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June 20, 2006

監督冥利@FIFA WORLDCUP Germany2006 Group H Spain vs Tunisia

良いゲームだったね。やっぱり夜のゲームは充実してる。それにしても、これだけ嵌るのも珍しい。監督冥利に尽きるんじゃないかな。

FIFA WORLDCUP Germany2006 Day12

Group H
Spain 3-1 Tunisia @ Stuttgart
ESP:71'Raul 76'&90'+1'pF.Torres TUN:8'J.Mnari

FIFA MatchReport

スペインスタメン:GKカシージャス、DFセルヒオ・ラモス、パブロ・イバニェス、プジョル、ペルニア、MFシャビ・アロンソ、マルコス・セナ(→46'セスク・ファブレガス"Debut")、シャビ、ルイス・ガルシア(→46'ラウール"救世主")、FWビジャ(→57'ホアキン)、フェルナンド・トーレス"師匠じゃないよ、こんなの"

チュニジアスタメン:GKブムニジェル、DFハテム・トラベルシ、ジャイディ、ハゲイ、アヤリ"そりゃ怒りたくもなるわ"(→57'ヤヒア"戦犯、か?")、MFナフティ、エムナリ、ナムシ、ブアジジ(→57'ゴドバン)、シャドリ(→80'ゲマムディア)、FWジャジリ

今日のドイツは不安定な空模様。前の試合のハンブルグでも試合前にはにわか雨が降ったそうで、それはこのシュツットガルトでも例外ではなく、試合が始まってから強い雨が降りはじめた(ボールを転がるように試合前にはピッチに水を撒く事が日常化されているスペインにはポジティブかなぁと思ったり)で、常に高い期待を受けながら、期待を裏切り続けてきたスペインの2戦目。このゲームで勝ち点3を確保できれば、グループリーグ突破が決まる。初戦は素晴らしい立ち上がりの勢いをうけて、望むべき最高の結果での船出をしたスペインは、その流れを汲んでメンバーの変更はなし。対するチュニジアの初戦は、試合運びなどには問題が残ったモノの、終盤にビハインドをはね返し、勝ち点を確保出来たことはポジティブ。このゲームで勝ち点を得ることは先への希望に繋がるだけに、モチベーションは高い。

前半
スペインはウクライナ戦同様、開始直後から落ち着いてボールを動かし、主導権を握りに掛かる。そしてセットプレーからルイス・ガルシアがニアに飛び込んで合わせ、ファーストシュート。その後も2トップのポストコンビネーションからビジャの鋭いシュートが飛ぶなど、順調なスタートを切ったと思われた。しかし、チュニジアは一発のチャンスをモノにする。右サイドのスペースを狙ったカウンターに1トップのジャジリが反応、サイドバックが高い位置に出ていたこともあり、プジョルが対応に行ったがジャジリがコンタクトを制し抜け出すと、エンドライン際まで持ち込んで折り返し、そこに走り込んだのはエムナリ。そのままボレーで叩くと、そのシュートこそカシージャスの反応に凌がれたモノの、自らこぼれ球をフォローして押し込み、チュニジアが先制。まさに蜂の一差し。ファーストチャンスを得点に繋げた。

これで、目覚めざるを得なくなったスペインですが、チュニジアのリアリスティックな守備とサイドバックの高いポジショニングと積極的な攻撃姿勢を狙われる形のカウンターに手を焼き、なかなかリズムが掴めない。特にチュニジアの穴を作らない勤勉なアプローチ姿勢が際だち、攻めたいスペインに楽な攻撃構築を許さない。それでも、シャビ、シャビ・アロンソ、セナが精力的に動いてボールに絡み、ビジャやとト-レスがスペースに流れて起点を作ることで、何とか攻撃を形取っていく。しかし、それでも最終局面では可能性のあるシーンはビジャのFKぐらいで、攻めきれない。

ボールこそ回るモノのなかなか攻めきれないスペイン、チュニジアはミドルに激高するルメールを見ても、守備の意識において求められる集中力や意識はかなり高い。攻撃に関してはカウンターという形が徹底され、スペインのトップに対するアプローチが弱いこともあり、ジャジリにボールが入ると、アタッカー2~3枚+一気に長い距離を走るトラベルシが上がってきて、カウンターに繋げていくという形が目立ち、そのカウンターには鋭さを感じさせる。チュニジアとしてはとてもポジティブなゲーム運びが出来ていたが、ここで一瞬の隙が生まれる。

終了間際の43分、右サイドシャビからのCK、素晴らしいアウトスイングのボールがゴール前に供給され、飛んだセルヒオ・ラモスの後ろに入り込んだシャビ・アロンソがフリーでスタンディングヘッド。素晴らしいコースに飛んだが、ニアポストのゴールカバーに入っていたアヤリがゴールライン手前でカバー。何とか難を逃れる。スペインとしては流れの中で攻めあぐんでいたモノのセットプレーはシャビのキックが素晴らしい精度を誇っていただけに可能性を感じた。結局前半はチュニジアのリードで折り返す。

後半
攻めきれなかったモノのそんなにネガティブな印象はなかったスペインですが、ビハインドもあってより攻めの姿勢を強める采配。セナに代えてセスク・ファブレガス、ルイス・ガルシアに代えてラウールを投入。システムを変えてと言うより、人を入れ替える事で変化を促そうという意図か。

後半も、前半と変わらずスペインがゲームを支配し、チュニジアがカウンターを伺う展開。ただ、よりスペインのボール支配が目立つ。開始早々から、交代選手も浮くことなくスムーズにゲームに入り(ラウールは繋ぎに置いて顔を出し、セスクもパスディバイドはもちろん、セナにはない推進力を出したり、アタッキングエリアに入っていく回数も多く、流れには乗っていた印象)、チームとしても更に積極的な姿勢で攻め込む。その中で得たCKからチャンスを迎えたり(セカンドアタックの中でセスクがミドル!低い弾道のシュート、惜しかった)、とシュートの意識も高いが、ブムニジェルを中心に集中力の高い守備でチュニジアが凌ぐ。

ゴールが遠いスペインは後半10分の所で3枚目のカード、ビジャに代えてホアキンを投入。それに反応するかのようにチュニジアも、アヤリに代えてヤヒア、ブアジジに代えてゴドバンを投入。どちらの監督も非常に動きが早い。ホアキンは右サイド中心にフリーで動き回り、ラウールのオリジナルポジションがより高い位置になり、ビジャやトーレスの裏を狙う傾向が強かったことに変化を加える意味で、楔を引きだそうという意図を感じるかな?チュニジアとしてはホアキン対策の左サイドバック交代、後はアプローチの更なる徹底とボールに絡める運動量の回復という狙いが見える。

激しく両ベンチが動いた後もほとんどゲームのリズムは変わらず、スペインが徹底してボールを回しながら攻め立てる。しかし、ホアキンはなかなかボールを触れず(良いドリブルはあるんだけど、警戒されていることもあって機会が少ない)、相手を揺さぶって崩すまでには至らず、強引にミドルを打つにとどまる。しかし、スペインの攻勢が強まって、チュニジアのカウンターのチャンスがほとんど消えた。

そんな閉塞感の中で、徐々に焦りが見え始めてもおかしくない70分過ぎ、スペインは一瞬の隙を見いだす。チュニジアにとってはホアキン対策をしたにも関わらず、そのホアキンがボールを受けれる余裕を与えてしまった事から始まったピンチ(スペインらしいタッチライン際まで開くアウトサイドアタッカーらしいポジショニング)ホアキンが右サイドでボールを引き出すと、慌ててシャドリがアプローチに行くが、ホアキンは突っかけるぞ突っかけるぞという脅しを掛けながらボールをキープ、それに反応したのはフェルナンド・トーレスとセスク、それを逃さずホアキンはグラウンダーのパスで流し込み、トーレスのスルーを経由してセスクはダイレクトで打ち込んだ。ブムニジェルは厳しいコースに飛んだシュートは何とか右手で凌いだが、そのこぼれ球に反応したのはラウール。DFと競りながら、一瞬速く押し込んだ。ラウール、苦境をはね返しスペインを救う。そして、ホアキンが起点、セスクがこぼれ球を生むミドル、アラゴネス爺の采配ズバリ。

アドバンテージを失い、ゲームプランを変更せざるを得なくなったチュニジアは前に出て行こうとするが、この姿勢が仇となってしまう。このゲーム通じておそらく初めて、かなり高い位置のライン取りとなった中で、その裏を狙われる。ラウールが楔を引き出しダイレクトでセスクへ、セスクはフリーで前を向ける状態で受けると、GKが飛び出せず斜めに走り込んで来るであろうアタッカーに追いつくポイントへ素晴らしいスルーパスに流し込む。そのアタッカーがフェルナンド・トーレス。ラウールとセスクの攻撃構築を信じて一気に長い距離を走り、そしてラインをかいくぐってそのスルーパスを受けると(ちなみにラインは上げようとしていたが、交代で入ったヤヒアが遅れ、オンサイド)、ブムニジェルが飛び出していたのを冷静に見極めて、コースを造り素早くアウトサイドで流し込んだ。スピアヘッドとして長い距離を走ったトーレス、そして速い流れに普段身を置いているセスクがその素早い判断力チャンスで逃さず活かした(瞬間的なひらめきか、先んじた状況把握かはわからないけど。もちろんラウールのお膳立ても良かった)アラゴネス爺、神懸かり的。嬉しいだろうけど、心臓止まるんじゃねぇか……。チュニジアはパサーにプレッシャーが掛かってないのにラインコントロールで仕留め損なっての失点、ナイーブ。

これで攻めざるを得なくなったチュニジアはトップの選手を投入しビハインドを返しに掛かるが、スペインも簡単にはやらせない(一度良いチャンスがあった。両サイドにボールを動かし、うまくファーにフリーマンを作ってチャンスを作ったが、コントロールミス)逆にスペインはシンプルなカウンターから高いラインの裏を取って相手に脅威を与え、終了間際には、ラウールのショートクロスにフェルナンド・トーレスが合わせに行ったところでヤヒアが引っ張ってしまい、審判はPKの判定。これをトーレスが蹴りこみ(ブムニジェル触ったんだけどなぁ)これでゲームが決まった。高いポテンシャルと経験が融合し、采配がズバリ当たり、ビハインドをはね返す。これまでに見たことのない逞しさを見せて、スペインは2連勝でグループリーグ突破を決めた。チュニジアは最終節のウクライナ戦に突破が掛かることになった。

うーん、らしくない。でも、ようやくそのポテンシャルが結果に反映されるようになったと言うことかも知れない。まあ良いプレーをした選手も沢山いるんだけど、この試合はなんと言っても采配に尽きる。僕も含めてアラゴネス爺の手綱捌きには結構不安な声を上げている人も多かったけど、年の功か、経験の妙なのか、的確な駒使いでチームを勝利に導いた。ゲームをコントロールしている時間は長かったので、後は崩しの所でのアイデアということを感じていたのだろうけど、そこでスペシャルスキルを持つ選手、より攻撃的才能を携えた選手、経験を持ち周囲を繋ぎ合わせれる特異な存在(+実績)をうまく活かした。本当に見事。

逆にロジェ・ルメールは采配自体はそんなにおかしなモノではなかったし、至極妥当なモノだったと思ったけど、その選手が失点の原因になってしまった。まあ何とも言えないけど、同点ゴールの綻びは左サイドから。狙いがはっきりしていたのなら、もっとはっきりとホアキンを捕まえにいっても良かったのかも知れない(ホアキンの局面打開を足がかりにされるのが嫌だったからこその投入なんだから、ボールを持たせる前になんとかしなきゃいけないのかなと)

で、まずスペインから。チームとしては簡単なゲームではなかったと思うけど、こういう試合をモノにして、スペインは乗れるんじゃないかな。大勝してチームは自信に溢れている中で、この逆転勝ちでその自信は更に深まったはずだし、勢いに乗れるような最高の勝ち方だったと思う。監督の采配大当たり、チームの大黒柱が重要なゴールを獲り、エースが勝負を決める2ゴール、一番若い選手が素晴らしい仕事をこなした訳だから。これで首位通過もほぼ決定的だし、万全の態勢で決勝トーナメントに挑める。何か風が流れているかも知れない。結構、色々なライターさんが今度こそ?という期待を寄せているし、本当に来るかも?とにかくチームは流れはじめているのは間違いないと思う。

チュニジアは、おバカ!もったいない。最高の形で先制点を獲り、集中力高く守って、アップセットの可能性というか、トップシードであるスペインからの勝ち点奪取は本当に手の届くところにあったと思う。ただ、そこでプランを遂行しきれなかった。前半だったら多分ああいう緩いアプローチはなかったはず。でも、押し込まれ、はね返せばいいみたいなメンタリティが横行したことで、少々緩くなってしまった。特に先制点のホアキンを外したのは、本来少々緩いプレーだったにしてもエラーに繋がるほど致命的なモノではなかったと思う(実際昨日のアレックスの緩~いアプローチも失点には繋がらなかったし。まあスルナが良くなかったにしても)でも、その小さな穴を空けたことが失点に繋がった。それも又事実。そういう意味ではもったいなかったかな。しかもそこが交代選手の所だったというのはロジェ・ルメールにとっては痛恨だったかも知れない。

ただ、それ以上にナイーブで浅はかなのは2失点目。サウジ戦でもやらかしていたラインコントロールミス。高いラインコントロールというのはチームのタスクなんだろうけど、意思統一、そして柔軟性(主にラインブレイクしてマンマークへの変更)は不安のあるチームだなぁと思っていたけど、プレッシャーが掛かっていない中で一か八かでラインコントロールで何とかしようとするのは基本的に浅はかな行為。サウジ戦の失敗が全く活きていなかった。せっかくの良いパフォーマンスもこれじゃ台無し。もう少し詰めるべき必要性を感じました。まあ負けちゃったけど、次が本番だろうから、次こそこの失敗を活かしてほしい。出来なかったら又血祭り。

まあ何となくいつぞやの試合を思い出しちゃいそうなスコア推移だけど、まあとにかくここからですな、どちらとも。ということでとりあえずここまで。

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Comments

いたさんごぶさたしてます。
チュニジアの監督はルメールですよ。
アンリ・ミシェルはコートジボワールの監督です。

Posted by: SKCOOK | June 20, 2006 at 01:28 PM

skcookさん、こんにちわ。又更新が始まって嬉しいです。

ですね。上ではルメールと書いて、下では全部アンリ・ミシェルに変わってる不思議。何を勘違いしたのだろう。頭の中、4年前みたいでお恥ずかしい(苦笑)

修正させていただきました。ご指摘ありがとうございました。

Posted by: いた | June 20, 2006 at 11:03 PM

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