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May 26, 2005

The mental toughness which surpassed all@UCL Final

恐ろしいゲームでした。とにかくレポート。UCLファイナル、奇跡の夜でした。サッカーって何が起こるかわからないどころの騒ぎじゃない。でも奇跡の勝者の影には残酷な報いを受けた敗者がいると言うことを考えると、素直に良いゲームと喜べもしないわよ。

UEFA Champions League 2004-2005 The Final
AC Milan 3-3(PK2-3) Liverpool@The Atatürk Olympic stadium
Milan:1'Maldini 39'&44'Crespo Liverpool:54'Gerrard 56'Smicer 60'XaviAlonso

ミランスタメン:GKジーダ、DFカフー、ネスタ、スタム、マルディーニ、MFピルロ、ガットゥーゾ(→112'ルイ・コスタ)、シードルフ(→85'セルジーニョ)、カカ、FWシェフチェンコ、クレスポ(→85'トマソン)
リバプールスタメン:GKデュデク、DFフィナン(→46'ハマン)、キャラガー、ヒーピア、トラオレ、MFシャビ・アロンソ、ジェラード、ルイス・ガルシア、リーセ、FWキューウェル(→23'スミチェル)、バロシュ(→85'ジブリル・シセ)

レポートの前に両チームのこの日の布陣を敷いてきた意図というか、このゲームの狙いというのをちょっと講釈。ミランは相手への対応策を講じるよりコンディションを整えることに重きを置いたのかなと。自分たちの戦いに自信を持っている事もあり、結局いつも通りの布陣で戦うことを選択したのかなと。逆に動いてきたのはリバポ、中盤を一枚削ってキューウェルをトップのバロシュに近い位置に入れて、よりオフェンシブな姿勢が伺えました。前の脅威を増やすことでピルロを守備に忙殺させながらカフーのスペースを突いて、リズムを奪うと意図が透けて見えました。しかし、ゲームは思っても見ない方向に流れていきました。

開始早々、右サイドでボールを受けたカカがドリブルを仕掛けるとトラオレが引っかけていきなりのFK。ピルロのFKは、スイープのような形で殺到するゴール前を避けて、一段後ろに走り込んだマルディーニがうまくマークを外してフリーでボレー!これがオープニングシュートでしたが、これが見事に決まってミランが開始1分に満たない時間に先制しました。この先制点でミランは非常に余裕を持ってサッカーをするようになり、逆にリバポは完全にドタバタしてDFラインが落ち着かなくなり、時折ワイドから中にボールを入れ込むモノの中の薄さではね返され(失点直後のFK、その流れの中でヒーピアドンピシャヘッド、そしてその後ジェラードの横断サイドチェンジからの展開で折り返しをルイス・ガルシアが飛び込むなどのチャンスもあったが)と完全にゲームの流れをミランに引き渡してしまいました。
ミランは余裕を持ったと書きましたが、特に顕著だったのは中盤のパス回し。ピルロを中心に相手をいなすように細かいパスを回し、収縮し始めたら大きくボールを動かして整え、リバポのバランスが崩れてブロックに穴が空いたらカカやFWの二人へ、と言う形がこれまで以上に見事に出来ていました。逆にボールの奪えないリバポは泣きっ面に蜂の状態、ベニテスの期待を一心に受けたハリー・キューウェルが怪我で早々に交代(スミチェル投入は23分)、前傾のリスキーな守り方はミランに完全に翻弄され、完全にリズムを明け渡した。そして挙げ句の果てにピルロを中心に細かいパス交換を取りに行くのですが奪いきれず、逆にブロックのバランスを崩して穴が空いてしまう。特に注意が必要だったカカを止めれる選手はおらず、彼が瞬間的に前を向き、前に仕掛けられるとほとんど突破を許してしまう状態に陥ってしまっていました。これによりカウンターがずばずばと飛びだし始めて、完全にリバポのDFを切り倒す。それでもコンビミスなども合って追加点が取れず、少しリバポが落ち着きはじめ、流れを押し返してチャンスを生み出し始めた39分、バロシュの突破を身を挺して止めたネスタからセードルフとピルロで上記のようにうまくMFラインの裏に入り込んだカカへと渡ると速いドリブルが発進、MFとDFラインを分断すると、クレスポとシェバが交錯するようにフリーラン、カカは浮き球で間を通して右に流れたシェバへ、これを中に折り返すと少し後ろに流れたモノのこれをクレスポが流し込んで待望の追加点。そして流れが止まらない。今度もカカが起点、ピルロの縦のパスを受けると高速ターンで前を向き、既にフリーランを始めていたクレスポへ糸を引くような右足での芸術的なスルーパス、追いすがるキャラガーの足をかすめてクレスポに通ると、ダイレクトでデュデクの飛び出しを鼻先をいなすループで3点目。この辺はさすがのストライカーっぷり、でも何よりもカカ、オープンなカウンターを仕掛ける上での最高のトップ下の機能性、何度かコンビネーションミスでチャンスを不意してしまったが、きっちりと修正して二つのゴールをお膳立てして、完全にリバポを沈めたかに見えた。前半は3-0で折り返し。

後半に入ってフィナンを下げてハマンを投入。中盤を厚くして来たリバポですが、すぐに効果は現れない。ミランペースは続き、カカを中心とした突破をなかなか捕まえきれずに、ファールで止めてしまうなど苦しい状態。そのFKをシェフチェンコに強烈に狙われるなど、まだまだピンチは続く。しかし、前半で得ていた唯一と言っていい手応え、サイドアタックから中を厚めにして詰めていく形の攻撃が実を結ぶ。左サイドで受けたリーセのクロスに対して、中には3枚と厚く局面的に3vs2(バロシュ&ルイス・ガルシア&ジェラードvsネスタ&スタム)になり、センターにマークが曖昧になったところでぽっかりと空いたゾーンに入ったジェラードがドフリーでヘッド、ジーダもどうにもならず1点返す。そしてこのゴールがリバプール大反撃の呼び水へ、これもきっかけがあったのですが(後半最初のチャンスだった細かいパス回しからペナ付近まで上がってきたシャビ・アロンソの強烈なミドルシュートが枠を逸れるシーン)同じように左サイドから中に切れ込むように細かいパスが回ると、ミランの中盤DFの手が回りきらず、その終着点にいたスミチェルが弾丸シュート、ジダは手に当ててコースを変えるモノのはじき出せずにそのまま決まって3-2。勢いは本物になる。そして極めつけが60分、試合通じてよくDFラインの前でポストになろうと入っていたバロシュの執念が実を結ぶ(ほとんどファール取られてたけど)。右サイドのボールホールドからルイス・ガルシアのデコイランを絡めて、斜めに楔が入るとダイレクトで走り込んできたジェラードへ、ジェラードの突破に対してガットゥーゾが手で止めてしまい(足は掛かっていないから)これがPK。シャビ・アロンソは一度ジダに止められるモノのそのリフレクションを押し込んでなんと同点!恐ろしいぐらいの流れの変化。流れ始めたらもう遅い。サッカーって怖い。
この劇的な同点劇となったのは、何よりもベニテスの修正能力と選手に与えた心理的影響になるのかなと。前半あれだけこっぴどくやられたのは間違いなく中盤がフィルターとなりきれず、もろにカウンターを受け続けてしまったため。もちろんハマン一人が入ったところでそこまでは変わらなかったのは後半開始当初を見れば歴然。ただ後ろが3枚になってカウンターに対してもずれにくくなったことで何とか我慢出来て、その後にこの変更のポジティブな面が出た。どうしてもカウンターをケアすればするほど、ジェラードにしてもシャビ・アロンソにしても上がりにくくなってしまう。でもこの二人が上がらないと攻撃に厚みや変化はもたらせないし、ミランのDFを崩すことは出来ない。その中で先ほどそんなに変わらないと書きましたが、ハマンの存在が合ったことで彼らは後ろ髪引かれることなく攻撃参加するようになり、そしてそれがはまってゴールに繋がったのかなと。カウンターに対しての恐怖感を取り除くためのハマンの存在がリバポの思い切りを呼んだのかなと(まあもう攻めなきゃどうにもならない状態だったけどね)
とにもかくにも同点になった訳ですが、この流れの中でリバポは完全にペースを握り、またミランに対してきっちりと対応策を掴んでいたこと。攻守の切り替えを速くし、特に攻から守への切り替えが非常にうまくはまったこと。ここまでは20~25m程の所でのラインコントロールを主にゾーンで守っていましたが、今までうまくいっていたリトリートして中盤とリンクしてきっちりと守備ブロックを作って迎え撃つ形を作ったことでカカをバイタルエリアから閉め出した。ミランの中盤が前半ほど余裕がなくなったこともあり、細かいパス回しで相手を引き出すという作業が抜け落ちて、シンプルに狙い所がわかりやすく攻めに終始、攻撃の糸口が一気になくなってしまった感がありました。その中で両監督が動く事で戦況を動かそうとしました。既に二枚のカードを切っていたベニテスはバロシュからシセへスイッチ、アンチェロッティも強気にクレスポを下げてトマソン、シードルフに変えてセルジーニョ、これにより、セルジーニョが外に張り出して、カフーの高い位置取りを取り始めて3-4-1-2の様な感じに見えた(守るときは4バックなんだけど)これでミランは流れを引き戻し、左サイドを中心にサイドから攻め立てるが、ただベニテスもこれを放置せずにセルジーニョに対してジェラードを付かせて自由にさせず、一気に展開が緊迫していった。集中力を保った守備は最後まで続き、延長戦に突入する。

延長戦にはいると、試合の中でかなり疲弊したリバポは、全体の運動量が減り途中交代のシセが攻撃にリンクせずと、押し込められてからの反撃する力がなくなってしまう。ジェラードやキャラガー、ヒーピアなどは足をつったりともう既に限界に近かった。それに対してミランは完全に主導権を握り、終盤と同じように左サイドからセルジーニョを起点にサイドから攻める。このような展開が延長戦ずーっと続いていきました。セルジーニョのドリブルがかなりリバポに牙をむき、また左足からのクロスボールが脅威をもたらし、延長戦最大のビッグチャンスもセルジーニョのクロスから、鋭いボールはうまく間に入り込んだシェフチェンコにドンピシャ、コースも良く決まったと思いましたがデュデクがビッグセーブ、リフレクションを再びシェフチェンコが詰めたが、デュデクが身を挺して防ぎきり、何とか凌ぎきりました。デュデクだけではなく、限界に近かったDF陣も体を張って守ったことで30分を0-0で凌ぎきり、試合はPK戦へ。PKは静のジダ、動のデュデクと言った感じで、このゲームの入り方に似ていましたが、デュデクの幻惑ダンスにセルジーニョ、ピルロが失敗、ジダもさすがの強さを見せてリーセのキックは止めたモノの、4本目を蹴り終えて2-3、5本目のミランのキッカーは3年前優勝を決めたシェフチェンコ。しかしそのキックがデュデクに止められてジ・エンド。リバプールが奇跡の優勝を飾りました。

このゲームを見ていて本当にこんな事が起きるのかという目を疑いたくなるような試合でした。はっきり言ってチームとしてかなりの差があった。守備に関しては必要であればカカも戻ってくる献身的なDF、中盤が作り出す緩から急の流れ、そして中盤を突き崩すカカの局面打開力、そしてそこに隙なく連動していくストライカー、ミランはほぼパーフェクトな前半をして完全にゲームを「決めた」。でも結果的には決まっていなかった。リバポは穴を強引にこじ開ける力強さはあったけど、ミランを超えるサッカーの要素はチームとして持ち合わせていなかったのかなと。ただ決して折れない心と魂を持っていたことで一度切れた集中力を再び取り戻した。それがあの反撃に繋がり、終盤の粘りに繋がったのは紛れもない事実なのかなと。これはミランにはないものだった。何か色々と合ったけど最後は「魂」とか「折れない心」とか「生み出される勢い」というロジックを超えた部分に勝負の決め手があったことに対して、ここまで完成度の高いチームを作り上げたミランを思うとせつないなぁと思いました。まあ精神的な部分もまたサッカーであり、それがあるからこそ「奇跡」が生まれるんでしょうけどね。

ロジカルな部分を目を移すと、ベニテスの取った策に翻弄されたゲームだったのかなと。スタメン起用から賭に出て、これがはずれ。キューウェルを使って攻勢に出ながら左サイドを突くどころか、ミランの低い位置での組み立てに対してバランスを崩され、中盤での守備力が心許なくジェラードやシャビ・アロンソという前に出てアクセントを付けなければならない選手達が守備に忙殺され、忙殺されているにもかかわらずカカを止めきれずにカウンターから2失点。挙げ句の果てにキューウェルは怪我と。泣くに泣けないぐらいこっぴどくやられてしまった。でもここで切れずに修正出来た事が勝ちを引き寄せるきっかけになった。ハマンの投入である程度バランスが整い、また中途半端にゾーンを組むのではなく、固く守れるリトリート+中盤MFで作る守備ブロックを整える(攻から守への切り替えを速くなる)事である程度基盤が出来た。そしてリバポらしい一点突破の大反撃。結果を出したのがスミチェル、そしてハマンの後ろ盾を得て前に出れるようになったジェラードというのだから、賭の負けを取り戻したと言っても良い。その後、シセの投入がうまくいかず流れをまた引き渡してしまうが、守りきるための施術もぬかりなかった。PK勝ち。一番は選手達の精神力だと思いますが、一度の失敗をうまく修正してゲームを捨てなかった事も大きい。まあ楽しませて貰いましたよ(苦笑)
じゃあアンチェロッティはどうなのかというと、ほとんどが見たことのある動きであり、それなりに思い通りに出来ていたのかなと。ただ結果だけが物足りなかった。一つ言えるとしたら駒不足の感かなぁと。あんまりうまくいかないのだけど、3点リードである程度リスクを計算してアンブロシーニを入れたりしたい流れだったけど、そのアンブロシーニがいないのは痛かった。手を打とうとした頃にはすでにアドバンテージはなく攻めに出るしかなかったのは不幸中の幸いだったけど、その施術は妥当なモノで間違いはなかったのかなと。セルジーニョの起用はチームに幅を持たせ、攻撃構築が雑になりかけて悪い流れになりそうだったところを断ち切る攻撃の核となったし、トマソンの常に虎視眈々の姿勢はあわやというシーンもあった。完全に押し込んでから変化を付けれるルイの起用も妥当。それなりにそつなくこなしたミランが負け、采配ミスもあったリバポに勝つと言うことは、こういうゲームに置いてはロジックよりメンタルだったと言うのを如実に表しているのでしょう。

しかしサッカーってこんなに恐ろしいモノだとは思いませんでしたよ。数々の奇跡はあったけど、未だに信じられないゲーム。きっと早々お目に掛かれないモノを見れた嬉しさというか興奮もあるのですが、あれで勝てないならミランはどうしたら良かったんだろうと思うと、サッカーって何だ?と考えてしまうような深みを感じるゲームでもあり、またそれが恐ろしいと感じるゲームでした。まあ筋書きのないドラマと言われますが、筋書きがあったとしてもここまでの筋書きはなかなか出来ない。とにかくリバポおめでとう、リバポが勝ったことを卑下するモノは誰もいないですよ、それにふさわしい戦いぶりがあったんですから。ということで今日はここまでです。しかしミラン・・・・_| ̄|○(今年ノータイトルか・・・・、ユーヴェ好きの僕が言う事じゃないけど、良いサッカーをしているチームにはこういう事が起きがちとはいえ、きつい仕打ちだよなぁ。マルディーニがビッグイヤーを掲げるところがみたかった)

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Tracked on May 27, 2005 at 03:31 PM

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