« 活発な移籍市場と共に今日のニュース雑感。 | Main | Breakaway from The shadow -小笠原満男- »

May 27, 2006

A heart of "For The Team" -中田英寿-

僕は基本的に中田英寿という選手はとても質の高い選手であり、価値のある選手(ビジネス的ではなく、あくまで選手として)であると思ってます。しかし、彼はここ数年、常にクラブで自分の居場所を確保しきれず、存在感を発揮できてはいない(終盤は帳尻あわせのようにスタメンで連続出場したけど)何故と言うところから、どうするべきなのか、WCに向けて彼に望むことなど。続くか分からないけど、WCに向けて選手にスポットライトを当てていこうかなと言う感じで第一弾。

・アイデンティティ

中田英寿という選手を語る上で、何よりも欠かせないのがこの「アイデンティティ」という要素。彼の中に確固たる「自分のサッカー」というイメージが出来あがっており、それを基準にサッカーを考えたり、プレーしたりしているという感じを受けます。まあそういうのは「hide’s Mail」とか、話題になったバーレーン戦前(だったっけ?)の練習でチームディフェンスのやり方に関して福西と”言い合い”している事でもよく分かります。

有名な例で言えば、簡単にクリアをせず、確実にボールを繋いで攻撃していくことだとか、常にボールを受ける前に周辺の状況を首を振って確かめていること、早い動き出しで自分のパスを引き出せる選手を好むこと、待ち受けるような守備ではなく主体的にコンパクトな距離感で高い位置でのプレッシングを好むことと言うのが代表例だと思います。まあ若年層から世界と戦ってきた中で彼の聡明な頭脳が出した答え、概念であり、そういう答えを導き出せると言うことはとても素晴らしいことだと思う(合っている合っていないは別にして)

ただ、アイデンティティに強く縛られる余り、自分の枠を決めているようにも見えてしまう。繋ごうとせずにぼんぼんボールを蹴ることが中心の攻撃構築や、引きっぱなしの守備ブロック、自分の枠組みにそぐわない役割などには、自分の思い通りにやった方が良いのに・・・とでも言いたげに、首を傾け、不満を溜める。

うがった目で見れば、彼はきっと自分中心で、自分の良さが活きるチームでなければ気持ちよくプレーすることが出来ないタイプなのかなぁと思ったりする(まあ誰でもそうだろうけど)そのアイデンティティも裏返せば、ヒデのプレーの特徴を良く表している。

ぼんぼんボールを蹴る→自分の速いパスや周囲の状況察知、素早い判断と決断が活きなくなるし、全体の距離が開くことで攻撃参加もしづらくなって、自分の特徴が出せない。

引き気味の迎え撃つ守備ブロック→相手に主導権がある状態でする守備には一抹の不安があり(プレミアシップの推進力のある選手に突っかけられると、すこんすこん抜かれるか、ファールで止めるしか出来ないことを見ても明白)、自分の特徴でもある周辺の状況を読む力を活かした守備が出来ない。又、後ろに体重が掛かることもあって、速い切り替えのサッカーがやりづらい。

一人の選手として得手不得手があるのは当たり前なんだけど、本来彼が持っている能力を考えたとき、これはもったいないことなんじゃないかと思ったりしています。

・柔軟に出来る能力は持っているはず、必要なのは「受け入れる」ということ

実際、こういう感じでチームのやり方に疑問を持ち、そのタスクでチームのために身を粉に出来ない選手では監督に干されるのも仕方がないのかも知れない。指揮する側から考えれば、こういう選手は不協和音の元でもあるし、独善的なプレーに走り、穴になる可能性も含んでいる。でも、実際ヒデは自分の枠から外れたサッカーに順応できないのかと言ったら、絶対という言葉を使っても良いぐらい、Noだ。彼は順応できるはずなのだ。

というのも、彼には明晰な頭脳を持ち合わせていて、とてもクレバーな選手というのがその要因。受け入れ、消化することだけが必要なのだ。強い肉体と持久力を持ち、基礎スキルも持ち合わせている。世界最高峰とは言わないまでも、それなりにオールマイティに何でもこなせる選手なのだから、たとえ自分のアイデンティティにそぐわない役割やチームタスクに対しても「受け入れる」「従う」事で何でも出来ると思う。現状の彼が定める「幅」は中田英寿という選手のキャリアとって、邪魔なモノなのかも知れない。

中田英寿のアイデンティティにおいて、あくまでも全ての根本にあるのは「自分が活きる」、「自分が主役になる」ための唯我独尊的な考え。でも、中田英寿を核にして戦うようなチームは欧州トップリーグでは実力的・金銭的など様々な条件から(下位のレベルの低いクラブならそれも可能かも知れないが、彼を買うための金額を負担できず、彼を買えるクラブは彼を核とするチーム作りなど、レベル的にしない)皆無と言っても良いぐらい少ないし、代表チームも多くの選手が育ち、もうそういう時期は過ぎ去った。でも、上記の通り、彼の能力は決して低いわけではなく、チームにとって役に立つ力の持ち主でもあるはず。だからこそ、主役ではなく周囲を輝かせるバイプレーヤーとして、チームを助ける存在として”真”のチームプレーヤーに変われれば、再び輝きが戻ってくるのではないかなと。まあ、元々日本代表で苦しいときにこそ頼られるだけ頼られ、彼が輝いたペルージャやボローニャでも同じような状況だった。そういう時にこそ眩いばかり輝いたヒデにはとても酷なことで、ファンには受け入れがたいことかも知れないけど、そのプライドさえ今の苦境を抜けるためには捨てるべき、だと思う。

・代表に置いて、中田英寿に望むこと。

ただ、そうはいっても日本代表にとってはやはり唯一無二の存在であり、その力は欠かせないモノなのは言うまでもないことです。そして、現状に置いて彼が自我を捨てようが、捨てまいが、彼の適切な状況把握と素早い判断はこのチームに血を流す心臓と言うことにも変わりはありません。

ただ、これまでのWCと違うのはこのチームは彼と心中というチームでもないと言うこと。中村俊輔、小笠原満男、小野伸二。主役になれる選手は沢山いる。だからこそ、ヒデには彼らを活かすような働きをして欲しい。ちょうど8年前、美しき左足を持った名波浩が自分を抑えても身を粉にして活かしてくれたように。

僕はジーコ体制で一番出来が良かったのは、昨年のコンフェデレーションズ・カップの第2戦ギリシャ戦だったと思っている。彼自身も「奇跡」と表したような、これまで見たことのない様な連動感で有機的に繋がりながら、変化の伴ったカウンターを連発したプレーはまさに奇跡と言えるものだったと思う(そして腐るぐらい決定機を逃した)試合のMVPに決勝点のアシストをし、美しいテクニックでカウンターに色を付けた俊輔が選ばれ、体調不良ながら高い位置で質の高い判断とムーブでボールを引き出し鋭いラストパスを連発した小笠原が存在感を示した訳だけど、そんな美しき連動したカウンターの素地を作ったのが陰のMVPと言われたヒデだった。守備に奔走しながら相手の攻撃を凌ぎ、鋭い周辺察知でフリーマンを見つけてボールを繋ぐことで、二人を活かしたのだ。(アイデンティティでもある「低い位置でも蹴り出さずに攻撃に繋げる」という要素は出ていたにしても)チームのためにある程度自分を抑えてプレーしていたことが奇跡に繋がったといえるのかも知れない。

きっと彼の明晰な頭脳は答えを導き出しているはず、自分が主役となるより、チームのためにやる方がうまくいくということを。バランスを見ながら失点を凌ぐために守備をしっかりこなし、奪った後により素早く、正確にボールを供給していく。心臓として末端に血を送り込むように。ヒデがチームのためにフットボーラーとしてのシンプルな思考に身を任せたとき、日本はもっと強くなる。

*まあ個人的に思っているのは、以前の開拓者のような中田英寿はもういないということ。サッカーが時と共に進む中でアタッキングエリアのスペースは消され、そういう状況を打破するためにアイデアや技術をより強く求められる事になって、彼はトレクァルティスタとしては淘汰されていった存在だったのかも知れない(以前ポジションを争ったトッティが得点に絡む要素に特化し、アタッキングエリアの王様となったのと対比になっているのかも知れない)ただキャリアを重ね、少しずつプレーを変わっていく中で、彼にはチームプレーヤーとしての才覚を得ていたのも確か。明晰な頭脳、周辺察知の速さ、シンプルなプレー、フィジカル的なバランスの良さ、元々そういう才覚を持っていたとも言えるのだけど、プランデッリやアラダイスといった3大リーグで結果を残す名将達がそれを求めていたことも又裏付けとなっていると思う。後は、自分次第。日本のパイオニア、エース、攻撃的な選手、揺るがざる司令塔、そういうモノを全てを脱ぎ捨てた中田英寿に期待したいところです。

やるといったはいいものの、結構大変かも知れない。時間掛かるなぁ。コラムあんまり書いてなかったから……(言い訳)てゆうか、選手によってもの凄い中身が変わりそう。てゆうか次は誰にしよ?まあいいや、ぼちぼちやっていきますよ。ということで今日はここまで。

*クロアチアの試合を遅まきながら見たよ、強いね。完成しつつあるプルショとクラスニッチのコンビはやっかいだわ。でも、守備ブロックの堅さと強さの方もやっかいかな。4枚のセンターバックがいるみたいにがっちり固めて、失点の可能性を削っている感じで、崩すのは相当難しそう。後はコンディションはまだまだという感じもあるかな。シーズン中のアルヘンティナとの試合の方が出来は良かったんじゃないかな?ミスが多いのも相変わらずという感じ。でも出来が良くないのにあのスコアって事は……だめじゃん。

*オージーの方はまだ。スココのゴールは見たよ、ボレーが綺麗だったね。ただ、キューウェルとか、カーヒルの状態の方が気になるかな(キューウェルの回復が遅れてるらしい、まあ多分出てくるでしょ。ちなみにカーヒルとシュウォルツァーと共に順調。GKはカラッチもいるからなぁ)彼ら二人がいたら全く違うチームになるだろうし。

*代表さんはドイツに出発。昨日じゃなかったんだ。休日に何食べるか迷ってたヒデは昨日何喰ったんだろ?ちなみにスポニチで機内食が出てた、サッカーボールをかたどった料理とかカツ丼らしい。とりあえずはドイツ戦ですかね。ドイツといったら2年前の横国。ボロボロにされたからねぇ、1.5軍同士だったけどさ。バラックとクローゼはうまかったなぁ。でも、多分ドイツよりクロアチアの方が強いのは内緒だ。

|

« 活発な移籍市場と共に今日のニュース雑感。 | Main | Breakaway from The shadow -小笠原満男- »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77106/10255406

Listed below are links to weblogs that reference A heart of "For The Team" -中田英寿-:

« 活発な移籍市場と共に今日のニュース雑感。 | Main | Breakaway from The shadow -小笠原満男- »