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August 29, 2004

オリンピックで気づかされた世界との差。

オリンピックも終わってまた世代別代表は新しい世代に引き継がれていく訳ですが、一応選手や監督の批評だけでなくやっぱりこの大会に行って学んだ事、世界トップレベルのチームとの差はどういうものなのかを考えてみました。確かに様々な部分で差を見せつけられたと言ったら簡単だなぁと思うのですが、そういうチームと対等と言わないまでも普通に勝負できるようになった事はやはり90年代からの継続した強化の賜であり、そう考えると結構慣れて厳しい目を向けているけど凄い事なんだなぁと思ったりしています。しかしここまで登り詰める事は出来てもこの先上のチームを追い越したりするには、もっと色々な部分でシビアにそして綿密にこういう大会での結果や世界との距離を分析して考えていかなければここまでで終わってしまう気もしています。それは例えばベルギーやノルウェー、アイルランド、エクアドルやペルー等のように、中堅国のレベルで止まってこの上のチームを追い越す事ができないように。だからこそ、漠然と世界との差は個の強さが足りない、戦術理解度が足りないではなく、大事な部分をきっちりと理解しなければならないのかなぁと。ということでアルゼンチンの試合ごとにこそっと言ってきたお手本にすべき事を少し考えていきたいと思います。

アルゼンチンは今大会をぶっちぎりの強さで勝ち抜いて、金メダルを獲得した訳ですが、このチームの強さは何だろうと思ったときに、爆発的な攻撃力と攻守の切り替えがスムーズで相手の攻撃に対して余り後手に回る事が少ないと言う事に気づかされた気がします。もちろんテベス、ダレッサンドロ、ルイス・ゴンザレス、マスチェラーノ、それにOAのアジャラ、キリ、エインセと言ったチームに最もあった選手がいた事は軽視する訳にはいきませんが、それは一朝一夕には行きませんしそれを言ったらいつまで立っても言い訳が同じで進歩がないので、彼らがチームの共通意識として非常に強く持っていてチームを機能させる事を考えていた事に着目しました。

まずは意志のあるプレーとそれに付随するフリーランニングという項目です。このチームはシステム的には3-4-3ダイヤモンドという非常に攻撃的な並びをしていますが、別に3-4-3が攻撃的なのではなく、選手達が持っている姿勢が攻撃的なのであり、沢山人がいてノッキングすることなく攻撃がスムーズに流れるのはどうしてなのかと思ったときにこのチームはアタッカーがフリーランニングをしている事、そして野そのフリーランニングに意志があり、その意志のあるフリーランニングが有機的に連動していく事により攻撃が流れているということです(もちろんノッキングする事もありますけど、焦ることなくまた1つのくさびパスやキーマンのワンプレーでそのスイッチが入って相手を崩しに書かれるという事も強みですが)大体意志のあるフリーランニングってなんぞやってことですが、良くメッセージ付きのパスと言う言葉がありますが、ここに出すからわんとラップで打てよ、とかこのパスは右足で受けて前を向けよとかそういう意図のあるパスの事を言います。簡単に言えばそれが逆なのです。ここからふくらんで走ってマークを外すから前のスペースにボールをくれと言う走り、あいつと交差して外に流れるから足元にボールをクレとか、外でキープしているからその内側に入るから流し込んでくれと言う動きがどちらかと言えばパサー主導ではなく、アタッカー主導で能動的に出来ていて、それが複数あるから選択肢が広がって、相手はどこに出てくるのか絞り込みが出来ないという事になるのではないでしょうか。日本は有能なパサーは沢山いますが、巧みに意志の籠もったフリーランニングを出来る選手はそんなにいない。だからパサー主導になってしまう。動かされていると言う感じが強いのです。そうではなくて、パサーに選択肢を選ばせるという形をチーム全体で作り、それが次の動きの時にも継続して次のプレーを予測しながら行う事で攻撃が連動するアルゼンチンの意識は非常に高いものでした。確かに彼らは非常に巧みなボールコントロールするし、単独でドリブルを仕掛けられる選手もいるし、シュートがうまかったりと個に絞っても十分出来てしまうけど、そういう選手達がボールを呼び込む動きを怠らずにやっていればそれは点が取れるでしょう。これは能力の問題ではなく、意識の問題だしアタッカーがどこまでそういう意思表示をプレーに込めるのかという問題です。確かに高いドリブル能力を持つ選手もいるけど、足元で受けたがる気持ちはわかります。しかしそれが攻撃の流れを寸断し、ノッキングを引き起こす事にもなっているという事です。アルゼンチンの攻撃が選手達で自主的にやれて居るのか、それとも超高度なオートマティズムによって複雑に形成されているのかはわかりませんが、こういう動きのある攻撃が世界には脅威となり、アルゼンチン最強の攻撃パターンになっている事を考えれば、日本ももっと強く意識していく事により、その武器を持てる可能性があると言う事です。技術と言うよりは意識の問題であり、それはまた日本にも出来るという事なのですから。パサーが居てもそれを活かす事が出来ていない日本にとっては最高のお手本となり得るチームだったと思います。まあそのためにはコンビネーションや呼吸を合わせるという難題もありますけどね。

でこのチームがどうして無失点だったのかという部分に今度は興味を持ちました。上に書いたように人数を掛けてどんどんフリーランニングを仕掛けていくチームは自ずとカウンターのピンチになれば数的不利を負う事になりかねず、諸刃の剣のような戦い方の様に見えました(フロントラインの3人に加えてもう3人がどんどん来る。その中に3バックの両端がどんどんサポートに入ってきていると言う事を考えたら相手にとってはヨダレが垂れそうなくらいおいしいスペースがひろがっているはず)

そこで出てくるのが攻から守への切り替え。このチームは中途半端な位置でミスが少ないから(マスチェラーノの組み立てには無駄がないし、ミスも少ないから確実に前線のアタッカーに繋がっているし、ゲームメーカーのダレッサンドロに渡っている)低い位置で奪われる事が少なかった(決勝はそうでもないけど)そうなると人数を掛けて攻めた後に奪われたときのスペースのケアなのですが、そこで彼らがやるのは超強烈な前線からのフロントラインの選手がプレスが掛けるという事です。プレスと言うより追い回すといった感じでもうしつこく相手に余裕を与えないようにして、正確なフィードをさせないようにしてそのスペースを使わせないようにするという事をきっちりと意識して、自分たちのチームのオリジナルポジションが整うまで時間を稼ぐと言う事がきっちりと意識付けされているという事が最大の要因かなぁと。もちろんプレスには高い位置で奪って相手の陣形が整っていない内に攻めて崩してしまうと言う狙いが日本にもありました。もちろんアルゼンチンもそういう事が出来たらいいなぁという事はあると思いますし出来たらやっている事も事実です。でもそこに本来の狙いはなく、あくまでもディレイして超攻撃的なやり方におけるリスクを軽減させる唯一のやり方と認識してやっていると言う気がしてならないのです。もちろんビエルサの考えている事はわかりませんが、個人的にその考えは非常に理にかなっていると思う。逆にそれが出来なければカウンターの思うつぼなわけですし。そういうピンチの時に3人の強いCDFと危機管理能力の高さとマンマークによるキーマンつぶしのマスチェラーノという非常に有能なボランチ(ピボーテって読んだ方がいいのかな?)がいるからどうにか出来たという部分は確かにありますが、貢献としては前線の選手がきっちりとそのタスクを理解しそのタスクを遂行したという証明でもあるのではないでしょうか。日本にも同じ狙いをしろとは言いませんが、何のためにプレスをするのか、高い位置で奪うためにやるのならどうしなければならないのかと言う事をもっとチームできっちりと意識しなければ、プレスなんてやる意味がないと思います。ベタ引きでそこからプレスだ、なんて全く意味がないし、なんとなーく前線からのプレスが約束事だからと言ってチームで連動していなかったら、それは単なるアプローチに過ぎませんし、その行為は単に体力を削る行為に過ぎません。明確にこういう狙いがあるからプレスに行くんだ、そのためにはこっちの方向に追い込むんだ、ここで奪うんだというチームとしての意識をもっと高めてそれをチームで同じ狙いを付けていく強烈な共通意識の元にやっていくと言う事が大事なんだなぁと言う事に改めて気づかされました。おざなりプレスに意味はないと言う事です。

今回は優勝したアルゼンチンを元にやりましたが、他のチームにもそういうものがあったと思います。パラグアイの前線への放り込みにしても、その前に流れてくると信じてこぼれを拾ってシュートチャンスに繋げるんだというシンプルですが狙いが明確だったし、イタリアにしてもジラルディーノに当てるんだ、そこで何とかしてる間にプッシュアップしてサイドに空いたスペースを突くんだ、押し込んだらピルロの散らしから空いているサイドバックを前に出してそこからコンビで崩すんだという狙いが簡単に見えました。その時にはアザーサイドのアタッカーは中に入ってクロスに合わせるんだという意識もありました。そういう戦術ではないけど、チームの個人戦術の重要性が日本には余り見られませんでした。そういう細かい意識の差が勝負を分ける訳だし、チームを救う事にもなるのです。個が足りなかった、通用しなかった、だからもっと育てようと言うのは間違いではありませんが、どんどん天才・秀才高いレベルで輩出する国にはそれでは絶対に追いつけないし、それがサッカーをする国の強みなのです。だからこそこういう部分での世界との差を1つずつ詰めていかないとこれからは停滞がまっているような気がしてならないのです。停滞はサッカーにおいては死を意味するし、今までの努力を無為にする可能性があるという事を忘れてはならないと思っています。

まああくまで提案ですが、備忘録的に残しておこう言う事です。大切なのは明確な1つ1つのプレーに込める意志である。やばい、今日は少しまとまったかも(笑)結構マジに書いたのでこりゃ違うとか、そうかもとか意見があってもなくても感想など聞けたら嬉しいです。と言う事で今日はここまでですw

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Comments

ふむふむ
メセージ付のフリーランニング
ですか興味深い 
昔 水沼さんがスペースに出して
前線が追いつけず タッチ割ると
客 味方からやじられたそうです
今のパッサーは幸せだと
昔はパッサーは脇役 ストライカは
主役でしたからネ
どうやればパス成功率を
プレスの厳しい中 上げられるのか
ここに面白い課題がありますネ
マラドーナはパスをするとき
最短で点を取るための
パスコースを探していたそうです
狙いの共通理解も
重要かもしれませんネ
それからセンタリングも
狙いを持った
センタリングを上げれば
かなり点を取れる攻撃になるとも
相手が予想しない
プレイがもっとも
相手を崩しやすい
もっとも難度の高い
技を使え
などなど
テベスのための
テベスによる大会でしたね
もちろん
チームとして
ダントツでした
サビオラも観たかったな
欲を言えば

Posted by: 和製フリット | August 29, 2004 at 08:18 PM

率直に言って非常に興味深い文章でした。
自分も今大会のアルゼンチンの強さは
チームの成熟度というか、意識的なモノ、
攻撃・守備の役割分担がはっきりしていることに加えて初めて
個人能力の高さがあったことに起因していると思います。
ちょっと前のフランス代表もそうでしたが、
イメージが共有されているサッカーというモノは
見ている側からしても面白いモノですよね。
偶発ではなく必然に近いカタチのサッカーは理想です。
自分は今まで日本には歴史が足りないから出来ないのだと
思っていましたが、近代サッカーの中で発展していくことを
目標とする以上は、それに挑戦していかねばなりませんよね。

この文章を読んで、
そろそろ日本という国のサッカーのカタチ、
それに基づいた選手の役割なんかが決まって来ても
良いんじゃないかなと改めて思いました。

Posted by: no.10 | August 29, 2004 at 10:51 PM

そうですね、パスレシーバーが要求する姿を日本では見る事が少ないのは、やはり出てくるパスに対してのイメージが少ないからなぁと。

そして和製フリットさんの言うとおり1つ1つのプレーを意識を高く持ってやっていかないと世界の質には追いつかないと思います。だからこそ漫然としたなんとなーく進める組織的っぽいサッカーではなく、狙いを持ってここがきっちりとチーム全体で考えがシンクロするような形がもっと出てくれば、もっと高いレベルに行けると思いますwそんな風なサッカーを見れる日が来る事を待ちましょうw

またよろしくお願いしますw

Posted by: いた | August 29, 2004 at 11:05 PM

そうですね、個人能力の高さに加えてイメージの共有による狙いのある攻撃をきっちりとやっていたのですから、強くてそして見ている側を楽しませてくれたのはそれこそ必然なのかも知れませんねw

モダンフットボールとして、組織の重要性という事が良く叫ばれていますけど、その組織をどうやって活かすのか、その組織を日本色に染めて行く事が必要だと改めて痛感しました。

no.10さんは日頃からヨーロッパのサッカーに沿っていらっしゃるので、役割に関して、ギャップに苦しむ部分もあると思います。もしかしたらそのギャップがきっと世界との差なのかも知れませんねwでも諦めても何も始まらないので、どんどん向上していく事を願うばかりです。

またよろしくお願いしますw

Posted by: いた | August 29, 2004 at 11:13 PM

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