006 Group F Japan vs Brazil »