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August 05, 2005

Necessity of 'off the ball'.

東アジア選手権の優勝、並びに総合優勝が無くなったそうです。格下相手になかなか勝ちきれなかった理由は様々な部分であると思いますが、個人的に一番気になったのはなかなかパスが繋がらない事。即興的でコンビネーションが取れていない、同じイメージを抱けない、何をしたら崩せるのかわからない、ヒデがいないなど、様々な理由があると思いますが、オフ・ザ・ボールの動きが足りなかったと言うことが結構大きな要素なのかなと感じたりしました。と言うことで、パスを繋ぐためにしなければならないことを今日はやっていこうかなと。海外クラブとも試合をして少なからず差も見えた部分があったので、その辺を絡めながら。(見切り発車=まとまらない)

・中国戦に見るパスが繋がる理由、パスが繋がらなかった理由。

まあこれを思いついたのも、一昨日の東アジアの中国戦でビハインドを背負っているにもかかわらずパスを繋がらず、ほとんどがDFラインとボランチの間でぐるぐる回すだけになってしまったことに起因しているのですが、前半アレだけ開放的なサッカーを出来ていたにもかかわらずどうしてそうなってしまったのか。まずはその辺を考えていこうかなと。

前半はお互いのコンビネーションが取れていないこともあってミスもありましたが、楔のパスの本数も多かったし、崩す形というのは比較的沢山作れました。前半は後半とは違って中国の守備陣も比較的ニュートラルな形でスペースがあったし、コンビネーションや共通理解として、オリンピック代表や(元も含めた)ジェフラインなど昔取った杵柄的な要素もポジティブに活きて、このチーム良いじゃん、と思わされるだけの非常にアグレッシブな攻撃を見せてくれました。ボールが回った理由としては、選手達のモチベーションやアピールの意欲というモノがしっかりと噛み合ったというのが大きかったのではないでしょうか。アピールするという意識は自ら動き出してボールを要求するような動きになり、ボランチも低い位置から高い位置にポジションを移してダイナミズムを付随、ウイングバックは積極的にラインの裏にフリーランニングという形で表現された。そして結果的にパスコースを作る動きが沢山生まれ、だからこそコンビネーションは出来上がっていなくてもそれなりに効果的なパスが多く、攻撃もスムーズに(これは言い過ぎかな?)回っていたのではないでしょうか。

しかし後半、ああいう形で停滞してしまった。とりあえず原因を羅列していきましょう。

外的要因
・中国が2点のアドバンテージを持ったことで、DFラインを低く設定し、より明確な形で守るという姿勢を打ち出したことで、アタッキングサードにスペースが無くなったこと。
・中盤でも人数が多くなり、忠実にボールホルダーにプレッシャーが掛けられたこと。
・前線のアタッカーのいつも近い距離にDFがいるような状態を改善出来なかったこと。

内的要因
・スタミナ切れによる運動量の低下により、パスレシーバーの動きが少なく、パスコースを有効なタイミングで作ることが出来なかった。
・シビアな事態に対応するだけの経験も共通意識も持ち合わせてはいなかったこと。
・カウンターへの警戒心からの必要以上の安全志向に陥り、リスクのあるパスが出せなかったこと。

まあ上記のような要因があって、あのような溜息が漏れるような形になってしまったのではないかと思うわけですが、そんな中でパスを繋ぐためには何が必要だったのか。経験の少なさから来る過緊張、アピールしてやろうという肩の力が入りすぎた状態、優勝するためには負けられないと言うことで掛かったプレッシャーなど、様々な負の要因が彼らの肩にのし掛かり、前半のオーバーペースもあって後半に戦えるだけの力を余らせられなかったというのは、正直仕方なかったのかなと思うわけです。そして体力的に低下すれば、自ずと動きの量は減ってくるし、勿論頭の部分も回りが遅くなる。ある意味あの停滞は必然と言うべきモノだったのかも知れません。しかし、動けないにしてももっと頭は回して欲しかった。「次に阿部に入るな、前向いたらすぐもらえるようにコースを作っておこう」みたいな引き出す様な動き(いや、意識レベルでね)があれば、あのような停滞したような形にはならなかった可能性はあるのかなと。全てにおいて動く事は出来ないのだから、頭を使って入りそうなタイミングで動きを一気に付けるという工夫があればもう少し変わったのかなぁ・・・と。勿論ボランチのリスクチャレンジマインドが減退したいたこともあってなかなか縦に出てこなかったと言うこともあったと思いますが、ビハインドを背負っている状態で前はフレッシュになっている、しかしそういう動きは少なかった。まあ疲労もあるので、前半に見えた意欲が減退したと言い切りたくはないですが、その意欲は迷いに打ち消され、足が止めてしまったことは事実。そんなところに原因はあったのではないでしょうか。

・予測と判断、ヒデのプレーに見るインテリジェンスの必要性。

ちょっと話はずれますが、中田英寿の凄い所ってどんなところだと思いますか?強靱でバランス感覚に優れたフィジカル?鋭くタイミングを逃さないパス?フィジカルと予測を活かして前への推進力に替えるドリブル?まあ全てに置いて高い能力を持ったハイブリッドなミッドフィルダーだと思うのですが、今日取り上げたいのはそういう実効的な部分ではありません。彼の頭の良さです。

「ヒデがいたら昨日の試合は勝てたかも」と思われた方は少なくないと思います。個人的にもヴィオラの日本ツアーの後にそのまま借りてきたら良かったのに、と思うぐらいです。バーレーン戦やコンフェデ(メヒコ戦除く)で好リズムを生み出していたのは紛れもなく彼の「頭脳」であり、これは正直他の日本人プレーヤーの追随を許さない超高質のプレーマインドだと思うわけです。彼の効果的で又タイミングの良いパスさばきが日本の好パフォーマンスに繋がっていったのはもう異論を挟む余地はないのかなと。でも多分ヒデ並みにパスを出せる選手はいると思うし、単純な技術だけならヒデより高い選手もそれなりにいるのも事実(まあプレースタイルの違いがあるから一概には言えないわけだけど)。何が違うのか、どこに差があるのか、それは意識の部分、予測だったり察知という部分で非常に長けている所に他のボランチとの差があるのではないでしょうか。もちろん彼もボールを持たなきゃリズムは生み出せない。その中でヒデが何をしているのか、そこがポイントです。もしビデオでヒデがボローニャにいた時のモノを持っている人がいたら見てみるとわかると思いますが、ヒデが低めの位置で試合に出ている時に、非常に目立つシーンがあります。それは、味方が中盤でボールを奪った時、次にボールを受けるのは大体ヒデなのです。それはヒデが信頼されているからと言うのもあるのですが、それよりも大きな要因は彼自身が小さな工夫を施して受ける努力をしているからです。簡単に例を。中盤でプレスを掛けにいっていてボールを奪えそうだ!と言う部分を的確に察知し、彼はその時点で守備をやめ(*1)、そして受けるために2~3歩動いて自分のポジションをズラしてその奪ったところから出しやすいアングルにポジションを変える(*2)、そして自ら作った良い状態のポイントでパスを受け、誰よりも早くピッチの状況を確認してパスを散らしたり、切り替えのギャップを突き自ら運んだりする(*3)。これこそ良いタイミングでパスが出される要因となっている部分なのではないでしょうか。そしてこれと似たものが日本代表の試合でもあったのかなと。ちょっと補足すると、*1でまずその流れの守備に見切りを付け、次の準備動作、この時点でヒデのスイッチは攻撃に切り替わる。*2はそのままですけど、*1で既に頭が切り替わっているから他の選手より早く準備動作に入っており、周辺察知も早い。その受けた後のプレーも周囲の状況を既に確認済みだからよりはっきりイメージできる。*3で既にもう次の行動ですよね。これが中田英寿のインテリジェンスを最も表しているような部分なのかなぁと感じたことがありました。まあヴィオラでは余りこういうプレーは見られなかったわけですが(信頼関係が薄いこともあって、周りが出してくれないから。又組織がボロボロなのでなかなか奪えないというのもある)、こういう要素に置いては又見習っていきたい部分ですね。

そうは言っても予測していても動かなきゃ余り意味はないわけで、その動きに関してもヒントが詰まっているのかなと。オフ・ザ・ボールというと多分イメージされるモノとしては、長い距離を走るフリーランニングだと思いますが、それを90分間継続することのは体力的にも難しい、こんな暑い気候の中では特に。その時にパスコースを作るために必要なのは自らが切られたところからズレて顔を出すために動く2、3歩なのです。そこでポジションがズレることでプレスによって切られたコースの次に、又その動きでパスコースが出来る。その2、3歩が生み出すズレ、学びたいですね。

別にヒデは特別なことをしているわけではないです。ただ頭を常に働かせ、そのプレーの先を見据えてプレーしているだけです。それはそんなに難しいことではなく(難しいんだけど)、試合に集中し意識していけば、変わっていく部分でもあるのかなと。小笠原も良い時はまさにそんな感じだと思う。しっかりと自分の中で次のプレーがどう流れるのか予測して、少しでも早いタイミングで準備行動に入っていれば、出し手のタイミングももうワンタイミング早くなるし、相手のマークも出し抜ける可能性は高い。そういう予測能力、察知能力というモノを発揮することで、テンポも生まれるだろうし、スムーズなパスの流れからの崩しもより頻度が高くなるのではないでしょうか。勿論感覚的にそういうプレーをする選手もいますが、学ぶという点ではやはり知的な論拠に基づいた中田英寿のプレーはモデルとなる要素が多いのかなと。

これがチーム全体、いや日本のサッカー全体に波及したら攻撃はもっと流れるようになると思います。勿論既にヒデを始め、意識してやっている選手もいないわけではないですが、それが特別ではなくスタンダードとして浸透することで(特に若年層)日本のサッカーはもっとスムーズな攻撃が出来るようになるのではないでしょうか。そのためにもサボらない意識(守備をしろというのではなく頭が休まないと言うこと)、そして常にゲームに集中する事、と言うのが必要になってきますけどね。

・海外クラブに見るオフ・ザ・ボールの質の高さ。

これは日本という部分から離れることになるのですが、これも大きく見本となる部分でした。勿論コンディション等が完全ではなく、ガチな感じはありませんでしたが、彼らの身体の中に根づくフットボールの細胞は確実に見本を示してくれていたのかなと。僕は生ではユーヴェ戦とこないだのバルサ戦を見ることが出来たのですが(共にFマリ戦)、ボールを繋ぐ上で参考となったのはバルサです。スコアとしては2試合ともドロー、Fマリとしては悪くない結果でしたが、ボールを繋ぐという意識やそのために必要な動きという意味では大きな差がありました(マリの選手の甘えというかもっと頑張らなきゃいけない部分というのは大きく出たのかなと)。彼らはバルセロナのプレーヤーとして、ボールをポゼッションしながら主導権を持ってサッカーをすると言うことを求められているだけに、強要されているようなモノです。その背景には歴史的な積み重ねだったり、ソシオの好みであったりがある訳ですが、彼らはプライドとしていくら相手が強かろうとカウンターサッカーをすることはないのかなと。(断定は良くないけど、やっぱりクライフイズムみたいなのは根づいているんだと思う)そんな部分もあって、彼らにはボールを繋ぐコツと言うモノを持っていました。勿論選手の高い水準の技術あってこその部分はあるのですが、彼らはゲームの中で自然にヒデがしているようなことをしている。だから、試合の流れに乗りながら、必要な時に手厚いサポートがあり、パスコースが複数出来るし、だからこそプレーが切れにくいのかなと。そういうことがあるからこそ、よく代表のサッカーで見受けられる詰まることが少ないのでしょう。小さなプレーだけど、それがバルセロナのポゼッションを支えていると言うことを考えたら、やはりこういう要素の重要性というのは見えてくる気がしました。

ポゼッションサッカーを目指す、主導権を持った攻撃をすると言うことを是とする風潮があります。それの是非は別に構わないのですが(沢山書いているしね)、それに必要な要素を吹っ飛ばしてパスを回して崩すという理想論だけを振り回している傾向があるのも確か。コミュニケーションも大切だし、技術も大切、オートマティズムの付随も必要かも知れません。でもその前に個々がプレーに集中して、各々が自分の頭をフル回転して動いてパスコースを作る。そういう単純な要素がポゼッションを支えていると言うのがもう少しクローズアップされればいいなと思いました。現状では、今のマリにそれはあんまり出来ていないし、日本代表もヒデがいなきゃ出来ない。簡単なことではないけど、目指すのならオフ・ザ・ボールでの意識の向上が必要とされているのかも知れませんね。

まあプロ化して10数年の中でまだまだ道の途中なので、全てを求めても難しいところではあるのですけどね。ただ、絶対に出来るはず。練習のパス回しとかあんなにうまくて、プレスなど積極的でしかも緻密に出来る国の選手が、攻撃において出来ないなんてあり得ないから。まあそれが日本らしいと言えば日本らしいのかも知れないけど、これが出来ないと次のステップに進めない気がする。良くセルジオが「FKではあの位置から打つのに、ミドルシュートになると打たない」とぼやいていますが、これを変換すれば「守備ではあれだけ走れるのに、攻撃になると未来の図を描けず積極的に動けない」って感じでしょうか。でも第3の動きやフリーランニングという要素が取り上げられはじめて、どんどんオフ・ザ・ボールの動きの重要性にも光が当たり始めている。だからこそ、もっとこの要素を突き詰めて質の高い、また観客を魅了するサッカーを見せて欲しいですね。と言うことで今日はここまでです。

*この文を書いて、読み返して思ったこと。超上から目線_| ̄|○ 気を悪くさせたら申し訳ないっす。反省。でも書き直すのはきついのでこのままで・・・・。すいませんすいません。

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Comments

まさにその通りだと自分も思います。東アジア選手権とコンフェデのギャップはまさにそういうところにもあると思います。技術面だけでなく、戦術的なインテリジェンスの部分にももっと光が当たるといいですよね。自分もバルサではそんなところを再確認できました。
ヒデみたいにとにかく気が利いてる動きが大切ですね。マリノスもそこが引かれた相手を崩すポイントの一つになるでしょうね。

Posted by: ISM | August 05, 2005 at 09:14 PM

ISMさんこんにちわ。コメントありがとうございます。

ヒデがいるいないは別にしても、もっともっとボールを受けるための動き、引き出すための動きの重要性というのに光が当たると良いなと思ったので書きました。きっかけとして東アジア選手権ですが、マリにとってもそういう部分はありますし(サイド偏重で詰まってしまうとどうにも苦しい、ボランチの意識も低い)、攻撃をスムーズに流すための要素としてのオフ・ザ・ボールの動きの向上は必須条件なのかなと。技術面で劣るからこそ、ボールのないところでの動きというのは大事になってくると思いますよ。

ヒデはきっと自然にそういうことをする必要性に駆られたからこそ、高い意識でプレーをしているのでしょうね。マリにとってはそれをボランチ→OMF→FWと有機的に繋げていくことが必要かなぁと思ったり。まだそのポイントポイントでは切れて詰まることが多いですからね。まあとにかく明日はナビなのでその辺を築いてほしいなと(行けないし、見れそうにないですけどね_| ̄|○)ではでは

Posted by: いた | August 06, 2005 at 12:03 AM

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Tracked on August 05, 2005 at 09:45 PM

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